#37 熱帯魚への誘い>(3) 可良時寿子 可良時寿子 ID:KBB53931 ◆ 水替え。 濾過バクテリアが十分繁殖すると、魚の排泄物のアンモニアが分解されるので、 水質の悪化は防げますが、アンモニアが分解された結果として硝酸が出来て、こ れが水槽の中に蓄積されると、自分の生成物に自家中毒を起こし、濾過バクテリ アが十分活動できなくなります。 また、硝酸が蓄積していると濾材の中にゴミが溜まり、水の流れが悪くなり酸 欠状態になったときに、硝酸が還元されて、亜硝酸やアンモニアに戻り、一気に 水質の悪化を招く恐れもありますから、定期的に水槽の中に蓄積した硝酸を水槽 の外に捨て、新しい水を補給すると言う『水替え作業』が必要になってきます。 水替えの方法としては、熱帯魚用のサイフォンを使って、底砂の中の大きなゴ ミ(糞とか餌の残り)を吸い出します。 サイフォンの使い方は、太いほうを水槽の中に入れ、排水をバケツで受ける様 にしながら、「パコパコ」と数回ポンプを押さえてやると水が出るように成りま すから、水の出口を指で塞ぎ、サイフォンの太くなった部分を垂直に底砂のなか に押し込み、出口の指を緩めると、サイフォンのパイプの中に砂の中のゴミが舞 い上がってきて、ゴミだけを吸い出すことが出来ます。 水の勢いが強いと、重たい砂まで一緒に出てきますから、出口に当てた指で水 の勢いを調節して、ゴミだけを取るように練習して下さい。 綺麗な水が出てくるようになれば、指で出口を塞ぎ、水を止め、サイフォンを 真っすぐに上に持ち上げ、サイフォンの筒の中の砂が下に落ちたところで、少し 隣に異動し、少しずつ掃除をする位置をかえながら、同じ要領で、底砂全面を掃 除します。 この時、サイフォンを砂のなかに押し込んだまま横に異動すると、砂の中のゴ ミが水中に舞い上がり、古い水槽であれば、砂のなかに淀んだ亜硝酸等を水中に まき散らすことに成りますから、吸引場所の異動は、必ずサイフォンを底砂の中 から上に引き上げて行なう必要があり、未だゴミの溜りの少ないうちに、 サイフォンの使い方を良く練習しておく必要が有ります。 底砂を一通り掃除をすれば、後は水槽の水が半分になるまで捨てますが、この 時、上部フィルタを使用していると、インペラが水面上に出てモータが空回りに なるので、上部フィルタのモータは止めておいて下さい。 こうして、排水が終われば、次は注水です。 新しく入れる水は、普通、上水道の水を使うと思いますが、上水道の水には、 殺菌の為に塩素(カルキ)が注入されており、水道法では、一般家庭の蛇口の処 で測定して、0.1ppm(ppmは濃度の単位で1/100万、つまり、水1 トンに1グラムの濃度で1ppmと成る)以上の残留塩素が存在することを義務 付けられていますから、この水をそのまま使ったのでは、魚が死んでしまうので、 なんらかの方法で、水中のカルキを取り除く必要が有ります。 カルキを除去する方法としては、 A、紫外線(太陽の直射日光)に当てる。 B、イオン交換樹脂や活性炭で化学的に吸着する。 C、長時間エアを吹き込み、空気と塩素を入れ替える。 D、ハイポ(チオ硫酸ソーダの結晶)と化学的に反応させ、無害な食塩に 変えてしまう。 等の方法があり、世間に出回っている入門書には、Cの方法、つまり、もう一本 予備の水槽を用意し、一晩以上エアレーションした水を使うと言う方法が推奨さ れていますが、実際には予備の水槽等置くスペースが無いとか、そんな水槽があ れば、それにも魚を飼育したいというのが人情というもので、自分でも実行した ことの無い難しいことを奨める、無責任な評論家が結構多いものです。 