── あべこずえ報告 ──
春の「二条城めぐり」ツアーが中止になり久しぶりの鑑賞ツアー。
2回目になる京都市美術館のコレクション展に伺いました。
今回の展覧会名は、ちょっと難しく『作家の一言(いちげん)/見者の一見(いっけん)、
美術館での一会』です。
作品が発しているメッセージやサインを読み解き、作品に語りかけ、
出会って欲しいという展覧会です。
大きな展示室は、以下の9つのテーマに分かれて作品が展示されていました。 |
1. |
作者の「ここをみてくれ!」という叫びを見つけよう |
2. |
時間や距離は表現することができるのだろうか? |
3. |
京都発の「京KAWAII」を探せ! |
4. |
背景に「意味される」モノを見つけよう |
5. |
「不思議」の意味は色々 |
6. |
「うつす」ことは一緒ではない |
7. |
同じかたまりではあるけれど |
8. |
作家が「描きたいモチーフ」を発見する時 |
9. |
「表現」は自ら増殖する |
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作家ごとでもなく、時代順でもなく、
いろいろなジャンルのいろいろな作家が、学芸員さんが考えたテーマごとに
分類されて展示されています。
さて、どんなメッセージを読み取ることができたのでしょうか。
まずは、グループごとに関心のあるテーマを選び、そこを中心に鑑賞を
始めてもらいました。
一番人気のセクションは、3番の「京KAWAIIを探せ!」のところでした。
京都らしいかわいい絵があるのかと思いきや、小合友之助『扇面ちらし』
上村松園『人生の花』同じく松園の『待月』など、どちらかと言うと
渋い日本画の作品が展示されていました。
どこがかわいいのだろう?と疑問を持ちながら、それぞれに答えを探し
(もしくは、わからないまま・・)、クイズを解くように鑑賞を進めていきました。 |
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今回の参加者は見えない人/見えにくい人が多めの12名。
その中に小学生と中学生合わせて4名の参加がありました。鑑賞ツアーでは
見えない子どもの参加は初めてです。
体験型や触れる作品ならともかく、少し前の時代の日本画の作品が多い展示の中で、
言葉だけで理解するのは、難しい体験だったと思います。
私と一緒に回った小学生の男の子は、会話で楽しむ鑑賞は難しくできませんでしたが、
ちょうど展示会場の途中に「触る絵本」がたくさんあり、そちらに興味津々でした。
触る絵本は、美術館のワークショップで作られたもので、テーマは今回の
展示作品の中からストーリを想像して作られたものでした。
絵本の中に出てくる絵は、どこにあるかなぁ、と実際に展示室に探しに出かけました。
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でも、中学生になると、だいぶ鑑賞が深くできていたようです。
『待月』が一番印象に残ったと言う中学生の感想を聞かせてもらうと、
「絵の中に月が描かれていないのに、月を感じることができたところが、
面白かった」とのことでした。
浴衣や扇子の絵柄から、月を感じ、また人物の後ろ姿から、その風情や
情緒をしっかり感じられていたので、感心しました。
最後に、グループごとの感想を聞いた後、学芸員の尾崎さんから、9つの
テーマごとの意味や内容の詳しい解説がありました。時間のない中で丁寧に
説明していただき、学芸員さんの展示に対する熱い思いが伝わってきました。
参加者の感想で、テーマの意味や答えが分らなかったという声があり、
がっくりされていましたが、充分、作品に入り込むきっかけになったと思います。
ビューでは、見えない人がいることで、作品を言語化してやりとりすることで、
必然的に作品にむき合いメッセージを読み取っていきます。
その中で作品が最も心に響いてくるのは、鑑賞者のごく個人的な経験や感情と
作品のメッセージが合致する時です。
今回も、展覧会のタイトルどおり、たくさんの「一会」が生まれたツアーに
なったのではないでしょうか。
さて、今回一緒にコーディネイトをした山川さんの感想と、3つのグループの
鑑賞の様子を紹介します。
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会話を聞いて作品を想像して下さい |