#51 熱帯魚辞典>(11) 《ひ、ふ、へ》 可良時寿子 可良時寿子 ID:KBB53931 【ヒロセペット】 千葉県の谷津に在る熱帯魚ショップ。 ワットレィ・ターコイス・ディスカスの存在に着目し、いち早く、わが国 にターコイス・ディスカスを紹介し、今日のディスカスブームの基礎を築い た。 最近は、ワットレィの他、ドイツのデーゲンとわが国の白勢氏のブリード したディスカスも扱っており、ドーピングしていない物を販売している、か なり良心的な業者。 ただ、ブランド名を高めて、高級イメージで、商売することを目指してお り、最近は、「ロールス・ロイスやメルセデスが国産車とどう違うのかわか らない人には、私たちのディスカスは不要です」等と、ブランド信仰者が聞 けば飛びつく様な、鼻持ちならない、傲慢な宣伝をしている。 ブランド・イメージを作り上げることに成功したので、他よりも遥かに高 い値段が着いている。 しかし、ドーピング・ディスカスを扱わないところは、節操がある。 【琵琶湖】 バイカル湖、カスピ海に続いて、世界で3番目に古い歴史を誇る湖。 近畿地方の大部分の住民の、水源としての役割を持っている。 歴史が古いだけに、ビワコオオナマズ等、この湖だけの特有の種も発達し た。 漁業の面からみても、全国の河川に放流される稚アユの大半を供給すると いう重要な位置を占めている。 86年頃より、この湖にもブラック・バス(オオクチ・バス)が不心得な 人によって放流され、近年大繁殖し、漁業資源に打撃を与えているだけでな く、多くの在来種を絶滅の危機に追い込んでおり、200万年の生物の歴史 が一気に破壊されようとしている。 兎に角、岸から網を打つと、一網毎にブラック・バスやブルー・ギルの幼 魚が数匹ずつ必ず入っている状態で、逆に以前は一般的であったアユは殆ど 捕れない状態である。 また、植物に着目すると、この湖は水草も豊富で、非常に沢山の種類が繁 栄しているが、水蓮の様に水面に浮き葉を作る水草は存在しない。 これは、琵琶湖が大きく、風の影響によってまるで海のように強い波が発 生するので、例え水蓮の様な水草が外部から持ち込まれる機会があったとし ても、波浪によって葉がもつれ合い、ネジ切れて仕舞うので、長期に生存す るのが不可能な為である。 【琵琶湖文化館】 大津市の琵琶湖岸にある文化館。 建物は、物語に出てくる竜宮城に似せており、良く目だつ。 活動内容は、美術館と水族館で、水族館は、琵琶湖という地の利を生かし て、淡水魚中心である。 全国の、淡水魚研究のメッカの様な地位を得ている。 琵琶湖固有種である、ビワコ・オオナマズやイワトコ・ナマスは言うに及 ばず、珍しい野生のヒブナ等も大量に飼育しているが、何と言っても凄いの は、体長1.3メーターのオオサンショウウオであり、飼育されている両性 類の中で、世界一の大きさを誇っている。 もっとも、このオオサンショウウオはとても狭いところに閉じこめられて おり、何時も寝ているので、何時見ても生きているのか死んでいるのか解ら ないと言うくらい動きが少ない。 また、この水族館の亀の展示は少し変わっており、誰でも手に取って遊ぶ 事が出来るように解放されているが、そのため、ちょっと珍しい種類は良く 盗まれると言う困った現象も起きている。 【ピンク・テール・カラシン】 アマゾン川の中型カラシン = Chalceus macrolepidotus。 流線型の、スマートな体は、銀色に光る大型の鱗で覆われ、尾鰭は名前の 通り赤い。 東博司さんによって、大量に繁殖されており、出回っているのは殆ど養殖 物であるが、養殖物は、尾鰭の色が薄い物が多く、また鱗の並びが、乱れた 物が多い。 鱗が大きく、良く目だつだけに、並びの乱れた物は見苦しく、成長ととも に酷くなる事はあっても、治る事はない。 