#47 熱帯魚辞典>(07) 《し、す、せ、そ、た》 可良時寿子 可良時寿子 ID:KBB53931 【ショキタ・テナガエビ】 漢字で書けば、『諸喜多手長海老』と言う、体長8cm程の淡水海老。 学名は、Macrobrachium shokitai。 変わった名前であるが、諸喜多と言うのは、この海老を発見した学者、琉 球大学の、諸喜多茂充氏の名前に由来する。 普通、海老は淡水産と謂えども、孵化した直後のゾエア(プランクトンの 様な姿をしている)時代は、流れに乗って海に下り、海水、或いは汽水の環 境で成長し、何度かの脱皮を繰り返し、ポストラーバ(一人前のエビの姿を している)に成ってから川を遡上してくる物で、海水が無ければ子孫を残せ ない。 しかし、本種は、わが国に生存する多数の淡水海老の中で、唯一、海に下 らず、一生を淡水中で過ごす物である。 海に下る場合、途中にダムなどがあると、再び戻ってくることが出来ない 代わり、生まれ故郷とは別の川に遡上する事もでき、生存範囲を拡張できる が、一生を淡水で過ごす本種の場合は、川の上流部だけで生きているので、 ダム等の影響を受けない代わり、隣の川まで生存範囲を広げる事が出来ず、 ローカルな存在となってしまう。 西表島だけに棲んでいる。 【食塩】 人間が、調味料に使用する食塩 NaCl で有る。 汽水魚を飼育する時に必要になるが、その他の用途として、淡水魚の皮膚 が細菌やカビに侵されたとき、手近に在って、良く効く薬である。 治療目的で使う場合、淡水魚に対しては、1%位の濃度を限度に使うが、 最も普及している60cm水槽の場合、コーヒー・カップに一杯くらいの量に なるから、意外と沢山与える事が出来る。 しかし、淡水魚にいきなり1%もの食塩を与えると、浸透圧の急変に因り 魚にダメージを与える事があるので、全体の量を4回くらいに分け、全部で 2時間くらい掛けて、徐々に濃度を高める必要がある。 熱帯魚に使用する食塩は、食卓用の精製塩ではなく、ニガリその他の不純 物を含み、漬物などに使う粗塩が良い。 精製塩には、商品名としては解ら無くとも、成分表を読んでみると、グル タミン・ソーダ(所謂、味の素のような調味料)を添加した物があり、こん な物は、勿論使えないので、注意を要する。 【植物成長ランプ】 植物の光合成は、赤色の波長650nm(ナノ・メータと読む、1nmは 1/1000ミクロン)と青色の波長470nmの光線が効率が高く、真ん 中の、緑色の光線は利用していない。 赤い色をした草は、赤色の光線も利用していないので、光の利用効率が悪 く、育て難い。 この赤と青の二つの光線を出すように、蛍光塗料を配合した物を植物成長 ランプと言う。 蛍光ランプと言うのは、青い光を出すときは効率がよいが、赤い光を出す ときは、効率が悪い。 この植物成長ランプは、効率が悪く、同じ電力を消費しても、一般の家庭 用のランプよりも暗いが、植物や魚の色が綺麗に見えるので、熱帯魚の観賞 用に使われる。 一般の電気店には在庫が無く、熱帯魚ショップで購入する。 厳密に言うと、この植物蛍光ランプは現在二つのタイプがあり、上に述べ た、主として赤と青の光線を出し、緑の光線を出さない「PG−2」と、緑 の光線を出し、水草を綺麗に見せる「PG−3」とがある。 ★参照 → 光合成。 【処女雌】 グッピの様な卵胎性魚は、一度交配し、雄の精子を受け取ると、これを長 期に渡って体内に保存し、以後は雄が居なくとも、3〜5回の産仔が可能で ある。 この特性は、品種改良をする時には、困った性質という事になる。 即ち、計画的な交配をしているつもりであっても、予定外の遺伝子を持っ た精子を、腹の中に保存した雌は、生まれた子供の系統が、はっきりしない ので、計画通りの交配が出来ていると言う、保証がない。 従って、グッピの新品種作出に当たっては、未だ雄と交配していない雌を 確保する事が重要で、この、交配経験の無い雌を、処女雌という。 