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2001年3月
1.「荒れる成人式」が大変話題になりました。成人式無用論も主張されているようです。自治体にとって本当になすべき仕事は何かということは常に検証されるべきだと思います。人の話をろくに聞かない者に式典をすることは無駄であり、行政が税金を投入して行うことではないという考えにももっともなところがあると思います。議案質疑の中で社会教育課長が伊予市の成人式はおとなしいと述べられました。しかし、軌道を外れた人が一定数を超えると臨界点に達し制御不能の事態になるということを一種の危機管理の問題として考慮すべきだと思います。私は成人となるに当たって記念となるイベントは必要であり、全く成人式を廃止してしまうことには反対です。ただし、若者を客体と見るべきではなく、彼らが主体的に参加するイベントとして位置づける必要があると考えます。住民参加型の自治の一環として若者が自分たちのためのイベントを自主開催し、自治体は何歩か後退して、彼らの企画を支援することが望ましいと思います。このような試みを実践してみては如何でしょうか。
有料化し、参加者から会費を徴収することも考えられてしかるべきだと思います。自立し親掛かりではいられなくなるのですから、サービスを提供されれば対価を支払うという社会の論理を明示する方が教育上も優れていると思います。お金を払うことで参加することの意義を考えることも必要です。
また、彼らは主権者なのですから、主権者として必要な情報を得るために教養講座の開催が求められるところです。この点にこそ自治体が関与する余地があると思います。その場合、幾つかの選択肢を用意し、講義を聴くとともにディスカッションも行えればよいと思います。
成人式の実体を直視しますと、特に女性にとっては晴れ着を披露する場としての成人式ということを十分に考慮すべきであろうと思います。親から見て、七五三に次いで成人式に娘に晴れ着を着せてやりたいと思うことは人情であり、そのような場を奪うことは野暮であるばかりか、消費行動から楽しさを奪うものであり、景気対策上も問題があると思います。むしろ、日本の民族衣装である着物を着られるイベントが新たに企画されることこそ望まれることだと思います。私は、晴れ着を披露できる場として、「青春フェスティバル」の開催も視野に入れての取り組みが必要と思います。
成人式は20歳の若者のイベントとされていますが、これにとらわれる必要はないと思います。18歳から25歳くらいまでの若者が、主権者として成長する過程で、主体的に色々なことに取り組む機会としてして位置付け、より広がりのあるイベントとして企画すべきではないでしょうか。
市としては、若者が主体的に取り組み、それを後方から支援する形で企画されるべきであると思いますが、これを二十代の若手職員がチームを組んで行うことにすべきであると思います。若手職員に全ての権限を与え、年の近い若者たちと一緒になって汗をかいていただきたいと思います。失敗しても今の成人式よりはましであるとおおらかに見守っては如何でしょう。後に述べますように、失敗の体験も活かせる組織であるべきです。
これからは、住民を客体として扱い、行政サービスを受け取る存在としてのみ考えるべきではないと思います。「自治」とは行政が一方的に行うものではありません。住民とともに築き上げていくべきものです。行政が行う施策について可能な限り住民が参加する仕掛けを用意すべきではないでしょうか。例えば、今後予想される港南中学校の校舎建て替えについて、単なるハード事業としてのみ位置付け、設計・建築のプロに委託するのではなく、生徒、PTA、住民等が新校舎についての夢を語り合い、知恵を出し合うことにより建設構想に参加し、地域の財産としての校舎を実現していくプロセスに意義を見いだしていくべきではないでしょうか。「もの」よりも「こと」を重視しプロセスを共有すること、ハード事業の中にソフト事業的要素、イベント的要素を加味することにより、住民満足度の高い事業を行いうることになるのではないでしょうか。港南中学校の新校舎についてはいずれ市長から建設時期をお知らせいただけると思いますが、その際には、是非以上のことを勘案した計画をお願いしたいと思います。
2.NPOについて質問いたします。NPO(民間非営利団体)は、ご存じのように、ボランティア活動を組織的継続的に行う場合を言います。今年は、ボランティア国際年であり、インターネット博覧会(インパク)でもボランティアについてのホームページが開設されております。21世紀はボランティアの世紀だと思われます。社会におけるサービスの提供は、企業によるものと行政によるものとがありますが、これからの時代は無償の奉仕活動によるサービスの占める比重が大きくなっていくものと思われます。福祉の分野をとりましても、高齢社会を迎え福祉の増進が期待される一方で少子化によりこれを支える人口が減少して参ります。このことを悲観的に見る向きもありますが、臨機応変なボランティア活動が行政サービスや介護事業者のサービスを補完することにより、満足度が高く負担がそれほど重くない福祉社会の姿が描けるのではないでしょうか。
