徒手と武器術と私

 中国武術は、基本的に学ぶ内容が多い。中国人の気質なのか、色々な動作の条件付けが細かいのである。
 そんな中で、武器に関する要求も多い。ただ、日本の武道が剣術、つまり刀の操法を中心に置いているように、中国の武術は、槍の操法に中心が置かれている。特に、古い武術と言われているものは、槍の操法を元に動作が組み立てられている、と言われるほどである。
 我が八極拳も、槍の技法を元に作られていると言われる。実際に槍を学んでみて、その説に改めて頷いた。他の中国武術の例に漏れず、八極拳も色々な武器術がある。九宮純陽剣(劈掛からの導入)、提柳刀、行者棍、春秋大刀、などなど様々だが、やはり槍を扱ってみると、その類似性に驚かされる。槍を学ぶ事で、徒手の動きは明らかにレベルアップする。槍を学ぶ最大の利点は、「中心を意識する」ということが理解しやすくなることである。徒手の動きだけでは判りづらかった部分も、槍のお陰で随分と理解が深まった。なので、徒手の套路をする場合でも、槍を持っているつもりで行うと、とてもまとまりのいい動きとなる。
 中国では、「槍は百兵の王」と呼ばれ、とても重要視されている。刀や剣と比べても、やはり基本の動きであることが実感できる。私的にも、一番重要なものである。何より、刀や剣より動作が少なく、憶えやすいという利点がある。しかも奥が深い。
 そんなことを言っておきながら、実際には槍の基本功(基礎動作)しか練習していない・・・。

H180615