#95 海水魚>白点病と硫酸銅 豊雪 豊雪 ID:EDM70203 96/2/11 #2375 海水魚水槽 白点病と硫酸銅 豊雪 ●白点病 この病気は病原虫の一種で 「クリプトカリオン イリタンス」 という「せん毛虫」が魚 の体に付着することによって発病。 ●「クリプトカリオン イリタンス」の繁殖サイクル ・被のう虫期 肉眼で確認できるほどの白い点が魚体に付着。特に背ビレ、尾ビレで発見 される。 水温や魚によって違うが、この期間は1〜3日続く。 ・分裂期 魚体から離れ、1日以内に分裂開始。この分裂期間は数日続く。 ・自由遊泳期 分裂した「クリプトカリオン」 は、かなりの数に増殖し、水槽内を遊泳する。 硫酸銅は、この時期にしか効き目がない。 遊泳する「クリプトカリオン」は、1〜2日以内に再度魚に付着する。この時期に なると、体全体に無数の斑点が確認できる。このサイクルが数回繰り返される と、魚は無惨な状態になる。 治療には、硫酸銅を使用するが、この薬は劇薬で人間にも害を及ぼすから 取り扱いには、くれぐれも注意すること。また、分量を間違え、多すぎる と魚が死に、少ないと治療には効果がなく、バクテリアを殺すから、細心の注 意が必要。もちろん、治療中にもバクテリアにダメージを与えます。 本来は、治療にはトリートメントタンクの使用が望ましい。しかし、白点 病に罹病した魚を発見したときに、他の魚に症状が見られなくても。すで に飼育水槽内を、「クリプトカリオン」が存在してると考えられるから、飼育水槽 で治療するのが現実的です。 ●硫酸銅濃度 魚に与えるダメージを極力少なく、なおかつ「せん毛虫」を殺す濃度に調 整する必要がある。 この適正濃度は、0.6〜0.8ppmの範囲。 硫酸銅は、バクテリアにもダメージを与えるから、適正濃度で短期間に治療す ることが望ましい。 ・硫酸銅溶液の作り方。 --------------------------------------------------------------------- 最初に、1Lに対して、1ppmと言う、微量な濃度を正確に割り出す為 には、どうすればよいか、その方法(考え方を)を憶えます。 水溶液=「1L」の水に「1g」の薬品を溶かす。=「1,000ppm」 ============================================ 「上記の水溶液の薬品濃度は、1,000ppm」 ============================================ 上記でこしらえた「水溶液(1,000ppm)」を、「1L」の水に「1cc」入れ ると「1ppm」の水溶液ができる。 このように、1L・1,000ppmの水溶液をこしらえておくと、次ぎ に、1Lに対し、1cc加えれば、1ppm濃度の溶液が、正確に簡単に できる。具体的には、50Lの水量(水槽容量でなく実際の水量)に、 50cc加えれば、1ppmの濃度に成るわけ。 上記を式で表すと。 A水溶液(1,000ppm)1cc/1L(1,000cc)=1ppm --------------------------------------------------------------------- ●実際の硫酸銅の溶液の作り方。(とにかく正確さが要求される) =================================================================== 実際は、硫酸銅に含まれる「銅」の含有量は、1/4です。従って、 1Lに対して、4gの硫酸銅を入れ、1L・1,000ppmの水溶 液が出来る。これを「A液」とする。 ・・・ =================================================================== 治療に必要な、硫酸銅の濃度は、0.6ppm〜0.8ppm。ここでは、より安全を 期し、「0.6ppm」を基準に説明。 水槽水量は、実際の総水量が計算に必要ですから、水槽の水位を見て計算 する。濾過槽に入ってる水量もプラスして、全水量を割り出す。 -------------------------------------------------------- 水量の計算は、巾(cm)×立て(cm)×奥行き(cm)/1,000=L --------------------------------------------------------- *仮に全水量100Lとして説明。 水量、100Lに0.6ppmですから、A水溶液を「60cc」添加す ることになる。 ●投薬方法(12時間おきに行う) ===========================事前準備=================================== 投薬を行う前に、1/2〜2/3程度、水替えする。 アクアセイフなどの水質調整剤は、一切使用しない。 活性炭は使ってはいけない。 治療中は、殺菌灯・プロテインスキマー・オゾナイザーなどの周辺機器は使用しない。 硫酸銅テスターを用意する(必須・残留濃度の測定に必要=後述) 60ccの硫酸銅水溶液を点滴のように、添加出来るようペットボトル等 を利用して工夫する。(ポタポタ程度) ここで、注意することは、水流が無い水面にポタポタ落とすと、興味を持っ た魚が、近好き濃度の高い水溶液に触れるため死ぬこともある。したがて、 必ず、水流の近くに点滴させ、すぐ混ざるようにする。 =================================================================== ●以上で、最初の投薬を始める。 硫酸銅投薬後。一時的に白点の発生が目立つことがある。 白点がすべて消えても48時間は様子を見る。その間に、白点が出なけれ ば、完治したと判断する。 ●2回目の投薬 2回目の投薬は、12時間後 硫酸銅の残留濃度を計測して、適正濃度の ・・・・・・・・・・・ 硫酸銅水溶液を投薬。 ・解説 2回目の投薬するときには、水槽の水には、12時間前に入れた硫 酸銅が薄まったとは云え残っています。この残留濃度を測定して、 必要な濃度だけ入れないと、濃すぎて魚を殺します。 仮に、残留濃度が、2ppmあったとすると、 6ppm−2ppm=4ppm 2回目の添加に必要な濃度は、4ppmです。これと残留濃度がプラスさ れ治療に必要な6ppmになる。 したがって、2回目の硫酸銅水溶液は、40ccを添加する。 以上の精度を保ち、症状が見られなくなるまで繰り返す。 連続7日以上投薬してはいけない。 完治したら、投薬を止め1/2〜2/3水替えする。 その他の注意。硫酸銅ショックが確認されたら、一時投薬を中止して、ア クアセイフを適量の2倍ほど入れ様子をみる。 再び治療を開始するには、2/3以上の水替えをした後、投薬しないと効 果がない。 注意する点は、硫酸銅濃度が、0.8ppm以上だと魚が死ぬ。 0.5ppm以下だと治療効果がない。 数値で表すと、許容される誤差は、3/10,000以内 このような精度が要求される治療を行っている「認識」をもつこと。 「目分量」や「感」など、濃度に関しては、許されるはずが無い。 文面がきつくなってるのは許して下さい。 ・・・ 大変な治療を行ってることを、自覚して欲しかったのです。 PS.硫酸銅の使えない生物=無脊椎動物・海藻の類。 硫酸銅に弱い飼育魚 クイーンエンゼル・ロックビューティー・フレームエンゼル・アフリカン ピグミー・ゴールドフレークエンゼル・ブラックバタフライフィッシュ・ラ インフォーズなど 以上の魚には、硫酸銅濃度を、0.6ppm を確実に守る。 :- :- .・..・・..・.・' 豊雪 ---PC-VAN(EDM70203)--from SHIZUOKA by HOUSETSU--11 Feb.1996(11:23)---