これは例え理想的であっても、わが国の住宅事情からすれば、たかただか1週 間に1回の水替えの為に、カラの水槽の為のスペースをとる等というのは、ごく 一部の恵まれた人だけに許される贅沢であり、こんなことを主張する人は、これ から熱帯魚を楽しみたいと思っている人に対し、『熱帯魚を飼うのはこれだけ大 変なのだ。お前達庶民は手を出すな』と脅かし、これを飼っている私は選ばれた エリートだ、等と言いたい、時代を50年ほど間違っている似非エリートで有る か、実際には自分も含めて誰も実行していないことを、さも大事そうに、難しい 理屈をコネ回して大げさな文章をデッチ上げて、原稿料を稼ごうとしている質の 悪い評論家ですから、こんに無責任な空論に惑わされてビビル必要はありません。 私は、もっとも簡単で、大した経費も掛からず、しかも確実な、Dのハイポを 使う方法を奨めます。 ハイポは小豆粒を少し小さくしたような結晶が熱帯魚やさんで廉い値段で売っ ています。 写真用品やさんで、写真の定着に使うパイポを購入すると、さらに数分の1の 廉い値段で購入可能で、品質は同じです。(実をいうと、熱帯魚ショップのハイ ポは写真用のハイポを仕入れて、小分けして包装した物です) さて、このハイポの使い方ですが、これまた世間の入門書の大部分は、 『バケツに微温湯を入れ、バケツ一杯につきハイポを一粒溶かし、良く溶けたと ころで水槽に入れる』と書いてありますが、これもまた、牧野信司さんが30年 も前に書いたことを、自分で良く検討もせずに、さも自分の見解であるかの様な 顔をして受け売りをしている、とんでもない間違った理論です。 最近は、環境の悪化が進み、上水道の水質も悪くなったので、カルキの濃度も 上がっていますが、それでも上水道の家庭の端末の処での残留塩素濃度は 1ppmを越えることは有りません。(これ以上になると臭くてとても飲めない) 最大限度1ppmのカルキが含まれているとして、この水1トンのカルキ処理 に必要なハイポの量は3グラムですから市販の小さな結晶状ハイポで有れば20 粒弱有れば十分です。 60cm水槽で有れば、全体で60リットルしか有りませんから、半分の水替 えで有れば、ハイポは0.5粒も有れば間に合い、バケツ一杯につき1粒も使っ たのでは必要量の5倍位使うことになります。 実際には、0.5粒というのは使いにくく、多少使いすぎても害は出ませんか ら、1粒のハイポを使うことにします。 使い方としては、バケツの中で溶かす必要はなく、古い水を捨て終わった水槽 に直接ハイポを1粒投入し、この上から新しい水を入れると、すぐにカルキと反 応し、魚には無害になります。 ハイポの様に、成分の分かっている薬品で有れば、こうして、必要な量を計算 によって求めることが出来、使い過ぎによる薬害から魚を守ってやることが出来 ますが、最近は、ハイポの様な廉い薬を売ったのでは儲からないので、水道水中 のカルキや重金属を中和すると言うキャッチフレーズで、成分を明らかにしてい ない薬品が、随分と高い値段で売られています。 しかし、これらは何がどれだけ含まれているか解らないので、正確な必要量の 計算が自分で出来ない(大体、この手の商品は売り上げを伸ばすために、必要以 上の使用量を使わなければならないかの様な説明が多いはず)ばかりで無く、ど んな副作用があるのかも全く解りませんから、成分を明らかにしていない様な、 そのくせ、馬鹿に値段の高いカルキ中和剤と称するものは使うべきではありませ ん。 