#24 濾過>嫌気性細菌、PSBについて 可良時寿子 動物&植物SIG FORUM8 #3638 93/2/20 より転載 可良時寿子 ID:KBB53931 RE:#3596 雑談>嫌気性細菌について... 聖闘士星天 うーむ、これは随分前に何人かで、ワイワイと論議したけど、もうスクロール して、消えているのだろうなぁ。 と言う事で、もう一度書く事にしよう。 ます、生物濾過には好気性細菌を利用する方式と、嫌気性細菌を利用する、 二つの方式があります。 二つの方式は全く同じ様なものでなく、嫌気性細菌を利用する方法は、汚染濃 度の高い水の処理に適しており、好気性細菌を利用する方法は低レベルの汚水処 理に適しています。 公共下水処理のように極端に汚い水を処理するときは、好気性細菌による浄化 よりも、嫌気性細菌の方が能率が上がります。 この時でも、高度に汚れた水を一気に浄化できるのではなく、先ず嫌気性細菌 で処理し、有る程度きれいになると、こんどは嫌気性細菌では処理の能率が上が らないので、好気性細菌で最終処理をするという2段処理が必要となります。 しかし、実際には、処理コストが高くつくという事で、嫌気性細菌で汚水処理 をしている下水処理場が有るという話しは聞かず、好気性細菌を利用し、汚水を 処理済みの水で適当に薄めながら処理しているようです。 そこで、コストを有利にするため、下水処理場で増えたPSBを乾燥して、こ れをビタミンB12(これを混ぜると魚の色が鮮やかになるので、鯉の餌などに 混ぜられている)の原料として販売すれば、好気性細菌による処理コストと対抗 でき、実用化出来るのではないかなどという案も検討したようですが、それでも 無理なようです。 まぁ、下水処理場の拡張の余地が無くなり、処理コストにかまっていられない という状態になったら、狭い敷地の中で能率良く処理するという事で、採用され る可能性が有りそうですね。 水槽の中のように、生物が生存できる程度の汚れで有れば、好気性細菌を利用 する方が能率が上がるという事と、コストがやすいという事で、嫌気性細菌を利 用するメリットが余り見いだせません。 アマチュアが、熱帯魚の飼育にPSBを上手く使って成功した例は、1つだけ 知っています。 ドワーフ・グーラミィとか、ベタの様に小さな魚を繁殖したとき、インフゾリ アの代わりに餌として与えたら、結構代用になったと言う事です。 でも、これは濾過という目的とはかけ離れて居ますね。 で、電球型のボトルの話しに移ります。 確かに、光合成細菌ですから、透明な容器にいれて、光を当てようというの は、一見順当な発想です。しかし、これも自然界でPSBが働いているところ は、太陽の直射日光を受けており、水槽の蛍光灯の光に比べ、100倍以上の明 るさがあると言う事を忘れないで下さい。 京都に在る、桂水族館と言うショップで、棚の隅に置かれているPSBのボト ルを手に取って眺めていると、 『あぁ、それ、良かったら、持って帰って下さいよ』 と言われたので、お言葉に甘えて無料で頂き(つまり、問屋が置いて行っても、 客に売りたくないと言うショップも有るという事)この真似ごとをしました。 プラスチックの蓋がついた、ガラス製の資料瓶を用意し、このPSBを入れま す。 蓋には穴を開けて、手芸用のヒモを通し、適当な石を縛りつけると自家製水中 ダムの出来上がりという訳です。 資料は5個作り、ヒモを通す穴の大きさを少しずつ変えて、PSBが出入りす る量の違いを観察できるようにしました。 1カ月もすると最も穴の小さな1個を除き、中身は透明な水になりました。 (特有の臭いは残っていました) ここで、ちょっと立ち止まって、考えてみましょう。 PSBが濾過の役割を果たせるのは、酸素が殆ど無い所ですから、穴から外に 出た菌は、魚が呼吸できるほど酸素が多い環境では働く事が出来ず、瓶の中でだ け働いていると考えられます。 