La déconstruction des idoles ──アイドルの脱紺築 chapitre deux

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モーニング娘。の地政学
〜つんくの国盗り物語〜


■ 目 次 ■
1 つんくの目的
2 デビュー
3 2期メンバー加入から福田明日香脱退まで
4 「LOVEマシーン」による全国制覇
5 娘。のメジャー化 「国民的アイドル」として
6 5期メン=地方性の復権
7 6期加入以降、現在まで

1 つんくの目的

 つんくが所属するバンド、シャ乱Qに『上・京・物・語』という曲がある。東京で夢をかなえるために上京する歌(ただし作詞担当は「まこと」)。
 モーニング娘。は6thシングル『ふるさと』で、東京に単身上京して来た女の子の心を歌った。
 モーニング娘。初代リーダーであり、もっとも早くソロデビューを果たした中澤裕子もまた、出世作『東京美人』をはじめ、『二人暮し』『東京発 最終』『強がり』など、田舎から東京に出て来て頑張っている女の子の歌を歌っている。
(注1)
 つんくは常に「東京へ上京して頑張っている人間」の歌を書き続けている。他にも『THE NIGHT OF TOKYO CITY』『白いTOKYO』など、東京にかかわる楽曲は多い。
 つんくの出身地は、日本第二の大都市大阪である。そこからは、「大阪は日本の中心ではない」という事実から来る東京への強い対抗意識が生成される。その対抗意識が下地となって、大阪を出て東京を攻略・征服するというつんく自身の目的を作り出していると思われる。

 とりわけ、モーニング娘。がデビューする場を作ったTV東京『ASAYAN』に於いて、モーニング娘。の正念場ともいえる対決企画の楽曲として『ふるさと』を書いたことの意味合いは大きい。
 勝負曲の内容として、つんくは「モーニング娘。は田舎から出て来て東京で頑張っている女の子たちである」ということを全面に打ち出した。PVを観ればさらに明らかなように、そこでは「ふるさと」を舞台に(実際のロケ地はメンバーの出身地ではないものの)、実の母親との共演という趣向が取り入れられ、美瑛の牧歌的田園風景とあいまって「ふるさと感」が強調されている。(注2)

 つんくは常に「東京に出てきた田舎者」のことを歌う。
 そして、基本的に、モーニング娘。とは、田舎者の物語であると言うことができるだろう。(ここから東京出身メンバーには特有の問題が生まれることは後述する)
 ポピュラー音楽にとっては「時代と寝る」ことが重要であると考えているつんくは、地方分権の時代に相応しく、地方出身者(=田舎者)のパワーの再評価をモーニング娘。によって果たそうとしたとも言える。
 田舎から出て、東京を攻略すること、それがつんくの大きなテーマであると仮定すると、モーニング娘。の人選(地域間のパワーバランス)もそれと無関係ではない、と思われる。
 そこで、以下では、モーニング娘。の人選を、「東京対地方」という地政学的力学関係の観点から検討することとする。

脚注

 注1:『東京発 最終』は、東京に出て来た女の子と地元に残っている男との遠距離恋愛の歌だが、逆に、彼氏が東京から離れたことによって遠距離恋愛になるという解釈も可能ではある。しかし、彼氏のいる土地が「京都」(中澤裕子の出身地)と明示されており、曲中の人物と歌い手とを重ねあわせる手法が用いられていることから、「上京もの」にカウントしうると思われる。
 注2:同時にこの曲は、「モーニング娘。とは自分たち、メンバー自身のことをテーマとした曲を歌うグループである」という方向性を明確に打ち出した曲でもあると思われる。

2 デビュー

 つんく個人の行動原理の基底には「東京対大阪」「関東対関西」という構図がある。そして、モーニング娘。に於いては、メンバーが全国から集まることにより、その構図は「東京対それ以外の地方全部」へと拡大する。モーニング娘。の地政学的力学の基本構図は、「関東対関西」という一地方同士の争いではなく、「東京対地方」という、日本の政治的構造をそのまま反映した形をなすことになる。

 まず、出発点から。1998/1/28、メジャーデビュー当時のオリジナルメンバー5人は、
関西 1人 中澤裕子
北海道 3人 石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ
東京 1人 福田明日香
 この比率。モーニング娘。の過半数は道産子によって占められている。「北海道はモーニング娘。の聖地」といわれる由縁である。
 このバランスは重要である。すなわち、例外的存在としての東京出身者(都会人)を含む、地方出身者(田舎者)の集団。それがモーニング娘。を地政学的にみるときの出発点となる。

 モーニング娘。は、「アイドルとは都会的でオシャレな存在である」という神話を否定して、「都会への憧れやコンプレックス」を共有する身近な存在として自己を呈示する。そこには地方人的属性をアイドルと結びつけた新しさがあり、そのことが、受け手側の大きな共感を生む要因の一つになったと考えられる。

