いつもそばにある君の体温が心地よかった。
それだけでなんだってできる気がした。
でも、いつからだろう。
君の全てが欲しいと思い始めたのは。
僕以外の誰も、君の瞳に移して欲しくないと思ったのは。






++イタイほどの君の想い++






いきなりだった。
僕は何が起こったのかわからなくて、ただ僕を押し倒したひと、キラを見つめた。
ここはキラの部屋。
今度の実力テストのために一応勉強することになったのだ。
まあ、僕もキラもそこそこ頭はいいので勉強といった勉強をすることはあまりないのだが、キラが珍しく
「アスラン、お願い!!!今日勉強教えて!!一箇所だけわからないところがあるんだ。放課後僕の家に来てよ」
といってきたので、僕でいいなら、ということになったのだ。
それで、なんでこの状況に陥ってしまったのだろうか。
「キ、キラ・・・・?なんかあったの・・・・?」
控えめに、おそるおそるたずねてみた。
キラの顔は、僕の肩にうずめているせいでよく見えない。
僕はほとほと困って、ただ無機質な天井を見つめた。
と。
次のキラの言葉に一瞬だけ固まってしまった。
「え・・・・・なに・・・いってるの・・・・・キラ・・・?」
顔を上げたキラの目はうつろで、まるで違う人に見える。
「・・・・こころが・・・いたいん・・・だ・・・・。」
そう呟く声が、耳をかすめた。
「だから・・・・お願い。僕だけのものになって・・・・?」
思いつめた瞳で見つめてくる目は真剣で、あわせた視線をそらすことは許されない。
「キラ?・・僕は君のものだよ・・?いまさら何言って・・ん・・!!」
いきなりの、激しいキス。
そこにはいつものキラは感じられなくて。
背筋に冷たい汗が流れた。
いつもより長く感じる時間。
いつしか抵抗する力さえ抜けていく。
「そういう意味じゃあないんだよ・・・・アスラン・・・・」
長すぎるキスのせいで、肩で息をする僕に、キラは服を脱がしながらそっとささやく。
「どうしてアスランは僕以外の人と笑ったりするの・・・・?僕以外の人と仲良くしたりするの・・・・」
「キ・・・・・ラ・・・・・・?」
「どうして・・・・僕がいるのに・・・・僕だけじゃいけないの・・・・・?」
そう静かに訴えてくるキラを、僕はただ見つめるしかできない。
いつものキラではないということが、ただ怖かった。
身体が、震える。
そんな僕の気持ちを察したのか、いきなりいつもの微笑みを向けてきた。
「どうしたの?身体が震えてるよ・・・・・もしかして、怖いの・・・・?大丈夫だよ。いつもしてることだから。アスランはいつもどうり、ただ感じてくれればいいからね。」
そういうとキラは僕の身体に。
いつものように所有のしるしを刻み付けていった。


「あ・・・っ・・・き、きら・・・」
何回キラによって追い詰められたのか、わからない。
ただわかるのは、キラの体温と身体のいたるところを探る指の動き。
いつもより激しく深いそれは、僕の身体の全てを支配してしまいそうで。
それが恐ろしくて、必死でキラにしがみつく。
「もう・・・・だめ・・・・!!」
「また?今日はいつもより感じてるんだね。でも、もうちょっと待って。まだ僕は満足してないよ」
そういうと、僕がイけないように指で器用におさえ込んでしまう。
と同時に最奥部分を圧されて、苦しさに自然と涙が流れる。
「やあ・・・きら・・・っ、な・・んで・・・」
いつもはじらされることのないアスランにとって、今のキラの行動は信じられないことで。
アスランは快感に悶えるしかできない。
「ごめんね、アスラン。でも今日はアスランと一緒にイきたいんだ。」
キラによってドロドロにとかされた身体は限界で、これ以上もちそうにない。
それをわかって言ってくるキラに少しでも抵抗したくて、僕は霞がかった意識の中で目を開けた。
その瞬間、僕は一気に頭がはっきりするのを感じた。
さっきまであんなにうるさかった心臓の音が、止まった気がする。
・・・・今、ここにいるキラは誰?・・・・・
そう思うほどその瞳の色は冷たく冴えていて。
口元だけが笑みの形を作っている。
「き・・・・・ら・・・・?」
名前を呼ばないといけない気がした。
そうしないと、このまま消えてしまう気がした。
「なに?アスラン」
「・・・・・僕は、君に、なにをしてあげられる・・・・?」
かすれる声でそうつぶやく。
そのとたん、キラはいきなり動きを止めた。
信じられないように、僕の顔を見つめてくる。
「僕にできることが、あるなら、言って・・・?君を救えるなら、守るためなら、何だってするよ。だから」
「こわいんだ・・・」
僕の言葉をさえぎった声はかすかに震えてて、それでもはっきりと耳に流れ込んできた。
「アスランはみんなに人望があって、頭がよくて、でもそれでいて優しくて、かわいくって・・・・だから、いつか僕から離れていくんじゃないかって不安なんだ・・・・」
「キラ・・・ぼくは」
「離れていかないっていうんでしょ!!わかってる。アスランならそう言ってくれるって知ってる!!でも、なんでそんなことがわかるの?もしかしたら、明日にはもう違う人と、こうしているかもしれないじゃないか!!」
キラの涙が、僕の頬に零れ落ちる。
きれいな顔が儚くゆがんでいくのが切なくて、アスランはキラの身体に腕を回した。
「そばにいるよ」
静かに耳もとでささやく。
「絶対、そばにいる。離れてなんか、いかないよ。・・・・信じられないっていわれても、これが本当の気持ち」
相手にしか聞こえないように。
最も愛してる、たった一人のためだけに。
「だから、大丈夫だよ」
やさしく、安心させるようにギュッと抱いてやる。
そしてうつむいたままのキラの目じりから、涙をそっとぬぐってやった。