ボランティアが組織的継続的に行われるNPOについてはNPO法により法人格取得に道が開け、第151国会でも特定非営利法人への優遇税制についての審議が行われるなどNPOへの期待感が高まっております。愛媛県におきましても、「県民による地域社会づくり推進懇談会」から報告書が出ております。伊予市においてもそろそろNPOに対する行政の態度を明確に打ち出していくべきではないでしょうか。議会冒頭の市長の所信表明は内容のあるすばらしいものであったと思いますが、ボランティア、NPOに対する考え方が示されなかった点が残念でした。先程、住民が参加する形の自治について申し上げましたが、これからは志を持った「市民」が主体的に様々な分野で無償の活動を行う社会になってくるものと予想されます。市民が企業に囲い込まれる時代は去りつつあります。企業人であり、家庭人であり、地域社会の一員である市民が自己を実現し、社会的活動をする舞台としてNPOを選択することが当たり前の時代を想定すべきです。「どこにお勤めですか」という挨拶から、「どのNPOで何をされてますか」という挨拶が交わされる時代がそこまで来ています。NPOが社会の重要な一角を占めたとき、地域コミュニティーの再生が果たせるのかも知れません。心豊かな21世紀の社会を展望し、行政がどの様な姿勢でNPOに臨んでいくかは大変重要な課題になってくると思われます。市民が主人公であり自治の担い手となることが真の地方自治の姿であると思います。そのような自治の確立に向け行政が力を注ぐべきだと考えます。
ただ、行政とNPOとの関係をどの様なものとするかについては、例えば、地域通貨の問題一つとっても、まだまだ研究の余地があろうかと思いますので、今すぐに回答を出せとは申しません。平成13年度の課題として調査研究をされ、来年、平成14年度の所信表明に是非この分野への取り組み姿勢を明らかにしていただきたいと思います。今回は、とりあえずのお考えと今後の取り組みについての方針をお示しいただくようお願いします。
3.中村市政3年目を迎えました。市長は、中心市街地活性化を公約に掲げ、就任されるや、私どもの予想を上回るスピードでこの公約の実行に着手されました。伊予市のまちづくりは、今や全国的な関心を呼ぶ可能性すら見えて参りました。中心市街地の活性化は、街の顔づくりであり、地域コミュニティーの核となる中心部の都市機能の増進であります。また、インフラの整った中心市街地の再開発を行うことは、都市の拡大を押さえ、持続可能な発展をすることにより環境に新たな負荷を与えないまちづくりを推進することを可能とします。
これからの地域振興においては、どれだけ新たな業を起こせるかが重要なポイントとなります。今日の我が国経済の停滞は、起業数減少に見られるように、国民がリスクをとらなくなったことに由来する部分も大きいと思います。地域経済の活性化の為には、新たに業を起こす人に対する適切な支援が必要であろうと思われます。今回、中心市街地活性化法に則り、TMO構想が取りまとめられることとなり、まちづくり会社への出資が予算として計上されております。TMO構想の中で特筆すべきは「街の交流拠点」でのインキュベーション機能です。即ち、新たに生まれようとする競争力の弱い企業に人的物的なテコ入れを行うことにより新規開業を促進することになります。このような機能を持ったTMOは株式会社であることで、より強力にその役割を果たすことが出来ます。株式会社であれば、約款に基づき、一定水準に達しない不適当なテナントに対し退去を求めることが容易であります。また、そうでなければ魅力的な施設の運営は困難です。商工会議所が主体となった場合は、毅然たる態度で退去を求めることはいささか困難であり、事業への厳しさに欠けることになります。また、言うまでもなく、行政が50%以上の出資をした特定会社はハード事業において特別に有利な国の補助を得られます。この様なことから、TMOを第3セクターで設立することが最善であるにもかかわらず、多くの自治体は商工会議所にゆだねる方式をとっております。これには、行政にやる気がなく中心市街地活性化法の適用を受けたという実績づくりをしてお茶を濁そうという場合、ハード事業に取り組まずソフト事業中心でやろうとする場合、行政と民間とが一体となれなかった場合、近年の「第3セクター悪者論」によるワンパターンの批判を恐れる場合等があります。私は、これまで中心市街地活性化に取り組んできた経験から、商工会議所にTMOを委ねた自治体に対しては、「逃げを打ったな」との印象を強く持っております。伊予市においては、官民が一体となり理想的な形でTMO設立に向けた取り組みが行われて参りました。これは、中村市長の不退転の決意がなさしめたものであると思われます。私は、この陣容で駄目ならこの街では何をやっても駄目だと諦めがつく形が出来たと言って良いと思います。
