(5)反応の速さを調べる。
ヒトの身体に加えられた刺激の伝達は非常に早く、ほとんど瞬間的と思われているが、実際には
ある時間がかかることを理解するとともに、刺激が伝わる経路や反応までの道筋を考える。
[1]棒の落下を見て棒を握りしめるまでの時間を調べる。
(1)直径3cm前後、長さ50cmぐらいの棒を用意する。1cmの目盛りをつけておく。不要になったモッ
プのなどの木製の柄を利用するとよいし、手ぬぐいを使っても出来る。また、50cmの物差しでも
代用出来る。
(2)AとBが二人一組になり、Aが棒の上端を軽く持つ。
(3)棒の下端を囲む形にBが手の指で輪を作る。
(4)頃合いを見て、Aが棒を離す。
(5)Bは棒の落下を認めたら、できるだけ早く棒を握る。
(6)落下した長さを物差しではかる。所要時間tは、落下の運動方程式 S=1/2gt^2で求める。
【表 実験結果例】
回 数 | 落下した長さ(cm) | 時間(秒) |
1 | 29.8 | 0.246 |
2 | 20.7 | 0.207 |
3 | 22.5 | 0.215 |
4 | 19.3 | 0.198 |
5 | 16.1 | 0.181 |
【留意点】
1.測定前の棒の下を囲む指の輪の大きさは、毎回できるだけ同じ大きさにする。
2.落下の長さを測定する時は、基準になる場所を決めておく。
3.5回ぐらい測定する。
[2]大勢の人で神経系を通る刺激の速さを調べる。
(1)20人ぐらいが立って手をつないで1列に並び、最後の人がストップウォッチを持つ。
(2)ストップウォッチを持った人の「ハイ」と言う掛け声で、ストップウォッチを押すと同時に、
最初の人が隣の人の手を握る。
(3)手を握られたら次々と手を握り伝えていく。出来るだけ真剣に速くやる。
(4)最後の人は手を握られたら、ストップウォッチを止めて時間をはかる。
【表 実験結果例】
回 数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
20名の時間(秒) | 4.8 | 3.6 | 3.1 | 2.7 | 2.6 |
1人当たりの時間(秒) | 0.24 | 0.18 | 0.16 | 0.14 | 0.13 |
〔注:〕経路を1人約2mとすると、20人で40m。したがって、5回目の場合は秒速約15m(40÷2.6=15)
の速さになる。
【留意点】
1.全員が静粛にして真面目にやるように厳重に注意する。
2.全員がお互いにしっかり手を繋いでいることを確認する。
3.思いっきり速くやることを心掛けるように注意する。
4.手を強く握られても、けっして握り返してはならないことを注意する。
<小泉貞明・水野丈夫監修「図解 実験観察大事典 生物」(東京書籍)参照>
HOME