処女雌を得るためには、生後3週間目までに、雄と雌を分離しなければな らない。 生後3週間と言えば、やっと、雌雄の区別が付き始めたところで、実際に は、かなりの経験を積んだベテランでないと、雌雄の区別が難しい段階であ る。 【心自遊クラブ】 昔は、真面目な熱帯魚の愛好家が集まっていて、会員であることが自慢で きたクラブ。 いまは、クラブの会計の不正を指摘した者を、開かれもしない役員会を デッチ上げて、除名処分を発表し、一部の悪徳幹部と、それに無批判に追随 する人だけが残って、魚なんかやめて、楽しく遊ぼう等と言っている、「心 自遊クラブの常識は、世間の非常識」と言う、変なクラブ。 「とろぴかる・ねっと」の前身、心自遊−NETを設立する、きっかけを 作ったクラブであるが、ROMさえもしていないNETに、CG−NETを 併設するのはケシカランと干渉し、自分の支配欲が満たされないと、機関誌 で、『NETが閉鎖!』等と、見え透いたデマを書く、嘘とホラを生きがい にしている会長と、その信奉者だけで固って居る。 今や、会員であることが人に知れると、恥ずかしいクラブであるが、人並 の恥ずかしいという感覚を持ち合わせていなかったり、他に誰も遊んでくれ る人が居ないと言う、悲しい人もおり、そういう人たちだけで徒党を組んで 居る。 【水銀灯】 わが国の、熱帯魚水槽の照明と言えば、蛍光灯ばかりで、極一部にヨー ロッパから輸入された、水銀灯が使われているだけである。 水銀灯は、蛍光灯よりも発光効率が高く、同じ電力であれば、蛍光灯の 1.5倍以上明るいので、水草を中心とした、高照度を要求される水槽の照 明に適している。 確かに、水銀灯の光は、赤色の成分が少ないので、赤い魚がクスンで見え るが、これは、蛍光灯と併用し、カクテル光線とする事で解決できる。 また、蛍光灯は、減光率が高く、半年も使用すると、初期の明るさの半分 くらいまで光量が落ちるが、水銀灯の減光率は年に10%以下であり、一つ の球を4年くらい使える。 初期投資は高く付くが、長期に使え、水草を育て易いので、もっと普及し ても良いが、残念ながら、扱っているショップが少ない。 【水上葉】 販売用の水草を育てるとき、ビニル・ハウスの中で、浅く水を張り、根だ けが、水に浸かった状態で育てると、能率良く育てる事が出来る。 しかし、こうして育てた水草は、葉が水中ではなく、気中で育つので、硬 く、これを水の中に植え込むと、一度枯れてしまい、改めて、水中で生活す る柔らかい葉を出し直す。 こういう、水没せずに空気中で育った水草の葉を、水上葉とか、気中葉と 呼ぶ。 【水質合わせ】 ショップから新しく魚を購入したとき、ショップの水質と、自宅の水槽の 水質が合わないと、病気が発生したり、体調を崩したりするので、これを防 ぐための作業が必要になる。 理想的に言えば、ショップの水質と同じものを、自宅の水槽に準備すれば 良いのであるが、これは、実際には難しいので、輸送した袋の中で、時間を かけて、自宅の水質に、魚を慣れさせる事になる。 魚を買ってきた時、30分以上袋のまま、水面に浮かべ、温度合わせをす るが、その後、すぐに水槽の中に空けず、先ず、袋の中の水と同じ量の水槽 の水を袋に入れて、新しい水の混じったものに魚を慣れさせ、15分以上置 いたところで、袋の中の水を半分捨て、また、水槽の水を同量加える。 これで、袋の中の水は、75%が新しい水になり、魚も時間を掛けて水質 の変化に対応できた事になる。 水質変化に敏感とか、特に大切な魚は、もう一度位同じ操作をしてから、 水槽の中に泳がせると良い。 実際にこんな操作をしなければならない、敏感な魚は少ないが、意外な事 に、ポピュラーなグッピは、食塩を多量に加えた水で飼育されている事が多 いので、いきなり純淡水の水槽に移すと、浸透圧の変化で体調を崩し易い。 