このような状況下、まちづくりの分野の占める比重はかなり大きいものがあります。この点での成否が伊予市の将来を決定づけます。将に「Z旗」を掲げての船出であります。これからは、TMOと行政とが二人三脚でまちづくりに取り組むことが期待されます。これまで商工観光課は所管として大変活躍をされてきました。しかし、商工観光課が担う範囲は広く、まちづくりに特化した業務を行うことには限界があると思われます。TMOがインキュベーション機能を持つこと、高齢者、弱者にとって使い勝手の良い街を造る為にNPO的活動を行うことが予定されていること等から、行政がこれに対する支援を継続的に行うことが期待されます。TMOを成功させ中心市街地の活性化を実現し、地域コミュニティーの核となる便利な都市空間を持った快適な街、海と歴史のロマンを感じる暮らしやすい街伊予市を造るという明確な目標を持った活動を行う為には、新たに特別の部署が必要であると考えます。「まちづくり推進室」を新たに設け、市長の公約実現に向けて、さらに一歩前進すべきであると考えますが如何でしょうか。
4.私は、やり直しのきく懐の深い柔軟な社会を実現したいと常々考えております。我が国には、事業に失敗すると、二度と立ち直れなくなるような風土があります。諸外国においては、むしろ失敗した人に対しチャレンジしたことに敬意を払うところもあるようです。我々は、再起することへの障害をできる限り取り除き、経済の活力を増進する方向に発想を切り替えていくべきです。チャレンジする人を尊敬し、成功者を讃える気風を根付かせることが将来の繁栄を約束するものであると考えます。
このことは、行政の取り組みについても言えることだと思います。かつては「石橋を叩いて渡る」ことが行政の基本であったかも知れません。しかし、「我が役人人生に失敗の二文字はなかった。何故ならば、何もしなかったからである。」というようなタイプはお引き取りいただかねばなりません。これからは、失敗を恐れず果敢にチャレンジする公務員像が求められます。無論、行政マンは確実性を求められます。一般社会の信頼は行政の確実性に対するものだと思います。しかし、現在は都市間競争、地域間競争の時代であります。厳しい競争の中で勝ち抜く自治体でなければ住民に充実したサービスを提供できません。東京都のように国と事を構えるくらいの気概がなければ自治体経営は出来ません。十年一日の仕事で良かった公務員にとっての古き良き時代は終わりました。攻撃型の人材と守備型の人材とをどの様に配置していくかが自治体経営にとっても重要になると考えます。議会というのはどうしてもチェック機関ですのでマイナス面を指摘することが仕事のようになっております。しかし、結果だけを見た議論は公平を欠くものであると思います。行政上の判断をした時点でどうであったかが問題です。
12月議会でIT関連の予算を議決しましたが、後に政府からの補助が下りないことが判明しました。私は、12月時点で考えた場合、強気の姿勢で臨むことこそがベストであったと思います。あの場面で躊躇して他の自治体に補助が満額下りていたら怠慢のそしりを免れないと思います。私が恐れますのは、このことにより「羮に懲りて膾を吹く」ことにならないかということです。ことを慎重に行うべき分野もありますが、特に地域振興に関する分野ではビジネス感覚が要求されます。チャンスを逃さない俊敏さを求められます。事なかれ主義を排し、失敗を恐れない職員気質を醸成する必要があると考えます。失敗をむしろバネとし、失敗の体験を活かせる組織作りが肝要であると考えます。この点については、人事考課の問題も関係してくると思います。減点主義から加点主義へということを含め、お考えを伺いたいと思います。
質問事項要旨
1.住民参加型自治の一環として成人式の見直しを
「市」が後退し、自主開催を試みてはどうか
有料化すべきではないか
主権者育成の見地から、選択制の教養講座を
晴れ着を披露できる青春フェスティバルの開催も併せて検討すべきでは
20歳と限定せず、18歳から25歳位までを視野に入れた取り組みを
若手職員のみのプロジェクトチームによる企画立案を
ハード事業への住民参加を(例:港南中学校校舎建て替え)
2.NPO(民間非営利組織)への対応について
ボランティアを推進し、真の自治の確立を
NPOについての調査研究をして、位置づけを明確にすべきではないか
3.「まちづくり推進室」の創設を
商工観光課ではまちづくりへの対応に限界があると考えるがどうか
TMOとの積極的連携の必要性
4.失敗を恐れない職員気質の醸成を
12月議会でのIT(イントラネット関連)の予算について
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