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1999年6月

 1番、玉井 彰です。質問に先立ちまして、市議会議員として市政にどの様な役割を果たすべきかという観点から、一般質問の意義についての所見を述べさせていただきます。言うまでもなく、議員は行政の監視者であり、行政の動向を監視するという意味で一般質問を行うものであります。

 加えて、議員は行政の枠組みの外にいる者として、行政担当者とは違った角度から提言を行い、市政の発展に寄与できる存在であると思われます。

 その意味で、提言を内容とする質問も重要であると考えております。以下、両面に渡る質問を行います。 
 
1.

 第一の質問は、自営業者創出を中村市政の柱の一つとして位置づけていただくことが出来ないかということです。地方自治体の任務は何かを突き詰めますと、一つの結論は、富を産み出すこと、即ち産業の振興であります。産業振興というと、工場誘致が考えられて参りました。しかし、これからは、高付加価値のモノを造る工場でなければ国内での存在は困難です。第三次産業の振興を真剣に考えなければなりません。3月議会で述べましたように、中心市街地を活性化し個性あるまちづくりを行うことによって地域イメージを向上させ、地域ブランドを確立させることによって産業振興に結びつけていく方向がこれからの地域振興の王道であると思います。

 従来、「商店街の活性化」が問題となると、行政はお手伝いするというスタンスでした。商店街にやる気がないのなら無くなればよい、という考え方もあります。しかし、中心部が魅力を失い拠点性が無くなるとしたら、独立した自治体として存在する意義がなくなるのではないでしょうか。地方分権の推進を契機に自治体を整理統合しようとする意図が中央政界に見え隠れしております。今後、この様な流れが加速いたしますと、中心性を喪失し個性を失った自治体が単独で存続する余地はなくなってくると思われます。尤も、松山市の一区域になった方が地域イメージが上がるからむしろ松山市と合併したらどうだという意見もあります。私はその様な意見には反対です。小都市にいるほうが大きい都市にいるより遙かに自己実現が容易であり、自分は我が町にとって重要な存在であると感じながら生きていくことが出来ます。小都市の良さを見出し、アピールしていくことこそが必要ではないでしょうか。我がまちの中心市街地に魅力が無いのなら魅力を造り出すこと、中心市街地の一翼を担う商業者がいないのなら商業者をつくっていくことが必要です。何故なら、中心市街地は公共空間であり、市民全体のものであり、また、「都市の顔」であって、中心市街地の衰退はその都市の活力の衰退をイメージさせるものだからです。

 現在、大企業は大量の余剰人員を抱え悲鳴を上げております。「リストラ」という言葉が聞こえてこない日はありません。角度を変えて見れば、自営業をはじめとする小企業の担い手となりうる人材が大量に企業社会から解放されていることを意味します。80年代以降のアメリカでは、徹底したリストラが行われましたが、一方でSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)と呼ばれる自営業者をはじめとする「起業」が盛んに行われ、そのことが今日の好況と低失業率の要因だと言われております。リストラの時代に自営業者創出の旗を掲げることは、政策として時宜を得たものと考えますが如何でしょうか。

 自営業者の創出は、中心市街地活性化策の人的側面に着目したものであるとも言えます。中心市街地活性化の絵を描いても、これを推進する人材がいなければ、絵に描いた餅になってしまいます。現在伊予市にいる商業者にその力量が無くても、中心市街地の活性化は我が伊予市100年の大計として行わねばなりません。これは、一つの産業を興すことに他なりません。決して行政が商業者のお手伝いとして行うものではありません。我がまちの産業振興として是非とも行わねばならない以上、現在の商業者に限らず人材を求めるべきです。また、業種としての将来性に疑問がある事業に携わっている者に対しては、業種・業態の変更を促し、転業を促進することも必要です。自営の意欲ある人こそが必要とされる人材であり、その様な人材を活かしていくことを考えるべきです。また、後継者が無く、廃業を予定している場合は、廃業によりいわゆる仕舞屋(しもたや)にならないよう、例えば貸店舗として店舗を残す工夫をしていくべきだと思います。その為の援助・支援を施策として盛り込んでいくべきであると考えます。

