#38 熱帯魚への誘い>(4)              可良時寿子
可良時寿子 ID:KBB53931

◆ 初心者に推薦する魚 (1)。

  前回、水質やサイズによって飼育する魚の組合せを考えるための解説をしまし
たが、実際にショップへ行くと、余りにも沢山の種類の魚が売られており、どれ
を選んだら良いのか迷うと思いますから、具体的に初心者向けの魚の名前を挙げ、
少し解説しておきます。

  先ず、特殊な水質を要求せず、水道の水で飼えて、かつ、値段の廉いものを選
びます。
  魚の値段は美しさではなく、供給される数で決まり、珍しければ高い値段が付
いているので、自然界に沢山居るもの、或いは繁殖が容易なものは廉い値段が付
いていますから、こういう魚を選ぶと、水槽のなかでも丈夫で飼いやすく、場合
によっては繁殖も楽しめます。

 具体的に名前の一部を挙げると、
        A、グッピー。
        B、ベタ、ドワーフグーラミィ等。
        C、ネオンテトラ等の小型カラシン。
        D、ゼブラダニオ等の鯉科の魚。
        E、エンゼルフィッシュ、アピスト等のシクリッド。
        F、コリドラス。
        G、プレコ。
        H、ディスカス。
等で、次にに具体的な特徴を、簡単に紹介します。


A、グッピー。

  卵胎生メダカの仲間はどれでも丈夫ですが、その中でも値段が廉く、丈夫で、
かつ、水槽のなかで良く繁殖してくれる魚の代表と言えば、誰でも知っている
グッピーを第一に挙げなければならないでしょう。

  魚というのは卵性(卵で繁殖する)の動物ですが、グッピーは卵胎生魚と言っ
て、陸上の獣の様な意味での胎生では有りませんが、雌の腹の中で卵が孵化して、
母親の原から生まれるときには既に魚の形になってから出てくるので、難しい孵
化の世話が要らず、誰でも繁殖行動が楽しめます。

  ただ、グッピーは仔魚を生み落とした後から、自分が生んだばかりの仔魚を食
う癖があるので、仔魚が逃げ込めるような水草を沢山入れて置くといくらかの子
は生き残り、生まれた子供は、その日のうちから一人前に親と同じ餌を食うので、
そのうちに水槽がグッピーだらけに成ります。

  グッピーと言うのは中米メキシコ原産の魚ですが、原種は余り派手な色はつい
て居らず、殆ど輸入されず、現在ショップで売られているグッピーは、主にシン
ガポールで繁殖したものと、ごく一部、国内で繁殖したものが出回っています。

  シンガポール産グッピーは一番い500円位で売られていますが、国産グッピー
は大体一万円以上する様です。

  国産グッピーは高い値段で売られていますが、これも美しさには関係なく、国
産グッピーの値段は血統に付けられた値段ですから、系統繁殖をしたり、自分で
新しい品種を改良し、コンテストにでも出そうというので無ければ、高いお金を
払う値打ちは全く有りません。

  序でに言っておくと、もし、グッピーの品種改良を狙うので有れば、一系統に
つき30cm水槽を5本以上用意しなければ、真似事の自己満足だけに終わって
しまうということを言っておきます。

  さて、ショップへ行くと、色とりどりのグッピーが廉い値段で売られており、
これを各種泳がせるととても華やかな水槽になって、家族も喜んでくれる、と思
うのはとんでもない間違い。

  確かに、各種のグッピーを混泳させると初めは華やかで美しい水槽が出来るの
ですが、前にも言ったように、グッピーと言う魚は簡単に繁殖するので、そのう
ちに訳の分からない混血種が一杯出来上がり、初めの美しさは何処へやら、6ケ
月もすれば、見るに耐えないおぞましい水槽が出来上がります。

  これを避ける為には、同じ種類の物ばかりを5ペア位飼育するのが良いと思い
ますが、どうしても各種のグッピーを泳がせて色や模様の変化を楽しみたいので
有れば、思い切って繁殖を諦め、雄ばかりを各種10匹位購入するのも一つの行
き方だと思います。