新しく入れる水は、現在の水槽の水温と合わせますが、この温度合わせは、必 ず温度計を使用して確認し、決して指先を漬けた感覚で合わせる様な、大雑把な ことはしない様に、習慣を付けて下さい。 魚は、それ自身の固定した体温というものを持っておらず、棲んでいるところ の水温によって体温が変動する『変温動物』ですから、水温が急変すると、ショッ ク死を招きます。 水温の変動に対する耐性は、魚の種類によっても異なりますが、下がる方では 5度位が生存の限界で、それ以上急激に温度が下がると大抵の魚は死んでしまい ます。 同じ温度変化でも、温度が上がる方は、少し強い様です。 従って、厳密に水温を合わせるのが難しい場合は、現在の水槽内の水温よりも 1〜2度高めの水を入れてやるのが安全です。 処で皆さんはこの新しい微温湯をどうやって水槽に入れますか。 誰でも出来るのは、バケツで10リットル位ずつ入れるやり方だと思いますが、 初めの方はそれで良いとしても、そのうちに水槽の数が増えてきたりすると、バ ケツリレーでは大変な労力を要し、疲れた時とか、勤め先からの帰りが遅くなっ た時には、つい、水替えをサボリたく成るものです。 楽しみの筈の熱帯魚飼育が、苦痛になっては長続き出来ませんから、事情が許 せば給水には、湯沸かし器を使う事を奨めます。 湯沸かし器から水槽までの間、専用のパイプを設置する程の大袈裟なことは必 要なく、ビニルホースを用意しておき、必要なときだけ湯沸かし器から水槽まで 水を送れば、二つの間が多少離れていても、十分実用になります。 この時に使う湯沸かし器は、台所用の沸騰型では、低い温度で微妙な調整が出 来ませんから、風呂とかシャワーに使う低温型の湯沸かし器を使ったほうが、温 度調節が楽です。 湯沸かし器として、ガス瞬間湯沸かし器を使う場合には、もう一つ注意しなけ ればならないことが有ります。 それは、瞬間湯沸かし器の欠点ですが、温度を合わせても、一度湯の流れを止 めると、次に使いだした時に、熱交換器の中に貯まった水が高温になり、予想以 上の熱い湯が出て、暫らく流し続けていると、調整した温度に落ち着くと言う癖 で、ガス瞬間湯沸かし器の避けることの出来ない欠点です。 従って、給湯口が一つしか付いていない湯沸かし器を使うと、湯を流しながら 温度を合わせたつもりでも、給水ホースを繋ぐために給湯を止めると、次に水槽 の中に入る湯は、初めの数秒間ですが、魚をショック死させるに十分な熱い湯が 出ます。 この事故を避ける為には、湯沸かし器に二つ以上の給湯口を付けておき、ホー スを繋ぐ作業をする間も、一方の給湯口から微温湯を捨て続け、湯沸かし器の水 の流れを止めないようにする必要が有ります。 現在の湯沸かし器が、そのようになっていなかったら、次に湯沸かし器を新調 する際には、是非とも給湯口を二つ以上設けるように配慮してください。 こうすれば、給湯口を一つ増やしても、工事費用はいくらも増えず、水替え作 業がうんと楽になります。 ◆ 飼育する魚の選択と購入 (1)。 パイロットフィッシュの効果で濾過バクテリアが湧き、水が安定すれば、いよ いよショップへ行って熱帯魚の購入です。 ショップには、多種多様の熱帯魚が販売されており、より取り見取りで、どれ を選んでも良いのですが、初心者の場合、つい欲張って色や形の違ったものをア レもコレもと買っていく人が多いようですが、複数の種類の魚を一つの水槽で飼 育する時には、一緒に飼育できないと言う組合せがあるので、多少の注意が必要 です。 ★A、水質による分類。 