 それ以前のアイドルは、いわば地政学的特性を消去された存在であった。出身地は強調されず(むしろ隠蔽され)、曖昧な都会的雰囲気をまとって、きれいに矯正された「正しい標準語」を喋ることが基本原則であった。アイドルは、標準語によって一元的に均質化された国民国家日本の象徴として機能した。
 それに対しモーニング娘。は、方言を出すことを恐れず、あえて地方性を強調してみせる。
 安倍なつみの「〜だべさ」は、モーニング娘。の顔(道産子)であり、中澤裕子の「〜やんか」が、モーニング娘。の魂(関西人)である。

 モーニング娘。デビュー当時、一世を風靡していたアイドル「SPEED」は沖縄という地方の出身だったが、とはいえ、沖縄は先日まで《アメリカだった》ために、ある意味で東京以上にオシャレなイメージを纏っている。米軍キャンプ、青い海と空、常夏のリゾート、そして琉球文化の異国情緒……
 ところが、モーニング娘。の3/5を占める北海道は、かつて蝦夷地(アイヌ人の住む土地の意)と呼称され、本州等を「内地」と呼ぶのに対して「外地」とも呼ばれた土地であり、まさに「田舎の中の田舎」である。熊が出没し(むしろ人と熊とが共存し)、道路を鹿が横断する。「高速道路は狐しか走らない」と揶揄される土地。
 北海道娘。3人の中で一番田舎の生まれの、室蘭出身安倍なつみがモーニング娘。の顔となる。そして、リーダーである中澤裕子は室蘭よりもさらに小さな街福知山──京都府とはいえ、兵庫県に間違われることも多い──出身であり、それゆえ、中澤裕子はモーニング娘。という田舎者の中の田舎者、すなわちモーニング娘。の魂として、モーニング娘。を象徴する存在となる。それは地政学的な必然なのだ。

 唯一の東京都(大田区)出身者、福田明日香は当時13歳。その年齢にもかかわらず、彼女は、メンバー中もっとも都会的でクールな意識、感覚を持っていた。それゆえ、ASAYAN的企画の虚構性を意識してしまい、モーニング娘。に成り切る覚悟を決めることが出来なかった。
 モーニング娘。デビューの条件として企画された「5万枚手売り」に関して、他のメンバーは、多かれ少なかれ、大きな達成感とともに、意義深い思い出として、感動的に、語っている。苦労したよね、頑張ったよね…。
 しかし福田明日香は、脱退後発表した著書『もうひとりの明日香』の中で、この出来事を淡々と語っている。

 『愛の種』を最初に聞いた時は「わたしが受けてたのは、ロックボーカリスト・オーディションじゃなかったっけ?」って、ちょっと思いました。
 (中略)
 ……そういう企画にはめこまれていたんですよね。そんなことも知らずに、頑張っていましたよ。番組スタッフはねぇ、本当に面白いんだと思いますよ。私たちが踊らされてるのが。
福田明日香『もうひとりの明日香』(アップフロントブックス)p058より

 ロックをやりたくてオーディションを受けた。でも、渡された曲は『愛の種』といい『モーニングコーヒー』といい、べたなアイドル歌謡じゃないか、どういうことなんだ? という思いも強かったであろう。
 これに対し、中澤裕子は「五万枚」を振返って、その思い出を懐かしみつつ、愛を込めて詳細に語っている。そして、その「五万枚」がTVの企画であり、完売もまたTVの力によるところが大きいことを後日指摘された彼女は、どう感じたか。

 モーニング娘。としてデビューした当時、
「君らは下駄を履かせてもらってデビューしたんだよ。恵まれてるんだよ」
 と言われた。
 それはラッキーだった、と喜んではいけないということなの?
「5万枚CD売ったことなんて別に苦労でも何でもない」って。
 でも楽じゃないですよ。それをやらなきゃ未来がなかった私らの気持ちなんて分からないですよね?
 (中略)
 こっちは真剣・必死にやってんだぞっ! こんなことに絶対負けへんで!
中澤裕子『ずっと後ろから見てきた』p142-143より

 たとえTVの企画と分かっていても、そこに真剣に自分の人生を掛ける覚悟、愚鈍なまでの必死さ、それを共有することが、すなわちモーニング娘。として生きるということであった。
 この福田明日香と、中澤裕子の相違こそ、都会対田舎という対立を端的に表わしている。この地政学的対立のエネルギーが、モーニング娘。というグループに活気を生む、一つの原動力となる。

 しかし、同時に、「つんくの国盗り物語」の手兵たるモーニング娘。の中にあって、東京(=攻略目標、仮想敵)を代表するメンバーが、最初から、つらい立場に置かれることもまた地政学的必然であり、13歳の福田明日香は、次第に疲弊し、その立場を維持できなくなっていく。

