何の予定も入れていないある日、僕はH氏らと4人でナッツベリーファームに行くことにしました。僕とH氏はスヌーピーグッズ集めが趣味で、ナッツベリーファームは世界で最初のスヌーピーのテーマパークです。ロサンゼルスに着いたら必ず行こうと決めていました。
ここはツアーに含まれていないので、現地までは自力で行く必要があります。ホテルから結構離れているので、歩いては行けません。ホテルのボーイさんにタクシーを呼んでもらうことにしました。
やって来たのは厳めしいホテルのハイヤーでした。
焦りましたが料金はタクシーと同じようでした。ハイヤーの運転手さんは、ナッツベリーファームの割引券をくれた上に、迎えに来る時刻も聞いてくれました。これで安心して遊びに専念できます。
園内ではスヌーピーグッズを買いあさり、5mの巨大スヌーピーを見つけて大はしゃぎし、目で追えないほど高速回転する観覧車を見てビビりました。あれは一体どうやって乗るのでしょうか。
ロサンゼルスでの観光を終え、今度はサンフランシスコへ移動することになりました。が、ここで最大のトラブルが発生。友達が乗る予定だった飛行機が、前日のフライトで海に沈みました。
全生徒に緊急招集がかかり、教師から「我が校の生徒は誰も乗っていないと、親御さんに速達を出しておいたから」と説明が入りました。旅行の日程や乗る飛行機の便名はすべて親へも知らされているので、その配慮からでしょう。
帰国後、親父に「通達来た?」と聞くと、「さあ?何かあったんか?」という返事が返ってきました。無関心この上ない対応です。
サンフランシスコでも簡単な観光地巡りをします。その間、周囲から突き刺すような強い視線を感じました。疑問はバスガイドの説明ですぐに解けました。この町にゲイが多いことは知っていましたが、問題は彼らの好みでした。
ぜんぶ当てはまりました。
さらに、この町では黄色や赤のワンポイントは「いつでもOK」の印なんだそうです。その日の僕の服装を見てみましょう。
ぜんぶ当てはまりました。
ゲイから見れば、僕は頭のてっぺんからつま先までヨダレモノの存在だったようです。改めて周りを気にしながら歩いていると、アチコチのゴツい兄ちゃんらから僕に素敵な流し目が送られていました。
サンフランシスコは滅多に雨が降らない地域だそうですが、かのアル=カポネが投獄されていたアルカトラズ刑務所を見学した帰りに雨が降り始めました。雨男を自負する2人の友達が影響しているのは確実です。自由行動中にたまたま2人が出会った瞬間、それまで降っていた小雨が豪雨になったからです。
サンフランシスコではグランドキャニオンへのツアーがありました。
空港には立派なセスナが止まっていました。おおスゲェ、あんなのに乗っていくのか~とみんな感嘆の声を上げました。その奥にはオンボロのセスナが駐まっており、「まさかあれに乗せられたらビビるよなぁ」とみんなで笑いあっていました。が、我々を乗せた案内用の小型バスは立派なセスナを素通りし、オンボロセスナへ一直線。ツアー参加者は全員顔をひくつかせていました。こんなお約束すぎる展開は欲しくありませんでした。
幸いセスナは落ちることもなく、目的地のグランドキャニオン空港に到着しました。我々はバスに乗り換えて巌頭を目指します。途中でマクドナルドを見かけたときは我が目を疑いました。こんな僻地にまで出店するなんて、恐るべしマクドナルド。
途方もないほど深い巌壁なのはTVの映像なんかで見かけるので知っていましたが、実際に見るとやっぱり足がすくみました。
僕は高所恐怖症です。有名すぎるくらい有名な観光地であるにもかかわらず巌頭のほとんどに柵がないのはちょっといただけません。大ざっぱすぎます。アメリカ。鈍くさい人は落ちたい放題です。
ガイドの人も、ここはドイツ人が落ちた場所だの、そこは韓国人が落ちた場所だの、グランドキャニオンとはあまり関係なさそうな説明ばかりしてくれました。
卒業旅行最終日、T氏が突然本場のストリップが見たいと言い出しました。しかも観光客相手の安全な店でなく、映画に出てきそうなすさんだ雰囲気を実際に体験したいらしいです。無茶を言います。
1人で行くのは危険だろうってコトで、柔道をやっていたM氏と見た目だけは迫力のある僕と特に取り柄のないナマコのS氏が、教師に引率されて深夜のスラム街の中へと消えていくことになります。
アメリカでは風営法が厳しいらしく、店内では喫煙は愚か飲酒も禁止だったのにはビックリしました。日本も同じなのかも知れませんが、行ったことがないので比較できません。飲み放題のジュースディスペンサーが妙に笑けましたが、完全に目がイッちゃってる客層には空恐ろしさを感じました。
店内にはステージがあり、そこで代わり番こにダンサーが踊っています。チップを渡すと、目の前まで来て踊ってくれるらしいです。チップくれと言われたのでないよと答えると、ダンサーは店の隅を指さします。そこには何とATMが設置されていました。
ステージを降りたダンサーは客に声をかけて歩いてました。2人っきりアッチで話そうと言って、人の服を引っ張ります。ここはそういうお店だったようです。
1度お金を払うと出入り自由なので、ヘビースモーカーの僕らはしょっちゅうタバコを吸いに外へでました。たまたま隣でタバコを吸っていた外人とも世間話をしていました。
つい1時間ほど前に、すぐそこで老人がカバンをとられた挙げ句ボコボコに殴られて救急車で運ばれていったから、帰りはタクシーを使いなさい、と忠告されました。
以上でアメリカ3部作は終了します。いつもは僕の体験談を公開していますが、今回ばかりはT氏に主役の座を奪われたように思います。ココで紹介した内容のほとんどは、8mmビデオに録画してます。このビデオが見たいという奇特な人は、大阪に来たときにでも声をかけてください。たっぷり5時間分お見せします。