こんな場合は、袋の中だけで、短時間で水質を合わせるのは難しく、水槽 にあらかじめ塩を入れて置き、以後の水替えの度に少しずつ食塩濃度を薄く するのが良い。 【水中葉】 水草が、水中に植えられてから新しく延びた葉で、気中葉の様に、水分の 蒸発を制限し、乾燥した空気から身を守る必要がないので、皮が薄く、柔ら かい。 水中は、光が弱いので、これを補って光合成を行う必要から、気中葉依り もサイズの大きな葉を繁らせる草が多いが、種に依っては、気中葉とは全く 異なる形の葉を展開する物がある。 例えば、水中では、松葉かコスモスの葉の様な、細かい針状の枝分かれを した葉を展開する、カボンバの仲間は、気中では、切れ込みの無い楕円形の 葉を付ける。 水草というのは、やはり、水中葉であってこそ美しい物で、気中葉の水草 が残っている水槽は、未だ未完成と見られる。 【スクリュー・バリスネリア】 和名を「ネジレモ」と言う Vallisneria asiatica。 これは、細長く少し硬い目の葉を、ロゼット状に延ばすが、名前の通り、 葉が捻れている。 ランナ(地面に沿って、長く延びる茎)を延ばし、その途中に子株を発生 し、繁殖する。 わが国でも、琵琶湖の北部には沢山自生して居り、水深1m以下の浅いと ころに、大きな群落を作っているので、泳ぎに行ったときなどに、採取する ことが出来る。 【スキャット】 スキャットと言っても、「ダバダバダーッ」なんて、歌詞の無い鼻歌を歌 う事ではない。 オーストラリアから、インド洋沿岸の汽水域に棲む Scatophagas argusと 言う汽水魚であり、ディスカスの様な丸い体型の、白い地肌に黒いスポット 模様を散りばめており、ショップに依っては、淡水魚扱いで売られている。 和名は「クロホシ・マンジュウダイ」と言うが、鯛ではない。 オーストラリア沿岸には、オレンジや赤い地肌の個体がいるが、これが別 種であると言う説と、性別の違いという説があり、良く解っていない。 本種は、背鰭の棘に毒を持っており、不用意に掴むと、怪我をする。 本種の名前 Scato と言うのは、糞に由来する。 即ち、東南アジアの海岸部では、水上に建てられた家が多く、これらの家 は、海や川を天然の水洗便所として利用しているが、ここに集まって、人糞 を食べる事を示す。 ★参照 → 汽水魚。 【スケィル・イーター】 魚の鱗を主食にする、魚の事。 魚の鱗の主成分は、栄養に富んだタンパク質であり、決して骨のようなカ ルシゥムでは無い。 わが国でも、鯉の鱗を空揚げにして、酒の肴にする処もあるが、食べてみ ると、パリパリとして、なかなか旨い。 また、魚の鱗は、一度脱落しても、容易に再生する。 従って、この鱗を専門に食べる、要領の良い魚も現れる。 良く知られたスケィル・イータの代表選手は、ウィンプル・ピラニアが有 る。 【スタマック・レス】 Stomach−Lessと言うから、胃袋の無い、口から後ろが腸ばか りの、ミミズの様な魚かと思えば、さに有らず。 胃袋の中身がない、要するに空腹のことである。 魚を輸送する時、ショップから自宅までのように数時間の距離で有れば問 題ないが、輸出入のように、長距離で、輸送時間が長い場合、途中で魚が糞 をすると、水質が悪化し、生存率が落ちたり、死なないまでも体調を崩すこ とになる。 この対策として、輸送する3日ほど前から絶食させ、胃の中を空にする処 置をスタマック・レスと言う。 【スドー】 熱帯魚用の餌などを、製造、販売している業者。 ディスカスの色揚げハンバーグと称して、男性ホルモン入りのハンバーグ を売出し、『1カ月に3個位与えて下さい、多く与えるとホルモン障害を起 こします』などという広告をしている。 まあ、以前はホルモン障害のことは黙っていたのに、最近は、ホルモン障 害を起こしますと明記しているだけ、未だ、少しまし。 それにしても、ドーピング・ディスカスを売りまくるという、最近のモラ ルの無い業界に便乗し、更に、こんなディスカスを購入した愛好家に、ドー ピングを続けさせようと言うのは、嘆かわしい。 