3 2期メンバー加入から福田明日香脱退まで

 1998/5/3、2期メンバーとして、加入したのは、千葉2名、(保田圭、市井紗耶香)、神奈川1名(矢口真里)である。
 この3名が揃いも揃って東京に隣接し、東京を取り囲む県の出身者であることにも、無論、地政学的な必然がある。
 その結果、メンバー構成は次のようになる。(2期加入時)
関西 1人 中澤裕子
北海道 3人 石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ
東京 1人 福田明日香
東京以外の関東地方 3人 保田圭、矢口真里、市井紗耶香
 2期メンバーを、すべて東京近隣県出身者で揃えた地政学的意図は、当初期待された仮想敵として機能不全を起こしていた東京出身者を、同じ関東出身者として側面から支えるべきサポート要員という意味合いであったと考えられる。
 とすれば、原モーニング娘。の地方出身組が2期加入に拒絶反応を示す中、東京出身の福田明日香が率先して2期とのコミュニケーションを取ったこともまた地政学的に合理的な行動であった。

 しかし、東京を取り囲むように位置しながらも、微妙に田舎である「地方」出身者は、それゆえ東京へのコンプレックス、対抗意識もまた強い。
 2期加入を「東京及び近隣県」対「それ以外の地方」の比率で考えるならば、4:4で拮抗することになるが、しかしそれはそれで、あるべき「都会対地方」のバランスを失することになる。
 逆に、千葉や神奈川はあくまで「地方」であると捉え、「東京」対「地方」の比率で考えれば、1:7となり、原モーニング娘。に対し、明らかにバランスが崩れた状態となる。
 いずれにせよ、これは地政学的均衡、対立するエネルギーのつりあいが失われた危機的状況である。
 そして、自滅する東京。
(注3)

 東京出身者は、地方出身者集団モーニング娘。の内部において地政学的仮想敵(東京=攻略目標の象徴)として機能する。
 そのことは、東京を一人で背負う福田明日香が、その重責に堪え切れず、集団を離脱しようというその時になっても、あたかも駄目押しのように再確認される。
 福田明日香が、卒業公演で歌った『NEVER FORGET』が、それである。
 一般に、この曲は福田明日香卒業のテーマ曲として知られ、福田明日香のための曲と認識されているはずだ。それゆえ、後に保田圭が卒業時に歌った時、そのことを批判する意見が散見された。
 しかし、この曲は福田明日香のための曲ではない。
 その事実は、歌詞に明確に現れている。

東京でみる星も
ふるさとでの星も
同じだと教えてくれた
『NEVER FORGET』作詞:つんく

 つまり、この曲で歌われた少女(=主人公)は「東京以外の土地にふるさとを持つ存在」である。
 さらに言えば、この曲は、地方から上京して来て出会った恋人(ないし友人)を東京に残し、一人ふるさとへ帰る、別れ歌である。
 すなわち、モーニング娘。オリジナルメンバー5人の中で、唯一人福田明日香だけがこの曲を自分のこととして歌うことを禁じられているのである。そのようにして、モーニング娘。は地方出身者が地方出身者の気持ちを歌う集団であるという理念が、再確認される。そのあまりの残酷さ。
 卒業時においてさえ、かくも残酷な歌を与えられるということ。それが、モーニング娘。の中で「東京」を背負う、ということだった。(注4)
 かくして、「東京」という重荷を背負いきれなくなった者は、地方出身者の集団を離れる。それもまた、地政学的対立関係のなせる悪戯であったのかもしれない。(注5)

脚注

注3:ただし、その後の東京出身者である後藤真希においては、問題はまったく異なる様相を見せる。さらに、辻希美、亀井絵里についても、個別の検討を必要とする。

注4:福田明日香自身は、この曲が自分のための曲でないことに気付いたであろうと思う。他のメンバーもまた。しかし、そのことが彼女らの口から語られることは、おそらく今後もないであろう。

