僕は新聞や雑誌など、あらゆる報道メディアをほとんど見ません。まあ最近では目を通すくらいはしているんですが、以前はそうでした。TVはニュースかドキュメンタリーくらいしか見ません。
だから芸能人なんかまるで知りません。
パンダの赤ちゃんの名前を公募したら「ヒカル」が多かった、という新聞記事の単語解説を読むまでは、宇多田ヒカルも知りませんでした。
つい最近まで、椎名林檎を食べ物だと思っていました。
モーニング娘は朝のニュースでオルガンを弾いているお姉さんだと思ってました。電車で吊革の広告を見る度に、歴代オルガンのお姉さん。ちょっと若いね。と思っていました。
尾崎豊は死後数年してから後追い自殺したファンの報道で知りました。
スガシカオに関しては、少年アシベの無口なスガオくんと完璧に勘違いしていました。
こんなんで、よくカラオケボックスの店員なんかやってたな、と自分でも感心しています。この浦島太郎状態は昔から変わりませんでした。
ある日のこと、ウチに遊びに来た友人達とTVを見ていたら、ニュース速報で石原裕次郎の訃報が流れました。
友人の1人が、大声で叫びました。他のみんなも、少なからずショックを受けたようでした。その瞬間、凍り付いたようにシンと静まる僕の部屋。でも1人だけ、その静寂を破った男がいました。
僕でした。
よく考えたら、各家庭の訃報なんかいちいちTVで知らせてたら、今頃TVはニュース速報だらけになってしまいます。でも、その友人の驚きぶりが凄かったのと、僕が石原裕次郎を知らなかったことが微妙にブレンドされ、ひょっとしたら…親戚? という結論に至ってしまったみたいです。
石原裕次郎を知らなくても生きてゆけます。石原裕次郎は教科書に載ってません。たとえ知らなくとも、誰が僕を責められるでしょうか。
みんなから責められました。
かなり理不尽だと思います。石原裕次郎。この単語を知らなかっただけで、僕はそこまで悪人でしょうか。
僕は、生活に必要なのはお金と飯だと思います。
僕は、財布に石原裕次郎しか入ってなくても、石原裕次郎で買い物する勇気がありせません。
僕は、どうしようもなく腹が減って開けた冷蔵庫に石原裕次郎しか入ってなくても、石原裕次郎を食う自信がありません。
そこのところ、みなさんもよく考えてみてください。