夏の空の下へ

花の盛りを見過ごし
雨の音にも気づかず
食事も家事も無意識に
季節は移っていた

・・・子供たちが泣いていた
私のエプロンの裾を掴み
私のことを呼んでいた
遠い声がやっと届いて
私は目を開けた

いつから呼んでいた?
どれほど呼んでいた?
私はうろたえ
娘たちを抱き寄せた
二人は私にしがみつき
声を高めて泣き出した
私はしゃがんで
彼女達の髪を撫で
二人を力を込めて抱えた
涙が胸にしみこんで
凍った心が溶けてゆく
私にはこの娘たちがいる
やっとそれに気づいた

不安な心が寄り添いあい
三人泣いて泣いて泣いて・・・
泣いたら気が晴れた
娘が顔を上げ私を見た
今度は三人して笑った

両手を繋いで外に出ると
雨上がりの庭は緑の匂い
深呼吸がいい気持ち

この夏の一番暑い日に
みんなで海にでかけよう
娘達と約束した
                                            
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