確かに、無知な愛好家や、そこに付け入る業界から、ホルモン入りのハン バーグの要望は、有るかも知れないが、売れる物なら何でも売って、金さえ 儲かれば良いと言うのでは、熱帯魚という生き物の業界で、生きていると言 う自覚がなく、死の商人と変わらない。 【スネール】 水槽の中にはびこる、各種の巻き貝のこと。 中には、観賞価値があり、商品として販売されている貝もあるが、そうい うのではなく、水草を購入したときに、成体や卵が付着して、いつの間にか 繁殖する小さな巻き貝は、観賞価値もなく、始末に負えない。 観賞価値のあるような、大きな巻き貝は、エンゼル・フィッシュの様なシ クリッドが、上手に中身だけを食べてくれるのに、小さな巻き貝は、食べる 魚がいないので、退治するのが難しい。 貝退治の道具として、「スネール・ホイホイ」等という物も売られている が、効果はもう一つ。 簡単な退治法としては、薄く切ったカマボコに糸を付けたものを夜間に沈 めて置き、朝、貝が沢山集まったところを引き上げるという手もある。 原始的に見えるが、成体や卵を見つけ次第、手で潰すのか、一番効果的な 対策である 【スポッテド・バラムンディ】 オーストラリア産のアロワナ。 学名は、Scleropages Jardini。 現地では、サラトガと呼ばれている。 銀色の鱗の一枚一枚に、オレンジ色のスポットが2個ずつ入り、アジア・ アロワナよりも細長い体型をしており、アロワナの仲間の中では、ヘテロ ティスに次いで、喧嘩に強い。 ★参照 → アロワナ 【スマトラ】 東南アジアを代表する、鯉科の魚。 学名は Puntius tetrazona。 学名の意味は、punt = 船型の体型に、Tetra = 4本の帯模様を持つ。 オレンジ色の体に、黒いバンドが入り、元気溌辣と泳ぎ、飼育は容易。 動く物を見ると、取り敢えず、齧って見る癖が有り、、エンゼル・フィッ シュとか、ディスカスの長い腹鰭を齧り、鋭い歯を持っていないので、怪我 をさせる事はないが、齧られた方は、ノイローゼになり、餌を食えなくなる ので、混泳させる組み合わせには、注意を要する。 この、細い物を齧ると言う癖は、飼育する数が少ないときの方が顕著で、 10匹位をまとめて飼育すると、仲間同士で追いかけ合いをするのに夢中に なり、他の魚に悪さをする暇が無くなるのか、多少ましになる。 人工改良種として、ブラック・バンドの部分が、ダーク・グリーンになっ た、グリーン・スマトラも有る。 【生物濾過】 魚類は、自分が生活している、水中に排泄し、この排泄物の主成分である アンモニアは、魚に対して、毒性を持つが、自然界では、水生植物やバクテ リアに依って浄化され、また、雨に依って絶えず新鮮な水が供給されて、魚 が棲める環境が維持されている。 魚を、天然の河川や湖の状態とは、桁違いの過密さで、飼育していると、 やがて水が汚れてくるので、長期に魚の健康を維持するためには、水質の悪 化を防ぐ、濾過装置が必要となる。 生物濾過と言うのは、バクテリア(微生物)の力を借りて、魚にとって有 害な物質を、無害な、或いは、より害が少ない物質に変化させるのもので、 私たちが、熱帯魚を飼育する時の、フィルターに期待される、最も重要な役 割である。 微生物には、大きく分けて、活動の時に酸素を多量に消費する『好気性バ クテリア』と、酸素を必要としない『嫌気性バクテリア』が有るが、普通、 趣味の世界のフィルターに利用しているのは、好気性バクテリアの中の、ニ トロ・ソモナスと、ニトロ・バクターと言う、二種類の硝化バクテリアであ る。 ニトロ・ソモナスは、魚の排泄物の主成分であるアンモニアを食べて、亜 硝酸に変化させる。 アンモニアはアルカリ性物質であるが、亜硝酸は酸性物質で、何れも、魚 に対しては、強い毒性を示す。 この亜硝酸は、ニトロ・バクターが食べて、最終的には、魚にとって毒性 の低い、硝酸となる。 