注5:ここでは、あくまで地政学的に見た時の勢力の均衡を問題としている。メンバー間の仲(の悪さ)や、「いじめ」の有無云々とは一切無縁の考察である。

4・「LOVEマシーン」による全国制覇

4.1 新たな東京の導入

 1999/4/18、福田明日香脱退により、モーニング娘。は7人となる。
関西 1人 中澤裕子
北海道 3人 石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 3人 保田圭、矢口真里、市井紗耶香
 この突然の事態により──地政学的にはむしろ必然と言うべきかもしれないが──、東京という「攻略すべき目標」の象徴が不在となり、モーニング娘。が、純粋に「田舎者」のみの集合体となった時、地政学的な運動/緊張/対立のエネルギーは減少し、そのことの効果としてモーニング娘。は窮地に立たされる。
 「東京」の不在が招き寄せた窮地を脱するためには、無論、「東京」を象徴するメンバーを導入することが不可欠である。
 そして、二人目の「東京」の代表者が登場する。3期メンバー、後藤真希。
 その加入の理由は、地政学的にみれば、「失われた東京」を取り戻し、東京対地方のパワーバランスを回復することにあろう。
 原モーニング娘。のバランス(地方4:東京1)を回復するには、7人の地方出身既存メンバーに対して、東京出身の新メンバーが2人は必要だったはずである。
 事実、第二次追加メンバーは、当初は二人加入する予定であり、1999年9月9日に、モーニング娘。は9人になるはずであったという。
 しかし、「後藤真希が十年に一人の逸材であり、才能が飛び抜けていたために一人だけの加入となった」と選考者がコメントするとおり、後藤真希という存在は、地方7:東京1というバランスを持ちこたえるだけの強靭さを持っていた。いや、彼女は、それ以上の存在であった。
 1999/8/22、後藤真希加入。
関西 1人 中澤裕子
北海道 3人 石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 3人 保田圭、矢口真里、市井紗耶香
東京 1人 後藤真希
 東京江戸川区生まれのちゃきちゃきの江戸っ子。中学生なのに、ハデな金髪(当時のモーニング娘。全員が、自然な髪色を維持していた中で異色の存在)に象徴される、都会的なヴィジュアル。先輩である矢口真里の名を「知」と読んで動じなかった、ふてぶてしさ。物怖じしない態度。彼女の出現には強いインパクトがあった。
 そして、翌月には『LOVEマシーン』による奇跡的な成功。「東京」の導入による人気の爆発。一気に「全国区」になるモーニング娘。(『LOVEマシーン』のPVの付録映像では、後藤真希一人がフューチャーされ、彼女の出現がファンのみならず、一般大衆の注目をも集めた様子がミニドラマ的に描かれている)
 このとき、中澤裕子(究極の地方出身者)は、自分たちが今まで積み上げてきたものが否定される、全てなかったことにされる、との大きな不安を感じた。自分は、もうお払い箱か、クビか、と。
 しかし、この成功は、「東京」の導入によって、地方出身者の闘争心に火がついた結果である。決して「東京」のみの功績ではない。後藤真希一人でこの大ヒットを産み出せた訳では決してなく、既存のモーニング娘。が額に汗して積み上げてきたものがあればこそ、導入された「東京」との間に化学反応が生じ、地政学的な運動/緊張/対立のエネルギーを増大させ得たのであり、それが、つんくをして傑作『LOVEマシーン』を産み出させる原動力となったのである。

4.2 物語の失効

 しかし、『LOVEマシーン』の成功により、「地方出身者による東京攻略」というつんくの目的は、果たされることなく、なしくずし的に失効せざるをえなくなる。何故なら、「東京」の力を借りて全国を制覇しても、意味がないからだ(モーニング娘。内において、「東京」的要素は、仮想敵の象徴に留まるべきであるのに、後藤真希の存在はあまりにも大きすぎたと言える)。
 しかし、それ以前にさらに根源的な問題がある。
 そもそも、東京が日本の政治的文化的中心でありうる力の根源は、何か。それを提供するのは、生っ粋の江戸っ子ではなく、むしろ日本の頂点を目指して地方から集結する地方出身者のエネルギーであると言える。
 結局、いかなる形であれ、モーニング娘。が東京を征服するということは、とりもなおさず、地方出身者の力によって、さらに東京を肥え太らせる結果を生む。東京で一旗揚げてやる、東京を見返してやる、と集まって来た者を丸ごと飲み込んで肥大する「東京」というシステム。その秀逸なシステムに飲み込まれることなく、それと対抗するには、地方に留まるしか方法はないのだが、それはそもそもつんくが採った方法ではなかった。

 TV「東京」というテレビ局の看板番組である『ASAYAN』が産み出したモーニング娘。は、そもそも誕生の前から、東京から全国へと発信されるべき存在であった。
 また、『ASAYAN』の「シャ乱Qロックボーカリストオーディション」とは、実の所、プロデューサーをプロデュースする企画であった。  そして、「駆け出しのプロデューサー」として番組内でプロデュースされるつんくが、モーニング娘。の中に、自分自身の主題「地方による東京攻略」を託したとしても、その夢の実現が『ASAYAN』という番組を介して目指される以上、夢を実現すること自体が逆に東京を肥え太らせ、東京の勝利の必然性を再確認させるものになるしかなかったことは、そもそもの最初から、必然だったのだと思われる。

 ともあれ、後藤真希は、成功の一因であると同時に、「田舎者による東京攻略の物語」そのものの失効を招き寄せる圧力、あるいは物語が最初から無効だったことを認識させる契機となったのだった。

5 娘。のメジャー化 「国民的アイドル」として

5.1 メジャー化の進行

 2000/1/8、石黒彩の卒業により、北海道2名となる。
関西 1人 中澤裕子
北海道 2人 飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 3人 保田圭、矢口真里、市井紗耶香
東京 1人 後藤真希
 その結果、北海道出身者の割合は、2/7まで減少することになり、東京以外の関東出身者比率3/7と比べても低い支配率となった。この石黒彩の卒業は、グループの都会化傾向が進行しはじめる分水嶺である。

