『'03年夏』その弐
4日目
天候は曇、小雨がぱらつく。
ツインズニースの籠叩きの洗礼を受けた文鳥たちは、襲撃に驚いたようだった。
ある程度は、仕方が無い事と予想していたし、オムツの取れない小さな子供に諭しても無駄な事なのは明白だった。
しかし何か対策を立てなければならない。恐怖の大魔王くらいに思われている私が鳥籠に悪戯している姪っ子に近づいたら、
パニックを起こして引付でもされたら目覚めが悪い。うまい手はないかと考えた末、自分の子供を監視役兼警備係にする事にした。
この家に来ていつも一緒に遊んでいるし、幼稚園年長組の娘はこのくらいの事ならば、結構、頼りになるので任せる事ができる。
我ながらうまい手を考え出したもんだ。
昼食は「カネダイ」という名のラーメン屋で食べる事にした。
この店は暖簾は懸っているが、一般の民家の部屋で食べる感じのする不思議な雰囲気な店だ。
味は昔からの白河ラーメンといった感じで、値段は安いし、大変良い店だと思う。
最後にところてんが出るところもユニークだ。
白河に来た時は必ず訪れるほど我が家の中では人気のある店で、客のほとんどは地元の人達ばかりだ。
午後は、村営の温泉施設へ出かけた。その施設は温泉プールと大浴場がある施設で入場料も安い。
プールも競泳用ではなく遊び用なので幼稚園児には、持って来いの施設だ。そこでは2時間ほど遊んで帰ったのだった。
夕食時、箸があまり進まない。どうも体調が良くないみたいだ。体温を測ると38.5℃もある。これは困った。
明日は天候が悪い為、海水浴を取止めて水族館へみんなで行く予定になっている。
明日までに熱が引かなかったら、いわき迄の遠征行事は中止になるかもしれないので、風薬を飲んで早々に寝る事にした。
5日目
曇りそれと小雨
目が覚めて、体温を測ると平熱に下がっていた。
朝食を終え、いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま」を目指して、県道14号(御斎所街道)をダラダラと車の流れに乗って走る。
しかし、県道なのに対向車線に大型トラックやダンプが以外に多い。その理由は帰りに走った国道にあった。
その国道は、名前ばかりの国道だったのだ。
この事は、後に廻すとして、11:30くらいに目当ての水族館へ到着。入館料が大人1人1600円に思わず、後ずさりしてしまう。
近くにある葛西水族館は、700円なのにえらく高い。こんなに高い入館料だと入場者もそんなにいないだろうと、思って
入館するとそこそこの人数が入っている。みんな金持ちだなぁ〜なんて思いながら、子供達と一緒に館内を巡回する。
体験型水族館のあとは、「いわき ららみゅ」で昼食を取る事にした。
ここでは、産直の魚介類をおいしく頂き、建物に併設された魚市場をぐるっと巡回した。
水族館よりこの魚市場の方が見ていて面白かった。
その後は、私自身の本来の目標の鳥屋巡りを行う為、我が家だけの単独行動に移った。
しかし、用意してあった地図等を出掛けに忘れた為、うろ覚えの記憶に縋るしかなかったが、そんなに大きな街じゃないので、
何とかなるだろうと高を括って舐めていた。
実際は中々見つからず、街の中をクルクル廻っているうちに、1軒目を発見!
しかし、車を降りて見る気にならず、そのまま通り過ぎる。
あと2軒あるのだけど、もう諦めるかと思って車を方向転換する為に横道に入ったところに、アジアン風の店を発見!
