ANDでは自ら塗装をしていません。その理由は、塗装は片手間で出来るほど簡単では
無いからです。塗装には長年の歳月で培った経験と技術と最新設備が必要です。したがって
ANDではフレームビルダーがそうであるように塗装に入る下準備(フレーム分解,旧塗膜の除去,
サンドブラスト,改造,加工)
に専念し塗装は門脇コーティング,ウエムラ塗装をはじめ、その道のプロフェッショナルに依頼する
方法をとっています。これにより最高のハーモニーで仕上げられたフレームが完成します。
塗装はショップにより得意な塗装方法がありANDでは50以上のカスタムペイントショップの中から
仕様に合った最適のショップを選び出し依頼しています。もちろんある程度知識が有れば依頼者自身が
カスタムペインターに依頼することも可能でANDではこれも推奨,指導しています。
ANDでは現在パウダーコーティングを推奨しております、優れた密着性,耐候性,耐衝撃性と すばらしい発色を併せ持ち、MTBの塗装としては現在最高です。ANDではパウダーコーティングの 第一人者で常に新しい技術にチャレンジするKADOWAKI COATINGとの協力体制により タイガードライラック パウダーコーティングの可能性を開拓しています。
★パウダーカラーの指定はSPECIAL COLOR CHATEを
ANDではパウダー専用カラーチャートを依頼者に貸し出ししています、遠方からの依頼でもじっくり実際のカラーをご覧になり
カラー設定できます、グリッター,パール,レインボー,スパーク,フリップフロップ等パウダー独特の
スペシャルカラーが選択可能、カラーが決まれば依頼書にイメージ図を描きご返送ください。
またロゴレタリング,マスキングについては一度フレームを引き上げANDでデザイン,貼り付けを行っております、
これは塗装の専門家はMTBの細かいデザインにあまり詳しくない場合があるからです、たとえばダウンチューブの
メーカーのデカールは真横ではなく少し上にずらしたり(跳ね石を避けデザイン的にもかっこいい)、常に全体の
イメージを考えデザインしております、これを知らない人に伝えるのは大変な苦労と時間が必要なのでANDでは
この点を自分で行っております、特にクラインについては年度ごとにデーターを蓄積しておりイメージどうりに再現する
配慮も行っております。
さらにパウダーで再現できないグラデーション,ピンストライプ,レタリングはベースコートのみパウダー塗装を
行い、その上にグラフィックを入れウレタン塗装でクリアコートします、この手法によりKLEIN独特のリニアフェード等、
美しいカラーを強度と両立します、この方法は単一のカスタムショップでは不可能でANDのみが実施している手法です。
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★エアブラシ等によるアーティスティックな塗装
下地作り,塗装技術はもちろん独特のデザインセンスと器用さが必要になる塗装。
ショップにより特徴が大きく出る、エアブラシ,べた塗りイラスト,フリーハンドレタリング等
ANDではデザインイメージにより最適なカスタムペイントショップを選び依頼している、日本で最高の
塗装技術を持つという事は世界でも最高のカスタムペイントショップということです。
★粉体塗装
字のごとく塗装物に紛体状の塗料を付着させオーブンで焼き付け塗装する方法。ピザの
とろけるチーズのような感じ、オートバイのフレームレストアによく使われる方法で単色で強い
塗膜にしたい時にいい。
★ガンコート塗装
機関銃の銃身に使われる塗装方法で、軍事用に開発されたガンコート塗料を特殊熱処理
しながら行う。色は黒だけのようだが普通の黒と少し違うのでいい雰囲気が出る。
放熱性が高く強靭なのでレース用エンジンの塗装によく使われる。一度MTBフレームにも
使ってみたい方法だ、誰か試して下さい。
★電着塗装
最近の自動車の塗装はハケ塗りやスプレーよりも遥かに奇麗に仕上がっている。
これは電着塗装という高級技術を使っているからだ。
電着塗装法は、低濃度の水溶性塗料溶液のなかに被塗装物(めっきした塗装される品物)を入れ、
対極との間に直流電流を流し、塗料の薄い膜を析出させる方法です。
カチオン型(塗料がプラスに帯電している)の電着塗装方法は、被塗物を陰極とするため、金属イオンの溶出しがなく、変色が起きずに銅、銅合金ならびに銀めっきなどにも塗装することができる。
この場合には、塗料は陰極側に集まると同時にそれぞれの電極で化学反応が起こり塗料が皮膜を形成させる。
化学反応が進行することで、陰極のそばの塗料は、ますます凝集し、不溶性の樹脂(ポリマー)となって、塗膜を形成し塗料が完成した部分は導電性がなくなり、それ以上の膜形成は行なわれない。
他の使用例では、アルミニウムの建材への応用が上げられる。アルミニウム素地に直接、電着塗装することはあまりなく通常はアルミニウム表面上に生成させた多孔質の陽極酸化皮膜(アルマイト)を施し、この上にさらに電着塗装を行なう。そのため封孔処理も兼ねることになり、密着性と耐蝕性が非常に向上している。
このように電着塗装は塗膜の均一性、密着性がよく、耐蝕性に優れているという特徴がある。また、塗装の自動化も容易で、大量生産に適している。さらに、厚みの制御も容易で、電気めっきに近い電圧での管理が行なえる。
また、最近の環境問題において塗料に含まれる溶剤の問題が環境汚染として取り上げられているが、めっき後の溶剤乾燥も無くなり、水洗後に直接電着塗装のラインに流すことができる。
★再塗装もいいが新車の塗装もすごい!