まず、魚には、その生れ故郷によって、好む水質が異なり、理想を言えば生れ 故郷の水質と同じ水質で飼ってやれば良いのですが、多少は順応性があるので、 時間をかけて慣らして行けば、生れ故郷とは多少異なる水質でも飼育出来ますが、 健康に飼育しょうと思うと、あまり極端に要求水質の異なるものを一つの水槽で 飼育するのは難しいので(水質が合わなくても急に死ぬことは少ないので、生か しておくだけならそれぞれの要求水質の中間に調整すれば、飼育出来ますが)、 それぞれの魚がどんな水質を好むかと言うことを知っておく必要が有ります。 一口に淡水魚といっても、その水質は魚の棲んでいる環境に拠って異なり、大 まかに分けると、 汽水(薄い海水の混じった水) 硬度の高いアルカリ性の水 硬度の低い(弱)酸性の水 中性から弱酸性の水 と分けることが出来、飼育する魚の種類に合わせて、此等の水質に調整する必要 が有ります。 汽水魚(きすいぎょ)と言うのは、海水と淡水が入り混じる川口(汽水域と言 う)の所に棲んで居る魚で、ヨツメウオ、アーチャフィッシュ(鉄砲魚)、グラ スフィッシュ、各種のレインボーフィッシュ等がそうですが、その他にも、本来 は海水魚であるが薄い塩分、あるいは淡水に耐えることの出来るモノダク、ス キャット(黒星マンジュウ鯛)、ミドリフグ等も、一部のショップでは淡水魚と して売られています。 此等を飼育する水には海水の1/3程度(食塩の濃度にして1%位)の食塩を 溶かしてやることが必要で、塩気の無い純淡水では美しい色が出ないばかりか、 そのうちに体調を崩し長生き出来ません。(ただし、グラスフィッシュの仲間は 純淡水でも長生きします。) 硬度の高いアルカリ性の水質を要求する魚の代表は、アフリカンシクリッドと 一般に呼ばれている、アフリカ大陸東北部のリフトバレー(大地溝帯)と呼ばれ る盆地に出来たマラウィ湖、タンガニーカ湖等に棲む湖産シクリッドの仲間達で、 これらの湖は石灰岩の窪みに出来た水溜まりの様なものですから、水中には多量 のカルシゥムとかマグネシゥムが溶け込んでおり、極めて硬度の高いアルカリ性 の水です。 従って、此等の魚を飼育するためには、水槽の中に大理石や石灰岩を入れると ともに、底砂や濾材にも珊瑚砂を混ぜて、高い硬度を維持してやらないと、魚が 本来持っている美しい体色が楽しめません。 硬度の低い酸性の水を要求する魚は、熱帯雨林の中を流れる川、その中でも水 量があまり多くなく、川底には多量の落葉やピートの沈んで居る、余り大きくな い川に棲んでいる魚で、その代表選手は、アマゾンの支流の一つであるリオ・ネ グロ(黒い川と言う意味)に棲んでいるカージナルテトラとかアルタム・エンゼ ルを挙げることが出来ます。 また、西アフリカの、夏になると干上がるような小さな水溜まりに棲んでいる 卵性メダカの殆どの種類は、ピートを使って黒く色が付いた酸性の軟水で飼育す る必要が有ります。 上で述べたような特殊な水質を要求するのは、熱帯魚のなかでも少数派で、大 部分の魚は、癖の無い中性から弱酸性の水、つまり、わが国の水道水の水質で間 に合うものが殆どです。 熱帯魚と呼ばれる魚の中でも、熱帯雨林ではなく、モンスーン地帯に棲んでい る魚は、自然状態でも季節によってかなり大幅に水質が変動していますから、こ れらの仲間は、水質の変化に鈍感で飼育のし易い物が沢山居ます。 この中には、初心者向きのグッピー、プラティ等の卵胎生めだか、スマトラ、 ゼブラダニオ等のバルブ(鯉の親戚)類、等が沢山居ます。 アピストグラマ、エンゼルフィッシュに代表される中〜小型シクリッド類、コ リドラス、プレコ等の小型ナマズ類、は熱帯雨林の魚ですが、比較的飼育が容易 です。