  グッピーは雑食性ですから、餌は何でも食べますが、「テトラミン」の様なフ
レークフードが手軽で良いでしょう。

  グッピーと言う魚は、飼育水に多少食塩が混じっている方が健康を維持しやす
く、体色も綺麗に出るので、シンガポールで繁殖されたグッピーは、海水を薄め
た塩水で飼育されて居り、突然淡水で飼育すると体調を崩しやすいので、初めは
60cm水槽に湯のみ一杯くらいの食塩を入れ、水かえの度に塩を少なくして行
き、だんだんと淡水に馴らせるのが、輸入グッピーをうまく飼育するコツです。


B、ベタ、ドワーフグーラミィ等。

  ベタとかドワーフグーラミィと言うのは、アナバス科と言って、椰子の木の天
辺で発見されたと言う伝説のある(私は信用していません、どうせカラスの悪戯
でしょう)、アナバス(木登り魚)の親戚で、ラビリンスと言う、迷路の様になっ
た鼻を持っている為に、空気呼吸が出来、水の汚れにもつよく、小さな容器で飼
育することも出来る丈夫な魚です。

  この仲間のなかで最も美しい体色を見せてくれるのがドワーフグーラミィです。
  この魚は温和しく、決して他の魚に害を与えませんから、是非1匹は水槽の中
に入れておきたいものです。

  ベタ・スプレンデンスと言うのは、赤や青の原色の、大きなヒレを靡かせた、
タイ国原産の闘魚で、雄同士を2匹一緒にすると、決して平和共存が出来ず、死
ぬまで闘うので、現地では日本の闘鶏の様にベタの闘いにお金を賭て楽しんでい
ます。

  60cm位の水槽で有れば、弱いほうが逃げるスペースも有るので、どちらか
が死ぬまで闘うということは有りませんが、喧嘩をすると大きな自慢のヒレが切
れて台無しになるので、雄は1匹しか入れないほうが良いと思います。
 1つの水槽にベタの雄が1匹しか居ない場合、喧嘩の相手が居ないため、大き
な鰭をダラリとさせていることが多いので、水槽の前に鏡を持っていって、ベタ
に自分の姿を見せてやると、ライバルと間違え、各鰭を限度いっぱいまで広げ
て、相手を威嚇しようとする、ベタの最も魅力的な姿を楽しむことが出来ます。

  同種の雄同士だとこれだけ激しい闘いをするペタも、他の種類の魚に対しては、
決して危害を加えるようなことは有りません。

  グーラミィの仲間の、もう一つの魅力は、その独特な繁殖活動にありますから、
是非とも観察してください。

  成熟した雌雄を5リッター位の小さな容器に入れて、水面に水草を浮かべてお
くと、2〜3日掛けて雄が唾液で粘りを着けた泡を吹いて、水面に泡巣を作り、
雌を巣の下に誘ってくると、柔軟な体で雌に抱き付き、雌の腹を圧迫して卵を絞
りだし、2匹とも失神状態で底の方に沈んで行きます。

  その後、我に帰った雄は、水中に漂っている卵を口で集めて、泡巣に吹き付け
ると言う産卵活動を10回位繰り返しますから、これを見た人は誰でも感動せず
に居られないこと請け合いです。

 この場合、卵と、孵化した稚魚の世話は雄だけが行いますから、産卵の後は泡
巣を壊さないように雌を取り出し、別の水槽に隔離する必要があります。


C、ネオンテトラ等の小型カラシン。

  昔はネオンテトラも1匹1万円もする、大学を出た人の初任給では1カ月の給
料で1匹買えないと言う超高級魚でしたが、今では香港辺りで大量に人工繁殖さ
れているので、1匹30円位で買える大衆魚に成りました。

  これを20〜30匹水槽に泳がせておくと、熱帯魚に興味の無い人も喜ばせる
ことが出来るので、ベテランの人でも家族の理解を得るために『言い訳水槽』と
称してこの手の魚を飼育する水槽を1本用意している人が多い様です。。

