#6 ディスカス>S.フォッケ博士のディスカス、色彩、色揚げ ヒロちゃん 動物&植物SIG FORUM8 #4125 93/5/14 #4263 93/6/1 #6193 94/3/1 より転載 ヒロちゃん ID:RBE21221 *シュミットフォッケ博士のディスカス(#4125 93/5/14) シュミットフォッケ博士の系統を維持されている方は、ドイツに沢山居ますが、 どちらかと言えば、フォッケ博士の系統を維持しているというより、その魚の作出 者だったりするんです。 それは、元々、ディスカスの改良が複数のグループで行われていたので、必ずし もフォッケ博士が手掛けたものではなく、むしろフォッケ博士が世界へ紹介したデ ィスカスと呼んだほうが正しいのです。 フォッケ博士のディスカス一番のバイヤーである、ハイコ氏はフォッケ博士の名 を冠した方がディスカスが良く売れるため、その手のディスカスには殆ど付けてい たのではないでしょうかね。 フォッケ博士の最初のターキス(ターコイズ)といえば、原種ロイヤルグリーン ディスカスをベースにターコイズ部分の色彩を強調したものですが、これが最初の ドイツターコイズのはしりです。 勿論、このターキスは全くワットレイ氏の血統とは別のものです。 そして、もう一つの、ロートターキス(レッドターコイズ)はリオ・トゥロムペ ス河で採れたトマトレッドの原種ディスカスに大型のロイヤルブルーディスカスを 交配したものでした。 これが、ドイツターコイズの全ての元親になっているそうです。 そして、その後に、ロートターキスに米国ワットレイ氏のターコイズディスカス を導入したフラーケンターキス、ブリランテターキス、コバルトブラウターキス等 などが、フォッケ博士を囲うグループによって作出されました。 (一部本人作出もあり) ドイツターコイズの元といえば、ワットレイの第二系統の血が導入されていると 雑誌で良く見ますが、一般的には、第一系統が良く使われていたようで、実際にワ ットレイ氏が見捨てた系統にはドイツ人もそれほど魅力を感じなかったのではない でしょうかね。 そして、フォッケ博士はグループ以外、個人的には原種クロスの方を多くやって いたようで、その時、出現したのがブラウンパール等のパール系のディスカスです。 このパール系もグループ内で更に改良されていた様ですが、フォッケ博士は、原 種どおしのクロスのF1辺りに、このパール系が出現すると述べていました。 もう一つ、原種というと、ヘッケルクロスが有名ですね。 これも本に紹介されるような個体の出現率は大変低く固定もされなかった様です。 そして、最後の方では、ブレハ氏が元親を提供したといわれる、ご存知のアレン カーレッドディスカスです。 そうそう、忘れそうになったけど、忘れてならないのはヤット氏のレッドスポッ テッドグリーンの元親となったグリーンディスカスですね。 フォッケ博士はこのF1を50尾程採ったそうで、その半分をヤット氏に委ねた そうです。 ヤット氏は、委ねられた稚魚に赤くなる餌を与えていたら現在の様なレッドスポ ットが現れたそうで、それをフォッケ博士に伝えたら大変驚いたそうです。 何でも自分の所に残った稚魚には少しもそう言った斑点が入らなかったからです。 (あのレッドスポットグリーンには赤い餌が必要なのがここで解ると思います。) ヤット氏は、そのF1の中から見てくれの良いものを選んで、F2(ヤット氏の 所では1世代目)をとり、それをフォッケ博士に送り返したそうで、それが今、ゲ ーベル氏の方のレッドスポット系の元となっているようです。(そうだ、レッドス ポットグリーンの純系なら唯一シュミットフォッケ純系のディスカスということに なりますねー。) とまあ、ざっとフォッケ博士の仕事ですが、博士の手で固定されたというのは、 せいぜいロートターキス(少なくともF5までの系統繁殖の記述は残っている)く らいで、他のは原種クロスばかりで、その形質が固定されたものはないんです。 FM5月号を見れば分かると思いますが、アレンカーも純系F2となると立派な レッドターコイズと変貌してしまうのです。 博士の全ての系統を持っているというカナダのデールジョーダン氏というのは、 確かにフォッケ博士の魚の血を引くディスカスをもってはいるのだとは思いますが、 その形質を維持するには、純系と言うわけには行かないのと、フォッケ博士の系統 の9割以上は事実上消滅しているのです。(純系等はいないはず。) そこで、ジョーダン氏は、フォッケ博士が公開している、原種やターコイズの交 配の方法を真似て系統の復活を手掛けているそうで、結局、全系統維持というのは、 バイヤーとしての売り文句の為ではないでしょうか。 