今回から数回に分けて、MTGのコレクションに関する話題を書いていきたい思います。今回は、MTGのカードをどちらかというと、「カードゲーム」としてよりも、「トレーディング・カード」として見てしまいがちな、コレクター という人々について、書いていきます。
さて、ひとくちにMTGのコレクターといってもいろいろな人がいます。私のようにエラーカードに興味を持つ人もいれば、特定のカードばかりたくさん集める人もいるし、アーティストのサインカードを集める人もいます。
そこで、色々なサイトやオークションなどを参考にして、MTGのコレクションの仕方を大きく分類してしまおうというのが今回の主なテーマです。
★この7つの分類は、便宜上単純化したもので、例えば、「絶版の特定カードコレクター」などというように、いくつかのカテゴリーにまたがって集める人も多いと思います。
最もオーソドックスなコレクションの仕方です。MTGのカードセットは、基本セットと、エキスパンションからなりますが、そのセットに含まれる全ての種類のカードを収集していくコレクターです。コレクターでない人でも比較的その感覚は理解しやすいと思います。
コンプリートは、プレミアム・カードまで揃えるかどうかでその難易度が変わってきます。色々な絵を見て楽しみたいというだけなら、プレミアム・カードまで集める必要はないと思います。同じ絵柄の特別仕様に過ぎないですから。でも、光り物に弱いとか、レアものに弱いとかという人なら、知らず知らずのうちにエスカレートしてしまうかもしれません。
一気にコンプリートセットを買ってしまうのではなく、少しずつ集めてファイルを完成していく楽しみを味わうのもこのフルコンプリートの醍醐味だと思います。
販売促進などの目的で刷られたプロモーション・カードや、プレミアム・カードを収集するコレクターです。フルコンプリートを目指す人もいれば、自分の好きなカードや、有名なカードに絞って集める人もいます。
フライデー・ナイト・マジックなどのイベントや、会場限定販売などによって配布されるカードを集めるコレクターです。
プロモーション・カードの収集のコツは、そのカードが発行されてすぐは買うのを控えることです。一つ例を挙げると、Crusade(十字軍)という白のカードのプロモーション・カードがありますが、このカードは、発行された当時は世界に20枚しかないなどと噂され、5万円などという値段がついていたことがあります。ところが、それがデマだったことが判明して、今では2,000円ほどまで価値が下がってしまっています。
このように、プロモーション・カードについては、すぐに飛びつかないほうが懸命かもしれません。後で買ったほうが大抵は値段が安くなることが多いようですから。
ウルザズ・レガシーから登場した、箔押し加工を施した光るカード(Foilカード)のコレクターです。
MTGのカードは、絵柄が特別いいカードは別として、普通はそのカードの効果が強いものは値段が高くなります。プレミアム・カードも同様です。そのため、エキスパンションが出たばかりの頃でまだカードの強さが分かっていない時期に買ってしまっておけば、後で買うより安く買えることもあります。
とはいえ、逆に強そうに見えたけれど、結局日の目を見なかったカードは値段が下がっていくので、どちらがいいとも言えません。とどのつまりは、カードを見る目が大事なのかもしれません。
基本セットのアルファ版やベータ版、エキスパンションのアラビアンナイトやアンティキティ、レジェンドなどのMTG黎明期のカードを集めるコレクターを指します。
中でもアルファ版やベータ版は非常に強力なカードが多いセットです。そのうえ、印刷数が少ないため値段が他のセットの数倍〜数十倍はします。中でも、Black Lotusというカードは、状態が良いと15万円を下らないといいます。しかも、PSA という鑑定を受けて、最高ランクのPSA10を受けたものでは30万円を越すというから驚きます。その他にも、高額なカードが目白押しのセットで、熱狂的なコレクターが日夜買い集めています。
しかし、絶版カードは単に値段が高いだけではありません。その絵柄も現在のMTGとはまた違った趣で、想像力をかきたてるような幻想的なものとなっています。今のMTGの絵は、どちらかというと写実的な面持ちのものが多いので、絶版カードはまた違った味があり、新鮮だと思います。
ただし、初心者のコレクターが絶版カードに手を出すと、状態が悪いカードを高値で売りつけられたり、フェイク (偽造品)をつかまされたりすることにもなります。また、これを逃すともう二度と手に入らないかもしれない、などと思い余って余計に高い値段で買ってしまうかもしれません。
初めから無理に高額カードを集めようとするのではなく、自分の財力とも相談して余裕を持って集めた方がいいと思います。といっても、結局は絶版カードに魅せられた人の行き着く先は、Black Lotusなんでしょうけど。
特定のカードのみを集中して集めるコレクターです。これも、更にいくつかに分類できます。
特定のクリーチャー・タイプのみを集めるコレクターです。例えば、ドラゴンだけをひたすら集めたり、天使だけでファイルをいっぱいにしたりと、かなりコンセプトのはっきりしたコレクションの仕方でしょう。
