第22回鑑賞ツアー
「三条通りアート散策」
-- 室町から寺町へ、お好きなコースでギャラリー巡り、
          疲れたらカフェで一服、道草もオッケー --

 
 


2009年3月8日(日)
場所 京都三条通り、室町から寺町界隈
参加者 見えない人・見えにくい人 : 12名
見える人 :14名
ビュースタッフ :7名

── 大向久子報告 ──
2007年6月の岡崎に続き、ギャラリー巡り第2弾として、今回は京都三条通りを歩いてきました。
いつものツアーですと、呼びかけをしても反応が遅いこともあったのに、今回はあっという間に定員オーバー!満員御礼! (楽しみにされていたのにお断りを言われた方、まことにゴメンナサイ!) 肩肘張らずに遠足気分で参加できる、敷居の低さが受けたのでしょうか?
当日の集合場所は地下鉄の駅構内。ゆっくりグループで行き先など相談する時間も場所もないのを見越して、事前に資料を送り、各自予習をしてもらうことにしました。
お勧めのギャラリー、オシャレなカフェ、明治・大正に建てられたレトロだけれど現役の建築物、トイレなどの場所を示した地図と、知ったかぶり用の豆知識満載の資料を、点字と墨字で作成。(役にたってくれたかしら?)
三条通り散策マップ
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点図マップ
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ビューがお勧めしたギャラリーは・・・
A. 品 SHINA:(室町通三条下る西側 「誉田屋(こんだや)」奥)
山本健史「連理の壷」(クレイワーク)
B. ニュートロンギャラリー:(三条通烏丸西入る北側 文椿ビルヂング2階)
森 太三 「Rain」(彫刻)
C. 千總ギャラリー:(三条通烏丸西入る南側 千總本社ビル2階)
明治の着物展
D. 京都文化博物館:(高倉通三条上る西側)
特別展「ノリタケデザイン 100年の歴史」、常設展「池大雅と雛人形」
E. ギャラリー妖精村:(堺町通三条上る西側)
近藤 陽子「音楽と犬」(陶)
F. ギャラリー吉象堂
(三条通柳馬場東入る)
同志社大学フォトクラブ2009年 卒業展示会(写真)
G. ギャラリーH2O(エイチツーオー):(富小路通三条上る西側)
川尾朋子「呼応」(書)
H. 同時代ギャラリー:(三条通御幸町角1928ビル1F)
佐々木友恵「私の在り処 watasinoarika」(漆、ドローイング他)
I. ギャラリーヒルゲート:(寺町通三条上る西側)
安野光雅「菊池寛賞受賞記念展 風景と出会い」(水彩画)

うまい具合に、てんでバラバラのジャンルの展覧会、あちこちに点在する歴史を感じさせる建物、噂のカフェで一服もしたいし・・・ 私たちの想像以上に時間をかけてじっくり見て回るグループが多く、実際には道草する余裕なんてなかったみたいですね。(あれもこれもと、ちょっと欲張りすぎたかな?)
けれども報告のために私たちの待つ文化博物館に順次戻ってきてくださった皆さんの楽しそうな顔。烏丸御池で初めて出会った時の硬い感じがぐっとほぐれて、お茶を飲んでまたくだけて・・・ ○○は行かはった? え〜! 行ってないの〜? あそこ面白かったのに〜 ほな今からもういっぺん戻って見てこー。 一緒に行きます? なんて、急遽新しいグループができたりして。
流れ解散のため、皆さんの感想が聞けなかったので、スタッフや、ビューのブログに寄せられたコメントをここに紹介します。

それでは、また。次はどこの街角でアート散策しましょうか?
 
  村田きよ子さん
昨日は大変お世話になりありがとうございました。明治・大正・江戸の文化にふれる事ができ、好奇心イッパイ。満喫できました。
卒業制作家具展 明治の着物の模様・藍染の浴衣に感動。大正時代のお雛さま、江戸の暮らしの小道具は時代ドラマの一こまが浮かび、「連理の壷」の作品に触れ、今も手のひらに残っている感触。創作の意図は説明して頂きましたが、イメージを語る事はできませんが、とっても面白い作品に出会えた事は生涯忘れない位にショッキングなものでした。
軽量粘土、カラフルな丸く、様々な大きさで創作品に素材の楽しさを。書画の作者にお会いでき、用紙・筆・墨の知識を。博物館では様々な椅子のデザインにふれ、座って、若い感性に戸惑いを抱きつつ作者と対話でき、エールを届けられたことも喜びでした。
古い文化と新しい文化の京都に魅了された日曜日を楽しく過ごすことができました。サポートしていただいた皆様に感謝申し上げます。よろしくお伝えくださいますよう重ねてお願いいたします。