狭い間口にたくさんの鳥籠が陳列されていた。あまりにも妖し気で不気味だったので、結局、ここも通り過ぎることにした。
帰路に付く事にして、来た時と違う道を選んだ。行きと違って、県道ではなく国道を選んだ。
普通、県道より国道の方が立派だと思うのだが、見事に裏切られた。(亀井静香が見たら喜びそうだった)
この道がとても酷い道だった。国道と言うより、町道や農道の方が合っているような道だった。(農道とかを悪く言うつもりはない)
道は狭く、山越えする時は小雨の為、靄がかかって視界は5m位しか利かなかった。
おまけに中央線も無くなる始末でこの先どうなるのか、ちゃんと道は続いているのか心配になってきた。
これで国道とは、絶対言えないぞ!と思いながら、ビビリまくる嫁様をからかいながら、ハンドル操作をする。
こんな道をトラックなんかが走れる訳が無い。だから、来る時使った県道を大型車が走っていたのかとこの時納得できた。
山越えをして、集落に出るまでほとんど対向車にも出会わず、後続車もあまりいない寂しい道を走破してやっと一般道並になる。
嫁様はいつの間にか眠ってしまい、途中のコンビニで子供達をシッコさせて実家に戻ったのだった。
6日目
曇
本当に天候に恵まれない。これでは全日本晴男聯盟千葉支部長の名前が泣く。
これはどこかで日本雨女連合会の集会でも開いているに違いないとつまらない事を考えながら布団から抜け出した。
昼飯は「まるじん」というラーメン屋さんへみんなで行ってみた。昔ながらの白河ラーメンといった味で、特筆すべきものは無かった。
今日は特に行動目標を決めていなかったけど、市内にある「白河鑑定団」リサイクルショップへ行って見る事にした。
去年は無かったはずの不思議な店が、コジマ電気の跡地に建っていた。
中にはマニアやコレクターが垂涎して喜びそうな物が並べられていた。
こういったフィギュアとか、菓子のおまけとかには、まったくと言っていいほど興味が無いので、(金も無いし)
一通り見たら帰るつもりだったけど、嫁様が目を輝かせて店内を廻っているのでもう少し付き合う事にした。
折角だから、子供に500円くらいの中古のおもちゃを買ってあげる事にした。たまには、やさしい父親もやらなければならない。
7日目
今日は、今回のラーメン屋シリーズで一番行きたかったラーメン屋「たいち」へ行ってきた。
ここの主人は「とら食堂」で修行をしたそうだ。
実は、実家の近くに「えびまさ」というラーメン屋さんがあったのだけど、主人が亡くなられて閉店状態になっている。
嫁様はここのラーメンが一番好きで、「えび正」の復活を熱望しているけど、ここ数年復活する気配はなかった。
ところがこの店で「えび正」の奥さんが修行しているとの情報をキャッチしたので、絶対「たいち」へ味見に行かなければならなくなった。
そもそも「とら食堂」の主人は「えび正」で修行したという話が有るくらいなので、
本当は「とら系ラーメン」より「えび正系ラーメン」と言うのが合っているのかもしれない。
余談はこれくらいにして、「たいち」の味は・・・・・・・、おいしかった。
久々に美味しいラーメンに出会えて嬉しかった。次回、白河へ来た時はまたこの店に食べに来る事に決定した。
ラーメン屋の次は鳥屋だ。一昨日、いわきから帰る途中に偶然発見した、鳥獣店があった。
まさかこんな田舎に鳥獣店なんか在るはずないと、舐めていたのが誤算だった。
発見した時に寄っても良かったのだけど、「たいち」へ来る時、少し足を伸ばせば良いのだからと(少々、面倒くさかった)思って、
その時は寄らなかった。今回、店に入ると中は、引っ越したばかりのように雑然としている。
模様替えでもしたのかなと思える状態だった。
店に入ると店の主人が「さかな?」と訊いてきた。鳥目当てなんて珍しいのかも知れない。
しかし、看板には、小鳥店と小さく出ていた。
昔は、小鳥店だったが、採算が取れない為に観賞魚や犬猫も扱うようになったのだろう。
鶉なんかも売られていたが、文鳥はシナモンとシルバーしか置いていなかった。
こんな田舎で、シナモンは元よりシルバーまで置いてあるとは、この店は只者ではないと判断した。
値段を訊くと、それなりの値段だった。それよりも収穫だったのは、オレンジ色の菜挿しと副餌を買えた事だった。
これで、青・紺・黄緑・橙と揃い踏みだ。又来年来なければと、楽しみが増えたのだった。
8日目
最終日になって、晴天とは恨めしい。マイナス的プラス思考の私は、マイナス要素を無理矢理プラス側へ変えてしまう。
雨の中、千葉へ帰るよりはマシだ。と、考える。
行きと同じ様に一度の休憩を挟んで到着。やっと文鳥たちと寛げる日が再開した。