 そして、2000/4/16、4期の4名が加入。内訳は、神奈川1、埼玉1、東京1、奈良1。これは、明らかに首都圏周辺を強化するシフトである。これは、結成当初の理念であった「田舎者の上京物語」をかなぐり捨てて、なりふりかまわずメジャー化路線を突き進む決意の端的な表現であろう。
関西 2人 中澤裕子、加護亜依
北海道 2人 飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 5人 保田圭、矢口真里、市井紗耶香、
石川梨華、吉澤ひとみ
東京 2人 後藤真希、辻希美
 ここで、辻希美という例外的な二人目の東京メンバーの加入の意義が問題となる。
 本稿の出発点となる仮定である「東京対地方のバランスの維持」という観点からみるならば、辻希美の加入は、メンバー総数が増えた(11名)ことにより、「東京」が一人ではバランスを維持できなくなった、という地政学的理由に基づくとも考えうる(「東京対地方」の比率は、原モーニング娘。では「1:4」、4期加入時点で「2:9」と、ほぼ均衡する)。
 しかし、既に述べたとおり、後藤真希の圧倒的な力/人気を考慮すれば、そのような配慮は不要であったと言える。
 それでは、取るべき解釈は何か。
 本来3人と予定された合格者に「つんく枠」として特別に四人目が加えられたという経緯。そこでつんくが配慮したことは何だったのか。それは、最年少の加護亜依(奈良)を孤立させないための配慮だったのではないか。加護の横に同年輩の辻がいること。このお子ちゃま二人組がライブ会場やTV画面の中を駆け回る絵が、すでにつんくの脳裏にありありと描かれていたのではなかろうか(その後、二人のモーニング娘。卒業後に至るまで、常に「二人一組」として扱われつづけてきた事実をみれば、これは十分あり得る解釈だと思われる)。
 むろん辻希美加入の主要因は、本人の奇跡的な魅力にあることは疑いない。その反面、地政学的な見地からは、その「東京性」に対しては、あまり期待されていなかったように思われる。地政学的力関係から超越した(自由な)立ち位置を与えられる辻希美。まさに「ののたんは奇跡」なのだが、とはいえ、彼女も東京出身である以上、東京出身者としての地政学的機能を帯びることは避けられない。

 4期加入と前後して、TV東京にてモーニング娘。をメインの出演者とする番組「ハロー!モーニング。」がスタートする。これは、モーニング娘。を「ASAYAN」内の一企画物という位置付けから開放し、メジャーな存在を目指して、積極的に打ちだしていこうとする意思の現れであると、とりあえずは言えるであろう。

 そして、2000/5/21、市井紗耶香の脱退。
関西 2人 中澤裕子、加護亜依
北海道 2人 飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 4人 保田圭、矢口真里、
石川梨華、吉澤ひとみ
東京 2人 後藤真希、辻希美
 この時点での、市井紗耶香の脱退は、地政学的な見地からは理解が困難である。モーニング娘。のメジャー化が軌道に乗り、都市部出身者を中心に、強い追い風を受けていた時期。市井紗耶香自身、本隊に加えてプッチモニ。の活動も順調だったはずだ。なのに何故、あえて「卒業」を選んだのか。モーニング娘。への追い風を、自分個人へのそれと取り違えてしまったのか。しかし、それを考えることは本稿の範囲を逸脱する。
 いずれにせよ、この卒業は、地政学的力関係の大勢に、さほどの影響を与えなかった、ということは言えるかと思われる。

5.2 リーダーの卒業

 そして、モーニング娘。は、人気絶頂のさなか、結成以来最大の運命の日を迎える。2001/4/15、初代リーダー中澤裕子の卒業。
北海道 2人 飯田圭織、安倍なつみ
東京以外の関東地方 4人 保田圭、矢口真里、
石川梨華、吉澤ひとみ
東京 2人 後藤真希、辻希美
関西 1人 加護亜依
 モーニング娘。の「田舎性」を支えてきた存在(モーニング娘。の魂!)の卒業は、グループに大きな地政学的関係の変動を惹起する。リーダー(最年長者)を擁していた関西の位置付けは、最年少者一名のみを残す地区へと、後退する。
 この時、メンバーの誰もが、その地政学的地殻変動が引き起こす禍々しい災厄の予感に戦いたことは想像に難くない。
 中澤裕子を欠いても、モーニング娘。は,なおモーニング娘。であり続けられるのか、と。

 しかし、メンバー本人達の不安をよそに、世間一般のモーニング娘。への加熱ぶりはますます加速度を増していく。
 中澤裕子卒業後、俗に言う「黄金の9人体制」時(この呼称の問題性については別稿に譲る)は、モーニング娘。の歴史の中で東京比率が最も高い時期と一致している。すなわち、「東京/全体」の割合は「2/9」となっている。これは、「北海道/全体」の「2/9」と拮抗する高比率である。

 こうして、「LOVEマシーン」によって「全国区」となったモーニング娘。は、「地方出身者による東京征服物語」という当初の目標をかなぐり捨て、「東京」の力を自在に取り入れることによって「メジャー化」を果たし、「国民的アイドル」という大文字の存在になったと考えられる(「モーニング娘。をみれば現代ニッポンが分かる」等と言った雑誌特集が組まれたのも、この時期あたりからであろう)。
 上記の事情から逆算するに、「地方出身者による東京征服物語」を体現していた結成当初のモーニング娘。は本質的にマイナーな集団であったと言える。「企画物」という要素。その活動をB級アイドルのそれになぞらえる評者もいる。
 しかし、「マイナーな存在である」ということは、決してマイナスにのみ評価すべきことではない。逆に、「メジャーになる」ということもまた、手放しで喜んで、肯定的に評価していればそれで済むことではないはずなのだ。