  たねさん
妖精村 ニュートロンギャラリーの「Rain」→ギャラリー妖精村の「音楽と犬」→ギャラリーH2Oの「呼応」→文化博物館別館の学生さんの家具展と周りました。
「Rain」には、離れて見るとぺタっとしてしょーもない、というコメントを吐いてしまいましたが。後から考えてみて、小さい粘土玉が立体に見えている距離だと面白いんだと思い付きました。そういう意味では彫刻でしたねぇ。
「音楽と犬」では皆楽器に興味ありでした。デザイン化された犬とのコントラストが面白かったのでしょうか。中が空洞で、アロマポットとかになると楽しそうな作品でした (たねは値段も見てしまった…)。
「呼応」ではなんて言うたらいいのか、言葉が見付からない状態になっておりました。「Rain」のときには何かわからないけど言葉が出たのに、この作品では出ないのは何故かという質問&指摘をもらったのですが、今だなんでか分かりません。「書」だから?黒だか ら?それともボギャブラリーがないとか?(/--)/
似た感じの作品といえば、たねは以前九州派と呼ばれる作品で、コールタールを用いていたものとか、あとは誰だったか、焼き跡のある絵画とか見たのを思い浮かべるのですが。どちらも説明に困ります。
四大に結びついて神話的な解説に短絡的に走りそうだから?謎。
で、文博で椅子に座ってきました。家具は安全安楽が一番です。
しかし今回もあまり何もしていないたねでした。歩行者天国なみに車道にひとがはみ出すと、車も徐行するもんですね。歩くの楽でしたわ。


  上垣内愛子さん
昨日はここ数日になくお天気に恵まれて、花粉症の方には悪いけど京都の町を散策、ギャラリーもしっとりと良かったです。
これってウン十年前に学生で京都のギャラリーを必死に見て回ったときとはひと味もふた味も違う体験でした。
企画から全てにおいて有り難うございました。お疲れ様でした。
神戸から京都まで、近いようで遠いようで(私の場合北区という山の中)又参加したいと思いますので、その折りには宜しくお願い致します。
本当は本校の生徒も参加出来れば彼らも世界がもっと広がっていくと思うのですが、なかなかハードルは高いです。


  鳥養庸子さん(ビュースタッフ)
私は前回参加していなかったのではじめてのギャラリー巡りに少し緊張していましたが、解放感あふれる街歩きはとても気持ちよかったです。いつも歩いている三条通りなのに普通に歩いているだけならただの街がビューのツアーで歩くと全然ちがう空間と時間になりました。
おふたりが準備してくださった心の込もった地図と案内はおしつけがましくなく、しかも穴場もしっかり書いてあり、さりげなく私たちを導き、気分のおもむくままに楽しむことができました。感想を送ってくださった村田さんとごいっしょしましたが行ったところをよく覚えておられたのにびっくり。いくつかのギャラリーを巡るとそれぞれ全く趣きのちがう作品たちと出会うことになり、疲れたり、どれもが中途半端になってしまうこともありかなと思いますが、ゆっくりのペースで集中して鑑賞するからか、ひとつひとつそれぞれの世界に浸ることができました。それこそ建物、作品いろんな時代や空間を行きつ戻りつした感じです。京都の懐の深さを感じずにはいられませんでした。
ギャラリー品入り口にて 誉田屋さんに入るとき立派な町家の店構えや看板などが時代がかっていて入口からわくわくしていましたがちょうど入れ違いにふたつのグループとすれちがい、出てくるみなさんがすごい満足気な笑顔で、口々にすごかったよと言っておられたのが印象的でした。人力車や祇園祭りの御輿などを見たり本物の番傘を広げたりしながらずずっと奥に入り、ギャラリー品までたどり着きました。二階では私たちを待ち構えていたように小澤さんが、とても親切に作品や建物の説明をしてくださり、作品もゆっくり触って鑑賞させていただきました。
連理の壷展示 村田さんは「連理の壷」たちを触ってもよくわからないわとおっしゃっていましたがどの作品もふしぎな曲線でつながっていてなめらかな面と粗削りな部分とが表裏一体となっていたりしてわからないながらも何か尾を引くイメージでした。
H2Oでは作家とも出会い墨も手づくりであると聞き、作家のこだわりを感じました。汚れのない白い部分と、傷痕や稲妻のように激しく痛々しくもある、灰色がかった白い部分がありましたがクレヨンの上に水彩絵の具を塗ったら絵の具がはじかれるけどきっとそんなふうに描いたんでしょうねと村田さんに教えられ驚きました。見えていたときは絵を描くのも見るのも好きだったそうです。だから今でもビューでの鑑賞会やワークショップは血が騒ぐそう。私たちにもそんな思いが伝染して想像力がふくらみます。


