ダ・ヴィンチ・コード 原題『THE DA VINCI CODE』
お勧め度:★★★★☆(4.5点) 2006年公開
 もう、泣く子も黙る話題作。
 もはや、この作品に関する批評も解説も、出尽くした感があるので、余計な事は言うまい。また、この作品に関しては、様々な評価がある。良くも悪くも、皆が注目した作品である。
 特に、キリスト教の信仰的根幹(?)に関わる事が、物語の核と成るので、その方面からも色々な意見が噴出したわけだ。まあ、もう今さらなので、ネタバレ発言をしますが、ナザレのイエスには、マグダラのマリアとの間に子供がいた、とか、オプス・デイというカトリック原理主義団体の特殊な修行法(いわゆる苦行)などが、キリスト教国家間で随分と物議を醸していたようであるが、以前『パッション』というイエスのゴルゴダ映画(どんな表現だ―笑)が封切られた際も、このようなブーイングが出た。なにゆえ、キリスト教国家、或いは信者や教会は、このように過剰反応をするのか?誰にも証明出来ない、歴史上の謎を、作家が独自の解釈で再構築する事が、何が悪いのか?
 ちなみに、私は原作を読まずに映画を観た。謎解き映画として、とても面白かった。レオナルド=ダーヴィンチがシオン修道会の会長であった、という文献(秘密文書―ドシエ・スクレ)など、信憑性が曖昧な物すら思わず信用してしまう、その物語構成には、まさに脱帽である。
 主演のトム=ハンクスも言っているが、
 「この作品は、壮大なフィクション」
なのである。言ってみれば『マスターキートン』である。とにかく楽しむのが吉。信仰など、一旦どこかにしまいこんで、この壮大なパズルを楽しむのが正しい。

 そもそも、神の子が人間で、どこが悪い?
H180730


超音速攻撃ヘリ エアーウルフ 原題『AIR WOLF』
お勧め度:★★★☆(3.5点) 1984年公開
 『ナイトライダー』と人気を二分した、スーパーメカドラマ。
 アメリカの土地の広さを遺憾なく活用したドラマ。日本では、こんな(ヘリコプター中心の)ドラマは作れないだろう。
 CIAが極秘に開発した攻撃ヘリだったが、開発者のモフェット博士が、北アフリカの某国(リビア?―笑)に持ち去ってしまう。
 依頼を受けたストリングフェロー=ホークとドミニク=サンティーニは、某国(リビア?)に潜入、見事エアーウルフを奪還する。しかし、ホークはエアーウルフを返さず、ベトナム戦争時に行方不明となった兄を救出するのを、返還条件として提出する。一方CIAのアークエンジェルは、兄の情報を提供する代わりに、CIAのミッションへの協力を要請。かくしてエアーウルフは世界の空で、活躍する事となったのである―――そんなお話。
 とりあえず、音速で飛べる、装甲が堅い、火力が凄い、などなど、一家に一台、な感じ、である(かなり投げやりなコメントであるが)。
 ただ、このドラマは、内容はさておき、ヘリコプターという道具が、使いようによっては、どれだけ便利であるか、ということを垣間見させてくれる。ヘリが音速以上で飛べる時代が来れば、世界の航空兵器事情は大きく変わるだろう、そんな気がする。

 とりあえず、ドミニク役の、アーネスト=ボーグナインの名脇役ぶりに脱帽(笑)。


スターウォーズ 原題『STAR WARS』
お勧め度:★★★★★★★(7点) 1977年公開
 泣く子も黙るスペースオペラ(笑)。
 あまり多くは語れない。なぜなら、私の情操の一部を構成している映画だから(笑)。私が小学校の一年生から二年生くらいの頃だろうか。とりあえず、恐ろしいまでのロングラン。とりあえず、手元にお金が貯まれば劇場に入っていた(笑)。そんな映画。
 もう、良し悪しを言う次元ではない。私のSF映画の原点である。なにしろ、こんな映像技術は、今までなかったのである。ミレニアム・ファルコン号や、X-ウィング、TIE-ファイター、デス・スター、ライト・サーベル、R2-D2。もう、これ以外には世界は存在しない、というくらいはまった。CGなんてなかった時代、コマアニメとブルーバック、特殊な動きが出来るカメラのフル活用、これだけで作られた、かなり手作り作品である。ライト・サーベルに至っては、ダース・ヴェーダーとオビワンとの対決シーンで、オプチカル合成が外れてしまう、というお粗末振り(笑)。
 でも、そんなところは気にならないくらい、出演者の演技が良かった。特に、オビワン役のサー=アレック=ギネスは最高である。『エピソードワン』のオビワン役・イアン=マクレガーは、サーの後釜としては、許せない!!!!!!納得出来ない!!!!!!
 まあ、そんなわけで、この古典SFアクションは、「フォース」という存在を日本的な「気」としてとらえて、物語の流れに任せて気楽に観ると、はまる事必至(笑)。とりあえず、いっとこうか。