6 5期メン=地方性の復権 

6.1 「国民的」と言われることの意義

 地方からの全国制覇を目的としていたつんくにとって、「国民的」とは、決して東京中心の価値観において評価されることであってはならない。まさに日本全国の「田舎者」が集結することによって、日本一が目指されねばならず、それによってのみ「国民的」と称される資格を得ることができるのだ、とつんくは考えたに違いない。
 その結果、5期メンバーの募集においては、地方性の強調、「田舎」の復権が志向される。そして5期メンバーは、福井、北海道、新潟、神奈川から選出された。
 「田舎者の集団」として始まったモーニング娘。は、メジャー化過程において薄められてしまった地方性を、5期において、再獲得する。かかる地政学的特質においても、5期メンバーはモーニング娘。の先祖返りであり、二重化されたモーニング娘。なのだ、と言いうるのである。
2001/8/26、5期加入(13人体制へ)。
北海道 3人 飯田圭織、安倍なつみ、
紺野あさ美
東京以外の関東地方 5人 保田圭、矢口真里、石川梨華、
吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 2人 後藤真希、辻希美
関西 1人 加護亜依
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
 4期までの時期同様、関東の地位はなお突出しているものの、しかし、ここに来て、結成時以来の北海道メンバー紺野あさ美が採用されていることは、原点回帰の明確な宣言である。
 加えて、いままで無縁の地であった北陸信越地方(裏日本)へと出身地方が拡大され、高橋愛、小川麻琴の二名が選出されていることは、地方性重視というつんくの意思の表われであろう。
 高橋愛に対して、合格発表のコメントであえて、「福井弁を直さないでほしい」とつんくが訴えかけたことは、その何よりの証左であり、地方性の復権を目論んだつんくの心の叫びでもあっただろう。
 また新垣里沙は、神奈川出身ではあるものの、生まれは鹿児島であり、祖父母は沖縄出身である。これは、福岡出身の6期田中れいなに先立って、さらに南から九州地方の要素を先取りしていると解釈することも可能であろう。

 傍論ではあるが、モーニング娘。による地方性の重視、方言や訛りを尊重する姿勢は、地方分権が目指されている時代の追い風をも受けつつ、近年のTV等における「方言再発見ブーム」の牽引力の一つになったと思われる。

 しかし残念なことに、世間は、そしてファンは、つんくの思う「国民的」のありうべき姿を共有することはなかったのかもしれない。世間は、そしてファンまでもが、「メジャー化=都会化」されたモーニング娘。にあまりにも慣れ親しみ、それを当然とすら考えるようになっていた。そして、中澤裕子卒業までの期間に達成してきた「メジャー化=都会化」の流れに敢えて逆らうが如き地方性=マイナー性の再導入、すなわちモーニング娘。の原点回帰の方向性は、一部の熱烈なファンによってさえ、否定されようとしていた。

6.2 後藤真希卒業 対立軸の喪失

 「東京」とその都会性を代表する存在は、ここにおいて、初心にたちかえり地方性に賭けるというつんくの信念を確認した。そして、モーニング娘。における、自らの役割(=メジャー化の推進)は、終わったことを自覚する。

2002/9/23、後藤真希の卒業。
北海道 3人 飯田圭織、安倍なつみ、
紺野あさ美
東京以外の関東地方 5人 保田圭、矢口真里、石川梨華、
吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 辻希美
関西 1人 加護亜依
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
 これは、福田明日香脱退に続く、二度目の対立軸喪失の危機である。なぜなら、辻希美は、一人で「東京」を背負うべきメンバーではないからである。対立軸となるには、彼女は他メンバーから愛されすぎていた。
 こうして、「東京」という対立軸を喪失したことにより、異なる地政学的要素が反発・対立・拮抗しあうことによる活力・活気がグループから失われてしまう。
 福田明日香と他のオリジナルメンバーの間には、明確な対立があった。それと同質の地政学的対立が、力関係は違うものの、後藤真希と既存のメンバーの間にもあった。
 しかし、辻希美という例外的な「東京」はそのような対立軸としては機能しないのである。

 これは地政学上の危機である。
 だからこそ、後藤真希卒業後初のシングル『ここにいるぜぃ!』の成功(オリコン1位獲得)は重要であった。東京という対立軸がなくても自分たちはここまで出来た。そしてこれからもやっていける。そのことを、安倍なつみがどれほど喜んだことか。歌番組出演時に、一位獲得をお祝いされた時の、彼女のはじけるような満面の笑顔が、筆者は忘れられない。

 しかし、その成功が、「東京」を含む地政学的対立構造のエネルギーの残響にすぎないということを、つんくは自覚していたに違いない。
 従って、6期メンバーとして新たな「東京」が招集されざるを得ないことは、これもまた地政学上の配慮と判断に由来する必然であった。