  光島貴之さん(ビュースタッフ)
点図入りの点字マップに感動。三条通が、ぼくの町に一歩近づきました。
ところで、今回は、参加人数のバランスから、見えない人2名に対して見える人3人ぐらいのグループ編成になりました。
ぼくは、このスタイルちょっとやりにくいんです。
本当は、おもしろい組み方で、いつもとは違うやりとりが生まれそうなのですが、どうも5人でワイワイとはいかないんですよね。何かいいアイデアあれば教えてください。


  戸田直子さん(ビュースタッフ)
 私たちのグループは、見えにくい人2名、見える人3名という構成でした。回ったのは、山本健史「連理の壺」(ギャラリー品)、森 太三「Rain」(ギャラリー ニュートロン)、安野光雅「菊池寛賞受賞記念展」(ギャラリー ヒルゲート)、川尾朋子展「呼応」(ギャラリーH2O)、「Show&Shop2009 進級・卒業家具展」(京都文化博物館別館)の5つ。とは言っても、ヒルゲートはお茶を飲んでしゃべるのが目的で(コーヒーが安くて感動!)、作品はお茶を飲みながらチラッと鑑賞した程度だったので、実質は4カ所のようなもの。
 家具展を除き、今回見た展覧会には、すべてこちらの常識(予想)をひっくり返されてしまいました。「壺」と言っても「壺」ではない。「Rain」の会場には「彫刻」らしきものは見当たらず、無数の色とりどりの小さな可愛い玉が敷き詰められてるだけ。「書道の心得はほとんど無いから、どう説明すればいいのかなあ」と思いながら行った川尾朋子展「呼応」には、文字らしきものはどこにも無い。何度頭に???が浮かんだことか!ただただ素直に驚きと戸惑いを表すしかなく、ギャラリーのスタッフの方や、作家さんの言葉で助けてもらいました。
ギャラリーH2O  私も一番言葉が出なかったのがギャラリーH2Oの「書」。作家さんのお話を聞いて、やっと自由な気持ちで鑑賞することができました。左右の作品は一対で、わざと間に空間を入れてあると聞き、メンバーの一人がわざと作品を揺らし、その間を通り抜けながら鑑賞。静止していた作品が動き出した途端、なにか違う表情が現われたのが面白いなあと思いました。でも、今回一緒に回ったのが少し見える方たちだったので、共に戸惑ったりびっくりしたりしたけれど、見えない方との鑑賞だったらどんな話をしてたのかなあ…
 結構な距離を移動し、途中のいろんな面白そうなお店にきょろきょろしながらだったので、結構疲れもしましたが、いつものツアーとは違う楽しさがありました。「品」では伝統的な京町屋の建物にも感動!蔵の1階のショップに並ぶセンスのいい品々も楽しませてもらいました。最後は若い学生さんたちのセンスが光る家具に感心!使い心地の良さそうなテーブル、座り心地のいい椅子に、「次に買う時にはこんな家具がいいなあ!」と、主婦談義で盛り上がりました。


  川尾朋子さん(書の作家・ギャラリーH2O)
書「呼応」展示 今回の個展は、2作品が1セットになって天井からぶら下げた状態での展示でした。その2作品の間を通っていただくことで、点と点のつながりの気脈や呼吸を感じていただけたらと。それは、人と人などのつながりにも通ずる部分があるのではないかと思っています。目に見えない部分を想像していただく作品でもあったので、説明がうまくつたわっていたらいいなと祈っています。
当日は、書の文房四寳(墨/筆/紙/硯)を手に取って触って頂いたのですが、「これは那智の石ですか?」と硯をさわっただけで種類まで当ててしまうという「利き硯」を初めて体験したり、、、
私にとって驚きと発見があり、忘れがたい時間となりました。ありがとうございました。



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