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まず、職員人事についてお伺いいたします。職員の人事異動の季節がやって参りました。もうある程度構想が固まっておられるかと思いますが、来年に向けてということでお考え下さい。伊予市には300人近い職員がいます。この中には、伊予市を背負って立つ人材も数多くおられると思います。これから地方分権が進展するに伴い、職員の皆さんに要求されることがらも多岐に及んでくることが予想されます。職員の皆さんには一段と視野を広げていただき、これからの変化の時代に対応していただきたいと思います。その為には、他の自治体との人事交流を積極的に進めていくことも必要であると思います。そのことにより、伊予市を外から眺めることが出来、郷土に対する見方、地方公務員としての自己のあり方についての認識も変わってくると思います。他の自治体職員との交流により刺激を受けることもあるでしょう。伊予市役所に留まっている職員も他の自治体から来た職員との接触により良い影響を受けると思います。伊予市の活性化には職員の活性化も不可欠です。
また、これとは一見矛盾するようですが、一定の部署に特定の職員を長期的に配置していくことも必要です。従来でも、技術職においてはそうであったかも知れませんが、ここで問題としているのは市民との継続的信頼関係を必要とする部署においてです。当該職員が適任であると考えられる場合には、その分野のエキスパートとして育成していくことが必要です。
無論、本人の意思を尊重すべきです。ゼネラリストの養成も必要ですが、まちづくりに情熱を燃やしていくタイプの職員は、出世よりも自分のやりたいことに賭ける生き方を選ぶことの方が幸せであろうと思われます。「縦の出世」だけではなく「横の出世」(即ち、自分の興味を持った分野で交友を広げる生き方)をすることも有力な生き方です。
これからの時代は、様々なメニューの中から本人が選択して地方公務員として満足のいく生き方を提供できる自治体に人材も集まるのではないでしょうか。伊予市の職員さんには、「名職員」を目指す生き方をしていただきたいと思います。
この様な諸点をふまえて、人事に関する市長の所見を伺います。
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2番目の質問として、中心市街地の再生を取り上げたいと思います。市長は所信として述べられた中で、中心市街地活性化に向け、商工会議所と連携して、市としての基本計画を策定する旨表明されました。積極的な市長の姿勢に感銘を受けた次第です。
ここでわざわざ質問をいたしますのは、この事業が成功すれば、伊予市の歴史では、武智惣五郎氏の大谷池建設以来の快挙となる大事業であると思うからです。
ほとんどの地方都市は、モータリゼーションの進展と都市の拡大、大型店の郊外進出等の影響で中心市街地の空洞化を招いております。中心市街地は、本来、長い歴史の中で地域の文化や伝統をはぐくみ、各種の機能を培ってきた「まちの顔」であり、その空洞化は、地域コミュニティの危機と言っても良い状況です。
昨年制定施行された中心市街地活性化法は、改正都市計画法、大店立地法とともにまちづくり三法と総称されますが、その意義は、現在の危機的状況を打開して、人が集い交流する地域コミュニティの核であり、都市の顔となる中心市街地を再生することにあります。多額の公費を中心部に投入することは、他の地域とのバランス論を根拠に反対論がでる余地もあります。これを正当化できる根拠は、中心市街地が市民に様々な都市的サービスを提供する公共空間であることに求められます。即ち、中心市街地は市民全体のものであり、魅力的な中心市街地を持ったまちは、地域イメージが向上し、産業の振興にとって極めて有利な基盤を得られます。地域ブランドを基に、様々な商品開発も可能になってきます。農業産品のブランド化にも有効です。これにより、定住人口のみならず交流人口の増加も期待でき、拠点都市となる可能性が出てきます。
ここで注意すべきは、都市の拡大を押さえた環境負荷の少ないまちづくりを行うということです。都市の拡大は、道路整備、上下水道整備等行政による社会基盤の整備を新たに要求することになり、多額の公費支出を要求するものであって、不経済であるだけでなく、社会環境や自然環境への影響も無視できない問題となります。既存の社会基盤を活用したまちづくりが求められるところです。また、行政、金融、交通、医療・福祉、商業などの都市機能が集約され、様々な都市的サービスが同時並行的に享受できることが都市の魅力につながります。また、高齢化社会に対応するまちづくりという観点からも都市機能の集約が必要です。
中心部が疲弊し高齢者が商店街で買い物が出来ないので郊外の大型店までコミュニティバスを走らせた自治体の例がありますが、誠に馬鹿げたことだと思います。 この様な観点から、公共施設の配置は可能な限り中心部に為されるべきです。ことに、市役所のJRの線路から山側への移転は、金融機関の移転をも誘発し、中心部の崩壊につながることになるので許容できません。また、イベントについても、可能な限り中心市街地で行う方向でお考えいただきたい。
中心市街地再生の意義をふまえ、市役所移転論を含む都市機能集約の必要性についての認識を伺います。
