缶コーヒーを飲む:1996年 画用紙・レトラライン
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(40.5×32センチ) |
缶コーヒーを描こうと思ったとき、僕はそれを繰り返し触っていました。
缶を持った指のかたちを何度も何度も触っていました。
そうするとその形がとってもおもしろく感じられるようになってきたのです。
何でもないどこにでもある缶コーヒー。
でもそのかたちのおもしろさが触れば触るほど伝わってくるのです。
それを絵にしてみたわけです。
コーヒーが好きだから缶コーヒーを選んだのか、触っている間におもしろくなったから描くことにしたのか、いまではよく覚えていません。
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(29×50×39センチ)
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カボチャ貝:1997年 陶土・着彩
西村先生のワークショップ(ミューズカンパニー主催)で作りました。
モチーフはハロウィンのカボチャでした。
粘土を積み上げてかたちができあがったのを少し乾かしてから作品を横にして、底になっていた部分にも粘土を付けていきました。
360度、どちらからでも鑑賞できる作品にしたかったのです。
ちなみに、かぼちゃ貝という貝は存在しませんので、図鑑などで調べないように願います。
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(40.5×32センチ) |
アベック:1998年
レトラライン・画用紙
一組と二組のアベック。二人で見るというような意味合いです
(ミュージアムアクセスビューにちなんで選んでくださいました)
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白い杖で空を飛ぶ
(52×74.5センチ)
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1999年 カッティングシート・ラインテープ・紙
1998年秋、障害を持つ人どうしで、ドイツ旅行をしようというツアーに参加しました。
僕も車椅子を押しました。階段が行く手に立ちふさがったとき、ふと思ったのは、白い杖で空を飛べたらいいのになあということでした。
僕の杖は、折りたたみ式です。
杖を伸ばすときにはカチャカチャといい音がします。
その伸びていく勢いでそらを飛べたら楽しいだろうと思います。
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木の耳:2002年 ブロンズ (66×40×45センチ)
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東京都府中市美術館
触る彫刻として設置されています
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子供の頃、目を近づけて見た絵本の中にあった木が今でも頭のどこかに残像として焼きついている。
それは、地面から幹が伸びていて、下から3分の1ぐらいのところでソフトクリームのようにこんもりと盛り上がった描き方をしていた。
絵本には、根は描かれていなかったように思う。
去年秋、府中美術館に「触っても楽しめる立体を設置したい」との話をいただいて、僕なりにいろいろテーマを考えてみた。
平面を立体に置き換えることでのおもしろさを追求するには、どんなテーマがふさわしいのか。そう考えたとき、一番しっくりするテーマは、「木」だと思った。
今回の制作に当たっては、千葉の「アトリエ海」のご協力をいただいた。
12月の夜、人のいなくなったアトリエは、シンシンと足下から冷えてくる。
バッハのチェンバロを聴きながら作っていると、耳が研ぎすまされてきて、僕自身が耳になってしまったような体験をした。
木にも耳が在って、世の中のさまざまな音を聴いていてもおかしくないなあという感じがした。
〜府中市美術館「木の耳制作に寄せて」より抜粋〜
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アトリエ海にて
手前の粘土は、気に入らなくて廃棄したもの
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●写真撮影:梅原貴之氏
「缶コーヒーを飲む」「カボチャ貝」「アベック」「白い杖で空を飛ぶ」
●「木の耳」写真提供:東京都府中市美術館
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