我が家の庭には、大きな砂場がありました。今はもう整地されてアパートが建ってしまいましたが、小さな子供には打ってつけの遊び場でした。僕はいつもスコップ片手に遊びまくってました。
ある日のことです。砂場に落とし穴を作っていると、土の中から茶碗の破片が出てきました。そう、茶碗です。今ならわかります。どこからどう見ても茶碗でした。
でも当時はわかりませんでした。茶碗は丸いという思いこみがあったからです。だから、こう考えました。ひょっとしたら大発見かも。そして、親父に見せに行ったのが決定打になりました。
なんでこの人は素で大嘘がつけるのでしょう。
僕は親父の大嘘をずっと信じて、茶碗の破片を宝物入れに仕舞い込んでいました。それが茶碗だとわかり、騙されていたと気づくまで数年かかりました。