ニトロ・ソモナスも、ニトロ・バクターも、活動するためには、多量の酸 素を消費するので、好気性硝化細菌と呼ばれており、生物濾過の効果を高め る為には、水中の溶存酸素の量を増やすために、アエレーションをしてやら ないと、バクテリアと魚が、酸素を奪い合う事になる。 酸素が不足すると、硝酸は容易に還元されて、毒性の強い、亜硝酸に戻る 恐れがある。 生物濾過で最終的に生産される硝酸は、一部は水草の肥料として利用され るが、水草が少ないと、過剰な硝酸が蓄積する事を避けられないので、水替 えに依って、水槽の外に捨てる必要がある。 ★参照 → 濾過装置。 【セイロン・ヌバール】 スリランカ原産の、スイレン科の水草。 名前のセイロンと言うのは、スリランカの旧国名。 葉の色は、表は赤味を帯びたライト・グリーンで、裏はワインレッド。 美しいが、すぐに浮き葉を形成し易く、一度浮き葉を出し始めた物は、葉 を間引くなどをして、成長力を抑制しても、水中葉に戻らない。 弱酸性の、軟水で育てる必要があるが、ちょっとした環境や、水質の変化 で、枯れて仕舞う、育成の難しい水草。 【ゼオライト】 Zeolite = テクトアルミノ硅酸塩で出来た、多孔質の柔らかい鉱物。 アンモニアに対し、強い選択性の吸着をするが、亜硝酸、硝酸は吸着しな い。 アンモニアの吸着能力が落ちた時は、日光に曝して、乾燥させると、再生 出来る。 また、水中のカルシゥム、マグネシゥム等、硬度を上げる物質を吸着し、 代わりにナトリゥムを吐き出し、水を軟水化するのに使う。 カルシゥム、マグネシゥム等の金属イオンを吸着して、軟水化の能力が落 ちた時は、濃い食塩水で洗ってやると、カルシゥムとナトリゥムを交換し、 軟水化の能力を回復する事が出来る。 別名『個体酸』とも呼ばれ、これを濾材に使うと、pHを6〜6.5に調 整する事が出来るので、弱酸性の軟水を好む魚(大概の種類の魚は、この弱 酸性の軟水を好むので、応用範囲が広い)を飼育する時には、便利な濾材で ある。 【セキショウ】 わが国に自生している、サトイモ科の水草 = Acorus gramineus。 株元から細く堅い葉を放射状に出す。 葉の姿を見ると、こんな細い葉を出すものが、サトイモ科とは信じられな いくらい、アヌビアス等とは印象が違う。 育成するときは、弱アルカリの水質が良く、サンゴ砂等を混ぜる必要があ るので、他の水草とは、相性が悪い。 英名は、アコルス。 【ゼブラ・ダニオ】 東南アジア産の、鯉科の魚。 学名は Brachydanio rerio。 体長3cm。 性質は温和しく、決して、他の魚に危害を加える事が無い。 産卵は、非粘着性の卵を、ウィローモスの茂みの中などに、バラ撒くよう に産み、雌は自分の産んだ卵を食べる。 水槽の底に、ビー玉を沢山沈めて置くと、間に落ち込んだ卵が助かり、そ のうちに、仔魚が泳ぎ出して来る。 【全長】 魚のサイズを長さで表現するとき、吻端から尾鰭の後端まで、兎に角、最 も長い部分の長さで表現するときに、全長と呼ぶ。 見た目のサイズに一致するので一見正確な表現が出来るようであるが、 尾鰭は喧嘩とか、病気によって一部が欠けて、短くなり易いので、別の個体 と比べるときに、不正確になり易い欠陥があり、あまり使われず、普通は、 体長で表現する事が多い。 ★参照 → 体長。 【ゾエア】 普通、海老の卵が孵化した時は、幼生は、親海老のような姿ではなく、プ ランクトンの形をしており、これをゾエアと呼ぶ。 このゾエアが、何度かの脱皮を繰り返して、少しずつ体型が変わり、最終 的に親と同じ形になった物をポストラーバと呼ぶ。 例え、川の上流部に棲む、淡水海老と謂えども、特殊な物を除き、ゾエア は海水、或いは汽水で生活し、淡水の中では育たない。 従って、この様な生活史を持つ海老は、水槽の中では繁殖不可能である。 中には、ゾエアの段階を、卵の中で済ませてしまい、いきなりポストラー バ、つまり、海老の形で孵化する物もいる。 