  ネオンテトラに良く似た魚で、カージナルテトラと言うのも居ますが、ネオン
テトラが腹が白いのに対して、カージナルテトラの方は赤いラインが腹まで延び
ており、体も少し大きくなり、値段は1匹100〜200円位です。

  ネオンやカージナルを購入するときには少しばかり注意が必要です。
  この手の魚は以外と弱く、輸入される時には薬漬で送られてくる為に、ショッ
プに入ってから1週間位で半分以上死ぬことが珍しく無く、魚を扱う事に掛けて
はプロてあるショップでさえも、仕入れた魚を全滅させることが防げない程です
が、ここで生き残ったものは丈夫なので、ショップに入荷して10日以上経って
いることを確認してから購入しないと、ひどい目に合います。

 また、水質の変動に弱く、水質が安定しないと、すぐに各種の病気になり、簡
単に死んでしまいますから、パイロット・フィッシュ(最初の水つくりの役割を
させる魚)には不向きです。


◆ 初心者に推薦する魚 (2)。


D、ゼブラダニオ等の鯉科の魚。

  東南アジア産の此等の魚は、非常に飼い易く、値段も廉い魚です。
  此等の魚を20匹位まとめて飼育していると、ウイローモスとかその他の水草
の茂みに潜り込み、勝手に産卵してくれますが、鯉科の魚は自分が産んだ卵を食
べる癖があります。

  此等の魚を繁殖させるのは簡単で、水槽の底にビー玉を敷き詰めておくと、こ
の間に落ちた卵を親が食うことが出来ないので、そのうちに孵化して、勝手の泳
ぎだして来ます。


E、エンゼルフィッシュ、アピスト等のシクリッド。

  シクリッド科の魚は、いずれも自分で配偶者を選び、自分達の産んだ卵を親が
守り、ある程度の子育てもしてくれるので、独特の繁殖行動も楽しめ、家族で楽
しめる魚ですが、自分の子供を育てると言う習性から、縄張りを主張し易く、数
が少ないと却って激しい喧嘩が起こります。

  ただ、シクリッドの配偶者選びは、実態以上に誇張されて宣伝されており、
『恋愛結婚以外は相手を殺してしまう』等というのは、実際には殆ど有り得無い、
牧野信司さんが作り出した神話です。

  ジュルパリ、アピスト等の小型シクリッドは大体マウスブルーダと言って産ん
だ卵を孵化するまで親が口に銜えて保護するものが多く、孵化した後も暫らくは、
危険が迫ると仔魚達は親の口の中に逃げ込みます。


F、コリドラス。

  コリドラスは南米のナマズの仲間ですが、小さく、おとなしくて他の魚に決し
て危害を加えない為に、どんな魚とも一緒に飼育できます。

  コリドラスは種類が多いので、各種をコレクションしている人も多く、珍しい
種類は値段も高いですが、ただ少し模様が違うというだけなので、値段の廉いも
のを購入して下さい。

  底砂を掘ながら餌を探すので、餌の残りを食べてくれる『掃除屋さん』等と言
われていますが、掃除効果は余り期待しないほうが賢明です。

  コリドラスの繁殖は、横になった雄の腹を雌が吸って、それをガラス等に張り
つけた卵に吹き着けて受精させると言う、他には見られない産卵行動を取ります。

G、プレコ。

  プレコは、サンドペーパーの様にザラザラとした広い唇で、ガラス面とか広幅
の水草の表面に付いたコケを嘗めて綺麗にしてくれるので、1匹は入れておきた
い、正真正銘の『掃除屋さん』です。

  最も良くコケを食べてくれるのは、余り大きくならない「ブロンズプレコ」で、
他のプレコは小さいうちは良くコケを食べるのですが、大きくなるに従って余り
コケを食わなくなります。