タイタニック 原題『TITANIC』
お勧め度:★★★★☆(4.5点) 1997年公開
 沈没船映画(笑)。
 タイタニック号の悲劇と言えば、知る人ぞ知る、世界最大級の海難事故であり、この事故を境に旅客海運のセキュリティが全て見直される、というほどの大きな出来事であった。過去に幾つもの小説、映画として世に公開され、生存者の手記や、研究者による様々な検証がなされている。
 が、監督ジェームズ=キャメロンは、そんな現実部分だけを描きたいわけではなかった。ドキュメンタリーとして製作するだけでも、十分にパニックアクション映画としても成り立つシチュエーションに、極めて古典的な『ロミオとジュリエット』風の悲恋を放り込んだ。
 貧乏人ジャック(レオナルド=ディカプリオ)と上流階級のお嬢・ローズ(ケイト=ウィンスレット)との身分違いの恋、というパターンは、まあ言ってみれば、三流メロドラマの常套手段である。そんな陳腐なドラマを極限まで盛り上げたのが、タイタニックという「事実」であった。
 新世界に思いを馳せる貧しい若者、親の決めた婚約者に抵抗を感じている若い女、身分違いの恋、船の上というある意味密室状態、その船の沈没、パニックの中でお互いを思いやる気持ち、などなど、アカデミー賞で「脚本賞」だけはノミネートされなかったことが良く分かるストーリーだが、監督の、タイタニックに対する溢れんばかりの思い入れが、この映画を世紀の大作に仕立て上げた、といって過言ではない。
 『レイズ・ザ・タイタニック』と言う映画(およびクライブ=カッスラー原作の小説)以来、タイタニックに関して多大なる興味を持っていた私にとっては、冒頭の沈没したタイタニックの調査映像を含め、タイタニックの真実の一部を垣間見る、貴重な映画となった。
 家で見る場合は、プロジェクターで大画面にしてみると、迫力・感動が5倍ほど増します(笑)。
劇場の大画面で見た場合は、星8個は固い(笑)。

 ちなみに私は、沈没しそうなタイタニック号の甲板で、避難しようとパニックに陥っている乗客達を少しでも落ち着かせよう、と脱出を断念、最後まで演奏を続けていた楽団の姿を見てから、涙が溢れて止まらなかった(笑)。


パイレーツ・オブ・カリビアン
―呪われた海賊たち―
原題『PIRATES of the CARIBBEAN
THE CURSE OF THE BLACK PEARL』
お勧め度:★★★★★(5点) 2003年公開
 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ提供の、海賊映画。
 ディズニーランドに同名のアトラクションがあるが、要はそれの映画化と思えばいいらしい。提督の娘・エリザベスが、父と共に戦艦ドーントレス号に乗っていた時、海賊に襲われた船に出会い、生き残りの少年を助けた。その少年の持っていたメダルが、海賊の仲間である印に思えたエリザベスは、少年を助けるため(?)、咄嗟にそれを隠してしまう。
 さて、成人したエリザベス(キーラ=ナイトレイ)と、鍛冶屋に引き取られ、職人として成長した少年・ウィル=ターナー(オーランド=ブルーム)だったが、彼らの住む街に「伝説のブラック・パール号」が現れ、かつてエリザベスが隠しておいたメダルを奪いにやって来る。街を救うための取引で、エリザベスは海賊に連れ去られてしまう。恩人であり、彼女に思いを寄せるウィルは、海賊を追うが…。こんな話。
 まあ、お話は、所謂おとぎ話系。ヒロイン・エリザベスの超人的活躍といい、ウィルの「いかにも主人公」的な安っぽい成長具合といい、ILMの技術の粋を尽くした「ちょっとおマヌケな」呪われた海賊どもといい、絶対死なない様になっている主役格の人々といい、正に「ディズニー映画の王道」を行く映画である。
 だがしかし、この映画の価値は、そんな所にある訳ではない。この映画は、
 「キャプテン・スパロウ(ジョニー=デップ)を観る!」
為の映画である。元ブラックパール号の船長、彼無くしてはこの映画は成り立たない。デップ良すぎ。他のあらゆる出演者を食いまくるその怪演は、ファンキーそのもの。デップのイメージの海賊は、あんなんだそうだ(笑)。けっこういいかも。
 この映画の評価は、デップの存在感に星4つ。お気楽に観られて、いいっすよ。