瓶の中の溶液が外に出たのと同じ分量だけ、入れ替わりに水槽の中の水が瓶の 中に入り(まさか、液体の出入りはなく、菌だけが器用に逃げ出してとも思えな い)、ここで、有害な窒素化合物が理想的に分解されていると仮定します。 もし、そうなら、瓶の中は炭酸ガスと窒素ガスが充満し、液体は外に押し出さ れるはずですが、実際には瓶の中の水面の位置は変わりません。まぁ、これらの ガスは、ヒモを通した穴から拡散したと好意的に解釈する事にしましょう。 で、瓶の体積は100cc程ですから、1カ月で透明になったと言う事から、 1カ月で100cc程の水槽の水が瓶の中に入ってきれいさっぱりと浄化された と仮定します。 水槽の水は100リッター以上有りますが、1カ月掛けて、その中の 100ccがきれいになっても、比率にすれば0.1%であり、水槽全体として は、浄化された中に入るでしょうか。まぁ、ネオン・テトラ1匹分位の排泄物は 処理できているかも知れませんね。 こんな事なら、毎日コップ1杯の水替えをする方が余程ましです。 或いは、適当な水草を1本植えて置く方が遥かに効果が大きいはずです。 もうひとつ。 蓋に開けた穴の一番小さな1本の瓶だけは、何時まで経っても中のPSBの色 が薄く成らず、却って濃いオレンジ色に成ったようです。 きっと、条件の違いで、この瓶の中だけは菌が増殖したと思い、それでは増殖 した菌を使って、別の実験をしようかと言う事で、この瓶を取り出し、蓋を開け て驚きました。 中の液体は透明なタダの水で(特有の臭いは残っている)、瓶の内壁にだけオ レンジ色のカスがべったりとついて居ただけですが、光の屈折率の加減で、オレ ンジ色の液体が詰まって入るように見えていたという事です。 前回、ここでPSBが話題になったとき、他の人も、瓶の内壁にだけオレンジ 色の幕が張り、中身は透明であったと報告した人が居るので、これは一般的に起 きる現象だと思います。 ショップの水槽には入っている電球型の水中ダムも、相当穴を小さくして有る と思いますが、古くなったとき、あのオレンジ色が、液体の色か、容器の壁につ いた汚れであるかは、判断に迷うところですね。 なお、PSBを養殖魚とか、家畜の餌に混ぜると、体重増加が僅かに速いとい う説もありまして、こちらの方は、真面目なレポートかも知れませんが、濾過と いう目的とは全く関係が無い話しです。 勿論、ここで混ぜると言うのは、広告にあるように、餌を湿らせる程度に振り かけるなんてなまやさしいものでは無く、乾燥したPSB菌体を大量に与えると いう事です。 こうなると、研究としては意味があっても、事業となると、乾燥PSBを大量 に食わせたら、コストが引き合うかどうかも怪しい。 これも、全国の下水処理場が嫌気性細菌による処理法が主流になり、副産物の PSBが大量に、かつ安価に出回れば実用になるかも知れない。 しかし、これも水槽の濾過とは関係の無い話しですね。 | PSBって結構売れているし、雑誌なんか広告なんか よかったーって | おたより ばっかし(ますます気になる....) この手の広告の内容は、その気になれば、確認する事も出来ますね。 まぁ、「ユーザの声だけを強調しなければ成らない」ような商品の広告と言う のは、客観的な効果を宣伝する事の出来ないものと考え、信用はして居ません。 広告に出てくる名前を見ると、私が知っている実在の人物が少なからず見受け られますから、それらの人がハガキを出して、住所、氏名を広告主に知られる事 になったのは確かで、架空のユーザばかりとは言えません。 ためしに、効果には一言も触れないで、『使ってみました』ってだけ書いた葉 書を出してみましょう。 きっと、熱烈なPSB教信者として、広告に載せてくれると思います。 (某NETの過去のログを読むと、「ハガキを出しただけで、名前を利用され たー」って、グチッていた人も有ったようようですから、どういう利用のされ方 をするか、後の責任がもてませんが) ASCII/net55370 NIFTY/NCC02701 PCVAN/KBB53931 Oo。(^。^)y-゚゚゚ 可良時寿子