例えば、ショキタテナガエビ、コツリヌマエビ、ミナミヌマエビ、イシガ キヌマエビ、ビー・シュリンプ等がこれに当たり、ビー・シュリンプは、水 槽内でも容易に繁殖する。 【側線】 魚の体の側面の、脊椎に沿った辺りに、小さな点状の突起を持った鱗の並 びを、側線と呼ぶ。 海水魚のアジ等は、特に大きく目だち、体後半の側線の部分を「ゼンゴ」 と呼んでいる。 この鱗は、中央部の突起の様に見える部分に、小さな穴が開いており、水 が流通する事で、水の流れの方向や、水中に伝わる、音、振動などを感知す る器官となっている。 側線の並び方や、数は種に依って決まっており、例えば、海水魚のアジ等 は、良く似た亜種が沢山有るが、この側線が分類の決め手となっている。 分類を論ずるとき、「縦列鱗数」と言うのは、この側線を持つ鱗の数を示 し、多少の幅を持っているが、大体の数は、種毎に決まっている。 また、縦列鱗数、即ち側線の鱗の数は、体節の数の多少を反映するので、 この鱗の数を見る事に依って、解剖し無くとも、生きた魚の、脊椎の骨の数 を、大体見当を付ける事が出来る。 【ソード・テール】 中米原産の卵胎生目高 Xiphophorus helleri。 ブルー、黄等が居るが、地味な魚。 名前の由来は、尾鰭の下端が、剣のように長く延びるという、体型に基づ く。 処で、貴方が飼育している、ソード・テールの中には、雌が何匹居るで有 ろうか。 この質問に答える為に、産仔した経験のある雌の数を数えただけでは、間 違っている可能性がある。 ソード・テールと言う魚は、性転換をすることが知られている。 性転換は、雌から雄の方向に起こり、産仔した経験のある雌も、雄になる ことが知られているが、雄が雌になることは無い。 ショップに出回っている、レッド・ソード・テールと言うのは、このソー ド・テールの赤い変異種を固定したものではなく、天然のソード・テールを 何万匹集めても、レッド・ソード・テイルは見つからない。 それどころか、天然のソード・テールを採集してきて、大量に繁殖し、何 万年掛けて選別を繰り返しても、決して赤いソード・テールは生まれない。 何しろ、ソード・テールと言う種には、体色を赤くするような遺伝子が存 在しないのである。 レッド・ソード・テールと言うのは、ソード・テイルとレッド・プラティ のハイブリッド(キメラ)で有り、自然界には存在しない種である。 ★参照 → レッド・ソード・テール。 【第一燐酸ナトリゥム】 NaH2PO4・H2O。 燐酸二水素ナトリゥムとも呼ばれる白色の粉末結晶。 水溶液はpH4位の弱酸性であり、バッファ効果を示すので、飼育水の pHを下げたい時に使う。 実際には、このバッファ効果が、水質悪化を見逃す元になるので、一見使 い易そうであるが、却って危険なので、pHを下げる為には、燐酸の使用を 奬める。 ★参照 → 燐酸ナトリゥム、pHロック。 【タイガー・オスカー】 アストロノータス・オセレィタス(一般には、オスカーと呼ばれている) の、黒い模様の際が明瞭な系統を、固定したもの。 ★参照 → アストロノータス・オセレィタス。 【タイガー・ロータス・グリーン】 西アフリカ原産のスイレン科の水草 = Nymphaea zenkeri。 球根から、数mmの茎を出し、その先に株が出来る。 葉はハート型で、グリーンの基調色に黒い斑点が入る。 大きな葉が3枚以上になると、球根から切り放しても、ドンドン大きくな るが、この株には、初めのような丸い球根は出来ず、ゴボウの様な根茎にな る。 株を切り放した後の球根からはまた、新しい株が出来、一個の球根から、 5〜6株育てることが出来る。 ニムファの仲間は沢山有るが、初めのうちは水中葉であっても、すぐに葉 柄を長く延ばし、浮き葉を形成するものが多い中で、本種と、タイガー・ ロータス・レッドだけは、容易に浮き葉を出さないので長く楽しめる。 