10年程前ですが、シュミットフォッケ博士の本当の純系、ロートターキスを手 に入れるチャンスがあったのですが、残念ながら懐具合が寂しく買えなかったのが 、いまだに悔しくて仕方ありません。 その個体は、山田氏のディスカス百科に紹介されている、マナカプルレッドター キスと大変良く似ている、とにかく素晴らしい個体でした。 あと、リチャード・ファイラー氏は原種クロスがメインで、ゲーベル氏やホーマ ン氏から譲り受けた、原種に近い系統のディスカスに更に原種をクロスするという のが、多いようですね。 恐らく、フォッケ博士のアレンカーF1クラスの質の良いレッドターコイズを狙 っているのではないかと思えます。 *補足 ターキス フォッケ博士が、原種のロイヤルグリーンから作出したターコイズディスカス。 日本では、滅多に輸入されなかったが、手に入れる事が出来た人の話しによれば 、品質が大変悪く、ただの安物グリーンといった個体が多かったとの事。 それを売った本人が、そこへ訪れた際、この変なブルーディスカスは何?、と思 わず聞いてしまったそうだ。 ロートターキス 原種のトマトレッド色のブルーディスカスにロイヤルブルーを交配し、フォッケ 博士が直々に固定した系統。 太い、ターコイズブルーを持ち、真っ赤な地膚を持つのが特徴で、少なくともF 5までは世代を重ねているが、フォッケ博士は、その傍系でレッドロイヤルブルー 等との交配をして、赤色を追求していた。 フラーケンターキス ロートターキスと、ワットレイ第一系統の交配により作出された。 フラットターコイズ、フルカラーターコイズといった名前でも輸入され、赤い地 膚の全身にストライプのターコイズブルーが入る品種。(この頃、全身ターコイズ ブルーが入るというのはワットレイ以外では希だった。) ブリランテタ−キス フラーケンターキスにもう一度ワットレイ第一系統を交配し、出現させた、フル ベタの系統。 元々、ブリランテターキスとは、その中で希に出現したフルベタの個体に冠せら れたのだが、ストライプが強く地膚が赤い個体の出現率が圧倒的に高かったので、 現在では、ストライプで赤い地膚を持つタイプがブリランテと呼ばれる様になって しまった。 日本では、一般的にブリリアントターコイズと呼ばれている。 コバルトブラウターキス フルベタのブリリアントターコイズの中で、更にコバルトブルーの色彩(濃い青 、今で言うブルーダイヤクラス)が選別され独立した系統。 日本では、コバルトブルーとして販売されたが、売られていた殆どのコバルトは 、実はフラーケンクラスをドーピングした真っ赤な偽者で、また、本物でもその固 定率は大変低く、本物の色彩を持った個体を入手した人は、日本では皆無に近い。 (原田氏のモルフォ系の元親は、それの本物かも知れない。) ブラウンパール 原種で異種間の交配時に出現した、ターコイズブルーが数珠状に連なるパターン を持つディスカス。 一般には、レッドパールとか、SF3とか言われて、とっくに純系ではないにし ろ、結構、オリジナルに近い形質を維持しており、現在でも希に入手できる。 私が、ディスカスで最も好きな系統。 似たような、色彩で、チェッカーボード、こちらもレッドパールと言う品種名で 売られているが、こちらのは、パールの粒が大きくなったようなのが多く、パール と呼ぶにはふさわしくない個体が多い。 しかし、極希に、大変素晴らしい、完璧なパールの個体を見つけることもある。 ヘッケルクロス ターコイズディスカスにヘッケルディスカスを交配した系統。 最近、日本でもとにかく多く交配されているが、フォッケ博士が作出したような 、完璧なブリリアントターコイズにヘッケルバンドが入ったような個体には巡りあ った事がない。しかし、本当にヘッケルバンドが美しいかは疑問だ。 ヘッケルの持つ、細かいストライプパターンが大変美しいのだと思う。 私には、フォッケ博士がヘッケルクロスに期待したのは、本来そう言った色彩の 様に思う。 アレンカーレッド(アレンクェルレッド) 言わずと知れた、最後のレッドディスカスだが、フォッケ博士は、最初にロート ターキスの元となった、原種のトマトレッドディスカスを再現したかったのではな いだろうか。 今は、あっちこっちでソリッドレッドディスカスとして冠せられたディスカスも 出荷されているが、その個体に近づいたのは見たことが無い。 トマトレッドディスカス(おまけ) この個体の写真は、ハイコブレハ・山田洋 著のディスカス百科(ハロウ出版) で見ることができる。 写真は、若干縦長に修正されているが、色彩は本物の様だ。 こういった個体にこそソリッドレッドと付けるべきではないだろうか。 ハイコブレハ氏は、よくこの魚を採取したのは自分だというが、単に、フォッケ 博士に送っただけの話しで、実際に採取したのは、地元の神父さんだという話しで ある。 