── 高内洋子 ──
3月18日、金沢21世紀美術館にて鑑賞ツアーを行いました。「ちょっと遠出の鑑賞ツアー」は
ビュー初めての試みです。
早朝8時半にJR京都駅で集合し、特急サンダーバードに乗って、いざ金沢へ。
車窓から見える雪景色も旅行気分を盛り上げてくれます。
約2時間で金沢駅到着。金沢在住の参加者と合流し、タクシーに分乗してまずは
「近江町市場」へ行きました。グループ単位で市場内を散策し、海の幸を
めいっぱい堪能することができました。
さらにタクシーで移動して、本日メインの「金沢21世紀美術館」へ。
レクチャールームに集まり、学芸員さんから展覧会や21世紀美術館についての
お話をうかがいました。
建物はお皿にのったドーナツのような形をしていること、
現在おこなわれている展覧会の見どころなど、見えない人も、見えにくい人も、
見える人も想像力をかき立てられるような説明でした。
グループごとに分かれて、鑑賞スタート。大きく4つの展示エリアに分けられた館内を
順にまわりましたが、作品のひとつひとつがわたしたちを足止めしてやまず、
作品の力に引っ張られ続けた1日でした。
一作品だけが展示されている部屋では、自分と作品との境界が曖昧になるような
感覚にさえ陥りつつも、見えない人の言葉でその都度自分の足下を確認していました。
最後に再び集まったときの話からも、各グループで盛り上がった様子が伝わってきました。 |
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見えない/見えにくい人との鑑賞には言葉によるコミュニケーションが不可欠です。
そのことを反映した「静かに鑑賞しない」という鑑賞ルールがビューにはありますが、
それでも普段なら、シーンと静まりかえった美術館の中で少し遠慮気味に
鑑賞することがほとんどです。
しかし、金沢21世紀美術館では、一般の入館者が子どもから大人まで自由におしゃべりしながら
生き生きと鑑賞している姿がとても印象的でした。
感じたことを言葉に出して交換し合い、同じひとつの物事に対して
共感したり感動を分け合うという「当たり前の体験を、当たり前におこなう」ことが
許された空間であることに、大きな感銘を受けました。
アートをもっと自由に見てもいい、もっと本気で楽しんでもいいという
この美術館のスタンスに、「日本でもトップクラスの入館者数を誇る」理由の一端を
垣間見たような気がします。
一日中楽しくって仕方がなかった今回の遠出ツアー。車内からノリノリだった
京都チームのみなさん、金沢から合流して盛り上げてくださった金沢チームのみなさん、
どうもありがとうございました。
最後に、今回のツアーを裏で支えて表で盛り上げてくださった金沢21世紀美術館エデュケーターの
吉備様をはじめ、美術館スタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。
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