H、ディスカス。

  私の推薦する初心者向けの魚の真打ちはディスカスです。
  ディスカスと言う魚は極めて飼育が難しく、ましてや繁殖とも成れば『夢のま
た夢』と言われ、超ベテランが飼育する魚で、こんな物を初心者向けに推薦する
のはバカか気違いだと言われるかも知れませんが、他ではいざ知らず、当NET
では自信を持って、初心者にも飼える魚と推薦します。

  ディスカスと言う魚は値段が高く、ショップでも生後6カ月位の幼魚が1匹
数千円から1万円位で売られています。

  ディスカスは神経質な魚なので、原種の飼育は難しいのですが、最近の改良ディ
スカスであるターコイスディスカスは比較的簡単です。

  ディスカスと言うのは、シクリッドの中でも特別縄張り意識が強く、数匹飼う
と、一番強い個体が餌を独占し、例え餌が余っていても弱い個体は食うことが出
来ず、弱いものから順番に飢え死にして、どんなベテランでもどうにもならない
ものですが、10匹以上をまとめて飼うと(1匹1万円の魚を10匹以上まとめ
てだって?)、今までの喧嘩が嘘の様に仲良くなり、餌も良く食います。

  しかし、ショップで売られている青い綺麗な幼魚は、自然の色ではなく、本来
は生後10カ月以上経たなければ美しい色が出ないものを、メチルステロイドと
言う男性ホルモンを与えて、色揚げしたものですから、3カ月もすれば、色が落
ちて値打ちの無いディスカスに成ってしまいます。

  この男性ホルモンは、繁殖障害を起こし、将来子供が取れなくなりますが、最
近わが国で売られているディスカスは、少しでも長期に青い色を持たせるためと、
全身を青く光らせた方が、何も知らない人に高く売り付けることが出来るので、
ホルモンの量が多くなり、繁殖障害を通り超し、成長障害を引き起こすところ
まで、行っています。
  こんな魚を買うと、いつまで経っても全く成長せず、そのうちに餌を食べてい
るにも関わらず、痩せてきて、最後は骨と皮だけの骸骨の様になって死んで行き
ます。

  これは、業者にとっては、廉い魚を高級品に見せ掛け、高く売ることが出来、
その上、決して繁殖しないので、永久に買いに来てくれると言う、一石二鳥の、
熱帯魚愛好家を食物にするあくどい作戦です。

  ディスカスをうまく飼育する方法を簡単にまとめると、
      ホルモン処理をしていない魚を
      10匹以上まとめて飼育し
      水の汚れを嫌うので、頻繁に水を替え
      30度以上の高温で
      餌をたっぷりと与える
と誰でも簡単に飼育できます。

  健康な仔魚を手に入れることが出来ると、生後18カ月位より繁殖が可能で、
繁殖の時には多少うるさい水質調整が必要ですが、仔魚から育て上げれば、その
間に必要な経験を積むことが出来ます。

  問題は、町のショップでホルモン処理をしていないディスカスを殆ど売ってい
ないということと、値段が高いということですが、幸いにして、このNETの会
員はFFS(Free Fish Service)と言う制度を利用して、1ダース単位の健康な
ターコイス・ディスカスを無料で受け取ることが出来ます。

  私がFFSと称して、自分で繁殖させたターコイス・ディスカスを無料で配っ
ているのも、皆さんの経済的な負担を軽くするよりも(そういう効果もあります
が)、ショップに出回らない、ホルモン処理無しの健康なディスカスを多くの人
に供給し、一人でも多くの人に、『熱帯魚の王様』と言われるディスカスの素晴
らしさを楽しんでもらいたい為です。


◆ 飼うのを止めたほうが良い魚。

  前回は、初心者に飼い易い魚を推薦しましたが、今回はその逆で、うっかり飼
うと(買うと)、ひどい目に合いそうな魚を挙げておきます。

  ひどい目に合うと言っても、その理由は色々で、複数の種類の魚を混泳させる
場合に、悪さをしそうで、単独で飼育する場合には何ら問題の無いものから、薬
品を使って着色したインチキ商品まで有りますから、後で後悔し無い様にこれを
読んで、魚を購入する時の参考にして下さい。

