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  合併問題資料

【資料1】

合併協議会の委員宛に、2003年4月10日、私が送った意見書です。 

平成15年4月10日
伊予地区合併協議会委員各位

伊予市議会議員 玉井 彰

拝啓 春爛漫の候、ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。

 地域数十年の枠組みを決定する合併協議会の委員として御尽力されていることに対し感謝申し上げます。

 さて、失礼をかえりみず文書を差し上げますのは、今回の合併協議の中で取り分け注視される新市の事務所の位置についての議論のあり方に疑問を感じたからです。4月7日の小委員会を傍聴いたしました。事務局の説明を受けた後、新市の事務所の位置を決定するという運びになりました。

 しかし、説明を受け審議されたのは各庁舎の品定めだけであり、結論を出すには与えられる情報量があまりにも少なく、多面的な考慮がなされておらず、審議不十分との印象を持ちました。

私が考えただけでも幾つかの議論がさらに必要であろうと思われます。最低限、別紙に掲げます諸点については慎重に議論を重ねられますようお願い申し上げます。議論の先延ばしの方便として申し上げているのではございません。日程上の問題があるのであれば、委員の皆様には御苦労をお掛けしますが、夜を徹してでも集中的に議論をしていただきたいと思います。

 地域の将来を大きく左右する大問題です。私の疑問点に対する御回答を小委員会の議論の中でお示しいただきたいと思います。慎重な審議をされ、後々禍根を残さないよう委員の皆様の御努力に期待するものであります。

 地域の将来のため、伏してお願い申し上げます。

                                      敬具

追伸 直接的には新市の事務所の位置検討小委員会の委員の皆様への書面ですが、参考までに全委員の皆様に送付させていただきます。

 一議員としての結論は持っております。しかし、伊予市議会の各議員と同様、結論は議長に一任しております。納得のいく議論がなされる限り、結論について拘泥するものではありません。 

 私としては、特に、双海・中山地区の人口激減問題と超高齢化の厳しい将来予測について、委員の皆様に認識していただきたいと考えます。また、合併第1世代においては「周辺」にまで目配りが行き届いたとしても、第2世代においては、庁舎の位置が行政担当者の「目線」を左右することになるであろうと予想しております。庁舎の位置如何が、後々、重要な影響を地域に与えるものであるとすれば、事務所の位置の決定に際しては、慎重な御検討が必要であろうと思われます。また、単なる地域間の綱引きに終わるのではなく、市民に目線を合わせ、全体的な利益を図る観点からの考察をお願い申し上げます。


◎議論していただきたい諸点(以下、メモ書き風で記述します)

1.(1)庁舎の性能の比較だけではなく、市民サービス提供という視点から議論を深めているか。(2)庁舎として優れているかどうかの問題とあるべき事務所の位置の問題とは分けて議論されるべきであると考えるが、どうか。(3)庁舎としては適当だが、事務所としての位置に問題がある場合もあるのではないか。このような場合、暫定的な事務所とすることを検討される余地があるのかどうか。

○市民サービス提供という視点から見た場合、これからの超高齢社会をどのように考える か。将来の人口予測、高齢化の予測を前提に議論していただきたい。この点は、将来の人口予測、高齢化率(年齢構成)の推移について資料を事務局に請求し、正確を期していただきたい。なお、私がインターネットで調べた結果を以下に掲げる(特殊合計出生率が変化しないとの前提)。

 国立社会保障・人口問題研究所ホームページのデータベースを利用して算出(別紙にて参考資料添付) http://www1.ipss.go.jp/tohkei/Mainmenu.asp

<2000年>
1市3町の人口 70782人 高齢化率21.6% 
 後期高齢者比率(75歳以上の方の比率)9.2%

*双海町 人口 5417人  高齢化率 31.8% 
 後期高齢者比率 14.0%
*中山町 人口 4541人  高齢化率 33.8% 
 後期高齢者比率 15.5%

<2015年(合併10年後)>
*新市の人口 66775人   高齢化率 29.1% 
 後期高齢者比率 14.4%
*双海町 人口 3863人  高齢化率 43.7% 
 後期高齢者比率 26.3% 
*中山町 人口 3386人  高齢化率 45.0% 
 後期高齢者比率 27.8%

△双海・中山、2町の人口減少率(2000年との対比)27.2%

<2025年(合併20年後)>
*新市の人口 61496人 高齢化率 32.4%  
 後期高齢者比率 18.1%
*双海町 人口 2906人 高齢化率 51.8%  
 後期高齢者比率 31.5%
*中山町 人口 2611人 高齢化率 53.6%  
 後期高齢者比率 33.0%