また、本種の場合、浮き葉を出した場合は、水中葉を3枚くらい残し、浮 き葉を全部切り捨て、根を少し短く切り詰めて、草の勢いを抑えてやると、 また、水中葉に戻る。 他のニムファでは、一度浮き葉を出し始めると、水中葉に戻すことが出来 ない。 本種は高水温にも強く、育て易い。 【タイガー・ロータス・レッド】 これも西アフリカ原産のスイレン科の水草 = Nymphaea lotus ver.rubra。 草の姿はタイガー・ロータス・グリーンと同じで、ワイン・レッドの基調 色に黒い斑点が入る。 赤い水草にしては、高水温に強く、育て易い。 本種も、グリーンと同じく浮き葉を形成し難く、例え浮き葉を出しても、 思い切って葉の枚数を減らして、成長力を抑えることで、水中葉に戻すこと が、可能。 なお、良く観察すると、ショップで販売されている本種は、厳密には2種 類あるようで、葉の中心部の葉脈の部分の色が、薄いオレンジ色で、多少緑 かかったようなものと、葉全体が濃いワインレッドになるものがある。 全体が濃いワイン・レッド(と言っても、この上に黒い斑点が入っている が)の系統は、何故か葉のサイズが大きくならず、高水温にも弱い。 葉の赤味が弱く、葉の中央部の葉脈の部分が、緑混じりのオレンジ色のタ イプは、販売されているのが、葉を出し始めたばかりの、小さなものであっ ても、将来は、葉のサイズが大きく、見応えのある株に育つ。 【体高】 魚が正しく泳いで居るときの姿勢で、腹の下から背中迄(背鰭の付け根) の高さのサイズを体高と呼ぶ。 腹鰭とか、背鰭のサイズは含まないので、エンゼル・フィッシュの様に、 上下に大きな鰭が付いている魚の場合、見た目の高さよりも遥かに小さな表 現となるが、各鰭は病気や喧嘩で欠けたりし易いので、鰭を含まない方が、 正確な比較が出来る。 【退色】 金魚は、生まれたときは、「青子」と呼ばれ、青味を帯びたフナの様な体 色をしているが、生後6カ月くらい経つと、黒い色素を失い、本来の美しい 色が現れる。 この現象は、成長とともに、赤い色などが現れるのでは無く、成魚と同じ 色素は初めから持っていながら、灰色の色素に隠されていた物が、灰色の色 素が無くなる事に依って、本来の色素が見えてくるので「発色」では無く、 「退色」と呼ばれる。 【体長】 魚のサイズを表す、一つの表現。 体長と言う場合、口の吻端(体の一番前の部分)から尾鰭の付け根(尾柄 の最も細くなった部分)迄の長さを、体長と呼ぶ。 尾鰭の長さが含まれないので、見た目よりも遥かに短いサイズと成るが、 怪我、病気、等で切れたりし易い尾鰭を含まないので、他の個体と比較する 時には、より正確に比べ易い。 魚のサイズを表現するときに、最も一般的に使われる表現である。 【タイ・ニムファ】 スイレン科の水草。 葉の色は、オレンジ色で鮮やか。 浮き葉を形成し易く、一度浮き葉を出し始めた物は、水中葉に戻せない。 他種と交雑した物が多く、黒い斑点の入った物も、販売されている。 【第二燐酸ナトリゥム】 Na2HPO4・nH2O(n=2,7,12)。 燐酸水素二ナトリゥムとも呼ばれる白色の粉末状結晶。 水溶液はpH9位の弱アルカリであり、バッファ効果を示すので、飼育水 のpHを上げたい時に使う。 ★参照 → 燐酸ナトリゥム。 【胎生魚】 魚の中には、卵を産まず、いきなり親と同じ姿の仔魚を産む物が居て、一 見、胎生魚の様に見える種がある。 しかし、魚には、胎生の種は無く、全てが卵生であり、胎生魚のように見 える種は、厳密には、卵胎生である。 ★参照 → 卵胎生魚。 【ターコイス】 トルコ石の様な緑色の事 = Turquoise。 熱帯魚の世界で、ターコイスと言えば、暗黙の中に、アメリカのJ.ワッ トレィ氏が改良し、命名したターコイス・ディスカスを指す。 最近では、ターコイス・ディスカスも、ワットレィ氏のブランドで有る事 が忘れられ、一般名詞の如く使われている。 ★参照 → ターコイス・ディスカス。