 具体的な名前を、思いつくままに挙げると、
        A,国産グッピー。
        B,スマトラの仲間。
        C,キッシング・グーラミィ。
        D,ピラニア。
        E,ドーピングディスカス。
        F,ミドリフグ。
        G,大型魚。
等で、次にその理由を簡単に説明して置きます。


A,国産グッピー。

  ショップには、国産グッピーと称して、少し小柄な綺麗なグッピーを一万円以
上で売っていますが、これを買っても系統を維持するのは難しく、子供を殖やす
のは簡単ですが、その系統の本来の姿を維持するためには、正確な選別眼で生ま
れた子供の90%以上を捨てないと、全く値打ちの無い駄魚の集団になります。

  一つの品種だけを飼育していても、選別を怠ると、背曲がり等の奇形魚ばかり
になり、観賞に耐えるのは半年が良い所です。

  グッピーの選別能力の無い人にとっては、例えは悪いが『ブタに小判・・じゃ
なかった、真珠』ですね。


B,スマトラの仲間。

  東南アジア原産のこの鯉の仲間の魚は、
      顎に鋭い歯が無いために、他の魚を食わない。
      どんな餌でも食べる。
      丈夫で飼い易い。
      元気溌剌と泳ぐので水槽が賑やかになる。
と、良いことずくめの様ですが、ヒラヒラと動く細長いものを見ると、噛んでみ
ると言う癖があるので、エンゼルフィッシュとかディスカスの長い腹ヒレを齧り、
追い回すと言う悪い癖があります。

 また、この習性は、数が少ない方が強く出るようで、スマトラを多数まとめて
飼育すると、仲間同士で追っかけあい、他の魚に悪さをする頻度は下がります。

  スマトラには歯がないので、噛まれても怪我をする訳ではありませんが、もと
もと神経質なディスカスなどは、一日中スマトラに追い回されるとノイローゼに
成り、餌が食えず、飢え死にしてしまいます。

  ヒレの長い魚が居なければ、問題の無い魚です。


C,キッシング・グーラミィ。

  この魚は、やたらに何でも嘗め回す癖があるので、泳ぎのゆったりとした魚と
一緒に飼育すると、嘗められた方が、その部分にカビが生えて病気になったりす
るので、これも、ディスカスやエンゼル等、泳ぎが遅くて、体表の面積の大きな
魚とは、決して一緒に飼育できない魚です。


D,ピラニア。

  熱帯魚といえばピラニアと言うくらい有名で、TV等でも牛を食い殺すシーン
等が放送されるので(あれは、怪我をして血を流している牛を川に追い込んでの
ヤラセですが)、ショップでも良く売れる魚のうちに数えられていますが、腹が
減ると鋭い歯に物を言わせ、相手構わず噛み付くので、他の魚とは一緒に飼えま
せん。
  何しろ、ピラニアに勝てるのはピラルクだけです。
 (アマゾン現地でのピラルクの主食は、ピラニアです)


E,ドーピングディスカス。

  熱帯魚ショップへ行っても、ドーピングディスカスなるものは何処にも売って
居らず、これは、10cm以下の幼魚のくせにギラギラと青く輝いている、男性
ホルモンによって色揚げされた、ターコイスディスカスに私達が着けた名前です。

  最近香港から大量に輸入されるディスカスは、極端な色揚げをされ、いかにも
魅力的な名前を着けて売られていますが、こんな物を買っても薬の副作用で成長
障害を起こしているので、1年位で死んでしまい、運よく生き延びても決して繁
殖出来ません。

  ショップで売られているのはこんな欠陥商品ばかりで、これを買った人はうま
く育てることが出来ず、『やっぱりディスカスは難しい』と言うことになるだけ
です。(本当は難しい魚では有りません)。


F,ミドリフグ。

  ミドリフグと言うのは汽水魚ですが、純淡水にも耐えることが出来るため、
ショップでは淡水魚扱いをして、販売しています。

  5cm位の小さな体で、剽軽な泳ぎ方をするので、余りの可愛らしさに惚れて、
ついてを出すのですが、これが見かけに似合わず鋭い歯を持っており手当たり次
第に他の魚を齧りまくると言う、困り者です。