 キャプテン・スパロウが、冒頭でポート・ロイヤル港に入ってくるシーンが非常に好きである。ま、とりあえずいっとこうか。


新スタートレック 原題『STAR TREK:THE NEXT GENERATION』
お勧め度:★★★★★★★★★★(10点) 1987年公開
 『スタートレック』というSFドラマの名前を、世界史に刻み込んだ(?)記念碑的作品。SFというジャンルに限定して言うならば、「完璧」の栄誉を冠するに足る作品であろう。
 前作『スタートレック』の百年後、という設定の下、新戦艦USS-1701-Dが活躍する物語である。この百年間で、ワープ速度も飛躍的に向上し、昔のワープ9は、この時代ではワープ7とワープ8の間くらいの速度になっている。未来の科学も進歩しているのである。
 艦長・ジャン=リュック・ピカードを中心として、副長のライカー、アンドロイドのデータ、カウンセラーのトロイ、保安部員のターシャ(第一シーズンで殉職)、同じくクリンゴン人のウォーフ、機関部員のジョーディ、ドクタークラッシャー、その息子のウェスリー、などなどが活躍する、壮大なスペースオペラ。その、現代劇としても通用するストーリー展開と、キャラクターそれぞれのリアルなまでの掘り下げ、「24世紀の科学技術」及び「各キャラクターの相関関係」を極限まで使い切った物語設定など、長く続いて来たシリーズ物ならではとも言えるドラマには、今更ながら唸らされる。
 前作『宇宙大作戦』では不倶戴天の敵国だったクリンゴンとも、とりあえずは同盟を結び、冷戦構造が崩壊した現代をも反映している。しかも、作品中に登場する設定は、現代天文学の最高水準での研究成果であり、また映像技術はILMの最高水準の映像(ヘタをすると、ショボいSF劇場映画よりはるかにレベルが高い)が駆使されている。パラマウント映画の一番の売り物、いっとかなくては確実に人生の一部を損する逸品。


ナイトライダー 原題『KNIGHT RIDER』
お勧め度:★★★☆(3.5点) 1982年公開
 またもTVシリーズであるが、日本でも認知度は高いので、知っている人のほうが多いのでは?この番組がテレビで流行った頃、「ナイトライダー」と称する、車用のイルミネーションが大流行したものだ。
 とある刑事・マイケル=ロングが、ある事件で瀕死の重傷を負う。その後目覚めた彼は、自分の顔が整形され、ナイト財団の一員として履歴を書き換えられていることを知る。ナイト財団の親分は、金に飽かして作った超高性能人工知能カー・ナイト2000(通称K.I.T.T.)を使い、正義の味方になってくれと言い残し、帰らぬ人となる。マイケル=ロング改めナイトは、その遺言を守り、K.I.T.T.と共に正義の味方になる、というお話。設定の雰囲気だけなら、『バットマン』の別バージョンという感じもする。
 内容的には、非常にあっけらかんとしていて、いかにも「カリフォルニアだぜ(byジョン=マクレーン)」な作品である。のー天気過ぎる嫌いはあるが、K.I.T.T.の活躍だけで全て許せてしまう、罪なヤツ(?)。ジョークにジョークで返すコンピューターのK.I.T.T.を欲しい、と思ったのは、私だけではないはずだ。自動制御で動く、ジャンプする、異常に硬い、これだけで買う価値充分である。特にシリーズ前半は、アラの多い設定ながら、マイケルとナイト2000の活躍を描こうとする作り手の、妙なパワーが作品の質を高めていたと思う。小ネタも効いていて、楽しめる作品だ。
 ちなみに、K.I.T.T.は世界のあらゆる言語を操れる、という設定のはずなのだが、ハリウッドのユニバーサル・スタジオに展示してあった「喋るK.I.T.T.」は、私が日本語で話しかけたところ、「ごめん、日本語分からないんだ」と返答した。おやぁ?(笑)


スタートレック 原題『STAR TREK』
お勧め度:★★★★★★★★★★(10点) 1966年公開
 アメリカのTVシリーズの中でも、最も愛されているシリーズのひとつ。SFドラマの金字塔。
 「宇宙―それは人類に残された最後の開拓地である―――」というナレーションから始まるこのドラマに、世界は最初興味を抱かなかった。しかし、放送が一度終了し、再放送がされ始めてから人気が爆発。アメリカでは、『STAR TREK』はもはや社会現象である。
 大胆不敵な宇宙規模のスケコマシ(!)のカーク船長、理論的思考を愛するとんがり耳のミスタースポック、直情径行型の人情医師ドクターマッコイを中心に、人類未踏の宇宙を股にかける冒険譚。特撮がちゃちいとか、セットがさみしいとか言ってはいけない。なにしろこのTVドラマは、人類が月へ到達する三年も前に作られたのだから。そもそも航空力学(あるいは空気や水の抵抗)を、ここまであからさまに無視した宇宙船のデザインは、今まであまりなかったと思う。それだけ斬新だったのである。
 また、良く指摘される事ではあるが、『スタートレック』内での科学が、実際の科学技術の発展に少なからず影響を与えている、という事実の例として、携帯電話のデザインがある。特に最近流行の中折れ式のケータイ。あのデザインは、『スタトレ』のコミュニケーターのデザインそのままである。
 胤舜的には、観ないと人生の何パーセントかを損する、と言うくらいのお勧め。