塗装を成功させる為には3つの条件が必要です。
①塗料の性能が良い事
②適切な塗料の選択
③十分な塗装作業管理
この3つの条件を満たせば誰でも優れた塗装を実行できるわけだ。もちろんプロのペインターや
アマチュアペインターでも知らないうちにこの条件を実行しているわけだが、一番これを徹底して
いるのはやはりメーカーだ。錆びたり,塗り替えたりする手間をかけないために、何年も新車時の
美観を保持するためにはいくつもの工程を重ねている。
新車時の塗装で一番手間をかけているのが防錆処理である。見かけ上どれだけ美しい塗装で
ごまかしても、下地が錆びていれば突然塗膜がボロッと剥がれてしまう。もちろん手でのんびり
作業なんてことはなく、自動化されたラインで行われる。その工程は「化成処理」とよばれ
少なくとも7工程(脱脂1,2 洗浄 水洗 化成皮膜 水洗 純水洗 水洗乾燥→電着塗装)
を経ている。したがって最近ではもとからある塗装は剥がさないようにする塗装方法が増え
ているのはこのためだ、再度の完全な防錆など素人では不可能なのだ。
★追随不可能,筆塗りの極意(ペティペインターズパラダイスの場合)
他のカスタムペイントショップからもフリーハンドレタリングを依頼されるペティペインターズパラダイス
の鈴木さんは語っている。
「このまえベントレーを見たのね、
あれもボディサイドのピンストが手書きで
ジーっと眺めまわしちゃった。フェンダー,ドアと単品を見ると線が波打ってるんだけど全体ではちゃんとした
ストライプなんだよ」
こう言う素直な感動が鈴木さんを塗装に駆り立てている。最近は文字はどうやって
書くのか,どんな筆を使っているのかというバカな電話が多いそうだがフリーハンドレタリングをやりたいと
思ってから、手が言う事を聞くようになるまで鈴木さんでも10年かかっているのだ。
本当に必要なのはペイントが好きだという気持ちである。
★AND サンドブラスト基礎講座
塗装前の下地作りといえばサンドペーバーでゴシゴシと言うのが定番だった。しかし今はそんなつらい
作業からは開放された。サンドブラストという魔法の砂の威力は凄い!
☆CLEANING
バイクの世界では一番一般的に利用されているのが錆び落とし等のクリーニングだ。
鉄の錆びを落とすのはもちろんのこと、再塗装などの塗装剥離や塗装前の下地作りにも使用されている。
まだ一般的と言っても全ての塗装屋さんで使っているわけではないが、仕上げにこだわったり、
錆びの完全剥離にこだわるのならブラストが最善の方法ではないだろうか。何故なら水を使わないから
処理後の錆びの発生が殆どないのだ。そして何よりも便利なのは作業の効率が良い事、ペーパーや
ケミカルを使って塗装剥離に数時間かかる所をブラストでは数十分で可能なのだ。
☆HORNING
「ホーニング」専門用語では「美装」と言うそうなのだ、バイクの世界ではあまり利用方法は
少ないかも知れないが金属表面を美しく仕上げるという目的で使われる。わかりやすいのが
工具などに使われている「梨地」仕上げ。これは砂や、アルミナ(サンドプラストの幹般的な研磨材)
などの代わりにガラスビーズという研磨村を吹きつけて仕上げる。効果としては、
表面のざらつき感が少なくなり、光沢がでる。また高級感が増すという感じなのだ。
バイクのパーツではアルミパーツなどに用いることが多いのだ。エンジンカバー類を仕上げるのに
梨地で仕上げると美しい。好みの問題もあるだろうが、ケースカバー類は、パフで光らせ、
シリンダーフインやヘッドカバーなどは製地で仕上げるというのはどうだろうか。
また、前項でも紹介したが、ガラスビーズを吹きつけると耐腐食性が増すのだ。
これは金属表面にガラスの皮膜ができるからという話を聞いた。実際数年間使ったアルミホイールや、
エンジンなどもサビの発生が殆どなかった。
☆PEANING
正式には「ショットピーニング」加工。もちろんこれもプラストでできるのだ。バイクの世界ではまだ殆ど
知られていないだろうが、航空機などでは繰り返し応力がかかるパーツやエンジンパーツなどに
使われている。どういうことかというと、砂やアルミナの代わりに小さな鉄球を吹き付けのだ。
こうすることで、金属の表面は硬さを増し、繰り返し過重に対して極めて丈夫になる。
その効果を文献から抜粋すると、クランクシャフトで900%、板バネでは600%、巻バネでは1300%の
寿命延長が認めれたというのだ。こういった実例から海外では1940年ころからこの枝術が使われている。
日本で知られるようになったのは、駐留軍がジープの板バネにショットピーニングをしてくれといった
要求があり、一部の技術者に感心が持たれるようになったそうだ。当時の考え方として、弱ければ、
高価な材料を使うか、作るモノを大きくするというのがあった。しかし、ショットピーニングで
パーツを小さく、軽く、強くすることができるようになった。航空機では広く採用されるようになった。
さらに詳しいサンドブラストの設備,技術紹介については 日本ブラスト加工研究所のサイトをどうぞ。