出張鑑賞ツアー  「遠き道展ーはて無き精進の道程」
 
 


2008年1月13日(日)
場所 明石市立文化博物館
参加者 見えない人・見えにくい人 : 12名
見える人 : 23名
盲導犬 : 4匹
スタッフ : 7名
記録 : 3名

── 中山登美子報告 ──

アクセス・ビュー協力のもとで、明石市立文化博物館「遠き道展ーはて無き精進の道程」 展鑑賞ツアーが、1月13日午後13時半から開催。
午前中には、密蝋と筆を使った絵画体験ワークショップも同時開催されていて、光島さんと ビュースタッフ1人が参加。
ワークショップ1 ワークショップ2
蜜蝋のワークショップ

視覚障害者12人、サポーター23人、ビュースタッフ7人、当日ヘルプ役3人が、 寒い日にかかわらず、新年を迎えての初めての美術鑑賞気持ちのまま、元気よく参加。
ツアー前の説明に全員集合 電車の中からは、明石海峡ブリッジが見られ、明石のあけぼの、明石原人の土地なので、 縁起いい年になりそうです。

サポーターには、兵庫県立美術館ボランティアスタッフと神戸アイライト協会メンバーが 多く来てくださり、会場雰囲気が盛り上がりました。この場を借りて感謝申し上げます。
見えない人一人に付きサポーター2、3人の絵画鑑賞感想で、2階の2つ会場を1時間半 まわり、午後3時半から感想会をして終了。

さて、今回の絵画は、日展、院展、創画展の公募展団体、無所属という垣根を超えての、 おもに150号以上の大作ばかりの日本画44点。
作家の年齢は、1916年生まれから1977年生まれまで、幅広い年齢層。
作家が作品を創作した年代は、1987年から2008年までの新しい年代。
グローバル社会となった現代日本で現代日本画を観るということは、日本人である 心象風景の変遷そのものをダイナミックに感じさせてくれたようです。
一部の作品には、点図化、立体コピー、樹脂を使った触図録、絵画のレリーフ化などの 視覚にハンディがある人たちへの親切アプローチも交流会話にとても役立ちました。
点図、レリーフ、触覚絵画など

レリーフを触って鑑賞
象の絵の点図
レリーフ拡大写真 触覚絵画の鳥

わたしの初めてのサポーター体験では、どうしても絵画を観ての説明言葉を先に発して しまいがちだったので、今回は視覚障害者とのイメージ会話をするように心掛けました。
わたしが担当した女性は、海外から日本各地まで、いろんなところへ旅行していた体験が ある人で、青色の海や緑色の樹木や花々の色も、彼女が感じた色彩&造形表現を伝えてくださり、 こちらも新しい物語りを聴かせてもらったような気持ちです。
マコトフジムラの`columbine sea`の青紫の流れるような水面に白い花びらが、 ぱらぱらと漂う絵は、とくに大好きだったようで、わたしがまるでオフイーリアが水面で眠 ってるようだと言う会話に、彼女は「わたしは薔薇が沈んでいく」イメージだと言って、 最後に彼女が作った薔薇の詩を見せてもらったのが一番の喜びでした。
最後の感想会での参加者意見では、全盲者と弱視者とへの説明の違いをどのように 考えられてるのか、サポーター言葉で絵画の中に入っていける感じがした、今ま で思ってた日本画のイメージがまったく違った、などでした。
鑑賞風景1 鑑賞風景2
鑑賞風景3 鑑賞風景4
ビュースタッフたちとの帰りの電車内会話では、それぞれが違う象の点図絵を 持ち出してもりあがり。象が夜明け前に動物園から抜け出して?空を飛んでる絵です。
かわいい夢見る小さな象さん。おちゃめなウサギの絵も空に向かってジャンプしてましたね。
ビュースタッフも、これからも遠き道へ「なにが見える」「なにが聴こえる」と 美術鑑賞ツアーを通して、果てない夢物語りを参加者みなさんと楽しく分かち合って いきたい想いですのでよろしくお願いします。


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