目が覚めるとRPGの主人公になっていた。身支度を調えて外に出ると、頭の中に勇ましい音楽が鳴り響いた。
- 僕
- 「これフィールドBGMや…」
とにかくうるさい。耳を押さえながら歩いていると親父に出くわした。
- 僕
- 「おはよう」
- 父
- 「今日はええ天気やな」
BGMがうるさくて何言ってるかわからない。できる限り近づいた。
- 僕
- 「声が小さて聞こえへんのやけど」
- 父
- 「今日はええ天気やな」
- 僕
- 「もうすっかり夏やなあ」
- 父
- 「今日はええ天気やな」
親父には村人Aの役しか与えられていなかった。
最寄りの駅から電車に乗って移動し、地下鉄に乗り換えようと地下への階段を踏み出したら、頭の中に響いていた曲が重低音の効いた不気味なものに切り替わった。
- 僕
- 「ダンジョンのBGMや」
地下鉄はダンジョン扱いらしい。といっても、舞台が現代の日本なのでモンスターに遭遇するようなことはなかった。地下鉄で繁華街までやってくると、親しい友達に会った。
- 友
- 「一緒にあそぼ」
- 僕
- 「おう」
承諾すると、ファンファーレが鳴り響いた。
- 僕
- 「?」
ファンファーレが鳴り止むと、友達は僕の背後に回り込んだ。そのまま無言で立っている。
- 僕
- 「なあ−」
友達の方に振り返ると、友達はささっと僕の背後に回り込んだ。ひたすら僕の後を追いかけ回す。
- 僕
- 「こいつ、仲間になりやがった」
一緒に遊ぼうと言ったのに、背後ピッタリくっついた状態でどうやって遊ぶのか。