ダイオキシンは身近に
「ダイオキシン」とは、極めて毒性の強い、有機塩素化合物です。
正式名称は「ポリ塩化ジベンゾダイオキシン」と言われます。
「ダイオキシン」の一般的な発生源は、ポリエチレン製品などの化学工業製品の焼却時や、除草剤や防虫剤の農薬類など、化学反応を起こした場合に起因する事が知られています。
「ダイオキシン」には催奇性の他、発ガン性や内臓障害などの危険性が公表されています。
多くの異性体(種類)がありますが、中でも「2・3・7・8四塩化ジベンゾ・ダイオキシン」(略:TCDD)はもっとも毒性が強く、人体をはじめとする生態系が受ける影響も、たいへん深刻です。
WHO(世界保健機構)が示す、「ダイオキシン」の一日当たり耐容摂取量(健康に影響が無いとされる許容数値)は体重1kg当たり4pg−TEQ以下とされています。体重60kgの成人では240pg−TEQ以下になります。 (ただし、これは対・発ガン性を示した基準であり、その他に対する危険性には不明な点が残されています。 しかし、「ダイオキシン」の許容摂取量としては、ひとつの目安にはなります。)
私たち日本人の場合、「ダイオキシン」摂取量の現況について、その98%は食事からによるものと報告されています。
「ダイオキシン」問題では、とかく大気汚染などが表面化していますので、正直言って驚きの報告です。
TCDD当量濃度pg−TEQ/1g当たり) |
鰺・アジ |
3.358 |
マグロ缶詰 |
0.011 |
牛乳 |
0.031 |
アナゴ |
3.580 |
さんま缶詰 |
0.164 |
チーズ |
0.101 |
はまち |
2.043 |
煮干し |
1.068 |
バター |
0.469 |
鮭・さけ |
1.006 |
ちくわ |
0.008 |
鶏卵 |
0.079 |
鯖・サバ |
3.487 |
焼蒲鉾 |
0.032 |
キャベツ |
0.030 |
いか |
0.160 |
国産牛肉 |
0.465 |
長ネギ |
0.017 |
えび類 |
0.144 |
輸入牛肉 |
0.066 |
ほうれん草 |
0.046 |
牡蠣・かき |
1.519 |
ぶた肉 |
0.009 |
大豆 |
0.001 |
真鯛 |
1.122 |
とり肉 |
0.042 |
はちみつ |
0.007 |
イクラ |
0.264 |
ロースハム |
0.002 |
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ししゃも |
0.846 |
ソーセージ |
0.004 |
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上の表をご覧になれば、お分かりいただけますが、海洋汚染が深刻であることは一目瞭然です。
特に、近海産の、動物性脂肪が豊富な魚介類への影響が高く、鰺や鯖など、普段の食卓に欠かすことの出来ない、身近な食材が目立ちます。
外洋性の魚介類への汚染率は低いものの、他の食材に比べて、その汚染率は高い数値を示しているのも、気になります。
また、肉類では牛肉の汚染率が群を抜いており、それに比例して、乳製品などの含有率が高いことも、気がかりです。
野菜類などの汚染率が思いのほか低いようですが、ここに示した数値には、ポストハーベストなど残留農薬の数値は含まれておりません。
輸入作物などの農薬汚染は深刻で、柑橘系果物や小麦、豆類等の穀類への汚染は、特に目立つようです。
日本人が受ける「ダイオキシン」の影響は、60%強が魚介類からと言われており、次いで、野菜、肉類(乳製品を含む)の順であるそうです。
深刻である海洋汚染も、モトを正せば地上に原因があるのです。
農薬類の散布は、そのまま河川や地下水に通じて、海に流れ込みます。
ゴミ類などの消却による大気汚染(有毒ガス)も、塵(チリ)や雨に溶け込んで、そのまま海に流出します。
ゴミの減量などをはじめとした生活環境の改善が、私たち人類や、動植物の生態系を守る、最善の方法ではないでしょうか。
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