その後も、アクセルロッド博士がそこを探査したそうだが、その様に赤いディス カスは発見出来なかったとのことだ。 ところで、リオ・トゥロムペス河というのは、どこなのか私も地図を見たのだが さっぱり分からないので、誰か知っていたら補足願いたい。 *ディスカスの色彩 ヒロちゃん(#4263 93/6/1) ディスカスの色彩というのは、ディスカス体表の問題で、赤い餌を与えたからと 言って、青いディスカスが極端に赤くなりません。 一般にディスカスの色は、地膚の、黒色細胞、黄色細胞、赤色細胞と、そして更 に表層の光反射によるターコイズブルーによって、決まるものと考えられています。 基本的に、色素細胞で決まる色彩の、黒、黄、赤、(白)等はそれぞれの勢力争 いで、ディスカスの地膚部分の色彩を決定していますが、ターコイズブルーといわ れる青は、更にその表層にありますから、そのターコイズブルーは他の色彩で消さ れる事はありません。 しかし、その地肌の色彩によって、表層のターコイズブルーはコバルトに輝いた り、エメラルドグリーンに輝いたり、見えるわけです。 一般的に、ブルーの濃さは表層による光の反射量に影響しますが、コバルトブル ーに近寄っているほうが、よりブルーの色彩が濃く見えるようです。 コバルトブルーというと、地膚が赤い場合で、エメラルドグリーンは、地膚が黄 色の魚に出現し、スカイブルーはどちらかと言えば灰色の地膚の魚に多いようです。 しかし、基本的に、地膚の色は魚の状態や周りの色によってかなり変化しますか ら、コバルトやグリーン色がいつも安定しているわけではありません。 ドーピングによる色揚げというと、この表層のブルーを多く出させるもので、そ れによってギラギラとした色彩になるわけです。 また、赤色の色揚げというと、ビタミンやエビのタマゴと表面的には言われてい ますが、売っているような毒々しいほどの赤色には、どうも染料が使われているよ うです。(いずれ、それについては解明できると思います。) しかし、多少不満はあってもエビのタマゴ等でも色揚げが出来ます。 私は、この場合の赤の色揚げには絶対賛成で、ディスカスの赤色細胞というのは、 自分で色素を持ってなくて、外部から必ず供給が必要と思っているからです。 また、その個体が持っている赤色細胞が多ければ、少ない色素の供給でも十分赤 色を発現でき、逆に赤色細胞が少ない場合は、大量の色素を供給することによって 、多少は赤色になると考えています。(目玉の色にも同様のことが言える。) これは、同じく黄色にも言えるのではないかと考えています。 そして、その個体差が、赤いディスカスか、他の色のディスカスかと決定付けるも のではないかと考えています。 黄色というと原種に多く、タンクブリードの1世代目等でも多く見られますが、ど うも、改良が進んでいくと、どうしても無くなって行く色彩の様です。 これは、黄色細胞が減っているのか、色素の供給が自然界程、十分では無いのかは 、ハッキリとはわかっていません。 しかし、黄色と赤色のハーモニーは大変綺麗なので、原種ブリードにチャレンジ している方には大変期待しています。 さて、本来の質問に対する解答ですが、オニテナガエビのタマゴの様な色揚げ飼 料は、ブルーを特徴とするディスカスにも、ブルーをより引き立たせるという意味 で大変有効です。 また、オニテナガエビの卵はハンバーグに混ぜても良いのですが、コストを考え るとクリルの粉末入りハンバーグを与えるとか、ディスカスフードを与えるとかの 方が良いと思います。 もちろん効果は落ちますが、そういう餌を長く与える事が必要に思います。(ク リルはあまり入れすぎないように。) また、ブルーで買ったディスカスが赤いディスカスに変貌するというのは、元々 ターコイズブルーの少ないディスカスにドーピングした場合に多く見られるものと 思います。 従って、何度も、お話ししている様に、そのディスカスはドーピングよって青い のかを良く見分ける必要があるのです。 そこで、色揚げを見分ける自身が無ければ、ブルーで名の馳せたディスカスを買 うのが、一番の安全パイということになるわけです。 私が結構モルフォ系を奨めているのは、その辺がしっかりしているのと、偽者が 大変見分け易い特徴を持っているからです。 また、ブルーダイヤにも同じ事が言えるのですが、しかし、こちらの場合、価格 が大変高いのと、販売されている個体の品質に大変バラ付きが多いため、どちらか と言えばモルフォ系をお奨めしているのです。 ただ、これに関しては、地域によって良いモルフォが入るところもあれば、ブル ーダイヤの方が良いものが手に入るところがあります。 