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2002年6月議会  一般質問

1.今日の多様な行政ニーズに応えるためには、幅広い専門知識が不可欠であると思われます。行政職員が専門職化するだけでは足りず、高度の専門知識が求められる分野については、専門家の力を借りる必要があります。その際、「顧問」という形や、その都度依頼するという方法では、臨機応変に力を借りることが出来ないのではないでしょうか。
  
 専門家が庁舎に「勤務」し、様々な質問に答え、専門家自身も行政の実態を観察して専門的な提言や助言をするという形で影響し合う関係を構築できれば、行政にとって大きな力となり得ると思うのですが、このような契約を専門家と結ぶことは考えられないでしょうか。丸抱えは困難としても、週に1回程度勤務してもらうだけでも大きな力となるのではないでしょうか。

 特に、法律の分野については、専門知識なしに行政事務の円滑な推進は困難になりつつあります。現状でも、弁護士さんが庁舎に来てくれたら便利なことが多いのではないかと思いますが、如何でしょうか。

 もし、弁護士の「勤務」が実現し、議員にも相談できる時間が与えられるならば、議員による条例制定ということがより現実的になるのではないでしょうか。これは、政治倫理条例制定に当たって痛感した次第です。

2.私は、これまで、繰り返し市町村合併反対を主張し、合併反対のホームページもつくりました。しかし、総務省の巧妙な戦術により、外堀が埋まりつつあることを感じます。既に行き詰まっている中央集権のシステムを改めることなく、地方制度のみの改編を行っても、我が国の将来を明るくすることもなければ、地方を自立させることにも繋がらないと考えます。地方が中央の手足としてではなく、自らの意思で自治を切り開いていく為には、財源と権限と人材とが是非とも必要です。

 合併の是非を問われるならば迷わず反対であるとの意思を表明するつもりです。しかし、有権者から付託を受けた議員といたしましては、入り口論のみの議論をしている間に合併の手続きがドンドン進んでしまい、結果として、単なる数合わせに終始した緊張感のない妥協的な合併になったのでは責任を果たしたことにならないであろうと考えます。入り口論から結果責任へと若干スタンスを変えざるを得ないと判断しております。実際、期限が切られたような雰囲気が醸成されており、「バスに乗り遅れるな」式の泥縄合併が全国津々浦々で起こりそうな気配になって参りました。

 そこで、あくまで「次善の策」であることを強調させて頂きますが、合併をするのであれば、後世に「志の高い合併であった」と評価されるような合併になるようにすべきだと思います。

その為には、職員、首長、議員が、身を削り、犠牲的精神で地域の将来を見据えた合併に取り組む決意を持つべきです。我が身の保身に気持ちが向いてしまい、地域の将来は二の次ということであってはなりません。
  
 職員は、職業倫理が厳しく問われる時代がやってくると思われます。単なる「公務労働者」という意識では、民間の厳しさを知る住民の支持は得られないでしょうし、外部への委託やパート労働に置き換えられる可能性もあります。竹中経済財政担当相が公務員給与を削減すべきだと明言しています。職員が自らを「24時間型市民」として再定義し、「地域の防人」、ないしは「まちづくり人」として地域住民のために貢献する職業であると意識を改めることがなければ、自治体経営を見直すに当たって、削減可能な「コスト」としてしか評価されなくなることを覚悟する必要があります。ただし、私は、公務員の労働は、民間企業での「能率」「生産性」というものではなく、「誠意」や「優しさ」、「地域への愛情」、「住民からの信頼」といった基準によって適正に判定されるべきだと考えます。