 自営業創出のためには、人材の発掘が必要ですが、これを伊予市内に限る必要はありません。全国に情報発信し、我が伊予市は自営業者たらんとする気概を持った人材を必要としているということを訴えていくべきです。その為には多種多様な媒体を活用すべきです。

 その中で、インターネットにも注目したいと思います。最近インターネットで伊予市のホームページにアクセスいたしましたところ、「UJIターン情報」コーナーがあり、興味を持ってクリックしましたが、伊予市の職員募集しかなく、拍子抜けしました。伊予市に行けば、あるいは帰れば、こんなことができる、こんなことをやろうとする企画があるということが示されていれば興味を持つ人は多いでしょう。大都市居住者で故郷に帰りたい人は相当数いると予想されます。他の地方出身の方でも伊予市のような気候風土に恵まれた土地に関心を持ち、場合によっては永住の地にしたいと考える人も多いと思います。この様な人達をターゲットとした情報発信が必要です。この点での工夫の余地はないかをお尋ねします。

以上、自営業者創出と転廃業支援、全国に向かっての情報発信、特に、インターネットの活用について、御意見を伺いたいと考えます。

 

2.

 第二の質問として、市職員の中途採用についてお伺いいたします。平成11年度の職員採用試験実施要領では、一般事務職(上級)は昭和49年4月2日以降昭和54年4月1日生まれが要件の一つとなっています。

 私は、それ以上の年齢、それも30歳代40歳代以上の方々に対して門戸を開いて欲しい思います。政府は雇用対策として中高年者に短期的な雇用の場を確保し、自治体がそれを行うことに対し財政支援を行うという政策を掲げようとしております。ここに申し上げますのは、その様な意味ではなく、終身雇用制が崩壊しつつあるなかで、自由に転職が出来る社会にしていくためには自治体も転職者を受け入れていくべきだと考えるからです。これまでの労働市場は、一度就職するとその職場になじめなくても、転職すると条件が悪くなるので一生我慢しなければならない閉鎖的なものでした。終身雇用制の崩壊は労働市場が開放される方向に向かうということです。それは、一方で身分保障がなくなる不安をもたらしますが、自分にとっての天職を生涯に渡って追求できるということでもあります。私は、3月議会で図書館の開館時間の延長をお願いしたときにも申しましたが、やり直しのきく懐の深い社会を実現したいと考えます。その様な観点から、30歳台以上の中途採用を是非御検討いただきたいと思います。今日の状況からすれば、有能な人材が多数存在するのではないでしょうか。

 能力・経験の如何によっては係長ないし課長補佐待遇での採用もあってしかるべきではないでしょうか。また、このことは現在の市職員にとって刺激となることは申すまでもありません。自治体の整理統合が論じられるようになった昨今、市職員も自分が他の分野で通用するかどうかということ、即ち、自らの市場価値を常に検証する姿勢を持ち合わせておかない限り、人生が予想外の展開になったときに適応できないということにもなりかねません。自分達の為にも、異質な刺激を歓迎する度量を持ち合わせておく必要があろうと思います。以上の諸点を勘案され、30歳台以上の方の中途採用の是非についてお答えを戴くとともに、制度上の問題点があればお教えいただきたいと思います。

 

3.

 第三の質問として、伊予港から三秋離山に土砂が運ばれている問題についてお尋ねします。週末に伊予港へ行ってみると、土砂が山積みされており、トラックが次々土砂を運んで行きます。市民の間では懸念する声もあります。神戸から来た土砂だということですが、産業廃棄物ではないかという不安を覚えます。ことに、土砂を運んでいる場所が焼却場の裏側であることを考えると、将来ダイオキシンが検出された場合、焼却場による汚染であるとの誤解を生む恐れもあります。産業廃棄物ではないかということを含め、伊予市として把握されている事実について教えていただきたいと思います。また、現時点では基準に合致していても、いつの間にか基準を上回る土砂が運ばれるようになるのではないか、あるいは、産業廃棄物が捨てられるようになるのではないか、といった不安を拭うことが出来ません。将来的に市民が安心できる具体的な対策をお示しいただきたい。

 

4.