また、エンランやワットレイ系となると、かなりバラ付きが激しいので、Lサイ ズ以上で購入しないと、その魚の将来は予測が出来ません。 王志華もブルー系はお奨めでありません。 ダイヤモンドブルーといっても、結構ストライプが残ります。 と、こんな具合ですが、良いディスカスを選んでくださいね。 *アスタキサンチンの色揚げ ヒロちゃん(#6193 94/3/1) *ディスカスの色揚げ 色揚げというと悪いイメージもあります。 ホルモン剤を使った、いわゆるドーピングによる青い色揚げ、染料の類を使った 赤や黄色の色揚げ、こう言った色揚げは魚体にもかなりの悪影響があるようです。 そして、その色揚げに耐えられない個体はポロポロと落ちて死んでいくのも多い のが現状です。 しかし、私の狙っているのは色素を添加する色揚げです。 ここではディスカスの話しが中心になりますが、ディスカスは赤い色の色素を体 内では作ることが出来ません。 しかし、個体差はありますが、赤色を発色する細胞は持っています。 この赤色を発色する細胞の量は、地域によって様々ですが、あの赤いスポットも その細胞が集まったものです。 原種が入荷してくると地域によって、最初から赤いスポットの個体も居れば、ス ポットは影の様に黒い個体、全くスポットも無い個体と様々です。これは、エビな どの赤色色素を持った餌を摂取できる地域の個体と、それら色素を持った餌を摂取 出来ない地域の個体の違いの様に思えます。 赤色細胞は、アスタキサンチン等のカロチンを吸収し細胞内に定着させて、赤色 を発色します。 つまり赤いディスカスは、この赤色細胞を多くもっているわけです。 しかし、赤色細胞が少ない個体でも、大量にこのアスタキサンチンを給餌すれば 、そこそこは赤くなります。 ただし、その赤色細胞の少ない個体は、カロチンの給餌を止めると短期間に退色 していってしまいます。 また、赤色細胞を多く持っている個体では、少量でも十分色が上がり、一度色が 上がると、給餌を止めてもほとんど退色はないようです。 (勿論、赤色細胞を持たない個体は、全く赤くならない。) 赤色細胞は、成長に従って増えていきます。 その増え方は、個体差があり、5センチサイズから随分赤い個体もいれば、成魚 になって完成する個体もいます。 これは、ターコイズディスカスのブルーの色彩も同じ様な事が言え、成魚になる までブルーを発色しない個体も居れば、小さい時から発色している個体もいます。 赤色に関しても、私は同じ様なものだと考えています。 よく、私の家に見えられると、ほとんどの方が、一番スポットの多い個体を指差 して、「これは、どうしたの?」と言われるのですが、その個体は、5センチサイ ズで購入した時、全くレッドスポットの無いただのグリーンディスカスを8千円で 購入したと言うと、皆さん驚きます。 実際、そうなる素質のある個体であれば、それだけの色を成長の過程で完成させ るので、安いスポットの無い個体を大事に育てるというのも、良い魚を安く手に入 れる手段の一つとも言えます。 (勿論、将来そうなるであろう個体を見極める力は必用ですが。) さて、赤色色素ですが、アスタキサンチンを含むものの中には橙色や黄色い色素 の、ゼ・アスタキサンチンを一緒に含むものが多いようです。 これらは、エビやカニ、そのた色々なものにも含まれていますが、それら、黄色 の色素の色素も一緒に与えた場合、妙なオレンジ色の不自然な色合いに仕上がる事 があります。 これらを、無くすためにアスタキサンチンのみを餌に配合するのが、もっとも手 っ取り早い方法です。 ACSが販売するディスカスハンバーグ・ライズロイヤルは、そのアスタキサン チンを配合したもので、かなり効率良く、そして綺麗な赤色をディスカスに供給し てくれるので、私はこれまで何度か利用してきました。 勿論、ディスカスフードも使用していましたが、赤色の綺麗な発色は、その比で はありませんでした。 しかしながら、コストがかかりすぎて自作をしなけりゃならないほど餌を使う私 には、高価な餌を定期的にしろ続けるには辛いところがありました。 そこで、アスタキサンチンを何とか手に入れたいと探していたところ、幸いにも 少量ですが分けて頂ける所が見つかりました。 今回は取り敢えず、テスト的に、一番アイアンさんと可良時寿子さんに、それを お分けした次第です。 しかし、残りは少量ですが、あと3名の方にはお分けできそうなので、海人さん 、アッカンさん、ゆうじさんに発送したいと思っています。(色々と頂いたものの 御返しに送りますネ。) 自家ハンバーグに混ぜて見てください。 食品添加物として、水産関係で使われているものなので、害は無いと思います。 (サケの色揚げに使われているものです。) PC-VAN RBE21221 / NIF HGB01564 ヒロちゃん