◆ 鯉の分布

  

  

 ● 鑑賞用に飼われている錦鯉は、江戸の後期に交配によって生み出された緋鯉に始まるといわれています。その後、多くの品種が誕生し、私達の目を楽しませてくれていますが、もともとは真鯉の色素異常(アルビノ)によって、白い鯉や赤い鯉が出現したことにはじまります。鯉の交配や系図につきましては、後述したいと思いますので、今回は鯉の分布状況等について、簡単にご紹介したいと思います。

 

● 日本最古といわれる鯉の化石は、

長崎県の壱岐島の新生代第3紀中新世(2500万年前〜500万年前)の地層から

発見されました。

 また、約200万年前に堆積したといわれる滋賀県の古琵琶湖層や縄文時代の住居跡・貝塚などからも鯉の骨が多数出土

しています。このことから、鯉は、中国からの移入だと思われていましたが、現在では、国内において天然に分布していたと考えられています。

 

 

  「ニゴイの一種」の化石

小さな化石の標本室 横井隆幸様より許諾

    時代 新生代新第三紀中新世〜更新世

    産地 大分県玖珠郡  大きさ 21.6cm

● 「ドイツ鯉」で有名なドイツにおいては、やはり新生代中新世の地層から鯉属に類似した化石が発見されたことから、鯉の原産地ではないかと考える専門家もいます。

 しかし、近縁種の分布や化石の出土状

況から判断して、原産地は中国であると考えるのが一般的になっています。

 また、海外における天然分布地域は、

中国を中心とした東アジアとカスピ海や黒海周辺地域とに分かれています。そのため、この地域の鯉は、別亜種と思われるほど分化を遂げています。

 

鯉類の分布状況

  

岩原鯉(鯉名:中国語標記による)

中国のサイト黄岡水産綱より

  

● また、世界各地への人為的移入については、紀元前3世紀頃にトルコからキプロスを経てギリシャに伝わったのが始まりのようで、そのために、鯉の学名である「Cyprinus carpio」はキプロス(Cyprus)に由来しています。

 また、ヨーロッパ各地へは、十字軍の遠征(1096〜1270)の影響を受けて広められたと言われています。また、アメリカへへは、南北戦争後の1877年に伝えられたのが最初といわれています。

 

 

 

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