僕が眼鏡をかけたとき

僕は中学卒業と同時に眼鏡をかけ始めました。外すときはその辺にポイと置いたりしてるんで、よく踏んづけて壊してしまい、買い換えを余儀なくされます。

最近じゃ眼鏡はお洒落の一部となって、色々なデザインのものがあり、自分に合いそうなものを選ぶのに結構な時間がかかります。そんなとき、僕が眼鏡選びのポイントにするのは2点。まずレンズが丸めのもの、そして縁なしであることです。

僕の目は細くてツリ気味なので、普段から睨んでいるような目つきになってしまいます。丸めのレンズをつけると、これが少し和らげられます。余談ですが、目が細い人は通常に比べて上下の視界が狭いです。いやホントに。

そして眼鏡選びで一番重要視しているのが、縁なしであることです。フレームレスとかツーポイントという呼び方もしますね。僕が初めて買った眼鏡は、フレーム付きのオーソドックスなタイプでした。しかしその眼鏡をかけていたがため、誰も予想しえなかった悲劇が起こってしまったのです。

あれは高校に入学し、それまでお世話になっていた恩師に挨拶しておこうと中学校に出向いたときのことでした。学生が行き交う廊下を歩き続け、職員室の前にさしかかったとき、目の前に突如として物干し竿が出現しました。

危ない!!

僕はとっさの判断で身をかわしました。そして顔を上げたとき、その場には物干し竿の「も」の字もありませんでした。

…あれ?

その後、恩師への挨拶を済ました僕は、家に帰ってさっきの状況を冷静に分析してみました。なぜ廊下に物干し竿が現れたのか。そして物干し竿はどこに消えたのか。あれやこれやと推理しているうち、ある結論に達しました。

そう、視界の端に映る眼鏡のフレームを物干し竿と間違ってしまったのです。

それからも僕は、ある時は道ばたで、またある時はデパートで、フレームを物干し竿と間違えてはササッと身をかわすような動作を取ってしまいました。友達がいるときはツッコんでもらえるんですが、独りの時はどうしようもありません。てくてく歩いて来たかと思いきや、いきなり機敏な動作で身くねらす人物。端から見て、かなり恥ずかしい状態だ、とだけ申しておきましょう。

そして、僕に眼鏡の買い換えを余儀なくさせる二次災害が起きます。

身をかわした先になぜか置かれていた鉄骨材に顔から突っ込み、顔面血だらけ、眼鏡は轟沈、という物理的被害を被りました。

そんなこんなで、僕は縁なし眼鏡しか使えない身体2004年頃からコンタクトレンズに変え、さらに2010年に入ってから縁ありの眼鏡に戻しました。今のところ、物干し竿は現れていません。を宿命づけられたのです。これならフレームを物干し竿と間違える心配もありません。

みなさんも眼鏡をかけている場合は十分注意しましょう。ちょっとでも気を許すと、眼鏡のフレームは凶器に変貌します。