沈黙の聖戦 | 原題『BELLY OF THE BEAST』 |
お勧め度:★★★★☆(4.5点) | 2004年公開 |
『このオヤジ、最強』映画(笑)。 元CIAのホッパー(スティーブン=セガール)の娘が、旅行先のタイで誘拐される。オヤジは、娘を助けるため、元同僚(バイロン=マン)の助けを借りて、犯人を追い詰めていく。そんな話。 「沈黙」シリーズ、と銘打たれてはいるが、そもそも「沈黙」シリーズそのものが、日本人の勝手な関連付けのため、今までの作品との関連性は無い。 監督はチン=シウトン。『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の監督も務めた。また、『少林サッカー』や『HERO』のアクション監督をしたらしい。 とりあえず、ハリウッド作品にして、東洋的体捌きの嵐(笑)。セガールが使う、太極拳風の打撃も、合気道の基礎があればこその、説得力。バイロン=マンの南拳的体術も、敵役のムエタイチックな動きも、全てが東洋風である。 お話的には、セガール作品に良くある、味方のはずのCIAに敵が居て、そいつとの死闘、というありがちなパターンながら、アクションの見事さで、きっちり見せてくれる。 スカッとしたい方、必見。 |
ザ・ワン | 原題『THE ONE』 |
お勧め度:★★★★☆(4.5点) | 2001年公開 |
ジェット=リー(この名前は好きではないのだが)初のSFアクション。もしかしたら『マトリックス2』に出ていたかも知れない李連傑が、キアヌの後釜を蹴って選んだ当たり作。 125の多元宇宙によって構成された世界で、それぞれの宇宙での自分を消去することにより、残った自分にパワーが移ることを知ったユーロウ(悪李連傑)と、最後に残ったゲイブ(善李連傑)との戦いがお話の骨子。 荒唐無稽?結構!馬鹿馬鹿しい?大いに結構!だって、そこを楽しむ映画なのだから。 最初、李連傑が二役をやると聞いて、うっすらとした絶望感を味わった。 あ、李連傑も『ツイン・ドラゴン』や『ダブル・ハード』みたいに恥をかくのか、と。 そして半信半疑で観てみると…。いいじゃないですか、これが。悪李連傑の悪役振りは、『リーサル・ウェポン4』で培ったものか。きっちりと『悪いヤツ』を演じて見せていた。善李連傑も、ちゃんと『いいヤツ』だし。 動きもいい感じ。ワイヤーワークやデジタル的な効果がいいタイミングで使われているお陰で、「善」側の八卦掌、「悪」側の形意拳、それぞれの特色が掴みやすく、観ていてストレスが少ない。素で楽しめる作品だ。 監督は『X−ファイル』で頭角を現したジェームズ=ウォン。アクション監督はユーリー=ユエン。かの「七小福」の一員で、李連傑とは『方世玉』から『キス・オブ・ザ・ドラゴン』までの長い付き合い。特にユエンは、この映画で『ロミオ・マスト・ダイ』の失敗を取り返せたのではないか(笑)。 お話自体は薄っぺらなものなので、マイナス0.5だが、充分見る価値あり、である。 そういえば、『ザ・ワン』公式サイトに、このような文章があった。 「―――『ダイ・ハード』『リーサル・ウェポン』でハリウッド映画を代表した拳銃”ベレッタM92F”、それを(『リーサル・ウェポン4』で)素手で破壊した瞬間、時代は彼(ジェット=リー)のものとなったのだ!」 うまい!この文章を書いた人に、座布団3枚! |
フェイス・オフ | 原題:『FACE OFF』 |
お勧め度:★★★★★(5点) | 1997年公開 |
ニコラス=『アパッチ』=ケイジ、ジョン=『サタデーナイト・フィーバー』=トラボルタ主演の、ハリウッド超大作アクションムービー。どこがハリウッド進出か、というと、監督があのジョン=『男たちの挽歌』=ウーなのである。 ジョン=ウーといえば、香港映画界では、「フィルムノワール」というジャンルを確立した立役者であるが、ハリウッドに渡っても、その「ウー節」は炸裂していた。小林旭をこよなく愛するウーは、旭の「男のロマン」が大好きで、男臭い演出、ド派手なアクションを武器に、世界の映画界に殴り込みをかけた。ハリウッド一発目の『ブロークン・アロー』では、とてつもなくムカツク悪役としての、トラボルタの才能を引きずり出し、幸先の良いスタートを切った。そして、ケイジを得た事で、この作品はウーのスタイルを一気に昇華させる事が出来た。 善玉と悪玉の顔をすげ替える、というアイデアは、秀逸(強引、という説は却下!)だが、この設定には大きなネックがある。出演者の演技力である。ケイジとトラボルタは、その部分を申し分なくクリアーしてのけた。特にケイジの演技力は、鳥肌物である。一瞬「本当に入れ替わってるんじゃないか?こいつら」と思ってしまうほど、その演技は素晴らしい。 クライマックス近くの「虹の向こうに(『オズの魔法使い』)」の(に、ではない)バックで繰り広げられる激しい(無音の)銃撃戦の美しさは、特筆モノである。 勢いで最後まで見てしまう、この映画、とりあえずオススメしときます。騙されたと思って、いっとこうか?損はないよ。 |
リーサルウェポン4 | 原題『LEATHAL WEAPON 4』 |
お勧め度:★★★★☆(4.5点) | 1998年公開 |
李連傑(ジェット=リー)の本格的ハリウッドデビュー作。しかも、超人気シリーズ。踏み台としては、かなり美味しいお膳立てである。 ハリウッド新人の李連傑は、メル=ギブソン、ダニー=グルーバーを向こうに回し、ドライでクールな、しかしファミリー思いの悪役で登場。仲間でさえ躊躇なく殺すそのキャラは、今までにない、いわば新境地である。 強い。圧倒的に強い。劇中メル=ギブソンが「勝てる気がしねえ」と呟くが、全くその通り。身体のキレが桁違い、スピードが速すぎる。ギブソンが年だ、という事を考慮しても、ちょっと差が大きすぎる(『1』の時のギブソンの動きは良かった)。まあ、ギブソンはガタイがあるし、李は小柄なので、アメリカ的物量戦法の前に屈したゼロ戦みたいなもの、と考えればいいか? 李連傑の活躍がどうしても少なめなので、マイナス0.5。 |