都市は、本来それぞれの表情を持っていました。高度成長時代、中央集権のシステムによる規格大量生産の影響から画一的な町並みが全国的に広がってきました。そのなかで、残された「そのまちらしさ」を探す取り組みが各地で広がってきました。今残っているものを保存できるだけでも大変なことです。伊予市には、幸い、港を中心に栄えた旧郡中町繁栄の歴史を物語る町家が残り、伊予市らしい景観を形成しています。これを基に、伊予市らしい景観を新たに創出する努力も必要です。ここで、「歩く」ということを強調したいと思います。
その都市らしい景観はまち歩きの楽しさを倍加させます。21世紀は、旅行の世紀になるとの予想もあります。そのなかで、都市観光(アーバンツーリズム)が脚光を浴びるでしょう。
伊予市も快適で安全なまち歩きを楽しめる都市空間を創造していく必要があります。ナポレオン3世時代、パリに当時の国家予算に匹敵する膨大な予算を注ぎ込んだことが、世界中から観光客のたえない「花の都」になった基であると言われています。参考までに申し添えておきます。
都市景観の問題については市長も積極的な見解を出されており、くどいようですが、所見を伺います。
ところで、宮内小三郎邸をはじめとする町家の保存修復と活用については市長も積極的に取り組まれる決意を示されています。特に、最近、宮内小三郎邸が南海放送の特別番組以来話題になっていますが、これについては、中心市街地の活性化の一環として、商工会議所とともに市民的合意による保存・活用に取り組まれることをお願いします。
灘町通りの景観形成ということからすると、一方で中心市街地への居住促進が必要ですけれども、今後、商店街の表通りの高層マンション建設については見直しをお願いしたいと思います。この4年間に中心市街地に建てられたマンションの入居状況をお知らせいただいた上で、市長の所見を伺いたいと思います。
中心市街地の再生は、単なる「商店街の活性化」の問題とは異なります。前に述べましたように、市民の共有財産としての公共空間の整備という問題です。その一環として、商業地郡中の復興を図りたいと思います。その為には、商業者の転廃業をどの様に行うかということを含め、新しい「血」の導入ということも視野に入れるべきです。自営業ないし中小企業の新規の設立がアメリカ経済好況の原因であるとも言われています。大企業が有利な時代は終わりつつあります。自営業者の創出を真剣に考えていくべきです。地方が元気を出し、国の経済を支えていくことも今後の課題であると思います。
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情報公開については水田議員から質問がありましたので簡潔にいたします。市長の掲げられる「公僕」という観点からは市民に対し行政の情報を積極的に開示し市民に報告し説明する責任が生じます。このことを突き詰めますと、いわゆる政治家の「旨味」を否定することになります。そうすると、不純な動機で政界に進出しようという野心家を排除できることになります。真に国や地域を愛する者によって政治を運営できることになってくると思います。近年、市民オンブズマンの活躍は目覚ましく、官官接待など様々な問題点が浮き彫りになって参りました。また、自治体の情報公開についてのランク付けまで行われていることはご承知の通りです。特に重視されているのが、交際費、食糧費、交通費、入札についての情報開示です。これらの点に留意された情報公開をお願いしたいと思います。 また、入札の件については、市長が議員時代の平成9年9月議会において質問をされているので、当時の心境と、市長になられて知り得た近年の入札の実態についてお知らせいただければと思い、質問の一項といたしました。
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学級崩壊など、教育の問題について話題の尽きることはありません。教育の現場の御苦労は大変なものであろうと思われます。
ただ、私の意見を言わせていただければ、現在の社会では、成人式を30歳で行うのが実態に合っているのではないかと思います。一応社会人としてバランスが取れてくるのがやっとそのころではないでしょうか。それまではアンバランスな成長を遂げていくことをある程度容認する必要があるのかも知れません。豊かな社会ではやむを得ないと思います。アンバランスな成長を遂げている少年期に、何らかの理由で学習を放棄しても、成人に達して「しまった」と後悔することもあるだろうと思います。そのときにやり直しのきく柔軟な懐の深い社会にすべきだと思います。少年時代を順調に過ごし偏差値の一番良い学校を出た人達が今日の長期不況を招いた元凶であり、現時点でも有効な解決策を見いだせず苦悩しております。だからといって少年期に出来が悪い方が成功する確率が高いということも言えません(たまにそんな例があると宣伝されますが)。結局のところ、一生勉強が必要だということです。
むしろ、社会人こそ勉強が必要なのです。その為の社会基盤を整備していただきたいと思います。その一つが図書館の開館時間の延長です。今日、市民のライフスタイルが変化し、夜型の人も多く、深夜まで開いている書店が賑わっています。行政サービスも都市機能の一翼を担うものであり、供給サイドの論理に固執することなく柔軟な対応をお願いいたします。
市民の生活パターンの変化に合わせた対応を検討されるべきではないでしょうか。
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行政と議会の関係について質問いたします。
