(1)動物の飼育・採集・購入について

 中学や高校の生物の実験で使える動物(ヒトを含む)は何であろうか。細胞の観察で、ヒトの口腔上皮細胞があり、 酵素の実験ではヒトの唾液アミラーゼが用いられし、ウシやブタの肝臓片も酵素カタラーゼの実験に使われる。
 昔から、解剖実験にはトノサマガエルがよく使われたが、最近は、近くの田んぼにも、トノサマガエルが見あ たらなくなった。第一、東京近辺では、トノサマガエルの棲む田んぼすら消えて無くなりつつある。アメリカの 教材会社 Ward'sのインスタントラーメンのような冷凍乾燥した Freeze-dried Grassfrog もあるが、無いより はましであるとは言え、日本では普及するであろうか。
 東京の多くの高等学校では、カイコが解剖実習の材料になっている。教材として利用するのだからと良く説明 して理解が得られると、養蚕農家からカイコを比較的安価に入手出来よう。唾液腺染色体観察用のユスリカの 幼虫であるアカムシは釣具屋で入手可能であり、また、これからは同じく釣りのエサであるミミズを解剖実習用に使うのも良いので はあるまいか。キイロショウジョウバエは都立大学の細胞遺伝学研究室から分けて貰える。減数分裂の観察用材料 としてのフタホシコオロギも飼育が比較的簡単で生物室で十分飼育し、実験材料として使用出来よう。
 常時、水槽で飼っておいて良いものとして、キンギョヒメダカをあげられる。この両者は、動物を使う実験、 例えば「背ビレで血流を観察する」とか「走流性の実験」などには絶好の材料で、いざという時に、大変重宝なものだ。
 ハツカネズミなども飼えれば、それに越したことはないが、飼育が大変で、生物部の協力が不可欠となる。

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