尾鰭が黄色い「イエロー・ピンクテール・カラシン」と言う、変異種も居 る。 【ファイブ・プラン】 東大阪市に本社を置く、五味商事依り売り出される商品のブランド名。 アイデアで勝負するような商品が多く、素人が見るといかにも飛びつきた くなる様な、新商品を開発し、A.L.誌、F.M.誌に毎月カラー頁の広 告を出している。 しかし、どうも、このブランドの商品はアイデア倒れで、本当は魚を飼育 したことの無い人たちが、開発しているのではないかと、思いたくなるよう な物が多い。 「パックde赤虫」等という、魚が見向きもしない、マズイ餌を売り出し てみたが、余りの餌食いの悪さに、ショップでさえ、客に薦めることが出来 ず、困っていた。 また、「そうじやさん」等という、乾電池式の水中のゴミを集める、水槽 の掃除機等を販売しているが、これは単にゴミを集めるだけの物であり、実 際に使ってみると、布の袋では、細かいゴミが取りきれず、物理濾過の役割 も果たさない。 水槽の管理で大事なことは、目に見えない、アンモニアとか、亜硝酸の処 理であり、これを開発した人は、濾過と言えば、物理濾過しか思いつかない らしい。 最近は、「バイオ」と言う流行語にのっかり、どんな成分が入っているか 全く表示されていない、「バイオテクノ・シリーズ」とか言う、 ウォーター・コンディショナーを売り出しているが、何にどんな効果がある のか、もう一つ良く解らない。 【フィッシュ・イーター】 魚を主食とする、魚。 歯の無い大きな口で丸飲みする、アロワナやナマズの仲間と、鋭い歯で噛 みちぎる、ピラニアの様な物とが居る。 原産地では、昆虫を食べているような物でも、水槽の中では、小さな金魚 やメダカを餌に使う場合もあるが、水槽の中に、他の餌がないから、仕方無 しに食べているのであって、本来の魚食魚とは、少し意味が違う。 【フィッシュ・マガジン誌】 熱帯魚雑誌の名前であって、魚釣りには関係ない。 わが国で発行されている熱帯魚雑誌の中で、一番歴史が古く、かつては、 学術的な雰囲気の記事が多かったが、後から出てきたライバルの『アクア・ ライフ誌』に圧倒され、止む無く、綺麗な写真をたくさん取り入れ、ライバ ルと同じ雰囲気の雑誌作りに転向した。 こちらの著者も層が薄く、マンネリ記事が多いが、多少理屈っぽいと言う か、学術的な雰囲気の記事も有る。 金魚、鯉など、わが国古来の観賞魚もカバーしている。 【フィルター】 水を綺麗にする、濾過装置の事。 普通は、一つの装置で、物理濾過と生物濾過を兼用した物が多い。 ★参照 → 濾過装置。 【フーケット・ベタ】 フーケット島に産するフーケット・ベタと言うのも有り、こちらの方は、 鰭が少し短く、体色も、体全体が同じ色でなく、鰭の周辺部を取り巻くよう な模様が入る。 ベタ・スプレンデンスと違って、こちらの方は喧嘩をせず、雄の複数飼育 が可能なので、「ピースフル・ベタ」とも呼ばれている。 ★参照 → ベタ。 【沸石】 ゼオライトの事。 ★参照 → ゼオライト。 【物理濾過】 目に見えるゴミを、取り去って透き通った綺麗な水を作る濾過の事。 魚の健康を阻害する物質は、目に見えない状態で、水に溶け込んでいるの で、目に見えるゴミを取っても、見た目が綺麗になるだけで、魚に取って良 い水質になる訳ではない。 これは飽くまでも、観賞したいという、人間の立場を満足させるだけであ るから、無くても、魚の飼育には差し支えない。 普通、水槽に使うフィルターは、生物濾過を受け持つ濾材の処に、目に見 えるゴミも吸い込まれ、ここに引っかかるので、副次的な効果として、物理 濾過も兼用している使い方が多い。 ★参照 → 濾過装置。 【筆秀一】 金沢に在る、金沢ペット(旧名称=金沢ディスカス研究所)を経営する、 ディスカス・ブリーダ。 