後半は、ラインテープとカッティングシートを使って花を描きましたが、
見える人は、サポート役になるか自分で作品をつくるかを選んで参加してもらいました。
用意されたのは、バラ、カーネーション、ユリなど花屋で売っている花のほかにも、
庭に生えていたシュロの葉や、ねぎ坊主なども。
花を触りまくる機会なんて、ふだんはあまりないけれど、今回は花びらを
分解してもいいから遠慮なく触り、自由に描いて欲しいと光島さん。
目の見える人が花を描くとき、花が咲いている風景や花瓶に挿された花の美しさを
描くことが多いと思いますが、今回のワークショップでは、花イコール美しいという枠を越えた
個性的な作品が生まれました。
ねぎ坊主が愛嬌のある天に向かってそびえるタワーに。
シュロの葉を触り、ハエたたきにしていた子供の頃を思い出し、自分の手のひらや指でサイズや位置を測りながら、
ラインテープをうまく使って描いていた人もいました。
また、花にも絵にもこれまでほとんど縁がなかった男性は、カーネーションを触り、
花びらが幾重にも重なっていることをはじめて知ったそう。
いざ絵にすると言っても、最初はどうしたらいいのか緊張されていましたが、
サポーターに切ってもらったカッティングシートの花びらなどを貼っているうちに
気分も乗ってきたよう。実はこの方は、たまたま会場に来られたところを、
せっかくだからと飛び入り参加され、はじめての経験をそれなりに
楽しんでいただけたようです。
ユリの花を触り、女性のなまめかしさを感じたけれど表現しきれず、
堅い一本の茎から細長い葉が放射状に何本も伸びた大きなシュロの葉から
力強さを表現した人も。画面中心の太い幹から、大きな葉があふれんばかりに左右に伸び、
一枚一枚の葉は、紫や赤や青などで描かれ、いろんな感情やエネルギーがほとばしるよう。
つぼみと開いたユリを触り、ユリが生まれる前から枯れて行くまでを4枚の絵で表わした人も。
生まれる前は卵のかたちで表わし、ユリのつぼみの中をこじあけて触ったおしべとめしべの感触が、
どの絵にも印象的に描かれていました。
それぞれのペアが自然なコミュニケーションによって、共同作業で作品をつくっておられたようです。
アイマスクをつけ花を触り、そのままひとりで作品をつくった人もいました。
アイマスクをつけると視覚的なイメージ通りに描こうとするのはむずかしいけれど、
なにか別の感覚で絵を描くこともできるのではないかという発見も。
目の見えない人たちから、絵を描くときに感じていることを、もっと聞いてみたいと
思ったという感想も聞かれました。
いままで一方的にサポートする側、される側とにわかれてワークショップをしてきましたが、
もう一歩先のなにかが少し見えたような気がしました。
今後はもっと自由なスタイルでのワークショップにもトライできそうです。
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