斎藤 安實  初夏の高山に咲き誇るニッコウキスゲは登山愛好家のみならず、一般の 人々に人気があり、日光霧降高原、尾瀬大江川湿原、小国沼等の人気スポ ットにはシーズン中、日に数千人から数万人の観光客で賑わっています。  しかしこれらの人気スポットに勝るとも劣らないニッコウキスゲの群生 地が那須山脈にあることは余り知られていません。  その地を2005年7月20日に訪ねました。今年はここ数年で最高の 咲き具合とのことで、キスゲの大群落は、花の自生密度、その大群落の広 大さに、ただ感動するばかりです。
 その地とは、秘境と呼ぶにはオーバーですが、那須連峰の大峠から流石 山の一帯です。  那須岳のシンボルは茶臼岳であり、朝日、三本槍、等が登山愛好家には 親しまれていますが、その先にある流石山まで足を延ばす人は非常に少な いようです。しかし大峠から流石山の間は那須連峰随一のお花畑で、その 時々の花を咲かせ、登山者を楽しませくれ、特にニッコウキスゲの大群落 はその代表と言えます。  大峠(1450m)から流石山(1813m)へはゆっくり歩いて1時 間30分程度ですが、笹が低く、登るに連れて眺望が広がり、後方に三本 槍岳から茶臼岳にいたる峰々が横一列に並び、足元にはキスゲの大群落を 見ながらの散策はまさに絶景です。更に登山者も少なく(当日は30〜4 0名)ゆっくり観賞出来るのも魅力です。
 本年はニッコウキスゲのシーズンは終わりましたが、来年もまた私を感 動させてくれるだろうと楽しみにしています。