未だ、世間がターコイス・ディスカスの繁殖に苦労しているときに、安定 した繁殖に成功し、プロとなった。 彼の偉いところは、ディスカスのマーケットを広めるために、 a、8匹以上をまとめて、過密に飼い。 b、毎日、水替えをする と言う、ディスカスの飼育方法を、F.M.誌上に、『ディスカス、猛烈飼 育法』と言うタイトルで公表し、ディスカスが誰にでも飼えるような、管理 技術を広めたことである。 このディスカス飼育方法は、今日では、誰でも知っているが、行き過ぎた 水替え信仰が起こり、繁殖させるときにまで、水替えをし過ぎ、繁殖できな いと悩む人を作り出した。 しかし、これは彼の責任ではない。 ディスカスを飼育する人が、皆繁殖に成功すれば、彼自身が失業に追い込 まれるのであるから、プロ・ブリーダとしては、繁殖技術を公開しないのが 当然であって、批判は出来ない。 彼の繁殖したディスカスに、節操の無いゴマスリ評論家、森文俊氏によっ て、「フデ・ターコイス」なる立派な名前を付けて貰ったが、実際には、繁 殖する親なら何でもと言う寄せ集めであり、個人の名前を冠せる様な、きち んとした系統が確立している訳ではない。 繁殖の現場は公開しないが、店にはペアに成り損なった成魚が販売されて おり、質の悪い魚が沢山泳いでいる。 幼魚は、いずれも、ホルモンに依って強力なドーピングがされているが、 「どうやってホルモン処理をしているのですか」と聞くと、「ホルモン処理 はしていません、特殊な餌を与えています」等と、聞く方が恥ずかしくなる ようなことを平気で言ってくれる。 繁殖技術は高く、誰でも飼育できる方法を公開した、立派な経歴を持って いるが、肝心の、魚の質は極めて低い。 国産ディスカスで、強烈なドーピングをするのは、彼だけである。 【ブライン・シュリンプ】 塩田の様な、塩分濃度の高い処に棲む甲殻類 = Altemia salina。 英名は、Brine-shrimp で、直訳すれば、『塩水の海老』。 卵は、乾燥状態で休眠し、長期の保存が利き、塩水に入れると孵化するの で、魚の稚魚の餌に最適。 ショップでは、休眠卵を売っているので、これを購入し、自分で必要量だ け孵化させる。 孵化した後、餌を与えなければ、栄養価が下がる一方であるから、毎日必 要量だけを孵化させて使うのがよい。 孵化した幼体(アルテミア)は、カロチノイドを多量に含んでおり、オレ ンジ色に見え、これを与えた魚も、オレンジ色を帯びてくる。 孵化した物は、走光性といって、明るい方に集まる性質がある。 孵化は簡単で、2.5%位の食塩水を作り、ここに適量の休眠卵を入れ、 水温を20℃以上に保ち、全体が軽く撹拌されるような強さで、エアレー ションをして置くと、24時間後には、95%以上の卵が孵化する。 エアレーションを止めて、5分ほど静置すると、水面に、白っぽい茶色の 孵化した卵の抜け殻が浮き、底には、孵化しなかった、黒い死卵が沈み、中 層に、オレンジ色をしたブラインシュリンプの幼生が泳いでいる。 この抜け殻と死卵は、魚が消化できないので、ビューレット(スポイト) を使って静かに取り除き、ブラインシュリンプばかりになった塩水を、レ ギュラー・コーヒー用のペーパーで漉し、魚に与える。 多少の塩水が、混じっていても、魚には害にならない。 ブラインシュリンプを漉した後の塩水を、繰り返して使用すると、孵化率 が下がるので、これは捨てるのが良い。 食塩水の濃度が低いとき、及び、エアレーションが弱すぎる場合は、孵化 率が低く、エアレーション強すぎると、孵化した幼体が砕かれ、水が急速に 腐るので、他の幼体も沢山死んで仕舞う事になる。 この辺りは、練習して慣れるのが一番である。 【ブラインド・ケーブ・フィッシュ】 洞窟の暗闇の中で一生を過ごす、カラシン科の Anaptichthys jordani。 