役に立たない記憶が変化を妨げる
君たちはこれから、「心の力」という問題について取り組んでいかざるを得なくなるだろう。
なぜならば、1万年にもわたり、その問題に触れてこなかったからである。心の力は、ありとあらゆるイマジネ−ションを現実化する。
しかしその現実化する心の力は、常に成長を余儀なくされるものである。なぜならば、それは宇宙の計画だからである。
成長するということを、好ましからざることとする記憶が遺伝子にインプットされている。人間とは何と変化に弱い生命であるだろうか。
好むと好まざるとにかかわらず、人間生命体は変化を余儀なくされるものである。
それは水の波紋が広がり消えるように、生が死に変わるように、100年後誰一人地球に存在していないように、生命は「変化」という学習を行わなければならない。
その学習は決して難しいものではなく、心の力の法則について学ぶだけで良いのである。
心の力ほどエネルギッシュな現実はない。しかし人間は、その心の力のパワフルな実相に気が付かない。今君が心の力として使用している哲学(価値)は、今現在においては有効期限の切れたパスポ−トのようなものである。
心の力を引き出すのは記憶である。君は記憶という体験を通して現実を創造していく生命である。しかしそれは、その瞬間における真理である。
わかりやすく説明してみよう。あなたが女性ならば、母性というものがあることは承知していると思う。またその母性に苦しむ人もいれば、その母性に慰められる人もいる。
しかしその母性の元々の源を辿ると、そこに母性が生まれる因果関係、状況証拠が必ずある。つまり「すべての想念の原形がある」ということである。
結論から言うと、男性が母性であってもよかったのである。別に女性に母性が与えられなくても良かったのである。
私が何を言わんとしているのかは、つまり「すべての価値にはその原形が必ずある」ということである。
たとえで話をすれば、戦争また戦乱の時代に生まれた価値、原形は、その時代を無事航海する必然性に駆り立てられて生まれてくる。
しかしその戦乱が終わり、時代が変化した時には、その戦乱の時代に必然性があって生まれた価値(原形)は、使い古したものにしか過ぎない。
しかし君の遺伝子にはその時の記憶が克明に残っている。そしてその時の記憶を現在に通用させようとする。そこに葛藤が起こるのである。
君の会話の内容を私は調査するわけだが、10億年前の記憶が語ったり、100万年前の記憶が語ったり、まだ君が体験していない未来の記憶が語ったり、その会話は玉石混合である。
そこで君は葛藤を感じ、また葛藤を感じないふりをして、その時代の常識に自らを押し込もうとする。
しかも無意識にだ。その無意識すらも遺伝子に記憶されているパタ−ンにしか過ぎない。
この状態において君にエネルギッシュな創造性を表現することは、不可能に近いことだと言える。
なぜならば、どのような創造性をも一つの型にはめ込もうとするから、当然その創造性は非常に混乱を生むのである。
心の力について良く考えて欲しい。
その内容が何であれ、それは今現在の現実の中で、現実を通して、現実の因果関係を通してあるのではなく、現在において通用しない、錆びついたナイフのような役に立たない遺伝子の記憶が、その記憶を現実化しようとして、そのような現実があるように見えているだけである。
難しく表現するつもりは無いのだが、言葉を使うとどうしても難しくなってしまう。
つまり、
「日々新鮮に、日々豊かに、日々生き生きと生きるには、過去の記憶は邪魔だ」
というだけである。
もっとわかりやすく言うと、「失ったお金は戻らない」ということである。
失った信用は戻らない、ということである。
撒いた種は自分で刈れ、ということである。
不平不満、嫉妬で苦しむのは、それを創造しているあなたである、ということである。
これらすべて記憶が行なっているのである。完全に管理されたエンドレンテ−プである。
その記憶の中で最も長い時間を経過した巨大な記憶とは何か?
・・・それは「依存」である。
君は無限の転生の中で、常に誰かに助けられてきた。それはそれで良いのだが、結果としてそれは、君を自立性の無い生命としての生き方を余儀なくしてしまった。
その責任は我々にも当然ある。しかし無限の計画においては、それは必要なプログラムとして完全に機能し成功した。
これから君が克服すべき問題は、依存という記憶であり、見捨てられたくないという記憶である。まだこの言葉を聞いても実感の持てる人は少ないだろうが、宇宙の計画が否応なしにその認識を君に植え付けるだろう。その時、恐怖すればただそれだけである。
非情に思うかも知れないが、唯一の根源から分裂した、唯一の根源である君は、結局君一人で川を渡らねばならないのである。
なぜならば、分裂はいずれ統合を余儀なくされる。それは根源の本能である。それに逆らい続ける記憶は、しょせんは力のない砂上の楼閣にしか過ぎない。
地球を悲しみの星と言った存在がいるが、私は地球とは甘えの星であると感じている。成長すること、変化することとは、今現在君が考えていることとはすべて異質なことであり、成長する変化とは競争ではない。ただ原点に戻ること、そしてその原点という言葉しか宇宙にはないのである。
原点とは何か?
遺伝子に記憶されたパタ−ンに頼るな、ということである。進化とは原生林を開拓していく姿と良く似ている。
それは一見困難に見えるようだが、君の中に困難という記憶が無ければ、ただ何かをして真剣に遊んでいるとしか言いようがない。
それ以外に表現のしようがない。地球の変革期にあたって、それを困難なことと考えれば地球は、より困難な道を選択せざるを得ないであろう。
それはもう既に死骸化したパタ−ン的記憶にしか過ぎない。すべて君の心の力において、現実は動いていくのである。人生を豊かに、大らかに、純粋に、素直に生きていく術は一つしかない。
「君の知っていることは、何の役にも立たない」ということだ。
クリエ