20世紀の親父

20世紀も終わりですか。個人的に世紀末の一大イベントと期待していた恐怖の大王もY2Kも肩すかしに終わって、ちょっと物足りなかったですね。

突然思い立って、親父にこれまでの人生での大事件は何だったかというのを聞いてみました。ベスト3まであるそうです。

第3位

僕のこと。

僕がまだ物心つく前の話。そのとき僕は、玄関の付床つけどこで親父に「ジャンプで体当たり」して遊んでいたそうです。そして僕が何度目かの体当たりをしようとしたとき、親父がスッと身体を横にずらしたからさあ大変。僕はそのまま玄関に飛び出してしまい、危うくコンクリートの床に激突するところだったそうです。

「いや~あの時はビックリした。下手したら死んでたな、うんうん」

聞いた僕もビックリしました。

第2位

弟のこと。

生まれて間もない弟を居間で寝かしつけていたとき、うっかり踏んづけてしまったんだそうです。

「寝てるんに気づかんかったんで、思いっきり体重を乗せてしもた。死んだと思ったわ」

僕ら兄弟って、親父に殺されかかってたんですね。

第1位

金のこと。

下手したら死んでた、死んだと思った、と来たら、次は本当に死んだか? と思いきや、全く関係ない話でした。株券を、高騰前に手放したコトだそうです。

「家が一軒建ったのに」

叫びながらのたうちまわってました。親父にとっては、息子の命より株券の方が大事なのかも知れません。

そう言えば、僕の子供時代を撮影した8ミリ(8ミリビデオじゃなく8ミリ)にも、鯨のプールに飛び込もうとフェンスをよじ登る僕を、笑顔で見守る親父の姿が映ってたりして、笑っとらんと助けろよ親父、とか思ったこともありました。

昔からかなりぞんざいに扱われてたみたいです。