特定のカード・タイプのみを集めるコレクターです。土地やアーティファクトのコレクターが特に多いようです。これも非常に分かりやすいコレクションの仕方です。
同じ機能を持つカードを集めるコレクターです。例えば、カウンターや手札破壊、火力などが代表的です。集めていくとそのタイプの呪文の変遷も見て取れるようになる、興味深いコレクションの仕方です。
同じアーティストによって描かれたカードのみを集めるコレクターです。Rebecca GuayさんやJohn Avonさんなどのコレクターが有名です。同時にサインカードや、アーティストプルーフを収集する人も多いです。(以下の「6.アーティスト関連」も参照してください。)
そして、更にマニアックなのが、特定の名前のカードだけをひたすら集めるコレクターです。同じ絵柄のカードがずらっとファイルいっぱいに並べられている様子は、ある意味壮観です。ある特定のカードによほど思い入れがないとこのコレクターは目指せないでしょう。
また、このコレクターの中には、有名で強力なカードを集めるのではなく、無名な、時として全く使えない弱いカードを集める人もいます。他のコレクターにもまして熱意のあるコレクターだと思います。
エラー・ミスプリントカードをひたすら集めていくコレクターです。エラーカードは確かに見た目が非常に面白いものもありますが、ただそれだけを集めていくとなると相当の変な趣味の人でないとできない芸当だと思います。このコレクターもいくつかに分けられます。
どんな些細なエラー(ジャンク)でも構わず集めてしまうコレクターです。人に見せて驚かせたいというよりは、他に集める人がいなさそうな変なものを集めるというその行為自体に楽しさを見出せるコレクターです。
値段の高低にかかわらず、すこし見ればすぐエラーカードだと分かるようなものだけを選んで集めるコレクターです。このタイプは、集めることも楽しみですが、それ以上に人に見せて驚いてもらいたい感情が高いコレクターです。
希少度と価値の高いエラーのみを集めるコレクターです。サマーマジックのみに特化して集めるコレクターがこの典型です。エラーそのものよりも、希少度や値段が高いことに魅力を感じるコレクターでしょう。
色々とタイプが分かれますが、エラーカードを集めるという行為自体が、他のコレクターに比べてあまり理解されにくいかもしれません。一つや二つなら持っておいてもいいと思う人はいるかもしれませんが。ともかく、おしなべてかなり重症のコレクターだといえるでしょう。
MTGの絵は様々なアーティストにより描かれていますが、そのそれぞれのアーティストの絵に特に魅せられたコレクターです。このコレクターも、いくつかに分かれます。
まずは、アーティストのサイン入りのカードを集めるコレクターです。黒マジックでサラサラと書かれたものや、金・銀のペンで書かれたもの、ちょっとした絵が添えられたものなどバリエーションは様々です。
入手方法としては、他のカードとたがわず、お店やオークションで買うのが最も早い方法です。ですが、大会などに来るアーティストにサインを頼んだり、アーティストの住所に了解を得てカードを送って書いてもらったりする方法もあります。こうした方法だとアーティストとのやりとり自体からも面白みを感じることができます。
次は、アーティストプルーフを集中的に集めるコレクターです。アーティストプルーフとは、新たなエキスパンションが出るたびにそのカードの絵柄を描いたアーティストに配られる、裏面が真っ白(表面は通常版と同じ)な、カードのことです。一つの種類につき50枚しか配られないため、貴重だといえます。ですが、オフィシャルな大会では使用できません。
アーティストが自由に裏面に色々なサインや絵を描くことができ、裏面に描かれた絵には他にはない味があります。こうした、コレクションのためだけにあるようなカードを集めるということ自体が、既にかなりディープなコレクターの証でしょう。
そして、更に深みにはまると、原画コレクターになります。これは、アーティストプルーフでは飽き足らず、そのカードの絵の元になった原画自体を集めてしまうコレクターです。
原画はそれぞれ世界に一枚しかないため、目当ての原画を手に入れるのは非常に難しいといえます。ただ、もはやカードコレクターではありませんが。しかし、そのアーティストの絵柄に惚れ込んだからこそ原画に手が伸びるわけで、他のコレクター以上に純粋なコレクターともいえます。
なお、原画の代わりに原画の原寸大プリントを集める人もいます。値段は、原画の数十分の一で済むので、より多くのカードを大きな絵で見たい、という人向きの集め方かもしれません。
英語と母国語以外の言語のカードを集めるコレクターです。読めないカードでも、ファイルにずらっと並ぶと壮観ですし、その多彩な文字の違いを比べるのも面白いかもしれません。中には、他言語版も含めてフルコンプリートを目指す人もいます。
ただ、日本や英語圏のショップなどではなかなかそれ以外の言語を手に入れるのは難しいでしょう。でも、そういった困難さがあるからこそ、余計コレクションしがいがあると思います。
集めないにしても、見かけたら手にしてみるとまた新鮮だと思います。その言語にしかない特徴、味がありますから。その時は、多言語版判別法も参照してみてください。
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