7 6期加入以降、現在まで

7.1 5期の地政学的失敗

 5期加入から、6期時点までには、『4th いきまっしょい!』『No.5』という二枚のアルバムがある。他の「期」にはこのようなことはない(1,2期は併せて二枚、3期は一枚、4期には固有のアルバムがない(注6)。そして6期、7期各一枚)。
 しかも、5期は、「期」としてはじめて、その期自身のことを歌った、その期のための曲『好きな先輩』を与えられた(5期はモーニング娘。内の潜在的ユニットでもあった)。
 こうまでして、5期に力を注いだ背景には、やはりつんくが5期にかけた原点回帰、地方性復権への強い意思を感じることができる。
 しかし、記述のとおり、その意思は一般大衆の共有するところとはならなかった。
 「東京」(及び近隣の関東地方)の力によってメジャー化を果たしたモーニング娘。を愛し、それに慣れきったファンたちは、地方性というマイナー性要素の導入を積極的には評価しなかった。
 「東京対地方」という対立軸にかわる新たな対立軸の模索。それが6期以降の課題となる。

脚注

(注6):これは4期が軽んじられたという訳ではなく、この時期がハロプロの急成長時期に当たっており、多数のユニットが同時に活躍し、新メンバーもそれぞれユニットで活躍していたため、本隊のアルバムが出せなかったのだと思われる。あるいは『together!』がその代替物にあたるとも思える。

7.2  6期という新たな実験

 そして6期加入(2003/5/4)と、保田圭の卒業(2003/5/5)。
北海道 4人 飯田圭織、安倍なつみ、
紺野あさ美、藤本美貴
東京以外の関東地方 4人 矢口真里、石川梨華、
吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 2人 辻希美、亀井絵里
関西 1人 加護亜依
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな
 保田圭の卒業。千葉県出身(東京周縁)の彼女は、地政学的機能としては、「東京」と「地方」の対立の緩衝材の役割を果たしたと言えるだろう。自分がTOPに立つことなく、いぶし銀の名脇役として全体をまとめる存在。後輩のよき相談相手。
 (彼女をはじめとして「東京以外の関東」出身者は、同様の機能を果たす場合が多かったように思われる。神奈川の矢口真里も、名バイプレイヤーかつムードメーカーだった。そして、新垣里沙もまた、自分が主役になるよりも、仲間の魅力を引き出し、輝かせる才能の持ち主という点では、他の追随を許さない。地政学的対立の両端に位置する「東京」「北海道」の人間は、その地政学的特質から自分自身が輝いてしまう結果、そのような役目を果たすことが困難とならざるをえないのだろう。)

 対立軸の再形成を目指し、「東京」的要素として亀井絵里が導入される。と同時に、北海道から藤本美貴が加入して、北海道占有率は4/15とほぼ三分の一近くまで回復する。また、中国地方から道重さゆみ、九州地方から田中れいなが加入することにより、メンバーの出身地域が西南へと拡大される。
 特に、6期加入で誰もが驚いたのは、藤本美貴の加入だった。既にソロ歌手として独自の地位を確立していた藤本美貴の加入は、今までの新メンバー追加の大原則をひっくり返す事件だった(これが原則の変更なのか、一度限りの例外なのかは今後を見守るしかない)。
 そこまでして最強の対立と軋轢の導入が図られたといえる。
 他の6期3人については、オーディション番組において「問題児」という設定付けがなされた。それもまた新機軸であると言える。
 しかし、これらの新たな実験も、期待されたような対立のエネルギーを生むには至らなかったと言える。
 加入当時、モーニング娘。に参加することについて感想を訊かれ「まあ楽しめればいいかなと」と氷のように冷ややかなコメントを発した藤本美貴にしても、蓋を開けてみれば、リーダー飯田圭織の飲む胃薬と牛乳の量を多少増やしたという効果はあったにせよ、案外あっさりと馴染んでしまい、グループに大きな変化を与えはしなかった。
 6期の他の3人も実際に加入してみれば、特に「問題児」ではなかった。

 それでは、東京出身の亀井絵里は、東京的な地政学的機能を果たしたかといえば、それも否定される。
 地方出身の道重さゆみや田中れいなのほうが、余程「とんがった」個性の持ち主たちであり、それに比べれば亀井絵里のほうがはるかに地味だった。
 「問題児」と設定付けされた6期オーディション番組を振返ってみても、返事が出来ない3人に怒って夏先生がレッスン場を去ろうとした時に、蚊の鳴くような声ながら「出来ます。夏先生、出来ます」と答えたのは、亀井絵里だった。一番常識的で、普通だった亀井絵里。
 結局、6期のなかで一番目立たなかったのが亀井絵里であり、それを裏書きするように6期デビューシングルである『シャボン玉』においても、他の二人が華々しく押し出されるのに対して、亀井絵里は、なんら重要なパートを与えられなかった。そのような存在が「東京性」を担う者でないことは明らかであろう。

