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2001年12月議会  一般質問原稿

1.大学が生き残りを模索しています。少子化の影響で定員確保が困難な学校も多いようです。国立大学においては、独立行政法人化された場合、地方の国立大学は苦しい立場になるとも言われております。一方、自治体も地方に確たる産業が無く将来展望を描きかねる現状です。この両者は、それぞれお互いに連携することに利益を感じる要因があります。ユニクロ現象に見られるように、中国が世界の工場と化し、我が国の工業の空洞化は顕著であります。地方も、労働集約型の第二次産業に頼ることは許されなくなります。知恵の値打ちが富を創出する決め手となる時代です。地方が国に頼ることなく富の創出を追求する必要があります。アメリカ・シリコンバレーにおけるスタンフォード大学の例を引くまでもなく、自治体が大学と連携することが望まれます。大学も地域との連携無く生き残ることは困難です。そこで、大学との連携において考えられる幾つかのパターンを想定して提言させていただき、理事者のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

  1. まず、生涯学習における連携について提言します。今将に失業率5.4%という状況です。生涯にわたり自己研鑽に励むことなしに満足行く職業生活も送れないと思います。また、やり直しのきく社会を築き上げることも重要です。生涯学習の必要性は重大です。これは、単なる趣味という以上のものと捉える必要があります。そこで、松山市の大学をある意味で誘致するという発想を持つべきであろうと考えます。ある学部と提携する、ある教授のゼミと提携する等、様々なバリエーションがあり得ると思います。市民(近隣の町村の住民を含めて)がこれに参加することを想定した場合、これに単位認定をすることを大学側に求めることが出来れば、より意義あるものとなるでしょう。このような形での連携をまず考えられては如何でしょうか。

  2. 学生の行政におけるインターンシップ(就業体験)についても検討が必要と思われます。
    近年の失業率の増大は、見方を変えると就労希望者の側と現実の社会とのギャップにも一つの原因があると思われます。学生の皆さんに現場感覚をつかんでいただくことが必要だと思います。県外の学生の場合は、夏休み等を利用すればよいと思います。一定要件を充たせば単位認定できるよう提案し、大学と連携することを考えてもいいと思います。学生の皆さんに行政実務を学んでいただくというだけではなく、幅広く提言もして貰うべきだと考えます。

  3. 学生・生徒と地域社会との連携も模索されてよいと思われます。学生・生徒の皆さんにとっては、将来の人生を展望するに当たり、職業生活、家庭生活だけを考えるのではなく、地域社会との接点を持つことが、豊かな人生観、職業観を持つことに繋がると思います。地域社会における自己を認識することが、ある種の触媒の働きをすることが期待できます。ゼミ活動、サークル活動を伊予市でやって貰うことを考えては如何でしょうか。大学生のみならず高校生も視野に入れるべきでしょう。空き店舗の活用などを前提に(商店街に出店する、あるいは、寿楽市に出店する場合などが考えられます)、地域社会との関わりを持つ活動をしていただき、研鑽を積んでいただく。また、提言もしていただくことが望まれます。そのことに対して、一定要件で単位認定していただく仕掛けを行政が大学・学校に働きかけるべきだと思います。

 以上、大きく三つの場面を想定しましたが、これに限らず、行政が高等教育機関や学生・生徒と連携することが、地域振興にも役立つのではないでしょうか。理事者のお考えをお聞かせ下さい。

2.我が伊予市では僅かながらも人口が増加しております。しかし、愛媛県全体としては既に人口減少の流れとなっており、大半の自治体で人口減少が深刻な悩みとなっております。2007年以降は日本全体が人口減少に向かうと予測されており、2050年には、現在1億2600万人ある日本の人口が1億人、即ち現在の4分の3になることが予想されております。このことが、中央主導で市町村併合を強行しようとする原因の一つともなっております。我が伊予市の人口減少も避けられない情勢です。そこで、交流人口ということが叫ばれるわけですが、よく考えてみますと、この「交流人口」という概念が今一つ頼りないものだと思います。単に空き缶を捨てに来るだけの人も交流人口なのか、という疑問もわいてきます。継続的かつ実質的な交流を模索していくべきであると思います。

 自治体が住民を「顧客」として意識するとき、将来の顧客、潜在的な顧客について考えることが重要になってくると思います。例えば、伊予市出身者で故郷の両親のことを考えながら県外で暮らす人も多いと思います。従来、そのような人達は故郷の自治体から何らかのアプローチを受けることはなかったと思います。ヤクルトの藤井投手のように偉業を成し遂げれば別でしょうが、通常は音沙汰なしです。

 IT化が進んでいる現在、このような潜在的な市民、潜在的なUターン者を把握し、双方向で発信できるシステムを創っていくべきであると考えます。故郷からの発信を受けて気を悪くする人は珍しいと思います。彼等は将来の住民となりうる有力候補であり、潜在的な「顧客」です。メールマガジンを刊行するなど、安上がりの情報発信は可能です。伊予市に関心を寄せてくださる方々を含め、「ヴァーチャル市民」(仮想市民)とでも言うべき捉え方をして、住民票に記載されている方々以外にも「伊予市民」の概念を拡大した上で行政の活動を展開すべきではないでしょうか。出身者や伊予市に関心を寄せる人の具体的な把握をし、「市民」として登録を促す仕組みも必要です。

