スキンヘッドの作り方

20歳の頃の写真

専門学校へ入学当初、僕は角刈りの金髪でした。最初のうちは髪を染めている生徒も少なく、僕はかなり目立ってしまいました。で、ホールを使った4~5クラス合同の授業の時、先生に舞台まで呼ばれて、「彼は変わってる」と誉めらているのかけなされているのかよくわからない評価を頂きました。

たまたま両隣の席の友達が緑と赤に染めていたので、信号トリオと呼ばれていました。

しかし、もともと無精な僕は寝癖のつきやすい自分の髪の毛が嫌いだったので、「坊主にできるのは学生のうちだけ」と思い、剃ることにしました。

意外と知られていないんですが、頭髪は髭よりも硬いので、最初だけは散髪屋さんで剃ってもらうことにしました。

今回は散髪屋さんでスキンヘッドになるまでの数時間を克明に記したいと思います。これからスキンヘッドにしようと思われている方の参考にでもなれば幸いです。

「いらっしゃい、今日はどんな髪型にする?」
「剃ってください」
「え?」
「剃ってください。カミソリで、ツルツルに」

散髪屋さんのお兄さんは、ホントにいいの? と何度も念を押しながらバリカンを用意してきました。いつもいつも、変な髪型ばかり頼んでごめんなさい。

虎刈りというんでしょうか。お兄さんは、おでこの真ん中から頭のてっぺんめがけて、楽しそうにバリカンで剃っていきます。そして、てっぺんの髪は手付かずのまま、周りは1輪(0.5mm)程度になりました。河童の逆バージョン状態です。

「じゃ~ん! 作品NO.1、南海の孤島

何やら楽しげに叫んだりしてます。遊ばれてます。ってかNO.1って何ですか、まだ他に続くんですか。

「こんな髪型どう?」

いや、どうと聞かれても。今の僕は非常に情けない姿をしているので、早く全部刈っちゃってください。

最終的には全部剃り落とすので、その間はどんな切り方をしようが自由ですが。スキンヘッド。散髪屋さんにとって、これほど面白い髪型が他にあるでしょうか。

お兄さん曰く「南海の孤島」は、周囲を徐々に削られていきます。ついにあと数本を残すのみとなった時、またお兄さんが叫びます。

「モンゴルマン!!」

マニアックです。普通ならラーメンマンだと思いますが、モンゴルマンとは。

バリカンを終えると、次はカミソリで本格的に剃っていきます。手で頭を触り、ジョリジョリ感のあるところを見つけては丁寧に剃っていく。気の遠くなるようなこの作業は、1時間近くかかります。頭皮は髪に守られている分、非常に弱いので、簡単にカミソリ負けしてしまいます。みなさんも剃るときは苦痛を覚悟してください。

ツルツルになるまで剃り終えると、イスを倒して洗面台に頭を置かされます。

今度は何をする気だと思いきや、このお兄さん、手にシャンプーを取ってます。シャンプーです。ツルツルなのに。案の定、シャンプーは泡立つことなく、頭にベチャベチャとまとわりつくだけ。原液で頭を洗ってます。

「泡立ちませんね」
「うん、でも料金に含まれてるからやっとくわ」

とか何とか言いつつ、お兄さんの声は半笑いです。シャンプーをお湯で流し終わると、またピチャピチャと何かふりかけています。

「何してるんですか?」
「あ、これ? リンス

おい待て。シャンプーはともかく、リンスは必要ないだろ。でもお兄さんが楽しそうなので、気の済むまでリンスをやらせておきました。

頭を洗い終わると、タオルで頭を拭かれてイスを起こされます。その手に持つのはなんとドライヤーです。いやもうタオルだけで十分乾いてますって。

ゴォォォォォォーッ!

「あぢぢぢぢぢぢ!!」
「あ、ゴメンゴメン。ドライヤーは失敗やったか」

次に取り出したのは整髪料です。

「いっとく?」
「いえ、やめときます」
「そうやなあ。これ付けたら、しみそうやもんな」

とか言いつつ残念そうな顔してるのはどうしてでしょうか。

21歳の頃の写真

綺麗に剃り上がった頭を鏡で見てみると、驚くほど似合っていました。一度剃ってしまえば、今後は自分で剃ることが出来ます。散髪代も浮いて経済的ですね。

アレンジも自由自在。頭の右半分だけ髪を少し伸ばし、左半分は剃ったままでキカイダーカットなんてことも出来ます。友達に頼んで、剃った部分にマジックで「キカイダー」と書いてもらえば完璧です。ええ、やりましたよ。学校で一時期、校内にキカイダーがいる、と噂になってたそうです。

自分で剃るときはT字カミソリを使いましょう。根本まで綺麗に剃れてツルツルになります。ただし剃りすぎると、シェービングクリームがストロベリーシェイクになるので気をつけてください。クリームよりジェルがお勧めです。

幼少の頃の写真

まあこんなことが出来るのも若いうちだけだと思うので、これを読んでスキンヘッドに興味を持ったという人は、一度試してみてはいかがでしょうか。新境地が開けると思いますよ。たぶん。

ちなみに昔はこんな顔をしていました。先日、僕が幼児の頃にウチの家政婦をされていた方と再会しましたが、昔の面影が全くないので声をかけられても誰だかわからなかった、と言われてしまいました。