外部の光が届かない、洞窟の奥で生活するため、目が退化して、痕跡を止 めているだけ。 産卵は、浮遊卵をバラ撒くタイプである。 この魚の卵は少し変わっており、普通、雌の体から放卵された卵は、急速 に受精能力を失うが、本種の卵は、産卵後数時間経過した卵でも、精子に出 会えばば、受精する。 雄の精子は多く、水が白く濁る位。 【ブラウン・ディスカス】 アマゾンの中型シクリッド = Symphysodon aequifaciata Axelrodi。 数有るディスカスの中の、基本種。 体表全体が、ブラウンで、そこに9本の黒いバンドが入る。 背鰭、尻鰭には、部分的にブルーのラインが入る。 本種は、現地採集ものが輸入される事は少なく、ショップで廉い値段で販 売されている個体の殆どが、香港を初めとする、東南アジアで養殖された物 である。 養殖された物は、現地採集の野生個体のような、艶のあるブラウンの体色 をした物は殆ど居らず、白っぽい体色をしている。 レッド・ディスカスと言って販売されている物は、本種に、ブラインシュ リンプの様な甲殻類の餌を与えて、カロチノイドの効果で、体色に赤味を着 けた物で、数カ月もすれば、普通のブラウンの体色に戻る。 本種は、数世代に渡って、養殖されてきた物が多く、またターコイスの様 に、ホルモン剤を使ったドーピングをされていないので、水槽内の繁殖が容 易である。 また、ブルー・ディスカスとか、ターコイス・ディスカスと容易に交雑種 を作る。 【ブラック・アロワナ】 南米アマゾンの1支流、ネグロ川に棲むアロワナ。 学名は、Osteoglossum Ferreirai。 生後数カ月は、全身真っ黒な体の中央線に沿って、鮮やかな黄色いライン が入り、この体色より、ブラック・アロワナと呼ばれる。 成長の過程で、どんどんと体色が変化する様を楽しめるが、成長すると、 背鰭と尻鰭に藍色が残り、その他の部分の体色と、体型は、シルバー・アロ ワナに良く似ている。 アロワナの仲間の中では、最も温和しいが、虚弱なところがある。 ★参照 → アロワナ、ネグロ川 【フラッシング・コバルト・ターコイス・ディスカス】 最近の、輸入ターコイス・ディスカスの商品名の混乱は、目を覆いたくな る様な物がある。 輸出業者が、勝手に売れそうな名前を着けるだけでなく、わが国の輸入業 者やショップがそれに輪を掛けて、勝手に売れそうな名前を着けている。 こういう状態だから、名前と系統は何の関係も無く、酷いのになると、 89年のアクア・ライフ誌に、同じ個体の写真に、毎月違った名前を着けて 広告した、京都の「奥山熱帯魚」の様に、何という名前を着けて宣伝したの が、自分でも解らなくなる程の混乱振りである。 これとは別の意味で、86年に、鳴り物いりで売り出された、ドイツ産の 「フラッシング・コバルト・ターコイス・ディスカス(ショップに依っては コバルト・フラッシュと表現している)と言うのも、怪しげな名前である。 フラッシィングと聞けば、誰でも英語の Flashing を思い浮かべ、ピカピ カと光輝くという意味を連想する。 しかし、本種のドイツでの正式名称はは、Flachig Kobalt であり、この Flachig (フレーキヒ)と言うのは本来、平らなとか広がったと言う、英語で 言えば Flat と同じ意味であり、決して Flash と同じものでは無い。 この Flachig Kobalt が我が国で、フラッシング・コバルトと呼ばれて居 るのは、これを扱った輸入業者が余程無学で、ドイツ語を正しく読む能力が 無かったか、或は、マニアを誑(たぶら)かす悪知恵にたけた知能犯であるか の、いずれかでしか無いが、この業界の体質から言って、後者に違い無い。 ★参照 → レッド・ラムション。 【プラティ】 中米の卵胎生目高 = Xiphophorus maculatus。 