どこまでも暗い闇の中で
君の声だけが聞こえる。
なのに、なぜだろう。
その声だけが頼りだと言うのに。
―君の姿が見えないんだ―



失羽天使達の行き着く場所







「愛してるよ、キラ」
そう耳元でささやく声を、今まで何万回聞いただろう。
その言葉は呪となって僕の体を蝕んでいく。
焦点の合わない目で相手を見ると、エメラルドの瞳の持ち主は、今となってはすっかり変わってしまった微笑で笑いかけてきた。

首には鎖。
ドアや窓には格子。
そして鍵を持っているのはアスランただ一人・・・・。

最初、何度か逃げようと試みたキラだが、諦めるという事を学んだ。
彼から逃れられるはずがない・・・・・否、こうなったアスランを止める術を僕は持たない。

「ねえ、キラは?キラは俺のコト、どう想ってる?」

優しく問いかけてくる、声。
でもわかってる。コレは一種の威しであり脅迫。
そして、言わなければどうなるかも。

「・・・・愛・・・し・・・て・・・・・る」
叫びすぎてかすれてしまった声で、必死に答える。
「そう、そうだよね。じゃあ、キラは愛する俺のために何をするべきか分かっているよね」
冷たい瞳が光を孕む。

ここで答えないと酷いことをされる。

心はそうつぶやくが、何をすれば許されるのかアスランの声から読み取れない。
しばらく戸惑っていると、首筋に鋭い痛みを感じた。
「・・・っ!!」
どうやらキスついでに噛み切られたらしい。
アスランの口元を赤い液体が色づけている。

「自分でするんだよ。俺がすぐに入れられるように・・・それとも何?できないの?」
有無を言わせぬ声。

そう、ここではアスランが支配者。

彼だけが絶対。

キラはのろのろと体を起こし、指を口に含み濡らすと、その指をおそるおそる秘処に挿入した。
そしていつもアスランがするように軽く動かしてみる。
「ん・・・・っあ・・・・・」
自然にもれてしまう声。

・・・・恥ずかしい・・・・

まるで自分のものでないような声を聞くのが。
体がどんどん違うものになっていく感じが。
そしてそれ以上に目をつぶっていても感じるアスランの視線が。
見られてる、そう考えるだけでこういう行為に慣らされた体は反応し、キラ自身からトロトロと白濁した液をあふれさせる。
「くすっ、キラはインランだね」
「ああ・・・・っ!!」
いきなりアスランはキラ自身を握りこむと、その液を指に絡めてキラに見せつける。
「ホラ、たいして触っていないのにこんなに濡れてるよ。俺はまだ一回も満足していないっていうのにね」

そう告げると突き飛ばすようにキラをベッドへ押し倒し、そのまま最奥まで一気に貫いた。
「ひあっ・・ああああ・・!!!」
一瞬痛みで気が遠くなる。
少し慣らしたとはいえ、アスランのものを受け入れるには無理があった。
ポトポトと、結合部分から流れ落ちた血が赤くシーツを染めていく。
それに気づいていながら、アスランはこの行為を止めようとはしない。
逆にどんどん動きを速めていく。
「や・・・だ・・・もう・・・・やめ・・・・っ!!いた・・・い・・・いたっ・・・・」
「いたい?なにいってるの?すぐにヨくなって自分から俺を求めてくるくせに」
そう即座に言い捨てられた言葉はキラにとって辛いものでしかない。
どんどん激しくなる痛みは、一定の域を超えたところで感じなくなり、やがて全てが真っ白になっていった。

ただ白いだけのセカイ。

その空間の中で、キラは遠い昔をみた。

いつも優しくて、友人の誰よりも僕を大切にしてくれたアスラン・・・。
もう、あの頃の君はいないんだね。

・・・・・大好きだったのに。

失くしたくなんか、なかったのに。

思い出は返らぬ過去となってしまった。
きっともう二度と。あの頃には戻れない。


でも。

そんなまぶしかった昔を想いながら、キラは思う。

あの日々に戻れなくても。
このまま永遠という時をアスランに繋がれてしまったとしても。
・・・・・・君が、そばにいるなら・・・・・・・
それで、何もかもかまわない気がする。
どんなことをされても君ならって思える。

こんな僕は君と同様、すでに狂っているのかもしれない。

けれど、お互いを憎み合い、殺し合い、離れ離れになるよりは。
君と共にどこまでも堕ちていくほうを選ぶ。


―たとえそれが声しか届かない、深い闇の中だとしても―




END





言い訳という名のあとがき


凛音様へ。駄目ならまた書きますので。

うーわー・・・・・。いや、もう言い訳もできません。
楽しく書かせていただきました(爆)いいんでしょうか、こんなもんで。
結構どうしようか悩みまくって、でもいい案が思いつかなかったので、
結局煩悩のままになったんですけど(汗)。よくみたら最後のキラ独白異様に長いし。
コレは最初から「裏にするぞー!!」と意気込んでいたシロモノだったので、
前回よりは裏っぽくなっている・・・・と、自分では思ってるんです・・・・が・・・・・。
そんなことありませんね。(今読み返してみた)
たいして何もしてません。
ああ、どうしよう!!!!!ほんとに何もしてない!!!!
これなら表でもいけるよなぁ・・・・。
まあ、でも達成感はかなりあるので笑って許して☆

では。
感想お待ちしています。>_<!!