(ただし、コリドラスは水温が高くなる夏に弱い) また、アフリカンシクリッドと呼ばれる色の綺麗なシクリッドの仲間にも、上 に述べてアフリカ東北部の湖産シクリッドとは違って、アフリカ西海岸地方の川 に棲んでいる河川産シクリッドと呼ばれる一連の仲間達は中性の水で飼えます。 初めは此等の余り水質にうるさくない魚からはじめるのが無難だと思います。 ◆ 飼育する魚の選択と購入 (2)。 ★B、餌による分類。 以上は、水質と言う面から魚を区分したものですが、次に、餌の種類によって 分けてみると、 魚食魚(魚を餌にする種類)。 昆虫などの小型動物食。 草食性。 雑食性。 と分けることが出来ると思います。 魚食魚には二つあります。 一つは、誰でも名前を知っている、有名な『ピラニア』の様に鋭い歯を持って いて、餌の魚を食い千切る様な食べ方をするグループ。 もう一つは、アロワナとか大型ナマズの仲間の様に、歯がない代わりに大きな 口で餌となる魚を丸呑みするグループです。 此等の魚の餌は普通『エサ金』と呼ばれる金魚を与えますが、家庭で飼育する 時に家族の賛否の意見が分かれ易いのが、此等の魚食魚の仲間です。 弱肉強食は自然の法則ですが、此等の魚食魚が小さな金魚を食うシーンを始め て見た人は、 『迫力満点』と言う肯定派と、 『残酷で可愛そう』と言う否定派 に別れてしまいますから、場合によっては家族の目の前ではエサをやれないと言 う事態も発生します。 なお、丸呑みするタイプの場合は、半分に千切れたエサ金が水面にプカプカと 漂っている事が無いので、残酷な印象が薄らぐ様です。 此等の魚食魚をどうしても飼いたいが、生きた金魚をエサにすることについて 家族の抵抗が強い様で有れば、魚の切り身、牛や鶏の心臓とかレバー、 クリル(オキアミ)を余り一つの種類に偏らない様に与えて、飼育することが出 来ます。 昆虫などの小型動物食の魚というのは、上に挙げた魚食魚よりも小型であるか、 あるいは大きな歯がない肉食性の魚で、主に水棲昆虫(ボウフラやヤゴ等)を食 べるカラシン科の魚(ネオンテトラ等)がこれに当たるが、飼育下では他の餌も 良く食べる雑食性を示し、餌の種類にはそれ程神経質になる必要は有りません。 しかし、昆虫食の魚で最もおもしろく、また、最も良く知られているのは、殺 虫剤のTVコマーシャルやインクジェットプリンタのコマーシャルにも出てくる アーチャーフィッシュではないかと思います。 この魚は水面より上の木の葉に止まったハエ等を狙いますから、プラスチック の板などにアカムシ等を水で張りつけて、水槽の上にかざしてやると、水鉄砲の 技を見ることが出来ます。 遊ぶだけで有れば、水槽の上にフライ(ハエやハチに似せた魚釣り用の毛針) を水槽の上に天井からブラ下げておくと、アーチャーフィッシュはこれを餌と思っ て一生懸命に水鉄砲で打ち落とそうとするので、この珍しい特技を何時でも楽し めます。 (ショップでこれを見せると、物珍しさの為に、アッと言う間に売り切れになる そうです−−−商売人は頭が良いね。) 草食性の魚と言っても、熱帯魚の場合は中国産の草魚の様に、水草だけを食べ る魚というのは殆ど見当らず、どちらかと言えば、雑食性のなかで、特に水草を 良く食べると言う位の物ですが、植物性の餌の食べ方から見て、これまた2種類 居ます。 一つは、丈夫な口で、綺麗に植え込んだ水草を好んで食べると言う、水草を楽 しみたい人が避けなければいけない種類で、代表選手は意外なことにカラシン科 のメチニスとかコロソマを挙げることが出来ます。 