元々、ムーン・フィッシュと呼ばれていたが、これは尾鰭の付け根の処 に、黒い半月型の模様があるためで、最近はこれを改良し、黒い模様の入っ ていない、全身が赤い、レッド・プラティとか、サンセット・プラティと言 う種類も出回っている。 その他にも、改良種が多い。 レッド・プラティは、レッド・ソードの一方の親に使われた。 ★参照 → レッド・ソード・テール。 【フラジール】 塩野義製薬から売り出されている人間用の薬。Flagyl 本来は、抗トリコモナス剤であるが、ディスカスのヘキサミタ症の様に、 腸管内に寄生する病原菌を殺すために使える。 主成分は Metronidazole = メトロニダゾール。 なぉ、フラジールには、経口用の糖衣錠と、腟錠の発泡錠があるが、水槽 に投与するとき、糖衣錠では容易に溶けないので、発泡錠が使いやすい。 熱帯魚ショップでは購入できないので、薬局で購入する事。 最低販売単位が100錠で有るから、友人などと共同購入するのがよい。 ★参照 → メトロニダゾール。 【フラミンゴ・シクリッド】 大型のアメリカン・シクリッド = Cichlasoma citrinellum。 体は名前の通り、フラミンゴの様な、美しいピンク色一色に覆われる。 成長すると、頭に瘤の様な膨らみが出てくる。 シクリッドの例に漏れず、縄張り意識が強く、非常に気の荒い魚で、同種 だけでなく、多種ともよく喧嘩する。 しかし、低温処理をする事に依って、嘘のように温和しくなり、全く喧嘩 をしない魚に作り替える事が出来る。 低温処理のやり方は、温度ショックを与えないように、徐々に水温を低下 させ、最終的には、水温を10℃とする。 この温度になると、冷たすぎて殆ど動かなくなるが、死ぬ事はないので、 そのまま数時間維持する。 それから、また時間を掛けて、通常の飼育水温である25℃まで戻すと、 縄張りを意識する為の、脳の一部が破壊されるのか、喧嘩をしなくなる。 10℃の低温は、数時間経験させるだけで、効果は十分である。 この処理は、一度行えば、効果は一生持続する。 この低温処理法は、滋賀県の「琵琶湖文化館」の淡水魚水族館の学芸員に 依って開発された方法であり、琵琶湖文化館には、フラミンゴ・シクリッド の混泳水槽があるが、全く喧嘩が発生せず、体に傷が入っていない個体が、 展示されているので、気の荒い、アメリカン・シクリッドを飼育して居り、 喧嘩に悩まされている人は、一見の価値がある。 【ブルー・ディスカス】 アマゾンの中型シクリッド、ディスカスの亜種。 学名は Symphysodon aequifaciata Haraldi。 ブラウンの地肌に、ブルーの縦縞が入るが、ブルーの入り方の程度に、変 化の幅が大きく、殆どブラウン・ディスカスと変わらない物から、全身にブ ルー・ラインが入り、ロイヤル・ブルー・ディスカスと呼ばれるすばらしい 個体まで、色々有る。 冬になると、現地採集ものが輸入されるが、質の良い個体は少ない。 この質の良い個体が、タイで改良された、レッド・ロイヤル・ブルー・ ディスカスの元になった。 ★参照 → レッド・ロイヤル・ブルー・ディスカス。 【プレコ】 サンド・ペーパーの様なザラザラとした、吸盤のような唇を持ったナマズ 科の魚の総称。 綺麗な流れがあり、川底に角の取れた石が転がっているような処に生活し ており、石の表面に着いたコケを嘗める様にして食べる。 黒い体に、白いスポット模様を散らせたような、観賞価値の高い種もいる が、水槽のコケ掃除をさせる為に、飼育する人が多い。 コケ掃除をさせようとすると、余り大きくならない、「ブロンズ・プレ コ」が最も良くコケを食べてくれるが、値段の廉い、トリニダート・プレコ も比較的、コケを良く食べる。 