  口が小さく、泳ぐ速度も早くない為に、ピラニアの様に他の魚を食べてしまう
ところまでは行かないのですが、動きの遅いコリドラス等は、全てのヒレを食わ
れ、まるでダルマの様な姿に成り、ヒレが無くなり、身動きが出来なくなると、
次にやわらかい腹を齧って殺してしまいます。

  動きの早いカラシン等で有れば同居させることが可能ですが、動きの遅い魚と
は決して混泳させることの出来ないと言ういたずら者です。


G,大型魚。

  ここでは成魚の体長が水槽の長さの1/3、つまり、60cm水槽で有れば体
長20cmを越えるものを、大型魚と定義します。

  何処のショップにも看板になるような大型魚が、必ず泳いでおり、見た目に迫
力があるのですが、将来、魚の成長に合わせて大きな水槽を用意する予定がなけ
れば此等の大型魚を飼育すべきではありません。

  店の看板になるような大型魚には、高い値段が付いており、ふと見ると、同じ
種類の幼魚が意外と廉い値段で売られていたりするので、つい買いたく成るもの
ですが、大きくなればショップに引き取ってもらおうというので有れば、その魚
の真の魅力を味わうことが出来ません。

 魚を購入するときは、最後まで飼えるかどうか、初めに良く考えることが必要
ですが、不幸にして、最後まで飼えないとか事情が生じたときは、熱帯魚ショッ
プに引き取ってもらうか、水槽に余裕のある知り合いなどに、引き取ってもら
い、間違っても、川や池に放流しないようにして下さい。

 多くの熱帯魚は、わが国の冬の低温を生き延びることは出来ませんが、それ以
前に釣り人に釣られたりすると、『**川で、ピラリアが釣れた』などと、新聞
やテレビの話題になり、アクアリスト全体の信用を落とすことになります。
 例え、人に危害を加えない魚であっても、わが国固有の野生の魚の保護と、熱
帯魚を趣味とする人たちの社会的地位に、傷を付けない配慮をお願いします。

  ここでちょっと、此等の大型魚の値段について触れておきます。

  あるショップで、小学生が、『大きく育てたら高く売れると兄ちゃんが言って
た』と言いながら大型魚の幼魚を買っていましたが、これはとんでもない間違い
です。

  確かにショップで売っている大型魚の成魚には高い値段表が貼ってありますが、
アマチュアが、育ちすぎて持て余した魚をショップに持ち込むと、引き取り価格
は、
        良くて幼魚を購入したときの値段、
        普通はその魚を購入したときの金額以下、
        下手をすれば『タダ』、
        もっと悪くすれば、タダでも引き取って貰えない。
と言うのがこの業界の相場で、それを聞いた時愕然として、隣の水槽の0が沢山
並んだ高い値段表を横目で実ながら『この悪徳商人め、殺してやろうか』等と心
の中でつぶやくものです。

  しかし、ショップの側に立って見ると、熱帯魚マニアの持っている水槽の80
%以上は60cm水槽ですから、貴方が持て余すような魚は当然他の人も持て余
し、例え大きな水槽を持って大型魚を飼育する人も、普通は育て上げるのも楽し
みの一つですから、既に成長してしまった大型魚を購入するのは、レストランの
飾りの様に、今すぐ完成した美しさを欲しがるユーザーだけで、大型魚などを引
き取っても買い手が少なく、何時売れるか分からないのです。

  シュップは、大型魚を引き取ると、餌も与え、ヒーターその他の経費が掛かる
のに対し、本来なら、その水槽でグッピーとかネオンテトラの様に、一年中コン
スタントに売れる、回転の早い大衆的な魚を販売すれば得られたであろう、『得
べかりし利益』も回収しなければならないので、何時売れるか分からない様な大
型魚を抱え込むと、例えタダで仕入れたものであっても、高い値段を付けないと
経営が成り立たないと言う問題が有るのです。