カラシン科の魚というのは、本来ピラニアに代表されるように、細かくとも鋭 い歯を持っているものですが、メチニスとかコロソマにはには鋭い歯がなく、代 わりに石臼の様に堅い厚みのある唇を持っており、少しくらい堅い水草もバリバ リと食べてしまいます。 コロソマと言う魚は、野性では水面に落ちてくるドングリの様な堅い木の実を 食べており(アマゾンと言う川は偉大だ、あんな大きな図体のコロソマを養うだ けの木の実が1年中川に落ちてくると言うのだから)ますが、飼育下では何でも 食べます。 水草を美しく植えこみたいと言う人には困りもの扱いされますが、水草を齧ら れることを覚悟するの出有れば、他の魚をいじめるような悪さもせず、何でも食 べてくれる丈夫なですです。 もう一つの草食性の魚というのは、サンドペーパーの様なザラザラとした唇を 持っており、コケを嘗めるもので、代表はプレコと呼ばれるナマズの仲間です。 プレコにも色々あり、余り大きくならないブロンズプレコが最も良くコケを食 べ、値段が廉く何処にでも売っているトリニダートプレコも良くコケを食べてく れるので、水草や水槽のガラス面を掃除させるために是非1匹は水槽に入れてお きたいものですが、ブロンズプレコ以外は、大きくなると余りコケを食べなくな ります。 その他の、模様の変わったきれいなプレコは、殆どコケを食べません。 上記に挙げた魚以外は、大体、目の前にある餌は何でも食べると言う、雑食性 の魚です。 ★C、サイズによる分類。 水質、食性の他に注意すべきは、魚が成長して成魚になった暁の、魚のサイズ です。 魚のサイズを大、中、小と分ければ、(極めて曖昧な漠然とした分け方ですが) 小型魚と言うのは、成魚の体長が5〜6cm止まりの物で、ネオンテトラとか、 グッピーがこれに相当しますが、このての小型魚は数が少ないと何処に居るか分 からず、見栄えがしないので、同じ種類の魚をを10匹以上くらいまとめて飼育 しないと、水槽がみすぼらしい物になります(水草を主体にした水槽をセットし たい場合は、これらの小型魚を数匹入れるだけで十分ですが)。 中型魚というのは、体長15cm位までの物で、エンゼルフィッシュ、ディス カスなどの中型シクリッド等を挙げることが出来ますが、60cm水槽で有れば、 このての魚が数匹泳いでいるだけで十分な存在感があり、見応えのある水槽が出 来ます。 大型魚と言う場合、体長何cmからを大型というかは飼育する人によって定義 が違い、誰もが文句無しに大型魚と認めるのは体長1m以上の物でしょうが、水 槽内で飼育する場合、体長が水槽の最大寸法の1/3を越えると正常な飼育が難 しくなるので、60cm水槽で飼育する場合、成魚の体長が20cmを越えるも のは大型魚として扱う必要が有ります。 大型魚というのは大体魚食魚と考えても間違いなく、小型魚と混泳させると、 小型魚を皆食べてしまうので、例え要求水質が同じ物であっても一つの水槽で混 泳させることは出来ませんから気を付けて下さい。 私自身は、体長65cmのアジアアロワナと100匹のネオンテトラ、更に 100匹のカージナルテトラを一緒に混泳させ、2年間無事に飼育した経験があ りますが、これは長期間魚を良く観察し、魚の習性をうまく利用したから出来た ことであって、誰でもどこでもうまく行くことでは無いことを承知して置いて下 さい。 大型魚は、将来大きな水槽が用意できると言う計画が無い場合は、飼育すべき では有りません。 小さなうちは確かに60cm水槽でも飼育可能ですが、魚の美しさというのは、 成魚になって初めて本来の魅力を発揮するものが多いので、大きくなって持て余 せばショップに引き取ってもらうというのでは、その魚の真の魅力を知らないま まに終わってしまうだけです。