従来、ともすれば、団体の理事者は円滑な議事進行を願い、その為であれば必要以上の妥協を行うことが多いというのが一般に見られる現象です。このことが、民間企業では総会屋に付け入る隙を与えることにつながってきました。しかし、近年の商法改正や有名企業での不祥事の摘発などにより、いわゆる「しゃんしゃん総会」を見直す気運も見られます。これからは、総会が長く審議を尽くしている企業のイメージが良くなってくるでしょう。
株主総会と対比するのは妥当ではないかも知れませんが、地方行政においても、理事者側が議会と円滑な関係を望むという点では同様の問題があると思います。自治体首長は議事がすんなり進むことが自己にリーダーシップがある証であると考え勝ちです。面子にこだわる方もいます。しかし、ここは発想を柔軟にされ、予期せぬ様々な問題が生ずることをおおらかに許容する姿勢を示していただきたいと思います。地方自治の仕組みは、国の議院内閣制とは異なり、議員の中から首長が選ばれるのではありませんから、厳密には、与党も野党もありません。議会に行政を監視する責任があることを考えれば、議会はオール野党であるとも言えます。行政と議会の間に適度な緊張関係を維持することこそ健全な市政を維持することにつながると考えます。むしろ、摩擦を歓迎するくらいの姿勢で対応していただきたいと思います。理事者側に真摯な姿勢があれば、議員が揚げ足取り的な態度を示した場合には到底市民の支持を得られないだろうと思います。この点、市長の見解を伺いたいと思います。
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下水処理水放流協力費については、下水道放流協力費とともに、質疑の中で質問しご回答を頂きました。ただし、同意に関し多額のお金が必要であるというのは社会常識を逸脱したものであると思います。過去の議会で承認を受けてきていることからすれば、これを否定するわけにも参りませんが、異議を留めさせていただきたいと思います。今後、別途同意に伴う協力費の要求があった場合には、交渉の経緯を市民に公開すべきであると思いますが如何でしょうか。3年前、漁協の「同意」が得られないので、住吉祭りの花火をあげられるかどうかが最後まで分からないのでポスターを貼れないという事態がありました。事後的にそれを知り、実行委員会で「通告だけでよいのではないか。条件を付けて同意を拒否し花火があげられないのなら、そのことを市民に公表すればよい。」と申し上げたことがあります。
不条理な要求を拒否したため「同意」が得られず、それで重要な施策が出来なくなっても構わないと腹をくくれば良いのです。情報公開は行政にとっても武器になります。このことをご承知おき下さい。この点は、突っ込んだ質問を予定していましたが、岡井収入役より年輪を感じさせる御答弁を頂きましたので、ここでは控えます。収入役には、退任後も宜しくご指導いただきたいと思います。
要約
1.職員人事について《市長》
イ.他の自治体との人事交流の必要性・・・伊予市を外から眺める
他の自治体職員との交流
ロ.市民との継続的信頼関係が必要となる部署においては、職員の希望があれば移動をさせずに養成する必要があるのでは・・・スペシャリストの養成
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2.中心市街地の再生にむけての市長の決意は所信表明において明らかにされました。
基本計画が策定されるに当たり、以下の諸点について理事者の所見を伺いたい
《商工開発課長、都市整備課長》。
イ.中心市街地再生の意義
様々な都市機能を持った公共空間
都市の「顔」
地域コミュニティの核
ロ.都市機能集約の必要性
都市の拡大を押さえた環境負荷の少ないまちづくり
公共施設の配置
イベントを中心市街地で行う必要性
ハ.都市景観の意義
まちの個性を体現する
「歩く」がキーワード・・・アーバンツーリズム
都市景観の創出
ニ.宮内小三郎邸をはじめとする町家の保存修復と活用
宮内小三郎邸の保存・活用を中心市街地活性化の一環として位置づける必要性
ホ.灘町通り高層化についての見解
4年以内に建てられた中心市街地内の高層マンションの入居状況
ヘ.商業地としての郡中復興・・・新たな血の導入
自営業者創出の必要性(アメリカにおけるSOHO)
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3.情報公開と報告・説明責任(アカウンタビリティー)《市長》
イ.交際費、食糧費、交通費の公開
ロ.近年の入札の実態についての説明(市長の議員時代の質問)
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4.図書館の開館時間延長のお願い《市長、担当課長》
イ.生涯学習と図書館の重要性
やり直しの出来る社会
社会人が活用できる図書館を
ロ.市民の行動パターン変化への行政サービスの対応
夜型ライフスタイルへの対応
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5.行政と議会との関係について《市長》
円滑な関係を追求するのではなく、多少の摩擦があることを歓迎する姿勢を持っていただきたいと思います。この点についての市長の姿勢を伺います。(近年の株主総会との対比、総会が長いほどいい会社)
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6.下水処理水放流協力費の性格と漁協との交渉経過について《下水道課長》
工事を行う「同意」の条件としては大きすぎる金額ではないでしょうか。 |
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