 市長は、再選を果たされたとしても、合併になれば失職です。その点、首長の立場は明快です。議員も、その「覚悟」が問われることになります。合併して新設の市が出来た暁には、地域が新たな出発をするのですから、新たな市長を選ぶと同時に、新たな議員を選んで出発すべきであると考えるのが筋であろうと考えます。最長2年間そのまま議員でいられる在任特例措置に逃げ込んだり、定数特例によって法定数の倍の定員で1回目の選挙を行うといった、既得権防衛型のやりかたを選ぶと、決意の曖昧な、緊張感の乏しい合併になってしまい、職員の定数削減等の困難なテーマを語る資格を疑われる恐れが出てきます。合併を語る以上は、当然のことながら身を切る覚悟を求められます。

 合併についての反面教師を挙げるとすれば、民間の事例ではありますが、みずほフィナンシャルグループの合併です。内部の調整にのみ力を注ぎ、顧客のことを第一に考える姿勢がなかったことが、合併当初から多大な混乱を招いた原因であると思われます。我々が合併をするとすれば、何のための合併かと言うことを明確に意識し、その為には何をなすべきかを考えなければなりません。住民サービスの向上と地域の活力増進を目的とするならば、その手段として、合併による水ぶくれ的な組織の肥大化を防止し、無駄な支出を抑制して、目的達成のために可能な限りの財務的余力を造り出す努力が必要です。

 また、合併の手続きにおいて、主権者である住民の位置付けを明確にしておくべきであると考えます。住民自治の観点から、住民が自ら地域のあり方に積極的に関わって行くことが重要です。これには、将来の有権者である未成年者も含まれるべきであると考えますので、その点にも御配慮下さい。

 このような諸点を踏まえ、合併に向けての姿勢、人員の削減計画、支出抑制の計画、合併協議のあり方、合併協議における住民参加のあり方について、市長のお考えをお示し下さい。勿論、現段階で語れることと語れないこととがあると思います。しかし、首長が基本姿勢を語り、リードするのでなければ、曖昧模糊とした合併になってしまうのではないでしょうか。

合併が日程に上っている現在、一部事務組合の運営のあり方についても、従来と同じ考え方で運営を続けることには違和感を感じます。新たな市が一部事務組合での事務を含んだ形で業務を行うのであるとするならば、合併を待たずしてその運営のあり方を再検討されるべきではないでしょうか。私は、少なくとも議会に対しては開かれた形を取る方向で運営を改められてはいかがかと思います。市長のお立場で回答が出来るものではないかも知れませんが、少なくとも、今後における一部事務組合の運営方法についての市長のお考えを聞かせて頂きたいと思います。

ところで、私が、繰り返し合併への懸念を申し上げるのは、合併して10数年後に財政破綻の恐れがあると危惧しているからであります。様々な恩典付きの合併であるだけに、つい気が緩み、気が付いたら道路と箱ものは残ったが、巨額の負債で首が回らなくなっていたという事態もあり得ない話ではありません。

そこで、お伺いしておきたいのは、合併をする上で、どうしても必要と思われる経費は幾ら位と見積もっておられるのかということです。県が示している二つのパターンで考えてどうなのかをお教え下さい。また、合併をする上での不可避的経費については、「合併直後の臨時的経費に対する財政措置」等である程度賄えるのではないかと思われるのですが、この点はどうなのでしょうか。この措置で賄えるのであれば、合併特例債に頼る度合いを低くできるのではないでしょうか。特例債は、3割は自力で返さなければならないのですから、なるべく当てにしない方が安全ではないでしょうか。特例債を利用する場合は、厳密にその投資効果を吟味すべきだと思います。

 「期限に遅れるな」と言って行われる合併の多くは、特例債頼みの合併だろうと思われます。しかし、特例債頼みの合併は、放漫財政を助長し、将来に禍根を残します。この点、どの様な姿勢で臨まれるお積りか、市長のお考えをお聞きしたいと思います。

3.港南中学校の建て替えが日程に上っており、先日の文教厚生委員会の協議会で、一応の御説明をいただきました。その席でも申し上げましたが、本質的に重要な問題を含んでいると考えますので、この場で市長、教育長の基本姿勢を確認させて頂きたいと思います。

