(4)染色法とプレパラートの作り方

 細胞や組織の詳しいつくりは、生のままではよく見ることが出来ない。タマネギの表皮を酢酸で殺して 観察すると、細胞構造が生でみるよりもハッキリと見える。酢酸カーミントか酢酸オルセインなどの染色 液を使うとより明瞭な細胞構造が観察できる。ヤヌス緑という色素で、口腔上皮細胞を染色すると、ミト コンドリアが藍色に染まってよく見えるが、位相差装置の付いた顕微鏡で、生の口腔上皮細胞を観察する と、細胞質内で生きたミトコンドリアがくねくねと動く自動性が確認できる。ミトコンドリアが共生によ って細胞内に入り込んだバクテリア状のものであることがこれで納得できる。高校実験でよくやる手段で あるが、TTC試薬によって、細胞を染色するとミトコンドリアと称したくなる赤い構造体が見えてくる が、これはミトコンドリアではない。薬品を使うと、生体には存在しないアーティファクトを生じ、それを 実在するものと勘違いしてしまうことがある。要注意であろう。作った一時プレパラートを保存したい時 には、女性が使う透明マニキュアでカバーグラスの周辺を封じるのが簡便である。冷暗所に保存すれば、 かなりの長期間、検鏡に耐えるようだ。

<練習問題>
問.次の文中の[  ]内の、正しいものを選びなさい。
ミトコンドリアは全ての[A:(真核)(原核)(無核)]生物に含まれる[B:(一重)(二重)(三重)] の[C:(クエン酸)(核酸)(リン脂質)]を主成分とする生体膜からなる細胞内小器官であり、その主要な機能は [D:(電子伝達系)(解糖系)(フィードバック系)]の[E:(光リン酸化)(酸化的リン酸化)(無機リン酸化)] によるエネルギー産生である。ミトコンドリアのうち、内膜に囲まれた基質部分を[F:(クリステ)(マトリッ クス)(グラナ)]といい、膜の襞状の部分を[G:(クリステ)(マトリックス)(ストロマ)]という。進化論的に はミトコンドリアは[H:(嫌気的)(好気的)(化学合成的)]バクテリア細胞が[I:(真核)(原核)(無核)]細胞に [J:(分化)(共生)(生成)]することによって獲得されたと考えられている。ミトコンドリアは核ゲノムとは 別に独自の[K:(直線状)(鎖状)(環状)]の[L:(cRNA)(mRNA)(DNA)]を持ち、分裂時に複製倍加する。
<解答>
[A:(真核)]、[B:(二重)]、[C:(リン脂質)]、[D:(電子伝達系)]
[E:(酸化的リン酸化)]、[F:(マトリックス)]、[G:(クリステ)]
[H:(好気的)]、[I:(真核)]、[J:(共生)]、[K:(環状)]、[L:(DNA)]

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