永遠の風
春風に吹かれる 細く美しい枝
頼りなげに見えながら
しなやかに 風の言いなりのそぶり
この枝のように
したたかに生きて欲しかった
愛しい人よ
風のような人だった
小さな草花を静かに揺らし
温かな雨を呼んだり
低い雲を激しく動かし
心ざわめかす
妖しげな予感をくれる
今 風の止んだ夜空は
星の瞬きさえ
熱い涙を庇いきれない
・
色のない世界で 佇む魂たち
うつむくだけの貧しい心に
柔らかい風が吹いた
命が流れ込んできて
心が目を見開いた
その風があなたでした
愛しい人よ
光溢れる大地に
鮮やかに風が流れる
美しく なまめかしく
時に冷ややかに 切なげに
その風に身を任せると
感情は彩りを取り戻し
あたりの景色まで輝いて見えた
・
今 心をもぎ取られ
空虚な喪失感に
立ちすくむだけの私達
涙をとめることもできず
行き場をなくして
それでも風は流れている
夕暮れに寄り添う恋人達に
朝靄の中誰かが口ずさむメロディーに
あなたの風を感じる
時はいつか風と重なって
いつまでもいつまでも
私達を揺り動かすでしょう
巡り会えてよかった
あなたを感じられて幸せだった
愛を与えるだけ与え
逝ってしまったあなたに
永遠の感謝を捧げます
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