△双海・中山、2町の人口減少率(2000年との対比)44.6%

<2045年(合併40年後)> 
*新市の人口 50153人 高齢化率 35.3%  
 後期高齢者比率 19.1%
*双海町人口 1424人 中山町人口 1350人

△双海・中山、2町の高齢化率 58.9% 後期高齢者比率 40.9%
△双海・中山、2町の人口減少率(2000年との対比)72.1%
*双海町、中山町での人口激減、高齢化率(後期高齢者比率)の上昇に注目していただき たい。地域崩壊の危機に陥るのではないかとの懸念もある。

*後期高齢者の比率は、車社会に適応しづらい方の比率の目安になると思われる(75歳 以上でも車社会に適応できる方もいれば、75歳未満でも適応しづらい方、運転できな い方もいるので)。将来、新市でも20%程度、双海・中山地区では30%〜40%の 方が車社会不適応者となると考えられる。

○市民の高齢化に対応した本庁舎の位置をどう考えるか。
○車社会に対応した議論のみでよいか。公共交通機関との連携を考えるべきではないか。 車社会に適応できない方の問題は?
○車社会を前提にするとして、来庁者に対応するにはどれだけの駐車スペース(台数)が必要と考えるか。
○松前庁舎の駐車場は、総合文化センターでのイベント時に不足していると思われるが、 どの程度不足しているのかのデータはあるか。どの程度駐車台数を増やせば十分と言え るか。

2.事務所の位置を決定するに当たっての議論の手順に問題はないか。

○庁舎の位置は、単独で議論すべきではなく、他の問題、例えば、新市の建設計画と密接 不可分の問題として議論されるべきではないか。他の問題を検討する中で、あるべき庁 舎の位置についての議論も深まるのではないか。「まず、庁舎の位置を決めて」という 手順に問題はないのか。

○時間的に事務所の位置が先行すべきだとするのは事務局の都合に過ぎないのではないか。この点につき、他地区の例はどうなっているかの検討はなされたか。

○傍聴者として、議論が事務局に誘導されすぎているとの感想を持つが、委員の方はどのように思われているのか。

○どこが新市の中心部なのかをまず議論すべきでは?

○新市の事務所を決める意義は何かという点を突き詰めて議論されているか。

○事務所の位置が北部に偏る場合、市長や企画部門の目線が左右されることはないのか。 特に、人口激減が予想される双海・中山地区への目配りはどうなるのか。
(人口予測は、自治体が維持された場合を前提とするから、「周辺」になった場合には、予測を上回る人口減少に見舞われる可能性がある)

○双海町、中山町に本庁を置かないことの確認はしているか?
 双海町、中山町に総合支所を置くか、支所にとどめるかの議論は?

○4庁舎を比較するのではなく、「準決勝・決勝方式」で考えてみるべきではないか。「準 決勝」で双海町、中山町を除いた場合、「決勝」で伊予の庁舎と松前の庁舎との比較を、 庁舎の性能だけではなく、位置的な利便性(特に超高齢社会を踏まえて)を含めて検討 すべきではないか。

3.「7万都市」をどの様にイメージするのか。

○中心市街地、即ち、「街」をどう考えるのか。一定の都市機能(公共交通、行政、金融、医療、飲食、商業等)を持った「街区」を有しない7万都市を想定できるのか。

○中心市街地と本庁舎の位置の関係をどう考えるか。市庁舎は、中心市街地のランドマー ク(目印)としての意義を有するのではないか。

○7万都市にふさわしい「顔」づくりをどうするのか。

○松前の庁舎を「本庁」ないし事務所の所在地と考えると、散漫でぼやけた印象の都市に ならないか。

○都市機能集約型の都市を目指すのか、都市機能分散型の都市でもよいと考えるのか。

○中心地を明確にしておかないと、内部の政治バランスのみを追求することにのみエネル ギーを費やすことになる。結果として、外部から見て、漠然とした、存在感のない、魅 力の乏しい都市になるのではないか。「中心性」の喪失が地方都市の魅力低下につながったのではないか。

△関連した議論として、分庁方式を採用するか否かにかかわらず、松前の庁舎と伊予の庁 舎を直結させる道路を建設することにより、都市中心部の構造を変えることが必要かつ 喫緊の課題ではないか。

(参考)国道378号から松前中学校横に抜ける道路を連結するには、約1.4キロの道路を新たに造ればよい。民家立ち退き軒数は、素人考えでは、20軒以内と思われる。概算として、30億円程度の建設費ではないか。投資効果がかなり期待できる公共投資であると考える。

(HP掲載2003年6月8日)


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