 最後の質問は、広報区長制度についてです。1月の伊予市長選挙において広報区長のほとんどが率先して当時の現職を支持し選挙運動を展開したことについて、私は、当初より違法乃至不当な行為であるとして批判し、選挙戦を通じて広く市民に訴えることにより問題点を浮き彫りにして参りました。選挙が終わり、市民の審判も下った今、このことを問題とすることは如何なものかという気がいたします。愛媛県知事選挙においてはいまだにしこりが残っているようですが、これは余り褒められることではないと思います。私は、広報区長さんは、いずれもその地域で信頼されている方々なのだから、選挙が終わればいずれ御理解いただけるものと考え、この問題には一切触れないつもりでした。

 ところが、広報区長さんの一部に、公然と批判されたことへの不満があるとのことで、非公式な抗議文が私の元に届きました。私は、折角の機会ですから、広報区長会に出席させていただき私の考えを述べたいと申し上げましたが、出席を遠慮していただけないかというのが広報区長会のお答えでありました。先日、竹田稔広報区長会長とお話しした結果、双方の認識が極端に異なっていることが明らかになりました。一部の広報区長さんは、未だに自己の行為を正当なものであると考えられているようです。これは問題であると思います。そこで、この際、一般質問を通し、広報区長の選挙運動への関わり方、及び、広報区長制度のあり方について行政当局の御意見を伺い問題点を明らかにしていくことが今後の伊予市を風通しの良い町にしていくきっかけとなるものと考えました。

 そこで、まず確認しておきたいことは、広報区長が公職選挙法136条の2において地位利用の選挙運動が禁じられている「公務員」に当たるかということです。ここに言う「公務員」でなければ地位利用ということもあり得ないわけです。参考までに、今年3月3日の愛媛新聞には、愛媛県知事選挙に絡み松山市の広報委員8名が逮捕されたことから石井地区の住民が町内会と選挙との関わり合いを考え直そうと会合を持ったことが報じられ、講師として参加した弁護士が「(町内会は)少しでも住民に影響がある推薦はやめるのが良識的。広報委員は一種の公務員で、回覧板で入会の用紙を回したりすれば公選法に触れる可能性がある」との見解を示した、との記事があります。昨年12月2日、選挙の説明会で選挙管理委員会からご指導がありました。そのことを踏まえてお答え下さい。

 次に、昨年、伊予市内の一部の広報区で特定の立候補予定者の激励会案内文が回覧板で回されたという事実があります。ある広報区ではそれに入会申込用紙も添付されていました。このことについて、担当課ないし選挙管理委員会は把握されておられるのかどうかをお尋ねします。
 また、広報区長が勢揃いして担当区で激励会を取り仕切った事例があります。区長と名乗らなくても、地区住民は区長さんが中心でやっておられると考えるのが自然です。この様な場合は、公職選挙法違反にはならなくても中立義務に反するのではないでしょうか。議員のように中立義務のないものが応援をするのとは本質的に異なるものがあると考えますが如何でしょうか。広報区長の一部が行った行為が違法ではないとしましょう。

 それでは、捕まらなければ何をしても良いのでしょうか。道義的な問題も法的な問題に劣らず重要であると考えます。担当課が広報区長に対し今後どの様な御指導をなされるのか伺いたいと思います。

 農村地域においては、区長が市から選任された広報区長としてだけでなく、地域代表として地区の事業に関わっていることから、地区住民に強い影響力を有し、「地区推薦」ということに対し表面だって異を唱えることが出来ない土壌が形成されているという問題があります。民主主義の制度は自由な投票行動が実質的に保障されてはじめて成立しうるものです。住民が自由に投票できる風土を確立し、風通しの良い伊予市にしていくことが我々地方政治に携わる者の使命ではないでしょうか。この点での実態の把握と併せて、各地域での広報区長の選挙運動のあり方についてのご見解を伺います。

 広報区長制度は、市長の制定する規則にその根拠を有すると思われます。それによると、年1回の定例会と必要に応じての臨時会が予定されております。しかし、聞き及ぶところによりますと、活動すべき日数が多く、普通の人では到底務まらないため、地区によっては広報区長が一部の人に固定化する傾向もあるということのようであります。実際にはどのようなものであるのか、広報区長制度の実態についてお聞かせいただきたい。伊予市には見識を持った方が数多くいらっしゃると思われます。その様な方が我がまちの自治に積極的に参加されるような仕組みが必要であり、その様な観点から広報区長制度についての見直しを御検討いただきたいと思います。この点でのお考えを伺いたいと思います。


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