 この点につき、理事者の御意見をいただきたいと思います。

3.次に、農業の可能性について質問させていただきます。中国等からの安い農業生産物により、我が国農業は深刻な打撃を受けております。自由貿易を突き詰めれば、ほとんどの農業生産物は輸入品となり、我が国の農業は存立する余地がありません。可能性としては、付加価値を高める方向、農業生産者の顔が見える農業への転換、地域振興乃至はまちづくりの観点から生産地で消費するスタイルの確立などが考えられるところです。一言でいえば、最早同じ土俵では戦えないということです。

 今回の質問では、「農」にたずさわる主体の側から見てどの様な可能性があるのかを考えてみたいと思います。商業は50歳、農業は60歳、林業は70歳が主体であるという話を聞いたのが何年も前のことになります。農業は60代が主役と言うべき状況ではないでしょうか。新規の参入について真剣に考えられる必要があると考えます。

  1. 新規参入の一場面として、「定年帰農」という言葉が最近よく話題にされます。高齢社会を迎え、定年後に自分本来の行き方を模索する動きが各方面で見受けられます。60歳で定年を迎えられた方は、まだ十二分に元気です。この気候温暖な伊予市で定年後農業に取り組む生き方も面白いと思います。このような方々を、先程申しました「ヴァーチャル市民」と把握した上で、定年帰農を促進することは出来ないものでしょうか。定年帰農者に専業で農業を営むことを期待するのではなく、1反か2反程度の農地を供給して自給自足型農業を営んでいただき、年金プラス農業というスタイルで農地を守って貰うという発想になろうかと思います。減反政策は余りに不自然な政策であり、農地を如何に活用していくかがこれからの課題であると考えます。

  2. 市民農園という発想で農地を活用することも考えられてよいと思います。土に触れる楽しみを持つ機会を欲しがる方は多いと思います。伊予市民に限らず、松山市民などもターゲットとし、「ヴァーチャル市民」として把握して伊予市の農業と交流していただくことがあってもよいと考えます。

  3. 農業体験を持たない方々が農業に参加すると、途中で耕作を放棄して農地が荒れることも予想されます。このような事態は極力防止すべきです。既存農業者を言わば農業技術指導員ないしは農業技術伝承者として捉え、新規の参加者との交流を図るということが考えられてもよいのではないでしょうか。

 新規参入者を迎えることで、ある場合には、農業者の「退職金」が手に入ることもあろうかと思います。集落営農や企業の参入も含めて、農業の可能性について様々な角度から考えてみたいものだと思います。思いつきの域を出ない質問ではありますが、この際農水省の下請的施策を追求するだけではない伊予市独自の施策を考えてみるきっかけとして問題提起する次第です。理事者のお考えをお聞かせ下さい。また、お教えを請いたい所です。

4.21世紀のキーワードの一つと目されるのが「環境」であります。環境行政を推進していく上で行政が率先して環境ISOの認証を得るべく舵を取られてはどうかいうことを提案したいと考えます。ISOとは、スイスのジュネーブに本部を置く「国際標準化機構」のことで、環境分野の国際規格の番号を14000台に振り分け、その内、環境マネジメントシステムの企画を定めたのが14001です。環境マネジメントシステムは、自主的な環境管理を継続的に行っていく為の仕組みで、その組織のシステムがISO14001規格に適合しているかを第三者機関(審査登録機関)が審査し、適合していると判定されれば、国際認証が得られます。

 文教厚生委員会では行政視察のテーマの1つを「環境ISO」として、石川県加賀市を視察して参りました。愛媛県の市町村では本年10月時点で認証取得している所はありませんでした。大変難しく、しかも多大な経費が必要なのではないかという疑問がありましたので、率直に伺った所、職員3名程度が中心に頑張れば充分やれるし、費用については、初年度の経費が300万円、次年度以降が100万円であるとの回答をいただきました。環境保全の推進に役立つ効果の他、職員の業務の見直しにも繋がり、行政改革の流れにも沿うのではないかと思います。財政運営の多難な折から、余り負担になる提案は慎みたい所でありますが、費用対効果を見定めた上でお考えいただきたいものだと考えます。

 10月時点で調べていただいたところでは、伊予市の企業ではそれほどの取り組みがなされていないようです(親会社ないしは有力取引先の指導ではなかろうかと思えるものはありました)。行政が取り組むことは、企業にもインパクトを与えることにもなり、市民に「環境」を強く意識していただく切っ掛けにもなろうと考えます。

 伊予市の企業の現状を踏まえた上で理事者のお考えをお聞かせ下さい。

 以上大きく4点についてお尋ねしました。理事者の柔軟な御回答をお願い申し上げます。


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