そうして。
どれぐらい時間がたっただろう。
次にキラが顔を上げたときにはいつもの顔で。
僕はほっと肩から力を抜いた。
「なんか・・・・心配かけちゃったね・・・///もっと、しっかりしたいといつも思ってるんだけど・・・・」
「なに言って・・・キラはそのままでいいんだよ?その分僕がしっかりするし」
また今さっきみたいになってもらっても困るし・・・・。
とは言えないので、あいまいに微笑んでカバーする。
「じゃあ、続きしよ!!」
「・・・・・・は?」
つづき・・・・つづき・・・・って!!
そういえばここはキラの部屋で。
してる最中だったんだっけ・・・・。
「キ、キラ・・・まだする気なの?」
もうこっちは十分すぎて、身体痛いんだけど・・・。
「だって僕はまだ満足してないし。それにほら、アスランもまだまだいけるでしょ」
「いや、あの、何事にも限度ってものが」
「それに!!アスランの気持ちを再確認できたし」
それとも嘘だったとか・・・・
僕は、うっと言葉に詰まった。
そういわれると、言うこと聞くとわかっていて言うんだから。
でも・・・・・それもしかたがないかな。
そう思ってついたため息は。
キラのキスに絡めとられた。


堕ちていく感覚。
熱すぎるお互いの体温と、呼吸することさえ苦しいカラダ。
キラがささやく甘い言葉が、次々と入っては消えていく。
「あ・・・っ・・・ちょ・・・・ま・・・・だ・・・・!!」
「大丈夫だよ。痛くないようにするから・・・」
何度抱かれ慣らされても、その行為だけは辛く、苦しい。
でも、相手がキラだから。
少しの痛みなら我慢しようと思うし、耐えられる。
そう、全てはキラのため。
「ひぁ・・・きらぁ・・・」
こんな恥ずかしい肢体をさらせるもの、キラだから。
「むりっ・・・もう・・・・っ!!」
「アスラン・・・・一緒にイこう・・・・?」
キラの少しだけかすれた声にうなずくと、そのまま。
開放感の中、二人して堕ちていった。


気だるいまどろみの中。
キラは満たされた想いと共に、すぐ横で眠るアスランを見つめた。
何度も気絶したその身は疲れているのだろう、やすらかな寝息が聞こえてくる。
―きれいな、僕だけのアスラン―
キラは今さっきアスランからもらった言葉を思い出す。
そして、不敵に微笑んだ。
それは、あの時と同じ微笑み。
なにもかも凍らしてしまいそうな。
「そうだよね・・・・・アスランに近づくヒト、モノ、全て僕が壊せばいいだけのことだよね。そうすれば・・・・」
そして、そのままの笑みでアスランにささやく。
「ごめんね・・・・もう、戻れないんだ・・・・・」
全ては君のために・・・・・。
君を僕だけのものにするために。




タダクライヤミノナカデ
      キョウキガイマ、ウゴキハジメル








- END -






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