(5)レポートの書き方
生物学の論文の体裁は、一定の形式が決まっていて、それに従って書くのが一般的のようである。その
参考書としては、田中義麿・田中潔共著「科学論文の書き方」(裳華房)がよく知られている。これによる
と、科学論文は
(1)論題 Title (2)著者名 Author's name (3)緒論 Introduction
(4)材料と方法 Material and method (5)研究成績 Results
(6)考察 Discussion (7)総括 Summary (8)文献 References
のように、書くのが良いようである。
しかし、よく考えてみると、もっと自由闊達に自己表現が許されても良い筈である。科学論文の書き方
に従って、論文を書くというのは、まるで、定石に従って囲碁
や将棋を闘うようなものであり、定石はずれの手を打たれる、
或いは指されると、次の手をどうしたらよいか、解らないというぶざまは羽目に陥ることになる危険があ
る。小説でも書くような、独創的なアイデアに基づいて、科学論文を書いても良いのでは無かろうか。科
学論文を、詩で表現しても良いし、オペラ仕立てに作っても構わないと思うのだが、如何なものであろう
か。そして、権威ある日本学術会議あたりで、芥川賞ならぬ「科学論文賞」を設けて、ユニークで面白く
て目を引く科学論文を讃える、というのはどうだろうか。多額の賞金を付けると、応募者が多数現れるこ
とだろうと想像するが、このようなくだらない発想は、到底、鼻くそにもならないものなのだろうか。
<練習問題>
〔問1.〕次の文中に、もっとも適する語句を記入せよ。
実験で得られたデータは、一般的には、論文内の適当な箇所に、表で示す。さらに、解りやすくするため
には、得られたデータをグラフに描くと良い。割合を示すには[ A ]グラフを、量を示すには[ B ]
グラフを、そして、変化を示すには[ C ]グラフを使う。[ C ]グラフを滑らかな曲線(回帰曲線)
で描くために、数学として[ D ]を用いる。最近は、パソコンを使ってグラフ化することが多く、
[ E ]という表計算ソフトを使うのが便利である。
〔問2.〕上の文中の「論文中の適当な箇所」とは、どこを指すか、答えよ。
<解答>
〔問1.〕[A:円][B:棒][C:折れ線][D:最小二乗法][E:エクセル(花子も良い。)]
〔問2.〕実験の結果であるから、「研究成績」(あるいは研究結果)の項目に入れておく。考察と一緒でも
良いが、読んで理解しやすいように表示する。
【リンク】
酒井聡樹(東北大学)『若手研究者のお経
--これから論文を書く若者のために-- 』
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