今回の展覧会は、戦後の日本や欧米の国によるさまざまなジャンルの表現、また異なった時代の表現を、
「痕跡」という視点から捉えなおし、そこから見える新たな表現の多様性や独自性を発見する試みをした
展覧会です。
フォンタナの大きな一色で塗られたキャンパスに、ナイフですっと切り込みをいれられた痕跡のある作品、
ジャクソンポロックの偶然からなる筆から飛び散らせた絵の具の痕跡、イブクラインの魚拓ならぬ人拓、
村上三郎のつきやぶられた穴の痕跡・・・。
今回は、京都造形大学のアートマネージメント学科の山下里香先生の元、授業に一環として鑑賞ツアーが
行われました。
見えない人が絵を見る可能性を知ってもらうこと、言葉で絵を鑑賞すること、見えない人がどのように
鑑賞するのかを知ってもらうなどの試みです。
いつものごとく、とにかく、言葉を使うしかないビューの鑑賞ツアーが、いきなりスタートして、
最初はかなり、とまどわれていた学生さんが多かったです。
が、さすが、美術を専門に勉強されているだけあって、作品の前では、正しい知識を、
きちんと伝えられる人が多かったのが印象的でした。
やはり美術が「好き」なのでしょう、自分が「好き」な作品の前では特に力がこもって、
そのよさを伝えられていたようです。
今回、参加の視覚障害の人たちは、美術鑑賞にずいぶん慣れておられる人たちばかりで、
わからない、とか、何がみたいか、ということもはっきり言われる人達が多かったので、
学生さんにとっては大変かも?と心配していました。
でも、すべてを見終わる頃には、作品を通してお互いを知ることがとてもうまくいっていたので、
感動しました。若いって柔軟ですばらしいなー。
その後、学生さんからは、今回の感想をいただきました。「鑑賞」について、改めて
考え直す機会になった人が多かったようです。みなさんありがとうございました。
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