港南中学校の建て替えに際しては、市民の意向が反映できる仕組みを造られるということであり、大変素晴らしいことであると考えます。しかし、肝心の生徒の意見はどうなるのでしょうか。彼等は、明日の有権者であり、自治体の有力な一員であり、当事者的立場を有します。生徒だから、未成年者だからということで差別されることなく、どの様な校舎にすべきかについて意見を求められて当然ではないでしょうか。

 小学生も、自分達が将来通う学校についての議論に参加することは十分可能でしょうし、良い経験にもなると思われます。また、将来の学習環境について意見を述べることは、学習権を有する彼等の権利でもあると考えます。

 この4月から学校週5日制がスタートし、総合学習が脚光を浴びています。生徒にとって、最も身近な課題となるのが校舎の建て替えです。これを総合学習のテーマに選んでもらってもいいと思います。建て替え費用についても率直に情報提供すべきです。こうすればこの程度の金額が節約になるとか、この費用はどこから出ているかといったことを含め、自分達の地域社会について学ぶことも、生きた学習として重要であると思います。ホームルームや生徒会活動の一環として取り組んでもらっても結構です。

 港南中学校の生徒の場合、自分達は新校舎で学習できなくても、後輩達にどの様な校舎を残すのかを議論し提言することで、視野が広がることにもなると思います。勿論、意見がそのまま通ることはまれであることを当然の前提として理解してもらった上で、自治体の一員として、彼等の所属する地域社会への問題意識を持って学園生活を送ってもらいたいと思います。

 以上、要するに、明日の有権者である子供達の主体性を尊重し、彼等が自治を担う一員であると位置付け、その判断を尊重することが、自治の内容を豊かにし、子供達にとっても、真の学習機会になるのではないでしょうか。それが教育の一内容でもあろうと思います。主権者教育の視点を踏まえ、充分御検討願いたいと思います。

4.伊予市から法務局がなくなり、不便になったとの声をよく聞きます。国の機関であるから、統廃合についても国が判断することであると言えばその通りかも知れません。しかし、国といえども、地域住民のニーズに応える責務はあるはずです。自治体としても、市民サービスの一環として、一部の機能に限定してで結構ですから、国に対して、市民ニーズに応えるよう、要望を上げてみるべきではないでしょうか。登記簿に登録したり変更したりするのは困難かも知れません。しかし、謄本や法人の印鑑証明の発行であれば、ITの利用により、技術的には簡単ではないかと思います。
  
 現在、松山市で謄本や印鑑証明を取ろうとすると、ハローワークの混雑で、駐車場へ入るのも容易ではありません。時間的なロスを考えると、若干手数料の上乗せがあっても、市役所で謄本や証明が取れれば喜ばれるのではないでしょうか。例えば、市民課で発行業務が出来れば、市民にとって大変便利になると思うのですが如何でしょうか。産業振興にも資すると思います。

 「改善」という言葉が民間企業における生産性向上の為のキーワードであること、また、小さな「改善」の積み重ねにより便利な社会にすることも自治に携わる者の任務であると考え、敢えて質問に加えさせて頂きました。

 法的、制度的に無理であるとすれば、何がどう無理なのか。可能性があるとすれば、その可能性を追求して頂けるのか、お聞かせ下さい。

5.最後に、灘町通りの交通の問題を取り上げさせて頂きます。国道56号線、378号線の存在に加え、伊予港浪漫通り〜潮風通りの開通により、旧国道である灘町通りの車の通り抜けは減ってきたと思います。しかしながら、相変わらず、車が優先意識を持って通り抜ける様子を目撃します。歩行者にとって、油断できない通りであり、お子様連れでは歩きたくないとの声も聞かれます。高齢者にとって、歩いて暮らせる街であることが期待される郡中の街が、車優先の構造であることは残念であります。