 辻希美同様、亀井絵里もまた、福田明日香や後藤真希のような強度で「東京」性を象徴するような存在ではなかった。
 これはメンバー個々の資質の問題ではなく、むしろ構造的な問題である。モーニング娘。自体が(つんくの意思にもかかわらず)メジャーであることを前提とする存在として、認知・受容され、あるいは自らもそのような存在と自認している現在、「都会」対「田舎」というかつての地政学的対立構造の脆弱化は避けられず、その対立を、個々の新規加入メンバーが支えることは既に困難なのである。
 この地政学的対立構造の機能を再起動させ、そのエネルギーをグループの活性化に役立たせることが、長期低迷を囁かれるモーニング娘。には必要なのだと思われる。
 あるいは、そのような対立はすでに過去のものであり、活性化のためには、まったく異なる駆動力こそが必要とされているのか。

7.3  「エース」が期待された7期

 6期は、失効した「地政学的対立」に代わる新たな対立軸を打ちだせなかった。
 そこで7期選出に込められた戦略とは何か。
 7期の「エースを探す」とか、「ミラクル」というキャッチコピーの意味は何か。
 「エースを探す」と聞けば、「では現メンバーにはエース不在なのか?」という反発が生じよう。
 その反発は、表には出さなくても、既存メンバー達自身も感じていただろう。
 そういう軋轢、「対立軸」となるような要素を、つんくは導入しようと企図したのではないか。それがあの胡散臭いキャッチコピーの意味ではないか。
 とすれば、選ばれる七期メンバーは最初から「ミラクル」である必要があった。久住小春が実際にミラクルであるかどうかよりも、まず「ミラクル」という属性=設定が先にあったのだと、考えてみることができよう。
 5期が原点回帰として「1期的」な位置付けだとすると、そこから2期後の7期は「3期」に対応する。つまり、真に「ミラクル」というべき後藤真希的存在(3期!)こそが、求められていたのではないか。
 そして、久住小春が選ばれ、否応なく「ミラクル」と評される。
 しかし、それでもグループが活性化されうるような有効な対立軸が生まれることはなく、久住小春も可愛い後輩としてグループに馴染んでしまった。久住小春が、例ないほどに全力でプッシュされているという現実は厳として存在するものの、それが対立軸の形成につながるのかどうかも分からない。

(本論終わり)

7.4(備考) 6期加入後の地域間比率の変遷

 2004/1/25、安倍なつみ卒業(北海道3に)。
北海道 3人 飯田圭織、紺野あさ美、
藤本美貴
東京以外の関東地方 4人 矢口真里、石川梨華、
吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 2人 辻希美、亀井絵里
関西 1人 加護亜依
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな

 2004/8/1、辻希美、加護亜依卒業(東京1、関西0に)。
北海道 3人 飯田圭織、紺野あさ美、
藤本美貴
東京以外の関東地方 4人 矢口真里、石川梨華、
吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 亀井絵里
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな

2005/1/30、飯田圭織卒業、2005/4/14矢口真里脱退、2005/5/7石川梨華卒業。(北海道2に)
北海道 2人 紺野あさ美、藤本美貴
東京以外の関東地方 2人 吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 亀井絵里
北陸信越 2人 高橋愛、小川麻琴
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな

 2005/5/6、久住小春(北陸信越地方)加入。
北海道 2人 紺野あさ美、藤本美貴
東京以外の関東地方 2人 吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 亀井絵里
北陸信越 3人 高橋愛、小川麻琴、
久住小春
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな

2006/7/23、紺野あさ美卒業。2006/8/27、小川麻琴卒業。(北海道1に)
北海道 1人 藤本美貴
東京以外の関東地方 2人 吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 亀井絵里
北陸信越 2人 高橋愛、久住小春
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな

 (この時点で、北海道メンバーはとうとう一人になってしまった。しかも、藤本美貴は田舎性を表現する気などさらさらない。そして、東京の亀井絵里もまた、東京を代表するような傾向があるとは言えない。ここに至って、「東京対地方」という地政学的対立構造は完全に機能しなくなったと言える。対立のない均質な空間。その平和な空気が『歩いてる』のPVに滲み出ている。)

2006/12/10、8期メンバー、光井愛佳加入。
北海道 1人 藤本美貴
東京以外の関東地方 2人 吉澤ひとみ、新垣里沙
東京 1人 亀井絵里
北陸信越 2人 高橋愛、久住小春
中国地方 1人 道重さゆみ
九州地方 1人 田中れいな
関西地方 1人 光井愛佳

 (8期に選ばれた、滋賀県出身の光井愛佳は、いかなる「対立軸」を生む金の卵として期待されたのだろうか。
 それとも、もはや「対立」を持ち込むことは目指されず、均質的で平和なモーニング娘。が今後も持続するのだろうか。)

(「モーニング娘。の地政学」 了)

('06/12/04-08 初出)
('06/12/09 まとめ、補筆)
('06/12/12 第7章を大幅に加筆訂正)