報告:あべこずえ
「哲っちゃんは、幼少期に受けた大病で、右脳を損傷、しかしその後にリハビリを重ね、左脳が右脳の役割を果たすようになりました。・・・小学校に入って、周囲の人々により、絵を描き始めました・・」哲っちゃんこと、画家岩下哲士さんについてやさしく説明してくださるのは、滋賀県立近代美術館の学芸員、平田健生さんです。
今回、ビューの鑑賞ツアーでは滋賀県大津市の瀬田にある滋賀県立近代美術館の「こころのうたごえ 岩下哲士の世界」展を企画しました。いつもより半分の人数のプチツアーです。 |
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この美術館は、平田さん曰く、郊外型の美術館です。不便であるけれど、敷地を最大に使い活かしてつくられているということで、美術館は、企画展、常設展、ギャラリーコーナーなどもすべて1階のフロアで構成されています。
動きやすいので、鑑賞もしやすく、大きな窓からは自然光がたっぷり入り、開放感のある建物でした。 JR瀬田駅から、またバスに乗って10分で文化ゾーンに着きます。文化ゾーンは、図書館や公園などが集まっており、美術館は、坂をのぼった一番上にありました。
グループ分けをしたら、平田さんと一緒にさて館内へ。すると、とても運のいいことに、岩下哲士さんがちょうど来られているところ! ご本人にお会いすることができました。突然の私たちの団体に、少しびっくりされたようでした(すみません・・)。少しの間でしたが、声を聞かせていただき、彼の素敵なお人柄にも触れることができました。
会場を入ってすぐのところに1メートル四方の板でつくられたボックスのオブジェがありました。側面には、たくさんのふくろうが描かれています。そのオブジェにもご本人の了解を得て、触らせてもらうことができました。そのオブジェは、以前岩下さんが飼っておられたふくろうの小屋を造ったものだそうです。
そのあとは、グループにわかれての鑑賞です。展覧会は、「大切な絵日記」「ゆかいな友だち」「楽しい夢」「大好きな仏さま」の4つのテーマで構成されています。
ふくろうの親子、くまんばち、おおきなレモン、震災で亡くした友だちを思って描いた鳥、いろいろな仏さま・・・どれもこれも画面からとびでるような迫力で描かれています。そして、色遣いがとてもきれい・・岩下さんの好きな色は、赤色、瑠璃色、そして仏さまの茶色だということで、とても納得です。ここぞというところに好きな色をふんだんにもしくは、アクセントとして使われています。
そして絵の横には、タイトルとともに、岩下さんの言葉が描かれており、中には、くすっと笑ってしまうものや、岩下さんのやさしさが伝わるものがありました。どの作品も、なぜそれが描かれているのか、ということが明確に感じられることができて、鑑賞しやすかったです。明るくすがすがしい気持ちで作品をみることができました。グループでの鑑賞中も学芸員の平田さんも、それぞれのグループに補足説明にまわってくださり、とても解りやすく楽しく鑑賞することができました。 |
原画と立体コピー
「みみずく」原画と立体コピー |
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「しゃくとり虫」原画と立体コピー |
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今回は、触れる補助ツールとして、「みみずく」と「しゃくとり虫」という2点の作品を用意しました。これを触ってもらいながら、構図を説明し、色の説明をして、そして作品から感じるイメージを伝え会いました。
最後は、やっぱり喫茶店で甘いものをいただきながら、感想を言いあいました。
今回は、楽しい作品が多くて、あっという間に鑑賞時間が過ぎてしまいました。
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