 まず、現在の灘町通りにおける歩行者の危険性をどのように認識しておられるかをお聞かせ下さい。車の危険性は通り抜けの車に限ったものではありませんけれども、通り抜けの車には特に急いでいる様子が見えますので、通り抜け車両の問題を含めてお答え下さい。

 なお、今回の質問は、現在の道路幅を前提としての話であることをお断りしておきます。セットバックを議論しても数十年先の話であるし、灘町通りの拡幅が良いとも思われません。現在の道路幅を前提としながら、灘町通りを歩行者が安心できる場所にできないかということです。灘町通りが市道であることから、市として、歩行者の安全を確保するためになし得る事柄は何かをお聞きしたいと思っております。

 私なりに考えてみると、歩道を造ることがまず考えられます。道路幅が6〜8mの灘町通りで歩道を取ると、車道ないし車が通行できる部分は2〜3mとなります。これが法的に可能か、また、住民の同意を得ることが可能かという問題があります。ここでは、法的に可能なのかどうかを一応伺っておきたいところです。この案が無理だとしても、「道路−歩道=車道」という発想はこれからのまちづくりには必要であると考えます。

 歩行者ゾーンを塗料で道路に描き、車道部分は2〜3mにして歩行者優先道路であることを強調することも考えられます。歩行者優先を明示する標識を設置する。灘町通りの入り口に迂回路があることを表示する。制限速度を10〜20km/hとする等々が考えられます。あくまで、地域住民の要望があることを前提として、行政として何をなし得るのか、可能なことがあればお教え願いたいと思います。

 灘町通りを中心とする中心市街地には、伊予市TMO(まちづくり推進機関)第三セクター株式会社まちづくり郡中が、今年度、タウンモビリティー事業を行う計画を持っております。タウンモビリティーは1人乗りの電動自動車です。法律上歩行者として扱われ、高齢者や足腰の弱い方が行動範囲を広げ、快適な生活が出来る道具です。中心市街地においてタウンモビリティーの貸出システムがあれば、足腰の弱い方にとって自分の意思で移動して各種のサービスを受けることが出来、快適な都市生活を送っていただけることになります。安全に歩け、楽しくタウンモビリティーで移動できる街にするために、どのようなことが可能かという問題意識を背景にして、灘町通りにおける歩行者の安全について質問させて頂きました。理事者のお考えをお聞かせ下さい。


一般質問要旨

1.専門家の「雇用」について 
○専門分野において、顧問という形ではなく、例えば、週に1日庁舎に「勤務」してもら うような形式の契約を締結して、臨機応変に専門知識を活用することは出来ないか
○特に、法律の分野での専門知識が必要になることが多いと思われるがどうか

2.志の高い合併を(あくまで次善の策としての提言) 
○首長、議員、職員が地域のために犠牲的精神を発揮した本物の合併を
○人員の削減計画、支出抑制の計画、合併協議のあり方、合併協議における住民(将来の有権者たる未成年者を含む)の参加のあり方を問う
○合併近しと言うなら、一部事務組合の運営を公開型にできないか
○合併をする上で、避けられない経費はどの程度と見積もっておられるか
○特例債頼みの合併は放漫財政を助長し将来に禍根を残すと思うがどうか

3.港南中学校の校舎建て替えに生徒の意見を 
○生徒が後輩達にどのような新校舎を残すのかを議論する機会を与えるのが教育ではない か
○小学生に議論してもらっても良いと思うが

4.登記簿謄本や法人の印鑑証明等を市役所(例えば市民課)で発行できないか
○法務局の機能の内、頻繁に利用する機能のみを復活させることで市民ニーズに応えるこ とは全く不可能なことか。ITの活用で技術的には可能と思われるが

5.灘町通りにおける歩行者の安全性を高めるために、行政として出来る事柄は何か
(現在の道路幅を前提として)
○灘町通りにおける歩行者の危険性をどのように認識しているか
○行政として出来ることがあればお教え願いたい


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