その他の種類は、幼魚の中はコケを食べても、成長とともにコケを食わな くなる物が多い。 ★参照 → コケ対策。 【ブロンズ・プレコ】 名前の通り、赤味を帯びた色彩のプレコ。 これと言った模様も入っていない、地味な色で、観賞価値は低いが、水槽 内の、水草の表面とか、ガラス面に発生する、コケを食べてくれるので、掃 除屋として、入れておくと便利な、魚。 プレコの仲間の中では、最も小型で、値段も廉いが、トリニダート・プレ コ程一般的でなく、販売していないショップが多い。 これを販売しているのを見かけたら、取り敢えず購入しておけば良い。 衝動買いしても、財布は痛まないと言う、廉くて、良く働いてくれる、感 心な魚。 ★参照 → コケ対策。 【ペアリング】 繁殖の時、雌雄の番を形成させる事。 魚の場合、相手を選ばない事が多く、任意の雄と雌を組み合わせれば、大 体繁殖できるが、シクリッドの様に、進化の程度が高い魚の場合は、相手を 選り好みし、思ったような組み合わせが出来ない場合がある。 こんな時、複数の個体を雑居させて置き、その中で自然にペアが出来るの を待つ事をペアリングという。 【ヘキサミタ症】 ディスカス等、シクリッドに多い病気。 食欲を無くし、白いフワフワとした、半透明の糞をし、体色が黒くなり、 その中に死ぬ。 ディスカスにとっては、特に恐ろしい病気で、ドイツ産の輸入ターコイス が、良く感染している。 白い糞をするので、一見消化不良と間違え易いが、腸内に、ヘキサミタと 言う病原菌が寄生する事が原因であるから、殺虫剤が必要である。 また、症状が重くなると、頭部にニキビの様な物が出来、これが落ちた後 は、穴が空いている。 薬は、リフィッシュが良く効き、一回だけの処理で、回復する事が多い。 薬を与えた後、水温を上げておくと餌を食う様に成るので、回復を確認す れば、ゆっくりと時間をかけて、元の水温迄下る。 薬は、メトロニダゾール製剤であるフラジールもあり、こちらの方は副作 用が弱いので使いやすい。 ★参照 → メトロニダゾール、リフィッシュ。 【ベタ】 Betta splendens。 アナバス科の魚で、雄は原色の大きな鰭を靡かせ、観賞価値が高いが、雌 は地味な色彩の短い鰭を持った地味な魚。 アナバス科の魚の特徴である、補助呼吸器官=ラビリンスを持っているの で、ブランデー・グラスの様な小さな容器で飼育する事が可能であり、夏に なると、ショップでは、コップやガラスビンを並べ、販売している。 生後一か月を過ぎると、雄同士は、激しく戦い、逃げ場がない、小さな容 器の中では、どちらかが死ぬまで戦う。 原産国タイでは、このベタの戦いに、お金を掛け、わが国の「闘鶏」の様 に楽しむ。 観賞用に販売されている物も、喧嘩をするが、本当に喧嘩に強いのは、鰭 が少し短めの原種である。 実際に喧嘩をさせてみると、ベタ同士の喧嘩と言うのは、歯の無い口で相 手に噛み付くので、これだけでは鰭がボロボロに成るだけで、致命傷には、 成らない。 頃合を見て、お互いの口同士で噛み付き、そのまま底に沈んで、息が切れ るまで、我慢比べをする。 この魚は、必要な酸素の50%以上を、ラビリンスを使って、直接空気中 から取り込んでいるので、鰓呼吸だけでは生きて行けず、弱い方が溺れ死ん で、勝負が決まる。 60cm位の水槽で、複数のベタの雄を飼育すると、逃げ場があるので、ど ちらかが死ぬまで喧嘩する事はないが、折角の美しい鰭がボロボロに成るの で、著しく観賞価値を損ねる。 しかし、これらの激しい喧嘩は、同種の雄同士の間だけで見られ、他種に は決して危害を加えない、温和しい種であり、また、雌は喧嘩をしない。 現在、わが国のショップに出回っているベタは、赤とか青の派手な原色の 鰭を持った、タイ・ベタが多いが、最近は、パステル・カラーの カンボジア・ベタも出回るようになった。 