空想特撮シリーズ ウルトラセブン
お勧め度:★★★★★★★(7点) 1967年公開
 初代ウルトラマンと、双璧をなす超人、ウルトラセブン。
 ウルトラセブンは、M78星雲の恒点観測員M7号。彼は、観測中に、地球が宇宙人による侵略の脅威にさらされている事に気づき、地球を守るために、人間の姿を借りて人間社会に入り込む。
 自然災害と戦う守護神的な『ウルトラマン』と違い、『ウルトラセブン』では、外宇宙からの地球侵略、というシチュエーションが確定している。話によっては、地球人を無視した「宇宙人間協議」があったりする(メトロン星人とウルトラセブンのちゃぶ台会談等)。まあ確かに、30分の特撮番組なので、物語的には結構はしょっており、無理な展開も無いではない。しかし、そこを捉えて、
 「しょせんは子供番組だ」
と考えるのは早計である。宇宙人からの侵略を想定して、地球規模の防衛構想を練る、というのは、言い換えれば、
「同じ地球内で、内輪もめしている場合ではない。一致団結して、かけがえの無い地球を守ろう」
という、熱いメッセージなのである。
 セブンは、『ウルトラマンレオ』を除けば、唯一「純粋な宇宙人」である。彼が名乗る「モロボシ・ダン」なる名前も、全くのオリジナルであり、そのモデルは、薩摩次郎という炭鉱夫である。ちなみに、ほかのウルトラマンは、事故で死なせた地球人に「憑依」するパターンを踏襲している。つまり、セブンは完全なオブザーバーなのである。ある地球人と、価値観を共有する事なしに、自らの意思で、地球の平和のためにその身を捧げているのである。
 今の私達に、セブンのマネが出来るだろうか?

「明けの明星が輝く時、空に向かって上ってゆく光がある。それが僕だ」

かっこいいよ、モロボシ・ダン!(笑)

H180917


アイアンキング
お勧め度:★★★★(4点) 1972年公開
 その名も高き、「日本最弱の巨大ロボットヒーロー」、それがアイアンキングである。
 『シルバー仮面』の次作として制作されたらしい。個人的には、全話完全に押さえたわけではなく、中学卒業前か、高校入学直後あたりに、ビデオで何話かを観たに過ぎない。しかし、これほど心に残る作品も珍しい。
 国家警備機構の静弦太郎(石橋正次)が、正体不明の相棒・霧島五郎(浜田光夫)と、日本政府転覆をもくろむ悪人どもと戦う、というお話。静弦太郎が巨大ヒーロー・アイアンキングに変身して、悪い怪獣やロボットをバッタバッタと薙ぎ倒す、という作品と思いきや、アイアンキングは相棒の霧島五郎であり、真の主役は弦太郎その人である。なんと、アイアンベルトという武器(鉄の鞭)のみ(極めは爆弾など)を駆使して、巨大ロボットなどを倒してしまう等身大ヒーロー。巨大ロボットであるアイアンキングより強い!というのがミソ(笑)。『機動武闘伝Gガンダム』の東方不敗ばりである。
 弦太郎役の石橋、そして五郎役の浜田が、そろってその頃のアイドルであった所も変り種である。が、とにかくアイアンキングの
 1、変身時間1分。
 2、エネルギー源は水。
 3、必殺技が無い。
など、およそ巨大ヒーローにあるまじきスペックである。とことん弦太郎のサポートに徹する姿は、むしろロボットの正しい姿なのかもしれない。むしろ、戦い以前に、この二人のとぼけた遣り取りこそが、『アイアンキング』の真の面白さなのかもしれない。
 ちなみに、制作は宣弘社。円谷やPプロではない所が、またミソなのである。
H180407


空想特撮シリーズ ウルトラマン
お勧め度:★★★★★★★(7点) 1966年公開
 仮面ライダーと人気を二分する、日本が生んだスーパーヒーロー、それがウルトラマンだ。円谷英二が生み出した、この変身ヒーローは、『ウルトラQ』でのノウハウを集大成して出来た、究極のヒーローである。
 身長40メートル、年齢2万歳と、既にヒトの概念を遥かに越えた、いわば「神」の領域に達する存在である。第七話「バラージの青い石」では、旧約聖書にも記述のある(?)「ノアの神」である、ともされている。
 彼(ウルトラマン)には、石森ヒーローのようなダークな雰囲気はない。巨大怪獣と言う名の「自然災害」から人類を守護する自然の番人である(その辺の設定は、『ウルトラQ』から続いているものであろう)。地球を侵略するつもりの宇宙人以外は、彼が相手をする怪獣は、あらゆる意味で「悪意が無い」場合が多い。彼は、ヒトのテリトリーを犯した怪獣を追い返そうとするうち、仕方無しにスペシウム光線でとどめを刺しているように感じられる。また、怪獣によってはお星様にしたり(ガヴァドン)、宇宙の怪獣墓場に送り返したり(シーボーズ)もしている。
 極めつけは、科学特捜隊内で行われた「怪獣供養(!)」である。
 また、「万博に出品する(!)」というとんでもない理由で、科特隊がゴモラをインファント島から運び出すなど、考えようによってはものすごくリアル(ありそう)な話もある。
 今ある、あらゆるヒーロー物とは、明らかに物語性の方向が違っている。
 エポックメーキングとは、こういうものであろうか?
 これをいっとかないと、日本の特撮は理解出来ないかも?出来なくてもいい?いいえ、理解して下さい。


仮面ライダー
お勧め度:★★★★★★(6点―但し初期) 1971年公開
 和製ヒーローの金字塔、仮面ライダー。基本的に、石森章太郎の描くヒーローは、だいたい不幸で、その不幸を乗り越えるために正義のヒーローをやっている感があるが、とにかく面白い。
 藤岡弘が、古流を父から習っていたお陰で、殺陣はとてもいい。昔見ていた時には気付かなかったが、初期のライダーは頻繁に四方投げを使う。蹴りは下からすくい上げるような蹴り、戦闘員の棒を奪って用いる棒術など、今見るとかなり「マニアック」な技術が垣間見える。
 ドラマ的にも、多少子供だまし的なものはある(子供番組として扱われていたから当然だが)ものの、小林昭二を起用する(『怪奇大作戦』などで特撮スリラーはお手のもの)など、作り込みはしっかりしていると言ってよい。
 藤岡弘が怪我で休んでいる間に、本郷猛なしのドラマ作りをした結果、「ライダーファイト」なる格闘中心の見せ場(『ウルトラセブン』の「ウルトラファイト」の影響か?)を作ったお陰で、より低年齢化が進んだ、と見るのは軽率か?
 正確には映画ではなく、TVシリーズではあるが、一度は押さえておかなければいけない一品ではある。