第31回美術鑑賞ツアー
美術館の旅〜金沢21世紀美術館

 
 


2012年3月18日(日)
場所 金沢21世紀美術館
参加者 見えない人・見えにくい人 : 4名
見える人 : 5名
金沢からの参加者(見える人) : 3名
ビュースタッフ : 4名

── 高内洋子 ──

近江町市場  3月18日、金沢21世紀美術館にて鑑賞ツアーを行いました。「ちょっと遠出の鑑賞ツアー」は ビュー初めての試みです。
早朝8時半にJR京都駅で集合し、特急サンダーバードに乗って、いざ金沢へ。 車窓から見える雪景色も旅行気分を盛り上げてくれます。
海鮮どんぶり
 約2時間で金沢駅到着。金沢在住の参加者と合流し、タクシーに分乗してまずは 「近江町市場」へ行きました。グループ単位で市場内を散策し、海の幸を めいっぱい堪能することができました。

レクチャールームにて  さらにタクシーで移動して、本日メインの「金沢21世紀美術館」へ。 レクチャールームに集まり、学芸員さんから展覧会や21世紀美術館についての お話をうかがいました。
建物はお皿にのったドーナツのような形をしていること、 現在おこなわれている展覧会の見どころなど、見えない人も、見えにくい人も、 見える人も想像力をかき立てられるような説明でした。

 グループごとに分かれて、鑑賞スタート。大きく4つの展示エリアに分けられた館内を 順にまわりましたが、作品のひとつひとつがわたしたちを足止めしてやまず、 作品の力に引っ張られ続けた1日でした。
一作品だけが展示されている部屋では、自分と作品との境界が曖昧になるような 感覚にさえ陥りつつも、見えない人の言葉でその都度自分の足下を確認していました。
最後に再び集まったときの話からも、各グループで盛り上がった様子が伝わってきました。
鑑賞の様子1 鑑賞の様子2
鑑賞の様子3 鑑賞の様子4
 見えない/見えにくい人との鑑賞には言葉によるコミュニケーションが不可欠です。 そのことを反映した「静かに鑑賞しない」という鑑賞ルールがビューにはありますが、 それでも普段なら、シーンと静まりかえった美術館の中で少し遠慮気味に 鑑賞することがほとんどです。
しかし、金沢21世紀美術館では、一般の入館者が子どもから大人まで自由におしゃべりしながら 生き生きと鑑賞している姿がとても印象的でした。
感じたことを言葉に出して交換し合い、同じひとつの物事に対して 共感したり感動を分け合うという「当たり前の体験を、当たり前におこなう」ことが 許された空間であることに、大きな感銘を受けました。 アートをもっと自由に見てもいい、もっと本気で楽しんでもいいという この美術館のスタンスに、「日本でもトップクラスの入館者数を誇る」理由の一端を 垣間見たような気がします。

 一日中楽しくって仕方がなかった今回の遠出ツアー。車内からノリノリだった 京都チームのみなさん、金沢から合流して盛り上げてくださった金沢チームのみなさん、 どうもありがとうございました。

 最後に、今回のツアーを裏で支えて表で盛り上げてくださった金沢21世紀美術館エデュケーターの 吉備様をはじめ、美術館スタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。


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