ベタの繁殖活動は、極めて興味深いので、一度観察して貰いたい。 小さな容器にペアを収容し、水面に水草を浮かべ、流れの無い静かな水面 を作って置くと、雄は、空気を口に含み、口の中の粘液で、粘りがあり簡単 に壊れない、細かい泡を作って浮き草に吹き付け、泡巣を作る。 泡巣は3日くらいで完成し、この下に雌を呼んでくると、しなやかな体を 「く」の字に曲げて、雌の体を包み、ちょうど、柏餅のようになって、雌の 体を締め付けると、その刺激で産卵が行われる。 卵は、極めて小さな、透明な浮遊卵である。 放卵した後、雌雄ともに失神して、底の方に沈んで行く。 雌は、底に着くまで失神しているが、雄は途中で気がつき、慌てて今産み 出されたばかりの卵を口で集め、下の方から泡巣に吹き付ける。 産卵は10回くらい続き、全部で500粒位産む。 産卵後、雄が泡巣の補強をしながら卵を守るので、雌は取り出して置いた 方がよい。 孵化した仔魚は、とても小さく、暫くの間、泡巣にぶら下がって居り、や がて泳ぎ出す。 ベタの繁殖の難しさは、この後にある。 泳ぎだした直後の仔魚は、余りにも小さく、良く使われる仔魚の餌、ブラ インシュリンプを食べる事が出来ず、インフゾリアを用意する必要があり、 この初期餌料の準備如何で、仔魚の部止まりが決まる。 ★参照 → アナバス。 【ヘッケル・バンド】 ヘッケル・ブルー・ディスカスの体側に入った、前から5番目の、特に太 い横縞を、ヘッケル・バンドと言う。 ヘッケルと他種とのハイブリッドを作ったときにも、濃く現れ、ヘッケル の特徴の一つに挙げられる。 ★参照 → ヘッケル・ブルー・ディスカス。 【ヘッケル・ブルー・ディスカス】 南米アマゾンの支流、ネグロ川だけに生存するディスカスの一種。 学名は、Symphysodon discus Hechel。 白っぽいブラウンの地肌の上に、ブルーの縦縞が全身にはいるが、 ブルー・ラインは輝きが少なく、派手さはない。 また、体側に9本の黒い横縞が入るが、前から5番目の横縞は特に太く、 色が濃いので、良く目だち、ヘッケルバンドと呼ばれる。 本種は、ブルー・ディスカスや、グリーン・ディスカスに見られる様な、 細長い体型の物が存在せず、良く揃った、丸い体を見せる。 販売されているのは何れも現地採集の個体であるが、神経質で、餌を食わ ないまま、飢え死にするのが珍しくなく、例え餌を食うようになっても、 ちょっとした管理の不備で、痩せて仕舞い、そのまま死ぬ個体が多い。 輸入される個体は、成魚サイズが多いが、環境に慣れ易い、小さな個体で 餌、特にハンバーグを良く食べる個体を選んで購入しないと、失敗し易い。 餌を食べると言っても、アカムシだけを偏食する個体が多いので、注意を 要する。 繁殖は難しく、産卵時の水は、pH=4位の酸性に調整しないと孵化しな いが、それ以前に、産卵する気配もなく、ペアリングしない物が多い。 【ヘテロ】 異なる形質の接合した遺伝子を持つ系統で、要するに雑種。 ★参照 → 雑種。 【ヘテロティス】 アフリカのナイル川に棲む、アロワナ。 学名は、Heterotis niloticus。 口先が丸く、おとなしそうな顔つきで、体色は灰色。 アロワナと言う接尾語の付く魚の中では、唯一のプランクトン・フィーダ で、分類上も、Arapaima 科に属している。 他の魚を丸飲みするような事が無いが、あらゆるアロワナの中で、最も喧 嘩に強い。 ★参照 → アロワナ 【ベニコウホネ】 わが国にも自生するコウホネ = Nuphar japonivum の栽培変種。 スイレン科に属する。 コウホネの葉が、赤味を帯びた物で、色だけでなく、葉の形も原種のコウ ホネに比べると、少し細長い。 高水温に弱く、温度が高いと溶けるように腐って仕舞い、栽培は難しい。 ★参照 → コウホネ。