マッハ!!!!!!! 原題『MACH』
お勧め度:★★★★★(5点) 2003年公開
 タイ映画界が、総力を挙げて作った、本格ムエタイアクション映画。
 タイの片田舎の村から、守り神「オンバク」の首が奪われる。それは、村の出身者を抱き込んだ密輸団の仕業だった。守り神を取り返す為、古式ムエタイを身に着けたトニー=ジャーが村を出る。というお話。
 ストーリー自体は、そんなに難しいものではない。仏像を取り戻す為に、主人公がひたすら闘うだけなのだが、そのアクションがとにかく凄い。最近の香港映画が、ワイヤーワークにこだわったあまりに失ってしまった物を、タイでもう一度復活させた、という感じである。もうほとんど雑技団レベルのアクションである。ジャッキ=チェンやサモ・ハン=キンポーの頃の香港が得意としていた、ギリギリスタントのオンパレードである。
 アクションそのものは、「アクションを魅せるためだけのアクション」も多く、不必要じゃないか、と思う部分もあるが、格闘シーンは、正に私の壷である。古式ムエタイの表現が、とても良い。所謂ムエタイとは一味違う雰囲気で、一見の価値あり、である。まあ、蹴りを意識するあまり、少々テコンドーチックな動きが目立つが、そこは映画用の派手目な動きも必要、という事で。
 格闘アクションが好きなら、観ないと損。
H181017


双旗鎮刀客 原題『双旗鎮刀客』
お勧め度:★★★☆(3.5点) 1990年公開
 中国は、西安映画制作所製作の、中国版マカロニ・ウェスタン映画。
 少年剣士ハイコーが、父の遺言に従い、中国西部の砂漠の中の町に住む、ハオメイという許婚と結ばれるまでのお話。
 ハイコーが訪れた、砂漠の町は、イータオシェン(一刀仙)率いる馬賊に支配されていた。町の人々はよそ者を嫌い、ハイコーも冷たくあしらわれる。そんな時、ハオメイが馬賊の一員に「いたずら」されそうになり、思わず剣を振るう。激怒した一刀仙に対し、町の人々は、
 「責任を取れ」
とばかりに、ハイコーに戦いを迫る…。
 内容的に、マカロニ・ウェスタン、或いはおおもとの「黒澤映画」の影響が見て取れる。中国映画としては、かなりの「意欲作」である。
 剣のアクションは、西部劇へのオマージュであろうか、「居合」風抜き打ちが基本。クイック・ドロウを剣で見せたらこうなる、という、滅多に無い見本である。独特の緊張感があって、不思議な迫力がある。
 ん?中国映画?少年剣士?ウェスタン調?これでなぜ「中国」のカテゴリーに入れなかったのか?それは、この映画が、いわゆる殺陣のシーンが殆ど(全く?)出てこないため、功夫格闘というカテゴリーにはとても納められない、と判断したからである。なにせ、抜き打ちのシーンは、ほとんどがハイコーの顔のアップ、そしてクライマックスの一刀仙との剣戟は、なんと、
 剣を抜くと同時に砂嵐の中!(剣の当たる効果音だけ!)
 いわゆるカンフーシーンは一度も出てこない。そんな映画です。
 派手な展開を期待すると、ちょっと退屈かも。しかし、意外と面白い作品である。いっといてもいいんじゃない?

 ちなみに、1992年の「ゆうばりファンタスティク映画祭」で、グランプリを受賞している。


ムトゥ 踊るマハラジャ 原題『MUTHU』
お勧め度:★★★★(4点) 1995年公開
 インド人は、映画館で映画を観る時、まるでライブを観るかのように、大盛り上がりで観るらしい。インド人にとって、映画とは最高の娯楽なのだ。
 この映画は、インド映画のいいところを綺麗にまとめた、インド人以外にも楽しめる映画に仕上がっている。歌あり、踊りあり、愛あり、笑いあり、アクションあり、感動あり、およそ映画に欲しい要素全てが備わっている。この映画を観ると、「もしかしてインド人って、いっつもこんな風に歌ったり踊ったりしているのか?」と思ってしまうかも(思うか?)。
 ただ惜しいのは、主役のラジニカーントが「二枚目」ではないので、「ただの人のいい世話焼きおじさん」以外には見えないこと(そんな設定ではあるが)。とてもご主人様の娘(ヒンディー系のすっごい美人)とは、ルックス的に釣り合わない。
 ちなみに胤舜がインドのテレビで見たインド映画は、
 ・『サウンドオブミュージック』と(セットまで)そっくりのキスシーン
 ・『ウェストサイド物語』そっくりのダンスシーン
 ・『ランボー』そっくり(頭に鉢巻までして、武器も一緒)の銃撃戦
 ・『燃えよドラゴン』そっくり(役者もなりきり)のカンフーアクション
満載の、インド人大喜び、西側諸国では公開すら出来ない(著作権保護のため)ような映画が放映されていた。セリフはヒンドゥー語なのでさっぱりだったが、はっきり言って面白かった。
 インド映画の突き抜けた感じは、一度体験する価値はある!