[ new cinema:report ]


アメリカで2週連続第1位に輝くヒットを記録した、犬いっぱいの冒険ストーリーがやって来た!
明るくてにぎやかで、それだけじゃない。 “犬を飼うことの責任”というテーマ、動物保護施設出身キャストの活躍が大きくクローズアップされていることにも注目です。『ビバリーヒルズ・チワワ』は、5月1日より全国ロードショー!




(2008/アメリカ/93分) 公式サイト
監督:ラジャ・ゴスネル(『スクービー・ドゥー』シリーズ)
キャスト:パイパー・ペラーボ、ジェイミー・リー・カーティス、マノロ・カルドナ、ホセ・マリア・ヤスピク
ボイスキャスト:ドリュー・バリモア(クロエ役)、アンディ・ガルシア(デルガド役)、ジョージ・ロペス(パピ役)、プラシド・ドミンゴ(モンテ役)
ドッグキャスト:エンジェル(クロエ役・チワワ)、ラスコー(パピ役・チワワ雑種)、サムソン(デルガド役・ジャーマンシェパード)、アラッド(ディアブロ役・ドーベルマン)



日本ではチワワは大人気犬種ですが、アメリカでも「タコベル」社のCMキャラクター、“タコベルドッグ”にチワワが起用されたあたりから、人気が出はじめたようです(2008年人気犬種ランキングでは12位)。
また、ハリウッド映画の中でのチワワは、『キューティ・ブロンド』シリーズの“ブルーザー”に代表されるようにスムースコートのコが多いのですが、本作ではチワワ軍団の長、“モンテ”役で、ロングコート・チワワが起用されています。

それにしても、ありそうでなかった「メキシコ」(チワワの原産地説が強い)を舞台にした「チワワもの」。いいところに目をつけた!と、そのアイデアに脱帽です。ちゃんとメキシコで撮影しているところもイイですね。また、チワワが“可愛い〜”だけではなく、全速力で走ったり、自らの奥に眠るパワーを探り当てていく姿もなかなか新鮮なのです。


左画像は、ディズニー試写室に潜入(!?)した際に激写した可愛いPOP。
左がクロエ、右がパピです。


[ ストーリー ]
クロエは、ビバリーヒルズの大豪邸に住む白いセレブチワワ。高価なファッションに身を包み贅沢三昧の彼女は、庭師の愛犬で元野良犬のパピの求愛には見向きもしない。
飼い主ヴィヴにクロエの世話を任された姪のレイチェルは、メキシコ旅行にクロエを連れていくが、クロエを残して遊びにいってしまう。怒ったクロエはホテルを抜け出すが、犬窃盗団に闘犬場へ連れ去られてしまった! ドーベルマンのディアブロに狙われて絶体絶命の彼女を救ったのは、ジャーマン・シェパードの元警察犬、デルガド。彼の助けを得て他の犬たちと共に闘犬場を脱出したクロエだったが、泥だらけのボロボロの姿になった彼女は、なじみのホテルからも追い出されて野宿する羽目に……。
その頃、パピはいなくなったクロエの必死の捜索を続けていた。プライドが高く世間知らずのクロエは、見知らぬ土地で、生き抜いていけるのか? そして、パピはクロエと再び出会えるのか?




[ 動物、いっぱい! 動物、しゃべる! ]
動物が増えれば増えるほど、映画の撮影は困難を極めますし、アニマルトレーナーたちも大変です。200頭以上の犬が出演した本作も相当なものだったと思いますが、見事なアンサンブルが作りだされていました。大勢の犬たちが走るシーンは、やっぱり圧巻!
主要キャストには、主人公クロエ役の“エンジェル”をはじめ、素敵で個性的な俳優犬ばかり! 役柄にぴったりな犬たちが見出されていました。また、脇で彼らを支える、セレブ犬トリオ(パグ、ヨーキー、トイプー)から一瞬出演のセント・バーナードまで、みんなキラリと光る、味のある演技を見せていました。ちなみに、ネズミとイグアナの詐欺師コンビはフルCGなんですが、これがまたうまくできてます。

いまや映画界では当然となってきた“トーキング・アニマル”。そのための技術はどんどん進歩しており、特に今回はコメディタッチのせいか、口だけではなく目の部分も大きくCGで動かしている部分があります。まだ慣れていないせいか、あくまで私の好みでいうと、口だけが動いているように見える状態の方がいいかなぁと…。本作でもやはり、素の犬の目の表情というのは、とても心を打ついいものばかりなんですから!



[ 織り込まれたメッセージ ]
犬の映画はいつも私たちを感動させたり、楽しませたりしてくれます。しかし、主役を演じた犬種が急に人気が出て、必要以上のブリーディングが行われたり、飽きられたり飼いきれなくなったりして捨てる人が続出する、というような弊害が過去に確かにありました。
そういうことを避けるために、最近では映画の公開前から、主人公の犬種について詳しく紹介したり、初心者には飼うのが難しいと警告したり、犬を家族に迎える際の責任についてのメッセージを発信することも多くなりました。
『ラブいぬベンジー/はじめての冒険』のように、動物保護施設に収容されていた犬を主役に起用、犬のレスキュー自体をテーマに織り込み、同時に保護施設の動物たちを助ける活動も行うという作品も生まれたり…。
そういうメッセージがこのような大作で直接的に大きく取り上げられたことは今まであまりなかったと思います。大きなターニングポイントを迎えているんですね。しかも、アメリカだけでなくメキシコでも40頭の犬たちがこの映画のために引き取られたということで、その数も大きいのです。

パピ役の“ラスコー”は、ヘッドアニマルトレーナーのマイク・アレキサンダーが保護施設で見出した元野良犬。筋肉質でワイルドな風貌、パワーあふれる元気な彼に、俳優業はぴったりでしょう。
実際に、保護施設から引き取られる犬や動物の行き先の多くはアニマルトレーナーだということで、ハリウッドでも、『ドクター・ドリトル』ラッキー役のサム、『グリンチ』マックス役のケリーなど、多くの保護施設出身の俳優犬たちが活躍しています。




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